08/10/28 01:47:49 s5KvwXOK
例えば、初代殺し、深山殺しに関しては、連載第一回では「変死」としか書かれていない。
先走って読者を煽る乱歩の癖からすれば、
この時点で密室や衆人監視下での殺人の腹案があったのなら、
「奇々怪々な事件」ぐらいは書きそうなもの。
また、莫大な財産を正式相続し、不具者の収容施設や病院を建てたとの結末は、
主人公夫婦の前歴を周囲の人間がよく知らないため、この小説を書くとの冒頭とは乖離している。
ここら辺が、『孤島の鬼』の、当初の構想どおりとは思えない箇所。
「真っ黒」以外は全部「白」の法律論と文学談議を同列に扱うのもどうかと思うけど、
だったらまず、物証の吟味=作品を読むことから始めないと。