09/02/22 13:09:02 km1aGDHC
朱川湊人「花まんま」を読んだ。
ミステリちゅーか、ホラー作品集である。
表題作は直木賞受賞作。
リーインカーネーションを描いたコテコテなホラーなんだが、あっさりと受賞。
高橋克彦作品にしてもそうだが、ミステリやホラーに甘くSFには非常に厳しい直木賞、
果たしてこれで良いのか?
大好評につき(励ましのメールを多くありがとう。この糞BBSの場を借りてだがお礼を申し上げて
おく)、収録作品全話講評逝ってみよう!
・「トカビの夜」
病弱な朝鮮人の子が死んだ後に妖怪トカビ(正確な発音ではない旨が述べられている)と
なって登場するというファンタジックなストーリー、腐女子やファンタジーオタが読むにはOK
だが、大のオトナがこの世界観を許容して読むにはきついものもある。
・「妖精生物」
前収録作とは異なってファンタジックなタイトルに反してエロチックでグロな展開、
そして鬱エンドを迎える。
ヒロインの女の子が妖精生物から感じ取ったのはエクスタシーとしか考えられない。
一応、オトナの鑑賞にも堪え得る作かと思う。
・「摩訶不思議」
艶福家の叔父の死、その葬儀の怪現象を甥っ子の少年の眼を通して描いたユーモアたっぷり
の作。ただし、三人の愛人が仲良くなるという締めはやや安易で定番か。
・「花まんま」
リーインカネーションという実例としての報告も多い怪奇現象をそれなりにリアルに描いた作、
映画化もされたケイゴのヒット長編や高橋克彦作品を想起させるような作だが、
大阪弁が印象をぐっとソフトにしている。
加藤家と繁田家の交流が始まるなんていう安手なテレビドラマのような甘い締めにしなかった
のはグッドではある。