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「葉隠三百年の陰謀」井沢元彦(徳間書店)
時は江戸時代末期。佐賀藩主鍋島斉正の寝所に巨大な猫が現れ、
宿直の侍を噛み殺し、呪いの言葉を吐いて消えたという。
斉正は藩内きっての俊英大隈八太郎を呼び事態の究明を命じた。
八太郎は同志達の力を借りて怪異に立ち向かうが、その過程で
次第に明らかになっていく佐賀藩の成り立ちが八太郎の信念を
揺さぶることになる―。
「暗鬼」を読んだ時にも思ったけど、正直キャラクターや文章は
あんまり大したことない。トリックも見当が付く。ただ、本作の凄い所は
「戦国」「化け猫」「幕末」と佐賀にスポットライトが当たる時期や
伝承を自然な形で結び付けてストーリーを作っている所だろう。
それが探偵役の積極的な介入理由に繋がっていくのも巧い。
尚、史実の誤りが数箇所あると思われるので以下に指摘しておく。
・沖田畷合戦で龍造寺隆信の首級を挙げたのは川上忠智ではなく
息子の忠堅
・佐賀藩の藩校は明倫館ではなく弘道館
・方広寺銘鐘に記されているのは「右僕射徳川家康」ではなく
「右僕射源朝臣」