08/11/15 13:02:29 YhP+TS35
蔵前仁一「シベリア鉄道9300キロ」を読んだ。
写真満載の鉄道紀行だが、現代における冒険談としても読める。
著者は実績(実体験・著作数共に)がある旅行家だが、インテリ(慶応・法政治学科卒)だけ
あって、念願のシベリア鉄道に乗っても舞い上がり美化することなく、
クールな観察者の視点を失わない何でも見て野郎なのが、
文章も信頼感ある読み応えあるものにしている。
シベリア鉄道(この正確な定義は判然としない旨があとがきに記されているが)内が紀行の
大部分であるせいもあるが、ヨメと同行の旅というせいもあってか、美形のロシア娘に触れた記述
はあってもポートグラフィは無し、「旅」のお楽しみである目の保養の面は皆無なのが残念だが、
ユーモアを散りばめた巧みな描写で倍のボリュームがあっても楽しめそうな書ではある。
著者がセレクトしたシベリア鉄道車窓ベスト10の上位4位までが東シベリアと中央シベリアなのが、
この鉄道旅行の肝を端的に象徴しているようで面白い。