08/09/03 22:47:47 g4cI0+9W
>>672
必然性はそんなに感じないけれど、単にああいう疑問点を残す書き方を乱歩が好きなだけじゃない?
「二廃人」もそうだったし、「一寸法師」も曖昧な点を読者にゆだねるという意味では似たような所がある。
「陰獣」自体は休筆明けに書かれた作品だから、
「変格や通俗長編を手がけてしまうという」迷いはなかったと思う。
トリックを生み出せず行き詰まって、結局元トリックを裏返すだけという
本格に対する自分の能力の限界は感じていたかもしれない。
「陰獣」以降にまともに自分でトリックを考え出した本格は「何者」だけ。
(「偉大なる夢」では、一応自分で考えたトリックがあったが)
乱歩自身は「地獄の道化師」を本格に連なる作品と位置付けていたけれど、
あれも他の通俗作品と大して変わらなかった。。