08/02/18 09:05:45 uWuYPxKR
>>49
自分も読みました。パーフェクトプラン面白かったです。ミステリー色は薄いかもしれないけどサスペンス・エンターテイメントとしてはかなり楽しめた。
柳原さんの「コーリング闇からの声」もなかなかいいよ。
51:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
08/02/20 18:53:19 RqhZuPgV
「サクリファイス」近藤史恵(新潮社)
陸上選手として将来を嘱望されていた誓は突如陸上を止め、
自転車レースの世界へ飛び込んだ。そこは他のスポーツとは違う独特の
精神が息づいており、その中に誓は自分の居場所を見い出そうとする。
そんな時、耳に入った尋常ならぬ噂。チームのエース石尾がかつての
チームメイトを故意に負傷させていたという。信じようとしない
誓だったが……。
サクリサクリ読めた。読みながら「これミステリーかぁ~?」と
思っていたが読み終えるとまあミステリーだったなと。
この動機はメルヘンだと思うがまあ、ありっちゃありっちゃありかな。
短くて初心者にも解りやすく書ける力量は大したもんだと思う。
それにしても主人公のトラウマの原因はひでえ話だなぁ。
こんなこと心配しなきゃならんなら大変だわ。
52:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
08/02/20 18:54:14 RqhZuPgV
「図書館内乱」有川浩(メディアワークス)
郁が怖れていた事態がとうとうやって来た。即ち、両親の訪問。
防衛部に所属していることは決して知られてはならない!
カモフラージュの為必死で事務をこなそうとする郁。一方、手塚
には
袂別したはずの過去が忍び寄って来る。
確保したもんは償却しなきゃならんので。
しかしやっぱ違和感あるわぁ。正論という言葉をを都合良く濫用する
主人公だけじゃなく全体的に。
セックスに見せかけたオナニーみたいな。「外国に飛行機が墜ちました。
ニュースキャスターは嬉しそうに乗客に『日本人はいませんでした』」と
同じ臭い。無理から敵を仕立てている印象。派閥のバランスに対する
配慮も毒舌批評も単体じゃ叩き難いもんだから他の要素をくっつけて
叩いてる。それだけならまだしも障害者問題での工房叩きは引いた。
展開に無理ありすぎだろう。もっとなりふり構えよ。
ただこのラストは気になるなぁ。悔しいけど……。
53:名無しのオプ
08/02/21 20:33:10 SrGO6p6z
●「一応の推定」広川純 文藝春秋 単行本 松本清張賞受賞作
また、地味なのを掴んでしまったw
前評判から地味なのはわかっていたが、評価が高かったので、つい借りて読んでしまった。
年の功というべきか、新人離れした安定した文章力を感じたし、評価が高いのは一応理解できる。
選評については、右記参照。URLリンク(www.bunshun.co.jp)
しかし、この作品には大きな疑問を覚え、楽しむことができなかった。
それはまたしても、相続の問題である。ネタバレになるおそれがあるので、詳述は避けるが、
「借金を背負った者が亡くなった場合、相続人である保険金の受取人は、保険金で借金を返す必要があるか」という問題である。
保険金の受取人の指定の問題や、連帯保証の有無などにも影響されるが、基本的には相続債務と保険金は別物である。
したがって、相続人が相続を放棄した場合、保険金をまるまる取得できるのである。
この点については、「相続放棄」「保険金」で検索すれば、法律相談事例がいろいろ出てくるはずである。
ところが、本作は相続放棄さえ触れていない。法律上の問題を一切無視し、ご都合主義的にストーリーを展開しているのである。
「火車」を書いた宮部みゆきがOKを出したのだから、これで良しと考えるべきなのか?
「半落ち」の直木賞受賞騒動で、林真理子が「ミステリ業界は……」と憤慨していたことを思い出してしまった。
54: ◆XjFtIkbasQ
08/02/22 02:16:02 tIQng9Xb
加藤元浩『Q.E.D 証明終了(29)』(講談社コミックス、2008)【6.5点】
「エレファント」「動機とアリバイ」の2篇収録。
ポアンカレ予想を絡めた前者だが、数学的お話を除くと
「金庫を一人でどうやって運び出したか」のシンプルなお話になる。
が、まあまあ楽しめた。ペンギンって羽毛あるのかな?
後者は著名画家の家に招かれた3人の弟子の誰が犯人かというフーダニット。
するどいロジックや意外なトリックが展開されるわけではなく、ちょっと残念。
55: ◆XjFtIkbasQ
08/02/22 14:47:24 tIQng9Xb
文藝春秋編『逆転の瞬間』(文春文庫、1998)【7.5点】
「オール読物推理小説新人賞」受賞作をあつめた短篇集Ⅲ。
荒馬間「新・執行猶予考」、浅川純「世紀末をよろしく」
宮部みゆき「我らが隣人の犯罪」、長尾由多加「庭の薔薇の紅い花びらの下」
中野良浩「小田原の織社」、佐竹一彦「わが羊に草を与えよ」を収録。
宮部がミステリー「小説」として抜きん出ているのは流石として、
一番の印象作は中野。関ヶ原前夜の背景を取り込んだ歴史ミステリの
本格モノ。シンプルだが、犯人の目的なども絡めて上手く作っている。
謎の解明シーンがちょっと淡々としていて残念だったが・・・
あとは、偽造紙幣を扱った荒間が妙な熱気があって楽しめた。
56: ◆XjFtIkbasQ
08/02/24 02:47:09 8ozc/vrj
高橋克彦『京伝怪異帖』(上下、2000→2003、講談社文庫)【8点】
絵師・戯作作家の伝蔵(山東京伝)が遭遇した怪奇事件の連作中篇集。
冒頭作「天狗髑髏」は、平賀源内の獄死、幽霊屋敷、謎の生物の頭蓋骨などの
道具立ての謎解き物語。人間の仕掛けたトリックなのか超常現象なのか、
あるいはカツヒコお得意のトンデモなのか、各篇予断を許さない。
「天狗髑髏」の正体についてある人物が講釈する場面はカツヒコの悪い癖が
出たかと危ぶんだが、後はまっとうな謎解きモノ(平凡だが)として読める。
舞台も江戸だけでなく、白河や秋田藩にも広がり、『写楽殺人事件』を読んでいると
より楽しめる。ここ10年間のカツヒコの仕事では、上位であろう。
脇がにぎやかなせいもあって、伝蔵のキャラがいまいち薄いのが残念だが、
その分、某先生や陰間の蘭陽のキャラがなかなか楽しい。
やっぱカツヒコ好きですわ。多少甘めの【8点】。
57:名無しのオプ
08/02/25 21:15:51 VjOGCEaA
読後感もウザイがトリップ付き名無しも大概ウザイな。
58:名無しのオプ
08/02/25 21:19:38 zIO+mYCo
age
59:名無しのオプ
08/02/25 21:20:25 zIO+mYCo
ageでいちゃもん付けるだけの名無しが一番うざい
60:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
08/02/26 17:41:25 g7G/BmtD
「密室殺人ゲーム王手飛車取り」歌野晶午(講談社)
ネット上のとあるコミュニティに集まった5人の参加者たち。
顔も本名も隠した彼らは今夜もゲームに熱中する。交代に現実で
殺人を犯し残りのメンバーがそれを解くという殺人謎解きゲームに。
『葉桜~』は大枚900円もはたいて買ったのにネタバレ観ちゃって
売っぱらったからこれが初歌野。
ミッシングリンク、密室、アリバイ崩し等が連作短編形式で進んで行く。
これが完全な短編集となってしまうと個々のネタの物足りなさが
浮き上がってしまいそうだが、一繋ぎであることによってそれが
避けられ合わせ技的な好印象になっている。
ちなみに一番好きな謎は生首。
最終章はもっと捻って欲しかった。それすらも絡め取る―みたいな。
61:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
08/03/04 15:44:16 JwSxS+dP
「浮気妻は名探偵」梶龍雄(桃園書房)
若妻エリ子とその不倫相手黒沢警部補のコンビが活躍する短編集。
でも2作目だったのねーん。話的には困らないけどさあ。
収められた短編はどれもライトな本格で続けて読むと良い感じ。
ただエロがイマイチだなぁ。エリ子自身のピンチが無きゃねえ。
そもそも美少女とみまごう外見という設定がダメ。色気タップリの
熟女にすべきでしょう。カバー絵もそんな感じぽいし。
62:名無しのオプ
08/03/05 21:05:22 Nh8pkZ0s
/⌒ヽ
( )^ω^( )これおもしろいだお
(つ と) ニコニコでDVD売れまくっているお
U U
URLリンク(www.nicovideo.jp)
URLリンク(www.nicovideo.jp)
URLリンク(www.nicovideo.jp)
↑これこそ超一流のミステリー
63:名無しのオプ
08/03/09 17:25:56 qF0qM3E+
「博士邸の怪事件」浜尾四郎(春陽文庫・探偵CLUB版)
死亡推定時刻以後に生きている姿を目撃したという証言が複数の人間からなされる、
という展開は、その後証人が嘘をついていることがわかったり、
ある人物が事件の関係者と親密な関係があることがわかったりと展開そのものは面白い。
しかし。
あの結末はちょっと勘弁してほしい。
書かれた時代の日本のミステリーの水準からいえば仕方ないのかもしれんけど。
ただ併録されている「不幸な人達」は絶品。
「博士邸」のすぐ後にこの短篇を読み始めたときは「またこれかよ?」と思ったが
今回の場合は作品の傷にはならず問題なし。
広次の心理描写がいい。
64:書斎魔神 ◆AhysOwpt/w
08/03/09 23:42:38 VU5JJwGT
有栖川有栖「山伏地蔵坊の放浪」を読んだ。
学生アリスシリーズ以外の有栖作品は、結構好きなんだが、なぜかノーマークだった1冊。
山伏が探偵役ということもあって、オカルトねたの事件が多いかと思ったのだが、
エル好きのアリス作品ゆえか、この手のものは皆無。結構、論理重視のもの多し。
山伏が探偵談を語るという安楽椅子探偵もの(戸川安宣氏が筆を執った本書解説にこのスタイル
に関する詳論が述べられており、一読に値する。本作はこのスタイル中でも特色があるものとの
ことだ。たいした出来栄えではないジョルジュの「13の秘密」にも言及しているのが、
版元創元らしい御愛敬か)いかにも気軽に読める新書スタイル向きな題材なのだが、
なんと創元クライム・クラブの1冊としてハードカバーで刊行され、
後に文庫化はされたものの新書版は存在しない。
探偵キャラ、ストーリーの着想等、まずまず面白いシリーズなのだが、
さほどの人気とならず、現時点でこの1冊にとどまっているのは、諸般の事情があるとはいえ、
発刊の形態に問題があったとも思える。
それでは、ネタばれ禁止無用、大好評な全話講評いってみよう!!
第一話「ローカル線とシンデレラ」
単線のローカル線を舞台にした結構凝った創りの作。
本作が商業誌デビュー作とは、それなりにアリスの力量を感じさせるものがあると言い得る。
第二話「仮装パーティーの館」
今読むと、ダースベーダーやバットマンという物語上の小道具に時代性を感じさせる作だが、
偶然性が関連するとはいえ、謎解きミステリ的には面白い展開の作である。
第三話「崖の教祖」
大のエル好きで有名なアリスだが、本作のトリックはむしろジョン風と言い得る大技(荒業?)。
論理志向のエルや鮎を理想像としているらしいアリスではあるが、
本作や協会賞受賞作の長編「マレー鉄道の謎」等でもわかるとおり、
トリックは大胆なジョン風のものが多いやに思う。
65:書斎魔神 ◆AhysOwpt/w
08/03/09 23:43:19 VU5JJwGT
第四話「毒の晩餐会」
本作は解決が見えてしまう今ひとつの出来栄え。
第五話「死ぬ時はひとり」
ロスマクかよ(w、という感じのタイトルだが、一応、不可能犯罪もの。
ただし、出来は前作同様今ひとつである。
第六話「割れたガラス」
犯行に不可欠な小道具が最後に呈示される点がひっかかる(伏線があってもよい)が、
じっくりと論理で詰めてゆく展開にアリス作品らしさが発揮されており、
それなりに謎解きを堪能出来る作に仕上がってはいる。
第七話「天馬博士の昇天」
現時点でシリーズ最終話。前作と同様な不満があるのだが、
より解決への展開(謎の足跡の解明等)が唐突というか、アンフェアと言ってもよいくらいの作。
シリーズの締め(山伏の退場)を意図しただけの作なのであろうか。
66:馬は死ぬか太るしかできない
08/03/11 20:43:52 MDhRSPs4
「人獣」戸川反哺(とがわはんぽ)
67:馬は死ぬか太るしかできない
08/03/11 20:45:41 MDhRSPs4
誤爆御免ね
68:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
08/03/15 20:57:23 BPOyJRUP
「三毛猫ホームズの推理」赤川次郎(角川書店)
女子大生が友人宅で惨殺される事件が発生し、青年刑事片山は捜査に
狩り出されることに。調べてゆく内に組織売春の存在が
浮かび上がって来るが、今度は文学部長が密室で殺される。
片山は学部長の飼い猫だったホームズと共に事件の謎に挑む。
期待して読んだ。しかし、ある不自然なことを十分に解明しないため
犯人は早い段階で見当がついた。密室トリックも恐らく内外に
先例があるはずで後は見せ方の問題なのだがこれは矢張り
無理が目立つ。作中で言い訳はしていたが納得し難かった。
もう一つ唐突に明らかになる事実の蓋然性も薄く、総じて強引な印象。
69:書斎魔神 ◆AhysOwpt/w
08/03/15 22:41:32 3xuceUyL
長岡哲生「極秘資金」を読んだ。
ビジネス街では平積みになっている書店が多く、売れ行き良好、
非常に面白い経済ミステリ(版元である講談社はこの惹句で売ろうとしているし、
実際、謎解きもオトナの読み物らしい現実的解決もある)、
この板のミスオタはこういう作をスルーしてしまうから駄目駄目なのだと言い得る。
一定条件を充足する大企業とその代表者のみに供与されるという「基幹産業特別資金」、
大企業から新興のマーケティング会社へと転職したばかりの主人公宮本は、
次第にこの資金を巡る謎の連続の渦中へと巻き込まれてゆく・・・
本作のサイドストーリーである未公開株詐欺のエピに関して、2ちゃんねるが実名で登場、
あるスレでのやり取りが、主人公の調査の発端を成すこともあり、結果的にはそれなりに
役立ってはいるのだが、パナソニックがモデルと思われな大手家電メーカーの元部長職に
あった主人公の2ちゃんねるに対するコメントは、
「読み始めると愚にもつかない落書きだらけでうんざりした」
これは一流経済誌(週刊「ダイヤモンド」の元エグゼクティブである著者(本書が処女作)の
見解でもあろうかと思う。
70:書斎魔神 ◆AhysOwpt/w
08/03/15 22:42:20 3xuceUyL
結局、社会のメーンストリームでは2ちゃん=糞の公式が確立してしまっているのである。
プロローグにおける、文字通り「傷身」の主人公の姿は70年代のネオハードボイルドを想起
させる「泣き」のひとり語り、著者はハードボイルド・ミステリとか結構好きなんじゃなかろうか。
この点は、後半、ボディーガードと共にアクションに出てしまったり、ラスボス(と思われる人物)と
サシで対決する主人公の姿からも伺える。やり過ぎ、創り過ぎ感も残るが、あっさりと筆が進められているためか、嫌味が無いファンタジー(?)になっている。
また、50代で小学生の子有り、男やもめの主人公でありながら、
外資系勤務の30後半の恋人がおり、部下の若手女子社員や帰国子女のJD(慶応SFCの学生)にも慕われるモテモテぶり、この辺も著者なりの軽いファンタジーででもあろうか(w
しかし、色事の方面はあっさりと流され、この手の経済ものに多い濡れ場は皆無、
読者サービスのテクが及ばないゆえのデビュー作ということもあろうが、
逆に本筋である謎の資金話を巡るミステリに力点が置かれ、すっきりと読み応えがあるものに
仕上がっている。
宮本の転職先の親会社社長の平岡、前の会社の上司(専務)だった菅谷等、
脇キャラも一癖あったり、真面目だが小心だったりと、人間臭く面白いものがある。
71:名無しのオプ
08/03/15 23:38:09 kfKiEFqn
2ちゃんねるで活動してる書斎さんも糞だと言う事ですかw
それにしても、ものすごい悪文ですねw 他人の評論のマルパクリと
2ちゃんねらーの悪口をツギハギしただけ(ああ、いろんなスレで、ボコボコに
されて、くやしかったんですねw)
昨夜、深夜放送でやってた 劇場用デビルマンの構成みたいな、
支離滅裂の文章もどきですなw
72:名無しのオプ
08/03/17 22:27:09 AEFFQoV+
>>68
あの密室トリックって先例あるのか。
73:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
08/03/17 22:33:07 jnfS2KcE
>>72
確か(メル欄)の作品に似た様なものがあったかと……
74:書斎魔神 ◆AhysOwpt/w
08/03/20 21:45:07 lGg87NlG
有栖川有栖「ペルシャ猫の謎」を読んだ。
創り過ぎの感を抱く作もあるが、
新書ミステリとしては相変わらず楽しめるもの(シリーズ作品)に仕上がっている。
大好評につき、今日も全話講評逝ってみよう!!
各人、心して読め!
「切り裂きジャックを待ちながら」
小劇団ネタのサイコ・ミステリ風の作。
締めがアリスが好きなエルの一番著名な作を想起させるのも楽しい。
CURTAIND。
「わらう月」
これもサイコ・ミステリ風の出だしと思いきや、鮎風のコテコテの謎解きミステリであった。
ややトリックが複雑であり、読み辛いのが難か。
「暗号を撒く男」
朝のワイドショー等でもおなじみ流行の星占いから想起された作であろうが、
あまりに遊び過ぎで買えない。
「赤い帽子」
アリス国名シリーズではおなじみの森下刑事がメーンの作。
作者のあとがきに記された掲載誌を見れば納得出来る展開なのだが、
いつ火村やアリスが登場するのかと思って読み続けていると・・・
丁寧な情景描写(独身者用マンションのポスティングの様など実にリアルである)による
地に足が着いた警察小説として読み応えあり。
「悲劇的」
SS風の小品ながら、火村というキャラが良く活かされた作ではある。
「ペルシャ猫の謎」
この作があるから国名シリーズの冠を付せたのであろうが、謎解きがあまりと言えばあまり。
あとがきにも「こんな結末を読まされた読者がどんな気分になるのか、私には判らない。
恐ろしいことだ・・」
とある。この作者コメントの方が「おそろしい」かモナー・・・
「猫と雨と助教授と」
作者曰く、「これまたミステリではない」
とくにコメントの要を認めない。
75:書斎魔神 ◆AhysOwpt/w
08/03/20 21:48:16 lGg87NlG
中村文則「土の中の子供」を読んだ。
この板には純文学には全く無縁、「純文学」という言葉を聞いただけで、
顔面蒼白、ずり落ちかけた褌を抱えて遁走する輩も多いかと思う(w
そんな連中に突き付けて読ませたいのが本書である。
作者に関しては「銃」(2002年)という作に関し、
「大藪春彦の世界(具体的には凶銃ルーガー・シリーズ等)を純文で書くとこんななるんかなあ」
という程度の認識であったが、2005年度芥川賞受賞作品である表題作では、
より感覚が研ぎ澄まされて来た感がある。
ミステリ、否、クライム・ノヴェル(終盤でクライムそのものは発生するものの)とも言い難い作だが、
正にクライム・ノヴェル寸前の作とでも形容したいような作と言い得る。
現代の若者でありながら虚無的な面がある主人公の過去が明らかとなるくだり、つまり「タイトル」
含意が見える部分は異様な迫力に富む。明るめのラストはやや意外であった。
併録された「蜘蛛の声」は、サイコ・ミステリと言うてもよい作、
突然、橋脚下にひきこもった若手リーマン、結構、仕事が出来評価されているという設定は異なる
ものの、その異常性は「2ちゃんねらー」というものを想起させずにはおかないものがある。
各人、心して読め!
76:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
08/03/21 00:52:39 e2/kXkYE
「図書館危機」有川浩(メディアワークス)
遂に憧れの王子様の正体が判明してしまった郁。一体どう接すれば良いのかパニクる
彼女だったが、事件は待ってくれない。今回は痴漢や人権屋と
闘いま、すぅ。
本作は割と抵抗なく読めた。今更だが力はあるよね。構成も良いと
思うし。ただ、時々オナニーの衝動を抑え切れないのが残念。
どうせなら、というか本来ならセックスにまで高めるべきで
それが出来ないのが若さ故なんでしょうかね。多面的たらんとする
配慮が逆説的に自己満足のイメージを喚起させてしまっている様子。
具体的にはアイドルがアシの子にキレるシーン。自分の無知と
察しの悪さを棚に上げた上口調まで変わってて明らかにDQN
丸出しなのに何故か彼女の落ち度みたいになってるし。それから
母親殴打シーンね。その後の開き直りも凄い。仮にも親だぞ。引くわ。
これらを除けば、読めた。人権屋絡みの話とかは、まあまあ良かった。
次が最後か。読も(はぁと。
77:名無しのオプ
08/03/21 12:30:08 voG8VNU3
純文学と言う言葉を聞いただけで、顔面蒼白、褌をズリ落として遁走する書斎w
/ ̄ ̄ ̄\
ミミミ 丶 _,、
ミミ /一◎-◎-) ///|
(9 U (_ _) ) /_ /7
_rlヽ,、 | ∴) 3 ) _,.. '´ _/
l l ! !rl \____/ / /
! '''' j ',........ _____,.. -‐゙ー-、:ァ 、 _ | ,..- '´
ヽ ' 。 ゚ ` 、 / ̄,r '´。
`゙''ー―――ァ‐、 u ヽ
o ゚ / ゚ ゚ 丿
( 。 u ヽ
( u \
( 。 u X )
( ゚ =ー----'、... __ u )
! ,.  ̄丶、
__ ,. -'':.、 u ゚ 。 \
_/ `ニ ー―-- 、..-''´ .:.:.:.:.:゙ー‐ァ--―''" ̄`丶、 u 丶、 _,,.. --、
,r''´。 ゚ __ ・ 。 .:.:_.. -''´ `丶、 `‐'" ´‐'´'
。 /, ,. - ''´  ゙̄''ー-----―''"´ ゚ ヽ ー _ノ-'´
`゙ー-'´ ヽ、_/
78:名無しのオプ
08/03/21 21:39:13 tdrIpV9z
アアッ、ワテノフンドシガ・・・≡( ;^o^)/ ~~⌒□⌒ヒラヒラ
褌を追いかける、ウンコ書斎w
79:名無しのオプ
08/03/21 23:04:11 tdrIpV9z
>URLリンク(members.at.infoseek.co.jp)
>980 :書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :2005/12/07(水) 22:17:02
>平井和正は、のれなかった作家だ。
>「エイトマン」の原型と言われる「サイボーグブルース」
ひでえ・・・こんな珍説聞いたの初めてだよw(大爆笑)
80:名無しのオプ
08/03/21 23:30:45 tdrIpV9z
ミステリーにも、SFにも、文学にも無知な書斎w
こいつの頭の中では、ドラえもんがオバQの原型であり、
ドーベルマン刑事が、ダーティー・ハリーの原型なんだろうw
81:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
08/03/23 14:28:45 eis6gDJ2
「迷犬ルパンの名推理」辻真先(光文社)
ハンサムだが堅物な朝日刑事は下宿先の娘でタレントのランと共に
彼女の事務所のパーティーに参加する途中で事件に遭遇する。
事務所社長が崖から転落し行方不明となったのだ。そして数時間後、
社長の別荘が全焼し中から彼女の死体が発見された。朝日とランは
偶然出会った野良犬と共に謎に挑むのだが……。
久々某スレからのセレクト。
トリックよりもプロットで魅せるタイプ。なので古びないというかな。
こないだのホームズはトリックの印象が強い分どうしてもその瑕疵に
目が行ってしまうからね。そういう意味では処女作では犬に
軍配が上がるかな。
あとキモイ年の差カップルがいないのも好印象。アニメ畑だからか
おっさんに媚を売ったりしないカッコ良さがある。
82:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
08/03/23 15:12:22 eis6gDJ2
「合本・青春殺人事件」辻真先(東京創元社)
改装工事を控えたスナック蟻巣の飼い猫チェシャが変死した。
落ち込むママを元気付けようと常連客が話し合いその一人推理作家の
牧がスナックの宣伝になる小説を発表することになった。
自身の習作3本に手を加えた形となるミステリー小説を。そのタイトルは
一つずつ書く前に大問題があるのデス。これネタバレの嵐!
黄色い部屋・アクロイド・悪魔の紋章・蜃気楼博士・本陣・刺青・
オリエントと大盤振る舞い漏らしまくってマスノデご用心。
「仮題・中学殺人事件」
連作短編形式。鉄道アリバイと密室。読者が犯人。まあジュブナイルなら
こんなものかな。目次は法月ライブラリーの元ネタ。
「盗作・高校殺人事件」
アリバイ+密室。最初の密室トリックはあっけないのが残念。
意外性もあり中々良いが後付けがちらほら。
「改訂・受験殺人事件」
『長い墜落』ネタと犯人消失と密室。
見え見えな部分もあるが第2の殺人は巧い。意外。
他短編1本+α。前者は密室トリック使い回しの為評価は低い。
後者は良い後味。
出来ればこのままスーパーとポテトの成長を追って行きたかったが……。
83:書斎魔神 ◆AhysOwpt/w
08/03/23 22:58:42 rwB3enfS
横山光輝「白髪鬼」(原作・江戸川乱歩)を読んだ。
大乱歩の原作(傑作翻案小説)を漫画化したものであるが、
横山御大の絵柄ゆえか、原作にある陰惨さ(これが強い魅力でもあるのだが)は薄まっているうえ、
主人公の壮絶なるリベンジにも御大十八番の忍者漫画を読んでいるかの如きゲーム感覚さえ
憶えるものがある。
また、原作のストーリーの肝心な部分が脚色されていることもあり、
(少年漫画よりも成人向き作品である原作の方が勧善懲悪に対する拘りがあるようなのが
面白い)同じ素材による「別物」という感じに仕上がっている。
しかし、それにしても当時の四大少年漫画雑誌中では一番穏やかなイメージがあった
「少年キング」が、色と欲とリベンジが渦巻くこの原作を、よく掲載したものである。
小栗虫太郎原作「人外魔境シリーズ」の一編「大暗黒」の漫画化作品も併録されているが、
これも小栗作品独自の粘着性は無く、すっきりした秘境談になっているのを物足りないと見るか、
「これはこれ」として評価するかである。
他にはオリジナル作品として、タイムスリップもの「魔界地帯」、
魔神の再生を描いたホラーもの「邪神グローネ」、シニカルなオチとなるSS風の「俺はだれ?」
の3編を収録、この辺は漫画は漫画として、「ぱーっと読んで、ぽーん!」でよろし。
84:名無しのオプ
08/03/24 00:40:09 E5CHPy3p
褌をズリ落として遁走する書斎w
/ ̄ ̄ ̄\
ミミミ 丶 _,、
ミミ /一◎-◎-) ///|
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_rlヽ,、 | ∴) 3 ) _,.. '´ _/
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85:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
08/03/25 00:56:01 y57YfDB+
「堕天使拷問刑」飛鳥部勝則(早川書房)
事故で両親を亡くし、母方の祖母に引き取られて田舎町にやって来た
少年タクマ。だがそこは都会とは違う異質な世界だった……。
頻出する奇怪な事象に戸惑う彼はある少女に出会う。
やがて過去から続く残虐な殺人に巻き込まれながらも
彼女との逢瀬に安らぎを見出すタクマだったが、事態は破滅に
向かおうとしていた……。
初飛鳥部。長いがストーリーに引き込まれて苦にならなかった。
横溢する怪奇趣味が余りにも場を盛り上げるもんだから
果たして真相に辿り着けるのか不安になったくらいw。
そういう意味では「死の相続」と似てたかな。でもちゃんと
着地して一安心。まさかあんなものが出てくるとは思わなかった。
ただぶっ飛んだ感じはそんなにしない。飽くまで常識人が頑張って
変な風に書いてる印象。
あと地方の迷信やら因習やらが絡むというと三津田を連想するが
本作は三津田作品より大雑把でそれらの背景は語られない。しかし
青春を描くという側面の方が強いと感じるのでそれで良いと思う。
それより何より気になったはリアリティの無さ。中一の会話や知識
じゃ無いし、非科学的な信仰が根強い割に駅だのデパートだの開け過ぎ。
終盤の展開も(作品世界でも)信憑性に欠けると思う。
それから伏線がいくつか放置されてるのや、町なのに市役所があると
いうイージーミスが気になった。あとフーダニットの弱さも
挙げられるがこれは作者も承知の上だろう。
ついでにオススメモダンホラーの項は良かった。必要性は無いけど。
綾織も読むぞ。
86:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
08/03/26 01:48:59 xZHc0eC4
「完全恋愛」牧薩次(マガジンハウス)
戦時中地方へ疎開した少年究は、そこで一人の少女に出会う。
その少女朋音に魅せられた究はやがて米兵の殺人事件に遭遇する。
そのことが朋音との長い因縁の始まりであった……。
大傑作との評判を見て読んだが、まあ良作と言ったところか。
半分ぐらいまでは読みながらバレバレだなあと呆れていたのだが、
読み終えると、むむぅと唸った。プロットは見当がつく部分があっても
二つのトリックはサッパリ解らなかったし、その解明がプロットに
関わってたりして、結局、バレバレだと思ってたのは
見せパンだったのかもと迷ったりした。
ただ、あるトリックの解明が不十分でそのためやや卑小化してしまった
気がしたのが残念だった。それと文章に隙があるとも思ったが
これはまあ良いか?
お薦めではあるのだから。
87:名無しのオプ
08/03/26 08:24:14 GeDQfXy2
>URLリンク(members.at.infoseek.co.jp)
>980 :書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :2005/12/07(水) 22:17:02
>平井和正は、のれなかった作家だ。
>「エイトマン」の原型と言われる「サイボーグブルース」
ひでえ・・・こんな珍説聞いたの初めてだよw(大爆笑)
88:名無しのオプ
08/03/26 08:25:04 GeDQfXy2
純文学と言う言葉を聞いただけで、顔面蒼白、褌をズリ落として遁走する書斎w
/ ̄ ̄ ̄\
ミミミ 丶 _,、
ミミ /一◎-◎-) ///|
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_rlヽ,、 | ∴) 3 ) _,.. '´ _/
l l ! !rl \____/ / /
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89:名無しのオプ
08/03/27 01:40:38 CiqfsH3m
84、87および88についてはこちら↓
スレリンク(mog2板:226番)
90:書斎魔神 ◆AhysOwpt/w
08/03/29 15:10:30 Va6Ojs4K
有栖川有栖「暗い宿」を読んだ。
作家アリス&火村ものの4つの中・短篇を収録した作品集である。
あとがきによれば、国名シリーズならぬ作者の豊富な旅体験を活かした宿シリーズを
意図したそうだが、「ウイローの下に二匹目の泥鰌は・・・」の結果に終わったという感がある。
読み易くそれなりに楽しめはするのだが、事件の舞台設定等の物語そのものの興趣は
ともかくとして、全体的に謎解きミステリとしては国名シリーズ作品の方が出来が良いと言える。
「暗い宿」「異形の客」「201号室の災厄」の3作は、コテコテの怪奇探偵小説仕立てに出来る作
なのだが、非常にクールなタッチで書き上げているのが、謎解きの理知性を重んじ、
エルや鮎を崇拝するこの作者らしいものがある。
(最もエルや鮎作品にも怪奇探偵小説は存するのだが)
「暗い宿」は強過ぎる偶然性(たまたまその夜に泊まりあわせるちゅーのはちょっと・・・)
「ホテル・ラフレシア」(ラフレシアは鬼太郎にも出て来た実在するあの怪花のこと)も
同様な欠点、そして横溝風のアクロバティックなトリックが楽しめはするものの
「異形の客」の御都合主義的展開は問題視されても仕方なかろう。
意外にも最後の収録作品で小品と言うてよい「201号室・・・」は、論理を逆手に取った面白さと
でもいったものがある。
シニカルなアントニイ作品、エルのギリシャ棺とか好きな輩にはお薦めかも。
91:名無しのオプ
08/03/29 22:36:32 I3HcuR/j
ウイロー
[名]
1 《植》ヤナギ(willow tree);[U]柳材
・ a weeping willow
枝垂れヤナギ.
2 ((略式))柳細工, (柳材で作った)クリケットのバット.
3 開繊機, ウイロ(willy).
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
くだらねぇ・・・それにラフレシアなんて小学生だって知ってるぜw
92: ◆XjFtIkbasQ
08/03/30 00:04:13 Yg0fCvKV
夏樹静子『夏樹静子のゴールデン12』(1994→1997、文春文庫)【7点】
夏樹静子(および実兄五十嵐均・評論家権田萬治)による自薦短篇集。
25年間の傑作短篇を選んだだけあって、当然ながらどれも水準以上の
出来なのだが、個人的に夏樹静子の文章というか情感が苦手なので、
評価はやや辛目。
「特急夕月」「懸賞」「宅配便の女」「罪深き血」辺りが印象深い。
「宅配便の女」のトリックは作者が実際に試してみたそうだが、その光景を
想像すると笑える。時代的に古びてしまったものもあるが、読物としては
どれも面白い。
93: ◆XjFtIkbasQ
08/03/30 00:50:37 Yg0fCvKV
二階堂黎人編『新・本格推理08 消えた殺人者』(2008、光文社文庫)【6点】
ベテラン夏樹とは対照的な、素人公募のアンソロジー。
二階堂黎人による「まえがき」「選評」は、相変わらず当人の主観入りまくりの
文章だが、方向性の是非はともかくとして、「熱意」は伝わってくる。
肝腎の収録作だが、二階堂氏の課す「縛り」のせいか彼の好みのせいか、
ここ数年同工異曲の作品が増えてきてやや停滞気味。彼の努力は認めた上で、
編者を代えて選考基準を見直すことがシリーズの延命に繋がると思う。
作品では園田修一郎「シュレーディンガーの雪密室」が楽しめた。
しかし単純な誤字や言葉の誤用法が目立つ作品も多くあり、純粋な読書を妨げる。
もうちょっと手直し・校正に時間をかけてほしかった。商品として失格。
もっとも絶対に文芸雑誌には載らないような破天荒ぶりは、長所であり、楽しい。
94: ◆XjFtIkbasQ
08/03/31 05:21:57 uIYLrE+8
逢坂剛『十字路に立つ女』(1989→1992、講談社文庫)【8点】
知人の弁護士により、ある会社役員の素行調査を依頼された岡坂神策。
常連の古書店の地上げ問題や、馴染みの刑事の個人依頼により行方不明の女の
捜索をこなしながら、それらの背後に隠されたある事件に肉薄してゆく。
複数の事件が一本の線に結びついてゆくプロットは、やや強引ながらお見事。
作者の投影らしい岡坂のカッコつけた台詞も、「こんな奴いねえ」と思いながらも
なんだか許せてしまう。
スペイン研究者の理絵が出てくる長篇は何本か読んでいたが、こんな過去が
あったのね。先に読んでおくべきだった。良作。
95:書斎魔神 ◆AhysOwpt/w
08/03/31 22:23:10 Yqxm9bNz
定期的、かつ、アットランダムに各年度の「このミス」ベスト1作品を読み直すことがあるが、
歌野晶午「葉桜の季節に君を想うということ」を再読。
ミステリ的にはキャラクター・トリックとでも称すべき作であり、あのモース作品の「違った書き方」
ということなのであるが、「容疑者Xの献身」が直木賞受賞なのであれば、謎解きミステリの中に
高齢者社会の断面を取り込んだ本作も泡沫候補ぐらいにはなっても良かったようにも思う。
時代は数年の差しかないものの、それなりに「時が流れた」ということか。
ただし、ミステリ専業の著者には致し方ないことではあろうが、物語のシビアな展開を中和する
ことを意図したと思われな軽いタッチの書き方が、作品内容そのものまで軽く感じさせる結果に
なっているのが惜しまれる。これが刊行当時ミスオタには評価されながらも、一般には殆ど注目
されずに終わった因かとも思う。
96:読後感 ◆NQWAR.YQkg
08/04/10 21:31:45 Cj+SlIPu
「山口雅也の本格ミステリ・アンソロジー」角川書店
シリーズ4作目。何かマニアックとの批判があるようだが、
普通に楽しめた。選定眼あるねマーシィは。
トップ賞は「ああ無情」(坂口安吾)―やや言葉足らずながら
2転3転する展開は凄い!―と、思っていたら、逆転イッパツマン。
「ファレサイ島の奇跡」(乾敦)。ブラウン神父のパスティーシュだが、
これ巧すぎ。まんまチェスタトン。セーガクの手慰みとは思えん。
他、列車内の毒殺事件が思わぬ展開を見せる「新納の棺」、
伝説のリドル・ストーリーを見事に解明した「謎のカード事件」、
村民の90%が殺されるというバカミス「イギリス寒村の謎」等々
楽しめるラインナップが目白押し。読んで損のない一冊。
97:読後感 ◆NQWAR.YQkg
08/04/18 11:29:39 pgn35h7J
「小説 こちら葛飾区亀有公園前派出所」集英社
7人の推理作家によるパスティーシュ短編集なのだが、はっきり
言ってレベルはそう高くない。まず人情噺に
仕立てる人はこち亀の本質を見抜けてないと思う。
ベストは京極の。パスティーシュとしてもミステリーとしても良い。
次点は東野り。まあおもろい。他、今野のもアプローチとしておもろい。
ワーストは最初の大沢。まともに読むのは初めてだが酷かった。
文章はぎこちないし人情噺としても詰らんし短いし。紙と金と時間の無駄。
柴田&逢坂の話は麗子のキャラが駄目。「で~す」とか言わんから。
本当に読んでんのかと疑いたくなった。
辻真先とかに頼めば良かったのになぁ。
98:名無しのオプ
08/04/18 16:23:42 g15GHC5X
>>97
> まず人情噺に仕立てる人はこち亀の本質を見抜けてないと思う。
とりあえずお前は初期のこち亀を読み返せ。
99: ◆XjFtIkbasQ
08/04/20 03:26:36 vBZ+veV9
荒山徹『魔風海峡(上下)』(2004、祥伝社文庫)【8点】
太閤秀吉薨去前夜。徳川との対決を予感する石田三成は、軍資金を得るために
かつて欽明天皇が任那復興のために秘匿した財宝の奪取を真田幸村に依頼する。
十勇士を率いて朝鮮に乗り込む幸村を、高麗忍び7人衆、服部半蔵らが追跡する・・
正統派伝奇小説。ストーリー展開は王道だが、登場人物はヘンテコなやつらばかり。
忍術というよりもはや念能力者のような高麗忍びの妖術は意表をつく大技ばかりだし、
味方もアフリカ出身の“黒百合”こと由利鎌之介や、全身の部位が着脱自在の望月六郎、
霊能力を持つ猿飛佐助など奇想満載で楽しい。ある意味、山風よりぶっとんでいる。
「民明書房刊」風の歴史史料の引用も、どこまでが本当で嘘かよくわからない。
地名や人名の朝鮮読みが、いい具合に胡散臭さをかもし出してる。
「むうっ・・・あれはまさしく古代新羅忍法ノッカラノウム!」
「なにィ、知っているのか、雷電―!」みたいな。
100:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
08/04/29 16:34:57 oFM5qggz
「気分は名探偵」徳間書店
犯人当てアンソロジー。ベストは貫井。古き良きフーダニットって感じ。
推協の例会の余興に出てきそう。ワーストは有栖川。真相ショボいし、
(メル欄)が?。
後は我孫子、麻耶、法月、霧舎の順かな。
101:名無しのオプ
08/05/02 19:00:38 AtNMuyN2
>>100
うろおぼえだけど、貫井のは蝶番のやつだっけ。たしかに「あっ」いう
シンプルかつ意外性のある短篇だった。ほかの順位も同意。
海難事故のが我孫子で、麻耶が大学内の殺人、法月はヒュドラ、
霧舎は新幹線のだな。アリスのは思いだせん・・・
102:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
08/05/03 11:47:26 ynYltOxB
「殺してしまえば判らない」射逆裕二(角川書店)
ノイローゼだった妻を亡くしたボクは仕事を辞め田舎に引っ込んで
暮らし始めた。妻が死んだ家で。彼女の死に疑問を抱きながらも
無気力な生活を続けるボクはやがて奇妙な人物に巡り合い、
過去に向き合うことになる。
詰まらなくて感想書く気にもならん。他スレで紹介した奴視ね。
何だこの雑で唐突なストーリーは。水田美意子の新作でももっと
マシだろう。横溝賞ってレベル低いのね。とにかくひどい。
読む価値ゼロ。
103: ◆XjFtIkbasQ
08/05/03 18:11:52 bxKsGB3D
浅田次郎『中原の虹』(全4巻、2006‐2007、講談社)【8点】
『蒼窮の昴』『珍妃の井戸』に続く、清末・中華民国を舞台にした大河劇。
満洲族発祥の東北地方に現れた“白虎張”こと張作霖。天命の具体である
龍玉を手に入れた張は、北京の清王朝政府・革命勢力と対立。権謀術数の渦の果てに
待ち受ける結末は? 吉川英治文学賞受賞作。
本作は前作・前々作の主要人物の後日談&「張作霖一派の顔見せ」的側面が強く、
本作だけ読んでも十分には楽しめないこと請け合い(最低限の説明はあるが)。
シリーズ読者としてはそこそこ満足したけれど、どいつもこいつも高邁で、「いいひと」に書きすぎ。
きれいごと言わずに「オレは皇帝になるんじゃ!」的奸雄がいてもいい。
4巻読み終わったあと、一番印象に残ったのが袁世凱というのは成功なのか失敗なのか。
物語の面白さとしては『蒼穹の昴』に較べてかなり劣るというのが正直な印象。
もっとも、すでに作者本人が述べているようにさらなる続篇があるらしい。
(これを知らずに読むと、「え、これで終わり?」となる)
おそらく続篇は鄭薫風や張学良がメインとなるのであろうし、
また順治帝の兄宮である粛親王子孫の川島芳子あたりも出てくるんだろうなあ。
清王朝開国の英雄たちと張作霖をダブらせ、王朝の開闢と滅亡をやりたかったのはわかるが、
老王ダイシャン視点のパートは正直いらない。
104:名無しのオプ
08/05/03 18:57:01 5AAbiM/A
>>102
じゃあ書くなよ
紹介した奴死ねとか目障りなだけだから
105:名無しのオプ
08/05/04 01:17:45 rqDK6zby
96に煽られて「山口雅也の本格ミステリ・アンソロジー」買って読みました。
確かに買って損のないアンソロジーだね。
で、96推薦の「ファレサイ島の奇跡」(乾敦)、なかなかのもんだとは思うけど、
山口の「これはとても敵わぬと思い・・・」うんぬんはきっと単なる友達褒めだろう。
とはいえ、江戸川乱歩の例の《蔵》を材に取ったトポロジカルな作品というのがすごーく
気になる。俺、『幻影の蔵』買ってるもので。
106: ◆XjFtIkbasQ
08/05/05 03:44:55 NGmhkkoT
伊坂幸太郎『陽気なギャングが地球を回す』(祥伝社ノンノベルス、2003)【8点】
人間嘘発見器成瀬・演説名人響野・天才スリ久遠・人間電波時計雪子の4人組。
銀行強盗の計画遂行中、別の犯罪グループに現金を強奪され、さらに殺人事件に遭遇。
騙し騙された4人組は果たして見事相手を出し抜くことが出来るのか?
いまさらだけど、素直に上手いし面白い。事件及び伏線そのものは分かりやすいが、
節ごとに視点人物をスイッチして、テンポよくストーリーを展開させる技量はさすが。
メインキャラ4人の描写はまだまだ本領発揮とはいえないが、イイカゲンで饒舌すぎる
響野(とその夫人)がとくにいい。
107: ◆XjFtIkbasQ
08/05/06 05:18:27 ONmg2mU0
伊坂幸太郎『陽気なギャングの日常と襲撃』(祥伝社ノンノベルス、2006)【8.5点】
4人組ギャング団の続篇。それぞれを主人公とする4つの短篇から構成される第一章は、
日常の謎的ミステリーとして読める。第二章以降は、誘拐事件に巻き込まれた4人組が
事件をかき回していくが、個人的には第一作以上におもしろい。
本作はとくにコメディ色が強くなっており、メンバーの会話もとぼけた味わいが横溢。
周到な伏線が後々一本に結びついていくという趣向は前作と同じだが、上手さと同時に
若干のくどさを感じないでもない。が、それを差し引いてもテンポよく一気に読ませる
良作。もうちょっと響野の饒舌を愉しみたかった気も・・・
108: ◆XjFtIkbasQ
08/05/07 04:05:29 zUqZc5WD
高橋克彦『鬼』(1996→2002、講談社文庫)【7点】
弓削是雄・賀茂忠行・阿倍清明らを主人公とした短篇集。
いずれも「鬼」との対決がメインだが、「人は鬼よりもおそろしい」と
言及されるように、むしろ権力者たちの陰謀の曝露もプロットに深く関わってくる。
陰陽師らが、そうした謎解きをする場面は本格ミステリ風展開でもあり、
とくに陸奥を舞台とした「絞鬼」あたりが印象深い。
109: ◆XjFtIkbasQ
08/05/07 04:16:38 zUqZc5WD
高橋克彦『空中鬼』(2000、祥伝社文庫)【5.5点】
仁和三年(887)、帝崩御直後の京を襲う連続怪死事件。
陰陽師弓削是雄は肉体が内から破裂したとしか思えぬ死体の検分に赴くが、
その死体は昨日是雄の夢に現われた5つの生首のひとりだった・・・
『白妖鬼』『長足鬼』に続くと思われる第三弾。
冒頭の妖夢や、5人の殺害が予感される前半部分は、なかなか引き込まれる。
とくに某お役所の人間が浮上する辺りはもっと深い真相があるのではと期待したが、
後半はつじつまあわせと既存キャラの顔見せにページが割かれてしまい、
肝腎の事件の詳細がいい加減になってしまうのが残念。
400円文庫でページ数も限られているせいか、明らかに駆け足なラストはなあ・・
これに限らずカツヒコの悪癖ではあるが・・・
110:名無しのオプ
08/05/08 23:05:39 RYZwdG71
「バッド・チューニング」飯野文彦
を読んだ。
粗筋から想像した通りの作品だった。
Bワン探偵ってなんのことだ?って思っていたけど、
こういう意味だったとは!
終盤のバトル?みたいなのが他の追随を許さない凄さでした。
一気読みしたし、それなりに面白かったけど、知人には勧めたくないなー。
自分の人格が疑われそうです。
エロ・グロが気にならない人にはお勧めです。
111:書斎魔神 ◆AhysOwpt/w
08/05/10 16:33:26 S2aiBuHJ
恩田陸「夜のピクニック」を読んだ。
人気の夜ピク、JK大好き・萌えなアホが多い2ちゃんねらーには既読の奴も多いのでは(w
私の場合は、どうせ他愛もないミステリ含みの青春小説だろうとスルーしていたのだが、
「これは違った」。読む価値はある。
著者(早大・教育卒)の母校である名門水戸第一高校の伝統行事である歩行祭を元ネタに
した作。映画化もされたが、原作の人気にもかかわらず予想に反して大コケ。
ストーリーは高校生が夜を徹してハイクするだけ、大きな事件は無く、会話と内面描写を主に物語進行という映像には不向きな内容を見れば、当然の結果だったとも言い得る。
メーンキャラである貴子役の多部未華子は、まったりした面もあるキャラの原作よりもシャープな
美形過ぐる感じ、(むしろ共演者のひとりである貫地谷しほりの方がマッチする)、
親友の美和子役の西原亜希(注 無敵のコーセイを寝技で倒した東原ではない(w )も
美形とはいえ、原作ではもっと知的な感じのキャラである。
原作ファンの動員を当てこんだのであれば、この辺のキャスティングミスも痛かったかもしれぬ。
また、ラストは原作どおり杏奈の弟順弥メーンでやって欲しかった、
「画」としては弱いかもしれぬが・・・
ミステリとして読んだ場合、主人公の貴子と融の関係性、融の親友忍の抱く秘密等々、
伏線を張ったうえ、終盤で「謎解き」した方が効果的だったように思われるのが惜しまれるが、
姿無き(?)杏奈が物語最大のキーマンであるという構成は、さすがにミステリ作家という
感を受けた。
しかし、はしゃいでいるキャラでもどこか最低限の礼節は失わない落ち着いた雰囲気、
これは伝統ある進学校の雰囲気なんだよな。
アニメと女の話題で盛り上がることしか知らない騒がしいDQN高校出身者多数のねらーは
この「世界」をいかに見るか(w
112:名無しのオプ
08/05/10 17:08:20 slnYC0ti
『冷たい校舎の時は止まる』
タイトル買いして積んでたのをようやく読んだが、中の中って感じかな。
期待してた青春成分が足りなかった。
福井ローレライのエピローグが「有り」な俺だが、このエピローグは冗長と思った。
花火とか入れたかっただけだろみたいな。
113:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
08/05/11 00:27:25 +rt8l/Ny
「狐火の家」貴志祐介(角川書店)
「硝子のハンマー」の続編的短編集。毎回密室がテーマとなるのだが、
うーん……。とても丁寧だしアイデアも中々面白いとは思うんだけど……
なんつーかこう、ドキがムネムネしないんですな。のりりん風に言えば
「論理の煌めき」が無いと言うか……外見は綺麗でも魂が感じられない。
これは前作から思っていたことで表題作にも言えるけど、構成が甘い。
論理がおろそかになっちゃうからちょっとガッカリするんだよね。
あと主役二人の関係に変化が乏しいのも物語として弱いと思う。
ベストは「黒い牙」。アイデアがユニークなのと印象的なラストが良い。
次点は「犬のみぞ知る」。バカミスぽいがスパッとした解決は○。
114:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
08/05/11 00:41:51 +rt8l/Ny
「三毛猫ホームズのびっくり箱」赤川次郎(角川書店)
短編集。久々某スレからのセレクト。
総じて今一つかな。表題作は人工的な舞台装置が作中で浮いてる印象。
一番は「三毛猫ホームズのパニック」。特殊な状況の上で展開する
ロジックが良かった。
115:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
08/05/11 01:04:11 +rt8l/Ny
「ウルチモ・トルッコ犯人はあなただ!」深水黎一郎(講談社)
新聞連載を続けている作家の私の元に届いた見知らぬ男からの手紙。
そこには自分のアイディアを買ってくれと書かれていた。何でも
〈読者が犯人〉という前代未聞のトリックらしい。どこか興味を
惹かれた私の元に、やがて第2の手紙が……。
傑作なのに各種ランキングで軒並み無視されたとかいうレスを見て
読んでみたのだが……まあ、それも妥当じゃない?
そんな傑作じゃないし。
〈読者=犯人〉は魅力のあるテーマに思えるかも知れないが
行き止まり。絶対面白くなりっこない。本作然り。作中で
言及されてる作品も然り。そもそも作中で挙げてる当該トリックの
弱点すらカバー出来てないし。なんじゃらほいですよ。
あと(メル欄)なのにそうでないのがおかしい。
116:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
08/05/11 01:07:56 +rt8l/Ny
追伸 テレパシーのトリックは感心した。あれは見事。
117: ◆XjFtIkbasQ
08/05/11 03:25:00 5uYFxywj
貴志祐介『新世界より』(上下、講談社、2008)【9点】
近未来らしき世界を舞台にした、SF(なのかな?)。
ある人物が手記の形で、さらに未来の世界へ遺した物語。
誰かが「予備知識なしで読んだほうがいい」と言っていたが、これはすごくおもしろかった。
世界観に矛盾があるとか、ある主要人物2人の結末があっさりとしか語られないとか、
多少気になるところはあったけど、今年のエンターテインメントとしては屈指なんでは。
……と思って貴志スレ読んだら、毀誉褒貶がけっこう激しいですね。
自分は海外SFとかあまり読まないので、瑕とされるあの「真相」は、
個人的には「おおっ」と思ったんだけど。
上下巻、ぐいぐい読まされたので、立ち止まって考えることもしなかったし。
118:名無しのオプ
08/05/11 03:41:05 hJkobMq3
貴志って言えば、最近ホラーが読みたかったので今更『黒い家』(ブクオフ¥100)を読んだが
内容的には完全にサスペンスでズッコケタ。
あれがデビュー作なのかな?
読み手を引き込んで引っ張る力は有るけど、イマイチついていった先に面白い展開が無いんだよなぁ。
重要なキャラクターが死んだりしてるのに、それに対するフォローが異常に少ないのも引っかかる。
『青の炎』でも感じたけど、スキルはそれなりに有るけど妙に感情が籠って無い感じなんで
暇つぶしにはなるけど、ドハマリは出来ない「職業作家さん」ってイメージだな。
119:名無しのオプ
08/05/11 05:56:41 5uYFxywj
事実上のデビュー作は「十三番目のペルソナ」なんじゃない?
120:名無しのオプ
08/05/12 17:46:28 ECpBAeAu
指導なんかやめちまえ!!!!!!!!!!!!!!!!
121:名無しのオプ
08/05/13 21:28:52 Hv3HLLt1
Kawamura Yoshio
122:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
08/05/14 12:18:52 WEXdrdwJ
「致死海流」森村誠一(青樹社)
銚子沖で見つかった女性の水死体とその数日後、八丈島で
見つかった女性の絞殺死体。二人の死者には奇妙な繋がりがあった。
警察はそこから真相を探り出そうとするが、事件は更なる展開を見せ、
密室の謎と鉄壁のアリバイが捜査陣の前に立ちはだかる……。
某スレからのセレクト。中々面白かった。
密室トリックは勿論先例があるが、解明の手がかりはまあ良かった。
アリバイに基づく謎も、あっちが立てばこっちが立たずの試行錯誤が
たっぷりでフーダニットは弱いが読み応えはある。
ただ疑問点が2つ。
(メル欄)の検証が無いことと、(メル欄2)こと。
123:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
08/05/15 22:56:23 /aCOPSIk
「聖遺の天使」三雲岳斗(双葉社)
奇跡の香炉があるというミラノ郊外の城砦に滞在していた少女
チェチリアは、嵐の夜に天使を目撃した。更にその直後、彼女は
死体となって城壁に磔られている城の主人をも発見する。
事件に巻き込まれたチェチリアは親密な関係であるミラノの宰相
ルドヴィコに書簡を送り助けを求めた。自らが師と仰ぐ
芸術家の助けを―。
Gackt出陣! Fカップの小悪魔が出てこないぞゴルァ!
閑話休題。中々良くできた時代ミステリー。島荘チックで大掛かりな
トリックが面白くかつまた作品世界にマッチしている。
真相も感慨深くて良い。
ただ主要キャラの性格が被ってる部分もありもう少しメリハリが
欲しかったところ。
あと、20ページと180ページの記述が矛盾してる(事件とは無関係)。
さあやっと「二つの鍵」が読めるぞ。
124: ◆XjFtIkbasQ
08/05/18 01:08:32 wr4ot5Zt
奥田英朗『空中ブランコ』(2004→2008、文春文庫)【8点】
迷医伊良部&悩める患者たちのケッタイな連作短篇集。
あいかわらず、おもしろい。
個人的には、先端恐怖症のヤクザを主人公とした「ハリネズミ」がよかった。
ちょっと伊良部の奇行が物足りなかったが。
125: ◆XjFtIkbasQ
08/05/18 01:16:49 wr4ot5Zt
我孫子武丸『弥勒の掌』(2005→2008、文春文庫)【7.5点】
妻を何者かに殺害された刑事蛯原。捜査を進めるうちに、行方不明の妻を捜す
高校教師と知り合う。彼らの妻が巻き込まれた事件は、新興宗教教団と関係が?
帯で露骨にアレ系ミステリーを謳っていたので期待して読んだ。
うーん、テンポもいいし、真相には驚いたものの、破壊力はいまひとつ。
佳作という感じ。
126: ◆XjFtIkbasQ
08/05/23 00:04:46 pq4yhynN
米澤穂信『春期限定いちごタルト事件』(創元文庫、2004)【5.5点】
互恵関係にある小鳩くんと小山内さんの高校生活1年目。小市民であろうとする
2人が、ついつい巻き込まれてしまう日常の小事件の真相は?
初米澤。ちょっと予想と違う作風だった。こういう文体は苦手だなあ。
平凡な高校1年生が出会う事件(というほどでもないのもある)ということで、
その分、文体が勝負。この文章が合わない人はダメなんだろうな。
それでもロジックがしっかりしてればいいんだけど、推測に推測を重ねすぎる
小鳩君の推理はいただけない。小山内さん「……なの」という口調も個人的にヤダ。
(それにしてもこの2人、妙に淫猥な雰囲気なのは、なぜなんだ)
こういう作風だと心構えはできたので、「夏季限定」は怖いものみたさで読んでみよう。
127:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
08/05/24 15:07:58 ObkYitAK
「山魔の如き嗤うもの」三津田信三(原書房)
決して入っては行けない山で暮らしていた一家がある朝突然消失した!
目撃者はノイローゼになり、囈を呟き続ける……彼はこの他にも
山で様々な怪異に遭遇したらしい。編集者から
話を聞いた刀城言耶は人助けの気持ちと持ち前の好奇心から
現地に赴くが、その直後から凄惨な連続殺人が発生する!
シリーズ4作目にしてこのクオリティはどうよ! 良く保てるのう。
高止まりだから返って賞を獲りにくいんじゃないか。
早めに明かされるある真相は正直見当付いたけど、そこからの
2転3転はあざといけど読み応えビンビン。
具体的には細かい怪奇現象に次々と示される解明や、第1の殺人に纏わる
あるホワイダニットが特に巧いと思った。
ただ、メル欄とメル欄2が放置プレイなのがカナシス。
一応解いた上で底を抜くなら良いんだけどね。厭魅みたく。
128:書斎魔神 ◆AhysOwpt/w
08/05/25 00:10:09 63gn4PUy
恩田陸「六番目の小夜子」を読んだ。
テレビドラマ化もされヒットしたが、浮ついた青春小説な気がして、
これも夜ピク同様にスルーしていた作。
当初(加筆前)はファンタジーノベル・シリーズの1冊として刊行されており、
板違い的要素もあるものの、舞台となる地方の進学校のサヨコ伝説に関する一応の
謎解き(津村沙世子への手紙の差出人の正体、沙世子と猛犬の関係性等々、多くの謎は
残されるが)はあり、ミステリ板で論考しても大きく外しているという感はない。
読後感(注 俺と双璧を成すこのスレでおなじみのコテのことではない(w )としては、
落ち着いた筆遣いで高校生活(=日常)が活写された中に、怪談という非日常が絡んで来る
展開が巧く語られており、「まあまあ」といったところか。
思うに、サヨコ伝説は大学受験に対するプレッシャーが生み出した思春期の集団妄想に
近いものではなかったのであろうか。
高校生の喫煙、飲酒が堂々と描かれたり、今なら問題視されそうなシーンもあるが、
時代性と地方の名門進学校という設定ゆえか、セックスねた(ねらー十八番の自家発電も含む)
は皆無。主要登場人物が全てDK、JKという点からは、逆にこの点が少し不自然な感はある。
129:書斎魔神 ◆AhysOwpt/w
08/05/25 00:10:57 63gn4PUy
楳図かずお「洗礼」を読破した。
ホラーかと思いきや、この作者には珍しいミステリであった。
このネタは活字メディアであれば叙述トリックでゆくところであろうが、
(また、その手しかないかと思う)『漫画』という特性を活かしたうえで伏線を張り、
再読も可能な巧みな仕上がりで楽しめるものとなっている。
ジャンル的にはSFに該当する異次元空間もの「漂流教室」やロボットもの「わたしは慎吾」
のような舞台と物語のスケールの大きさは欠くものの、漫画らしいオーバーアクション気味の
ユーモアをまぶしたうえで、日常性に潜むスリルとサスペンスを描き切って申し分ないものがあり、後半の新キャラ登場あたりからラストまでのなだれ込むような
スピード感はこの作者ならではの優れたストーリーテリングを実感させる。
また、30年以上前の作でありながら、そのテーマ性(謎解きでもある)は病んだ現代社会にも
十分に通用するものなのも、作者の着眼点の鋭さを実証していると言い得る。
最後の先生の映像メディアでいうところのカメラ目線には、「おまいは喪黒福造か!」と
突っ込みを入れたくなるものの(w、まあ、典型的な少女漫画誌にこのような作が掲載されていた
ことには驚きを禁じ得ない。
130:名無しのオプ
08/05/25 08:19:31 WlblcQj0
>>129
やはり、あれを踏みにじる超有名シーンに言及してもらわんと。
131:名無しのオプ
08/05/25 08:23:23 rSPMBu22
>>130
それが出来ないのは読んでいないから。
いいから変質者と目を合わせるな。
132: ◆XjFtIkbasQ
08/05/25 13:08:48 q2jWfgql
米澤穂信『夏期限定トロピカルパフェ事件』(創元文庫、2006)【7点】
小市民を目指す小鳩くん&小山内さんの互恵的関係物語、高校2年生夏。
ひょんなことで小山内さんのスイーツ夏行脚に同行する破目になった小鳩君。
展開は前作よりも連作風味が強くなっており、後半ではやや「大事件」に遭遇する。
心構えができていたせいか、前作よりは文章を愉しむ余裕があった。
「ある事件」というよりも「ある事象」をめぐっての他愛のない推理ごっこは
これはこれでおもしろい。……と思っていたら、後半部分ではちょっと姿勢を正した。
前作よりも本格ミステリとしての上手さは格段にアップしている。
秋季限定がどのように展開していくのか、たのしみ。
133: ◆XjFtIkbasQ
08/05/25 13:21:26 q2jWfgql
桜庭一樹『少女には向かない職業』(東京創元社、2006)【7点】
下関にほど近い島で、母・義父と暮らす大西葵13歳。中学2年の夏休み、
彼女は「悪意」と「バトルアックス」によって人を2人殺してしまう、
「殺人者」となった。
……という冒頭の独白で物語に引き込まれた。思春期の少女の日常を描きながら、
徐々に暗い部分にも踏み込んでいくわけだけど、重松清『疾走』ほどには重くなく、
かといってラノベほど淡々とはしていない。2時間で一気読み。
ミステリとしては、最初からメインとしては扱われないと思っていたほうがいい。
東京からの旅行者の死体の扱い如何によってもう少しひねることが出来たようにも思うが、
それは著者の意図からは外れるのだろう。
ところで中2の女子生徒の恋愛ルールがよく分からない。すでに彼女がいる男子生徒と
一緒に食事するのが、イジメの対象になるほどの「仁義破り」なのか。難しいね。
134:名無しのオプ
08/05/26 12:45:38 h4kURONA
米澤の小市民シリーズはどっちかというとラノベよりだからな。
ミステリよりなら、古典部シリーズや「インシテミル」を薦める。
135:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
08/05/26 16:40:38 7aDr3onX
「ありふれた死因」芦川澄子(東京創元社)
鮎哲のファム・ファタルの全仕事。
如何にも女らしい心理サスペンス的な作風で、それが当時の世相として
本格要素と結びついている印象。ただ犯人当て等もあるがこれらは
ややぎごちない。しかしその本格味が作品群を地味な心理サスペンスに
堕すことから救っているとも言える。
地味な筋立てながら乱歩も欺いた「愛と死を見つめて」や、
不気味な読後感を残す「村一番の女房」、ニマニマミステリー
「目は口ほどに」、奇妙な味の異国譚「道づれ」など。
136: ◆XjFtIkbasQ
08/05/30 01:59:25 3419ciUO
逢坂剛『遠ざかる祖国』(2001→2005、講談社文庫)【6.5点】
日系ペルー人・北都昭平を主人公とする第二次世界大戦モノ。
今回は真珠湾の日米開戦まで。“イベリア・シリーズ”第二弾。
前作のことはあんまり覚えていないけど、本作であるていどフォローして
あるので安心。ただ前作でも思ったが、史実に大きく制限されているため、
どうしても歴史を時系列的に追う展開で平板になっているのがマイナス。
逢坂お得意のヒネリも封じられており、キャラの立ち具合もイマイチ。
全6部作の2作目ということで本領発揮はこれ以降かもしれないが、
単独で評価した場合は辛くならざるを得ない。続きは気になるけど・・・
137: ◆XjFtIkbasQ
08/05/30 02:05:45 3419ciUO
>>134 そうなのか、むしろ角川文庫で出てるシリーズがラノベ傾向かと早合点。
今度読んでみます。
138:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
08/06/09 16:57:35 7iuWyuBU
「旧宮殿にて」三雲岳斗(光文社)
レオ様を探偵に据えた連作短編集。
長編も良かったが短編はさらに良い感じ。きちんと話が作り込まれていて
海外ミステリを読むかのよう。惜しむらくは前作同様キャラの立ち具合い
というか描き分けが今一つ。
ベストって言うほど差はない。全部読んでちょうだい。
139:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
08/06/12 16:50:01 SOXcQlpq
「誰のための綾織」飛鳥部勝則(原書房)
学校からの帰路何者かに誘拐され無人島に連れて来られた
教師と女子高生達。犯人はかつてのクラスメートの家族だった。
もう死んでしまったクラスメートの……。やがてこの異常な状況の中で
殺人が起こる。それも現場は密室状態だった。縁側には濡れた足跡が。
それは彼女達が作り出した怪物・蛭女の祟りなのか?
期待して読んだが、一言で言うとアンフェア。密室トリックに関しては、
その手掛りが示されるタイミングが遅いし、しかも記述ミスがあり
致命的。その他のものに関しても、個々の伏線に感心するものもあるが、
全体を見ると無理が目立つ。特に“前後”。ちなみにこれは新しくはなく、
少なくとも直の前例を2つ、発展型とも言える前例を1つ知っている。
後ちょこちょこ出てくる読書のススメは好印象。1つ読もうと思った。
これが回収に至ったのは巷で言われていることよりも、地震に関する
各方面への批判に因るのでは………というのは考え過ぎか。
140:書斎魔神 ◆AhysOwpt/w
08/06/14 23:08:34 QEzsIFIz
橋本忍「複眼の映像 私と黒澤明」を読んだ。
橋本先生(おそらく日本映画史上最大のシナリオライター、鉄道教習所出身と有名大学出
でないというのは驚きだ)は、映画「張込み」や「砂の器」ライターでもあり、満更、ミステリに
縁が無いわけでもないゆえ、あえてこの板で本書を紹介しておくから、各人、心して読め!
「羅生門」「生きる」「七人の侍」と黒澤作品中でも屈指の代表作のシナリオ製作に参画した
著者がその製作過程をつぶさに綴った作で非常に興味深いものがある。
タイトルの由来はシナリオの共同執筆、つまり複眼による映像作りというわけである。
従って、副題のどおり、著者が黒澤組在籍当時のシナリオ製作過程を中心に書かれており、
その他の作に関するものへの言及はほとんどなされていないのは残念、
単独執筆のものは特筆すべき点はないということかもしれぬが、
本書中でも書く仕事はこれが最後と断言されていることもあって、
ここはシナリオ界の御大にシナリオの技の様を書き残して欲しかったところである。
汚点(?)と評す向きもある監督作品「幻の湖」の詳細を知りたい向きもあるのでは(w
文章表現として「あれ?」という部分も散見されるが、橋本先生の本業はシナリオライターであり、
これをいちいちいち挙げつらうのは、それこそ礼を失するというものであろう。
141:書斎魔神 ◆AhysOwpt/w
08/06/14 23:09:08 QEzsIFIz
そのまんま東「芸人学生 僕が学びつづける理由」を読んだ。
言わずと知れた現宮崎県知事による書である。
40代後半からの大学受験・入学というものをある種の人生における「冒険」と把握し、
この板でも紹介しておく。
著者は明言していないが、大学受験時代に2流大学(専修大)入学にとどまった著者の
華麗なるリベンジ(早稲田大学二文入学、更にはAO入試とはいえ学内で政経学部への
超ステップアップ入学)とも理解出来る。
ただし、「学問」好きなはずの著者、
政経学部入学後の人生のチョイスに地方自治体首長選挙への立候補→当選→中退というのが
挙げられているのが、腑に落ちないものがある。
142:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
08/06/19 18:36:03 KwBk8ofe
「死の命題」門前典之(新風舎)
とある大学教授が立てた大邸宅の落成記念に招待された6人の客。
3日目の朝、吹雪で道が閉ざされた中、屋外で無惨に撲殺された
死体が発見される。周囲には被害者の足跡しか残っていなかった。
同時に行方不明者が出て事態は混迷を深めていくが―。
クローズドサークル、というか本格全般においてあまり歓迎されない
手法をとことんまで極めた感じ。一度きりの怪作として評価出来る。
バカミスとして読むのが正しかろう。福ミスなら獲れたかもねむ。
143:名無しのオプ
08/06/22 04:02:06 nWewz0/P
貴志祐介
クリムゾンの迷宮
テーマとしては面白い小説としては可もなく不可もなく。
他の人にお勧めしたいという作品ではありません。
144: ◆XjFtIkbasQ
08/06/23 08:51:22 V550xnSk
小野不由美『屍鬼』(新潮社、1998)【8点】
卒塔婆や棺桶の生産を生業とする、山村の外場村。宗教行事「虫送り」が行われた
夏のある日、村人たちは不審な引越しトラックを目撃する。山奥での不審な死を
きっかけに、次々と発生する謎の病。“起き上がり”伝説の残る土葬の村で一体何が?
10年来の積読本をようやく読了。一応、小説家やってる寺の若和尚と、
村医者の尾崎が主要人物なんだけれども、多数の村人に次々と視点をスイッチさせて
村人たちを「創り上げていく」手腕はお見事。
その分、展開はゆっくりで、某文学賞で選考委員が「繰り返しに芸がない」と
言っていた理由もやや納得。終盤の「狩るもの」と「狩られるもの」との狂騒は('A`)
おもしろかったけど綺麗ごとだけではない重いテーマ。
145: ◆XjFtIkbasQ
08/06/23 11:36:32 K87BUfne
加藤元治『Q.E.D 照明終了(30)』(講談社コミックス、2008)【6点】
「人形殺人」「犬の茶碗」の2篇収録。
フーダニットの前者はそこそこの佳作だが、
読物としてはあいかわらずのあっさり風味。とりあえず30巻まで続いたのはすごい。
146:書斎魔神 ◆AhysOwpt/w
08/06/28 14:30:08 WQYCw0H6
新田次郎「怒る富士」を読んだ。
それなりのボリュームを持った力作ではあるが、新田作品中でもあまり注目されることがない作で
ある。この板で書評する以上は、宝永の富士山噴火を巡る冒険小説的要素も持ち、
現代にも通じるデザスター小説としても読める。
噴火そのものの描写は前半の一部のみ、後は噴火により生じた災害(砂礫による田畑の荒廃)、
二次災害(酒匂川の氾濫)等への取り組みを通じ、
下は被害に遭った農民たちから上は幕府の重臣たちの姿がビビッドに描かれてゆく。
緊急時にこそ、人間の実態が現れるということであろう。
被害を知りながら政争に明け暮れる重臣たちの様は「醜い」としか言い様がなく、
作者の意図でもあろうが、程度の差はあれど、政事に携わる者のこの性癖は現代でも残存
しているやに思う。
ただし、この題材、吉村昭氏に淡々とした乾いたタッチで書いて欲しかった気もする。
被災民救済にあたる主人公の関東郡代伊奈半左衛門があまりにヒロイックに描かれ過ぎ、
フィクショナルなキャラである、おことと文吉、つると佐太郎等の恋愛模様に筆を割き過ぎて
いるのも頂けない。70年代の新聞小説という制約から、大衆受けを狙わざるを得なかったの
であろうか。
そもそも、半左衛門や能勢権兵衛(避難民に米を供出した駿河代官)が切腹したという
記録は無く、駿東郡農民が江戸へ被害対策直訴をしたという事実も無い(解説より)となると、
あまりに「創り過ぎ」という感は否めない。
新田氏の作で言えば、ここは傑作「八甲田山死の彷徨」の如くストイック、かつ、クールなタッチ
で極力事実に即す形で「決めて」欲しかったのだが。
また、フィクショナルなキャラに思い入れが強過ぎる感がある国文学者によるあとがきも非常に
萎え、うざいものがある。
147:名無しのオプ
08/06/28 14:34:12 KgWaBPqr
中学生並みの読書力しかない八流ニートの林、いいかげん
さんざん読んだ読んだと自慢していたフリーマンの倒叙型
推理小説と、コロンボの元になったクィーン作品は読んだのか?
まともな人間はみんなお前を小学六年生並みだと認識してるぞw
148:名無しのオプ
08/06/28 14:42:42 Zg6UdyPO
あらすじと解説の引用・・・
小学生の読書感想文じゃねえか
149:名無しのオプ
08/06/28 16:21:55 68PrfAwt
感想があらすより短いってどうよ。
150:名無しのオプ
08/06/28 16:35:07 idUax4wy
「青の炎」貴志祐介
Amazonで異常に評価の高い小説だが、
文章が幼稚すぎる・・・
引用もウザイ・・・
わざと高校生が書いたような文章にしたってことはないだろうから、
こういう作風なのか。
こんな作家が受けてるのかよ。
後半かなり盛り上がったが、
絶賛するほどじゃないな。
しかし、Amazonであんなに評価が高いのは一体なぜ?
151:名無しのオプ
08/06/29 13:11:06 NTnVSTqk
「しあわせの書」泡坂妻夫 読了
本に仕掛けがあると、どっかのスレで見て、知ってはいたが・・・・・
凄いね!いや凄い。脱帽するわ
これ以上、何を書いてもネタばれになっちゃいそうなんで、控えるけどさ
152:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
08/07/02 18:17:36 KNxc6Wno
「鼻」曽根圭介(角川書店)
ホラー中編集。どれも水準以上。「暴落」は設定が面白く、
その中であがく主人公のストーリーにものめり込めたが、
オチの付け方にやや不満かも。良いんだけどね。
「受難」はこの中では一番下。大きな謎の存在を匂わせながらも
満足な解答が無いのでキャラクターの不自然さが残ってしまう。
表題作がやはりベストか。カットバックが効いてる。
300弱で読み易いからお薦め。
153:書斎魔神 ◆AhysOwpt/w
08/07/05 15:32:50 ArZazkVj
新田次郎「富士に死す」を読んだ。
山岳小説のマエストロ新田氏の手になる「富士山もの」のひとつ。
これもまた地味な存在の作だが、テーマのまとまり具合は前記した「怒る富士」より上である。
富士講の歴史・実態に興味がある向きには必読の歴史小説であり、
小品ながら、富士講途中での遭難シーン、入定(仏教の即身仏に該当か)シーン等、
冒険小説的要素にも事欠かないものがある。
(まあ、そもそも人間の「人生」そのものを「冒険」と理解すればスレ違いなど有り得ないわけ
ではあるが)
富士山信仰興隆の祖とでも称すべき伊兵衛こと食行身禄改め乞食身禄、
師である孤高の修行者月行の跡を継ぎ真の富士講の実践へと挑んでゆく・・・
終盤、簡単に触れられている身禄の跡を継ぎ布教に努めた実娘たちの行状、
特に才色兼備の四女お花ちゃんの顛末など詳しく読みたかったものである。
この点で、身禄の死以降は駆け足でその後の富士講の歴史を語るのみに終わっているのは
残念であり、もっと長大な大河小説であっても良い素材と言い得る。
不満点を挙げておくと、この作者のサービス精神というか「創り過ぎ」の感がある描写が目立つ
こと、特に月行を超人的に設定し過ぎた感が強く、
江戸で伊兵衛を危難から救い偶然にも再会を果たすなどといった三文小説的展開は不要
であろう。
154:名無しのオプ
08/07/05 23:41:48 c9ENZ+Pz
「水の迷宮」石持浅海 光文社
水族館の魚が狙われても、器物破損なんだろうな・・・。
どうも、登場人物の女性達が物分り良すぎる感じがする。
まあ、久しぶりに水族館には行きたくなったけどね。
155:名無しのオプ
08/07/06 00:29:50 PZsrGxvf
>>154
坂木司並みにゆるい倫理観だったなぁ
156:名無しのオプ
08/07/07 08:40:28 5SGwKabX
名無しの乾燥文(wに比べると、コテハンの質の高さが際立つ。
乱読して粗製濫造の乾燥(wをダラダラ並べる読後感は論外だが。
157:名無しのオプ
08/07/07 12:30:30 ovyKGYD5
自分の言葉で書いてある人の方に惹かれるけどね。
158:名無しのオプ
08/07/07 14:57:37 bbP1P89u
>>157
それが書斎なんだよね。
159:名無しのオプ
08/07/07 18:47:13 drS+Gw3N
パクリだけやに思うが(w
160:名無しのオプ
08/07/07 19:30:38 AX/YaM8X
>>156
読後感が論外なら、
書斎魔神は番外でキチガイだね。
出没する全ての板で出鱈目なことを書いては恥をかき、
全ての板で荒らし認定されているのに、
パクリやコピペ、自演などの行いを改めない卑怯者だから。
証拠はそこら中に転がっている。
早く板外に去ってほしい。これは住民全ての総意。
161:名無しのオプ
08/07/07 19:30:49 OiptkPzQ
板違い(カテゴリの意味が理解できていない)
意味なく長い(無駄な長文)
つまらない(空疎な内容)
事実誤認が多い(確認をしない)
基礎的な知識がない(何を知らないのかすら分っていない)
自分の言葉で書いてこれなら、ちょっと可哀想な人だね。
162:名無しのオプ
08/07/07 20:01:09 ZrRdbGQj
書斎という名前を考慮しなくてもつまらん感想だと思うよ。
163:書斎魔神 ◆AhysOwpt/w
08/07/13 17:43:50 H4jshV/z
澤宮優「二十四の瞳からのメッセージ」を読んだ。
木下恵介監督、デコちゃんが主演した名画の撮影話(つまり「謎解き」とも言い得る)を
満載した作。まず、オール・ロケーションかと思っていたこの映画の屋内シーンはほとんど
撮影所セットだったという事実に驚かされた。
あまりにリアルなため、各賞を総なめにしながら美術賞には無縁(審査員もロケだと確信していた)だったが、これこそ美術担当冥利に尽きるというエピが面白い。
子役たち(最終的にプロのタレントになった者は皆無)のその後の人生を追うくだり(これが本書の
メーンを成す部分でもある)は、ドラマの素材足り得るほど読み応えがあるものとなっている。
ただし、著者の姿勢にマイナスポイントが存するのが残念、
「今また世の中が刻々と戦争への道を歩もうとしている。・・・」と最終章を断定口調で
締め括る書き方は頂けないものがある。
結局、「二十四の瞳」という映画を素材に「これ」を書きたかったのかもしれぬが、
直接のテーマでは無いと言いながら、「現代の社会情勢を見て、なぜそのように考えるのか」
という具体的な論証が皆無なため、非常に唐突な感を受ける。
また、著者の年代でシナリオ講座通学後に授業で薦められ初めて「二十四の瞳」を見ることに
なったという経緯に痛いものを感じる。
仮にもライターを志す者がこの名作を未見であったとは・・・
164:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
08/07/17 18:47:03 LFi+9YKX
「匣の中の失楽」竹本健治(講談社)
探偵小説愛好者の学生グループのメンバーが友人のアパートで死亡した。
発見者によると当時現場は奇妙な密室状態になっており、何者かの
ブーツが並んでいたという。グループの仲間達は真相を突き止めるべく
それぞれが独自に推理を披露することを決めるが、意外な事実が
明らかになる。何と死者はメンバーの一人が執筆していた
ミステリー小説上の死者と一致していたのである。更に2番目の
死者が現れ、状況は昏迷の度を深めていく―。
3大奇書も未だに読めてないのでびくつきながら読んだ。
重層的な造りにはやや圧倒されるが、骨組みは紛れもない
本格のものだと思う。密室あり、アリバイ崩しあり、人間消失―
そして出現―あり、それらの多重推理ありで見所十分。
推理の際に十戒を取り決めるのも面白い。本来無意味、どころか
有害な行為ですらあるのだが……。
作中使用されたトリックでは後半の密室が良かった。最初の密室は
頂けないが。あと多重推理は実質無意味に近いものもあり、それらが
前述の造りと相まってただならぬ雰囲気を醸し出しているのだろうが、
しかし気になるものは気になるのであり―。
それと主にメル欄の謎が放置気味なのが気に入らない。ホランドを
呼び出した手紙(これは違うが)とか、真沼の予知能力とか、杏子の
変心とか。第一最初の事件の解決も不明瞭だし。以前読んだ
「赫い月照」はその辺きちんと処理してたと思う。
ただ若干21歳で本作を書き上げたのは素直に凄いと思うし、
マイルストーンなのも認める。
165: ◆XjFtIkbasQ
08/07/17 23:02:58 pNuTBen8
貫井徳郎『被害者は誰?』(2003→2006、講談社文庫)【7.5点】
捜査一課刑事の桂島&大学時代の先輩の吉祥院先輩の凸凹連作短篇集。
パット・マガーの諸作に着想を得たもので、残された日記や小説から、
「被害者」「探偵」「目撃者」などを突き止めていく。
コンビの造作にとくに新鮮味はないが、軽目の良パズラーが並ぶ。
とくに「探偵は誰?」はフーダニットとして伏線もなかなか巧み。
166: ◆XjFtIkbasQ
08/07/17 23:17:13 pNuTBen8
『オール読物』7月号(文藝春秋社)【8点】
警察小説特集号だが、鬼平の特集・推理作家協会賞選評もあって読みどころ多し。
短篇賞の「傍聞き」は上手い(けれどパンチはない)。
逢坂剛と対談してる諸田玲子は以前さんざん考証の甘さを叩かれていたが、
いつのまにかポジション得たみたいですね。以下、連載以外の短篇。
石田衣良「キャッチャー・オン・ザ目白通り」【7点】いつもの
佐々木譲「廃墟に請う」【7.5点】本格派
藤田宜永「愚行の旅」【7点】連作ものだけど
有栖川有栖「雷雨の庭で」【6点】凡作
柴田よしき「ひそやかな場所」【6点】雰囲気はある
赤川次郎「息子と恋人」【5点】いつもの
長岡弘樹「傍聞き」【8.5点】上手い
今野敏「公安の仕事」【8点】淡々としてるのに没頭して読んだ
古処誠二「帰着」【6.5点】ミステリはもう書かないのかな・・
畠中恵「清十郎の問い」【6.5点】書きようによってはもっとミステリっぽくできた
167:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
08/07/19 15:58:51 S5qfAJku
「軽井沢マジック」二階堂黎人(徳間書店)
旅行会社に勤めている水乃紗杜瑠と部下の美並由加里は出張の帰り
サトルの友人がいる軽井沢に立ち寄るが、そこで有名作家の怪死事件に
遭遇してしまう。警察の事情聴取を受ける内に2人の乗って来た
列車内でも殺人事件が起きていたことが判る。容疑者扱いされながらも
これらの事件を解き明かそうとするサトル。しかしまたもや殺人が……。
蘭子よりましと聞いて久しぶり2冊目。別におどろおどろしい雰囲気は
なく、大掛かりなトリックもなく、作者が言ってるように
ライトなミステリーではある。気になる箇所はあるし、謎解き場面の
大仰な描写はどうかと思うがキオミスとしてはまあ暇つぶしになると思う。
168:名無しのオプ
08/07/21 17:30:38 r0PcAks0
「時効を待つ女」新津きよみ(徳間文庫)
女性をテーマにした短編集
中のポストカプセル郵便を使った話「彼女に流れる静かな時間」の最後の1文がこわい。
新津さんは女の腹黒いところを的確に書く人だね。
「ブラック・エンジェル」松尾由美(創元推理文庫)
CDから現れた黒い天使にマイナーロック研究会のメンバーの一人が殺される。
彼女は何故黒い天使に殺されたのか?
ミステリー+ファンタジーですが「犯人が黒い天使」なのは斬新かも
私から見ると、「黒い天使は」お節介やき見えてしまう。
洋楽・ポップアートが好きな人は別の楽しみ方ありそうです。
「バルーン・タウンの殺人」の作者だとは気がつかなかったよ。
169: ◆XjFtIkbasQ
08/07/22 15:43:01 kHz3XQ+0
今野敏『リオ 警視庁強行犯係・樋口顕』(1996→2007、新潮文庫)【7点】
マンションの一室で発生した殺人事件。警察は現場からの逃走を目撃された
美少女リオを追うが、警視庁捜査一課の樋口は捜査本部の方針に違和感を抱く。
リオに惹かれる自覚をもちつつ、第二・第三の殺人を捜査する樋口だが・・・
『隠蔽捜査』シリーズより10年前に書かれた本シリーズだが、自分に自身が持てず悩む
樋口警部補の個性的な造形は、『隠蔽』の竜崎に繋がるか。
事件自体はさほど深みも意外性も無く、脇役の氏家のキャラもまだまだという印象。
文章は量産作家がやや書き流した感じの箇所がままみられるが、読みやすく、
展開のテンポアップに一役買っている。終盤の展開が読めるのが残念。
170: ◆XjFtIkbasQ
08/07/22 15:56:40 kHz3XQ+0
今野敏『朱夏 警視庁強行犯係・樋口顕』(1998→2007、新潮文庫)【8点】
警視庁警備部部長への脅迫事件に携わることになった捜査一課の警部補樋口は、
受験生の娘との喧嘩や、妻との意思疎通不足など家庭内の問題も感じていた。
そんな最中に発生した妻の誘拐事件。あえて個人として捜査に乗り出した樋口だが・・
樋口シリーズ第二弾。樋口の家庭内の問題にも焦点が当てられ、彼の内面が
掘り下げられている。『リオ』の自信なさげな言動からするとやや自己主張が
激しくなっているが、まあ妻の誘拐事件なので多少強引でも仕方ない。
『リオ』に較べると無神経な文章も減って、かつリーダビリティはアップしている。
一気読み。パートナーの氏家も、キャラがより立ってきていい感じ。
欲を言えば推理小説の「意外性」にも拘ってほしかったが、あえて展開を読ませて
その上で読者を引っ張っていくのがこのシリーズのようだ。
171:名無しのオプ
08/07/23 17:36:30 7gT9TO06
聖・おにいさん
172: ◆XjFtIkbasQ
08/07/23 18:59:14 VBSZoABN
今野敏『ビート 警視庁強行犯係・樋口顕』(2000→2008、新潮文庫)【8点】
銀行員の撲殺事件を捜査する警部樋口は、捜査二課から派遣されてきた島崎の
様子に不審を抱く。折りしも公開された犯人らしき人物のモンタージュ写真は、
島崎の次男に似ていた・・・
シリーズ第三弾。これまでと違い、捜査二課の島崎父子の視点がかなりの部分を占め、
刑事の頑固親父と、不良の息子の対立と和解が話の中心となっている。
そこに殺人事件の顛末が絡んでくるわけだが、オーソドックスな割りに読み応えがある。
あとがきで作者も言っているように、「推理」部分はあまり重視せず、人間ドラマが中心。
10年近く前の作品でダンスの流行とかは多少古びている箇所はあるが、
不良エージの物語としても面白い。その分樋口の活躍は少なく氏家もチョイ役だが、
バランスのいい娯楽小説となっている。
173:名無しのオプ
08/07/24 15:12:33 +uIkY/Er
皆川博子「倒立する塔の殺人」
視点が頻繁に変わり、しかも全員の一人称が「わたし」なので
誰が誰だかよく分からなくなる。
おまけに作中作の手記まで登場するから、混乱に拍車がかかる。
細切れに読んだから余計によくわからなくなった。
一気読みすればまた評価は違ったかもしれない。
174:名無しのオプ
08/08/01 16:39:40 C5jWBy/D
ミステリ
175:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
08/08/01 18:21:23 sZFS8tjg
「暗鬼」井沢元彦(新潮社)
久々某スレからのセレクト。
戦国時代を舞台にした短編集でどれも程度の差はあれ謎が含まれている。
ベストは「明智光秀の密書」。作中で紹介される複数の暗号が興味深い。
他は特にみるべきものはない。しかも歴史小説としては最低に近いレベル
なので、歴史ファンにはお薦めしない。
176:名無しのオプ
08/08/02 11:53:33 n28MWnmi
>>175
ミステリ小説でもないのに書き込むなクソが。
177: ◆XjFtIkbasQ
08/08/02 23:01:35 NqSIOMu/
三津田信三『山魔の如き嗤うもの』(原書房、2008)【8点】
刀城言耶の元に届けられた手記には、成人参りの最中に道に迷い、
「入らずの山」に迷い込んだ男の体験が記されていた。姥捨て伝説の残る山。
跳梁する山魔の哄笑。密室状態から消失した謎の一家。そしてその村に赴いた
刀城を待っていたのは、わらべ唄をなぞるような連続殺人事件だった・・・
「ごとき」シリーズ第四弾。さすがに山村の描写や伝承にややマンネリ化が。
しかしこういう雰囲気が大好きなので、さほど気にせず読み進んだ。
完成度では「首無」には及ばないが、サプライズは十分に及第点。
ただ文章は前作よりも拙劣。いかにも素人臭い箇所がかなり目につく。
とくに台詞の下手さ加減は一向に上手くならん。「やまんま」のキャラが薄いのも
このシリーズとしては不満。
178:名無しのオプ
08/08/03 06:53:00 2YddqqRL
>>177
> いかにも素人臭い
「いかにも」って……それじゃあ作者が素人みたいじゃないかw
一応はプロなんだろ?w
179:名無しのオプ
08/08/03 07:28:56 2K32itlR
本格系はそんなもんだろ
180: ◆XjFtIkbasQ
08/08/04 03:00:11 +rPugE1T
歌野晶午『舞田ひとみ11歳、ダンスときどき探偵』
(光文社カッパノベルス、2007)【7.5点】
刑事の舞田歳三が、姪のひとみ(小5)の言動に触発されて事件を
解決していく連作短篇集。
各短篇の事件や登場人物が少しずつリンクして新たな事件に繋がっていく構成だが、
一地方都市で起きる事件ということもあって、内容はかなり地味。
また、ひとみが名探偵となって快刀乱麻を断つような推理をするわけでもない。
それでも叔父と姪の軽妙な会話や、さりげない伏線のばら撒き方は手馴れたもの。
けれんもなく、小粒ではあるが、良作。
181:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
08/08/06 17:56:37 TeFFNRTk
「虚空の時差」津村秀介(栄光出版社)
新幹線の車内で女性の毒殺体が発見された。被害者の切符から
死亡したのは名古屋付近と推定され、検札時側にいたという男に
容疑がかかる。警察が捜査の過程で目星を付けたそれらしい男数人には
いずれもアリバイがあったが、現場に残っていた指紋はその中の
一人のものと一致した。その人物は犯行推定時刻には遠く離れた
九州にいたというのだが……。
某スレからのセレクト。
中々良かった。アリバイ崩しものは、
時刻表をこねくり回すような地味で面白味のない展開とか、
容疑者ありきで進行するというフーダニットを半ば放棄したような、
そして現実に冤罪の原因になっているような展開とかが
余り好きでは無いのだが、本作の場合、時刻表を弄んだりはせず、
謎と伏線とが明確に打ち出されており、真相も解り易くそれでいて
鮮やかなので、楽しめた。このトリックは巧くやれば実行可能かも。
また、刑事達が、手掛りを得られても鵜呑みにせず、一々疑問を持つ点も
読んでいて説得力があった。
ただ、作中の熊本弁は怪しい。助詞を全て“ば”に変換してるような……。
182: ◆XjFtIkbasQ
08/08/07 15:06:01 0mHlLvzr
桐生祐狩『夏の滴』(2001→2003、角川ホラー文庫)【8点】
小四の真介は、ある日夜逃げ同然に姿を消した友人の行方を捜すため、
級友の徳田と河合と一緒に上京を決意。折りしも町は不況のどん底にあり、
またクラス内では、虐められっ子八重垣の持ち込んだ植物占いが流行っていた・・
ホラー大賞長篇賞受賞作。「国語好き」とはいえ、こんな思考の小四いない・・
と、序盤はやや冷めた目で読み進めたが、ホラーとしてはいい意味で「イヤな小説」。
担任教師までもが加担する淡々とした虐めの描写と、仲良し三人組の描写とのギャップが
ぞくりとする。とくに中盤以降は一気読み。終盤のカタルシスも十分ある。
ただ江戸時代の物語を唐突な手記にすべてを語らせた点は、構成上しかたのないことかもしれないが、
もうちょっと工夫できたんでは。あそこで冷静かつ克明に語ってしまったために、
ホラーとしての「怖さ」が逆に減じてしまったように思う。
183: ◆XjFtIkbasQ
08/08/08 23:37:32 jZN2FeDt
浮穴みみ「寿限無」(『小説推理』8月号、双葉社、2008)【6.5点】
江戸で子供らの手跡指南をなりわいとする兄妹、吉井数馬・奈緒。
第30回小説推理新人賞受賞作。
選評(綾辻・有栖川・光原)でも言われているように、シリーズ化を意識したような
内容らしく、「改暦」といった話題がほとんど事件の真相と絡んでこない。
また、短篇の焦点が近所の幽霊話にあるのか、少年の見た「異界」にあるのか、
跡継ぎ話にあるのか、はっきりせず、謎が「解かれていく」といったカタルシスに欠ける。
ただ、「ラノベ的」と評される文章は読みやすく、ほのぼのとした味わいがある。
少年が母親の幽霊を見た際に耳にした「寿限無」の謎の解明~ラストの兄妹の会話は
ちょっといい感じ。
184:書斎魔神 ◆AhysOwpt/w
08/08/09 10:46:28 Ou6IH+ss
所属するブッククラブの要請もあって、今夏は松本零士「ザ・コクピット」シリーズを一気読み
したところである。
「戦争冒険もの」としての色合いが濃い作が多いゆえ、あえてこの板で取り上げておく、
座して読め!
私は雑誌等で既読の作も多かったが、
所属メンバー(知識人ばかり16名)の客観的、かつ、的確な議論と投票による
ベスト・セレクション10作(順不同)は下記のとおりである。
1 成層圏になくセミ
わりと短い作だが、リリカルに悲劇を描いて間断するところがないと好評価。
2 パイロットハンター
孤独なスナイパーの姿が「とにかくかっちょいい」という声多し。
3 独立重機関銃隊
映画「独立愚連隊」に触発されたタイトルかと。スリリングな展開だが、
女性キャラ投入で最後が甘く流れたのが難か。
4 音速雷撃隊
人間ロケット桜花ねた。アニメ化もされたスリリングな傑作。原作には桜花護衛の任にあった
零戦の特攻シーンは無い。
5 衝撃降下90度
「死を賭けたパイロット美学の極致」、ある識者のこの評が本作の本質を端的に示している
と言い得る。
185:書斎魔神 ◆AhysOwpt/w
08/08/09 10:56:59 glYgzVFk
6 亡霊戦士
シビアな展開が印象的な作。
「パイロットハンター」と同趣旨の作ではあるが、あのような爽快感を期待すると良い意味で
裏切られる。
7 四次元戦線
作者の十八番のSFと思いきや、緊迫感溢れるかなりマジな戦争(戦闘)漫画。
8 死神の羽音
私が第一に推す作。ホラータッチの異色作でオチが非常に効いている。
9 砂とスコッチ
これは超異色作。オチは面白くも強烈で悲惨という評がモロ該当する。
10 雷撃艇13号
終始シニカルな作、このシリーズは初期の正攻法な戦争漫画からじょじょにこういった傾向
のものへと移行していった感がある。
他にベストセレクション選定評議上に挙がった作としては、
・「スタンレーの魔女」「わが青春のアルカディア」
いずれもキャプテン・ハーロック好き(いわゆるキャプテンオタ)が推すものの、
前者はアイデアは良いものの作品全体が今ひとつ力不足の感があり、
後者は叙情に流れ過ぎているという指摘が多かった。
・「復讐を埋めた山」
一癖ありそうな魅力的な女性キャラを配置しながら、全く活躍しないまま終わっている点に
「物語」としての不満が大きいとして、早々、セレクト外となった。
186:書斎魔神 ◆AhysOwpt/w
08/08/09 10:58:02 glYgzVFk
・「成層圏気流」
強く推す声もあったが、アニメ化作品に及ばないという評もあった。
特に最後の主人公の独白、
「私はエアハルト・フォン・ラインダース、悪魔に魂を売らなかった男だ」
この最大の決め台詞が原作には無いのである。
・「夜の蜻蛉」
後の映画「プライベート・ライアン」を想起させる面白さがあるという推しがあったが、
それだけの作という定評に納まった。
・「レッドスカル」「富嶽のいたころ」「断層回路」
これらの作は、一応、コクピット・シリーズ中の作ではあるが、戦争漫画(そのもの)とは言い難く
別物扱いすべしという意見が多数を占めた。
・「天使の微甲弾」
未来戦を描いたSFであり、通常の戦争漫画と同列に置いて評価すべきではないとの意見多し。
・「空白圏飛行」「サンタイザべラの首飾り」
やや共通した設定もある2作。
前者はへミングウェイ、後者にはJ・G・バラードないしはマルケスを想起させるテーストの作であり、
それぞれ面白いが、戦争漫画ぽくないというのが大きなオミット要因か。
・プテラノドンの時代
アイデアは非常に面白い。ただし、ストレートからは外れる作という評多し。
187:名無しのオプ
08/08/09 12:07:19 dnnZ+rSe
きちがい・・・
188:名無しのオプ
08/08/09 13:27:34 uQ69fGA5
捻りの効いたミス板の住人らしい読みを披露してくれているね。
こういう書評こそ読後感は100ぺん読んで出直してほしいものだ。
189:名無しのオプ
08/08/09 14:23:52 kdhgBIeK
海外編容量オーバーしてる
190:名無しのオプ
08/08/10 12:52:18 ibLksln0
>>189
潰したのはいつも愚にもつかない感想文を垂れ流している読後感か。
もっと厳選してよく読みきちんと書けば今のように荒らし使いされることもなかろうに。
191:名無しのオプ
08/08/10 13:24:48 xZ4tbNNw
じゃあまず書斎が手本を示して消えてくれ
192:名無しのオプ
08/08/10 14:26:50 yZKAm+YE
両方消えてほしい。
馬は論外でNGであぼーんできるけど
読後感は感想スレ意外は名無しで書き込むのがウザい。
193:名無しのオプ
08/08/10 14:47:11 ibLksln0
読後感批判もようやく出てきたね。
これまではアンチ書斎の暗躍のせいでタブー視されてきたが、正当だと思われる。
194:名無しのオプ
08/08/10 15:11:58 X1Rj2p9R
>読後感批判もようやく出てきたね。
え?
195:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
08/08/10 16:23:39 xZ4tbNNw
「ピーター・パンの殺人」辻真先(大和書房)
しなびた温泉街で起きた2つの事件。若い仲居がサウナで刺殺され、
老いた俳優が映画館で若き日の自分と見まごう男に襲われた。
共通して凶器に使われたペーパーナイフを巡り、ある有名推理作家と
俳優との過去の因縁が再燃することに……。
期待して読んだ。後半までwktkが止まらなかった。しかし……
終盤萎んだかなぁ。何かね、畳み方があっけなさ過ぎるというか。
このメイントリックは86年当時でも少々古い気がする。
ラストの展開もそれまでのノリと合ってないし。
戦時中の体験談が語られてる辺りは少し面白かったけども。
「TVアニメ殺人事件」はどうなのだらう。
196:名無しのオプ
08/08/10 16:29:37 SlP6F6GH
>>195
恥ずかしげもなくよく書き込めるなあ。
鈍感極まりない香具師なんだろう。
197:名無しのオプ
08/08/10 16:34:24 5Sus6jbC
黙って感想だけ書いてればいいのに。
198:名無しのオプ
08/08/10 17:25:13 WX1iAdnF
黙ってNGにしとけばいいのに。ここは何スレよ?
199:名無しのオプ
08/08/10 18:45:44 HguKsBx8
>>198
読後感が遠慮というものを覚えれば良スレになるよ。
200:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
08/08/13 16:47:34 Dt7NZKvb
「歌麿殺贋事件」高橋克彦(講談社)
若き浮世絵研究家塔馬双太郎の活躍する連作短編集。
あの手この手で悪事を働く詐欺師達をギャフンと言わせるという。
本格というよりトリビアルな驚きがあるコンゲームものの佳作。
和製「悪党どものお楽しみ」か。ただ、浮世絵、それも
歌麿の絡む事件ばかりというテーマの狭さに飽きる可能性はあるかも。
でもお薦め。
201:名無しのオプ
08/08/13 23:32:43 xnqyhnm5
>>200
このころは密度濃いよね。
それに比べいまのカツヒコは・・・・
202: ◆XjFtIkbasQ
08/08/14 19:53:36 MOROYC5b
天樹征丸/さとうふみや (講談社コミックス、2008)
1『金田一少年の事件簿 黒魔術殺人事件』【7点】
2『金田一少年の事件簿 血溜之間殺人事件/不動高校学園祭殺人事件』【6.5点】
1は、黒魔術の館で発生した連続殺人事件物。
2は、囲碁クラブの合宿で発生した生首事件/学園祭のメイド喫茶で起きた事件
1は海外パズルブックのネタ的雑学を、殺人事件に結び付けようとしているが、
今回はかなり苦しい出来。トリックのためのトリック、という面がいつも以上に
濃い感じ。また、一冊におさめたせいか、計画の矛盾や強引な筋運びが目立つ。
2は中篇2つを収録するが、囲碁の話は犯行が綱渡りすぎるし人間関係も不自然すぎる。
もう一方の学園祭の話は、犯人もトリックもわかりやすい。
ただ、2冊とも、気楽に読めて一定の満足感が得られるのはさすが。
203:書斎魔神 ◆AhysOwpt/w
08/08/16 13:28:40 eQaivRAI
海外篇スレが容量オーバーで使用不能なためこちらに書く。
(そもそも読書報告スレは国内と海外の2本立てにする必要があるのか?)
へイク・タルボット「絞首人の手伝い」を読んだ。
密室ものの古典という噂が流布していた「魔の淵」が初訳された時の期待と
読後の失望感はいまだに記憶に新しいものがある。
「棒高飛びやめれ!」と言いたくなるようなアホなトリックには思わず萎えるものがあったし、
その通俗性(アクション、お色気、ラブロマンス等)の強調にはうんざりさせられたものである。
同じ作者ゆえ、「魔の淵」に先行する本作にも同様な感を抱かせるものがあった。
特に主人公キンケイド(本格ミステリでヤクザなギャンブラーが名探偵役という設定は異色で、
ちょい面白いのだが)を襲った怪物クラーケン(本来は伝説上の巨大なイカの怪物の意
なのでは?)の正体はジョンでも書かないような「アホ」なものであると言い得る。
もうバカはいい加減にしておけと思うたところ、この作者の長編は「魔の淵」と本作のふたつしか
ないとのことであり、妙に納得がいった。
204:書斎魔神 ◆AhysOwpt/w
08/08/16 13:29:24 eQaivRAI
ギルバート・アデア「ロジャー・マーガトロイドのしわざ」を読んだ。
タイトル(原題の直訳)もある意味でネタばれか?
いわく有り気な登場人物たち、クローズド・サークルの設定、謎の密室殺人の発生とコテコテな
本格ストレートで入りながら、大乱歩風のトンデモトリック、アンフェアそのもの(この作者は承知の上かも)の犯人の登場で終わる作。
正攻法な謎解きミステリの面白さを求めると外されるが、ジョン、アガサ、アーネスト等の
ミステリ作家に関するくすぐりを入れながらの展開を余裕を持って楽しめるか否かで評価が
分れる変化球な作ではあろう。
(ただし、ダシール作品の主舞台をLAと読めるような記述は気にかかった。まさかレイモンドと
勘違いしているのでは?)
レズの含意があるらしい「リスボンの姫君」とは?
これは俺にとって本作の残された謎ではある。
205:名無しのオプ
08/08/16 15:34:51 oHgPRoE9
海外篇を潰したのは読後感が荒らしたせいなのに、何の反省もなく書き込むか。
よほど鈍感なのか、確信犯的に荒らしているかどちらかだな。
206:名無しのオプ
08/08/16 16:06:22 D9FJ0Y80
読後感?
書斎暇人の間違いだな。
207:名無しのオプ
08/08/16 20:13:01 1w6M3Zhz
内容の良し悪し以前に
ルール違反はダメだよなあ。
208:書斎魔神 ◆AhysOwpt/w
08/08/17 15:42:26 7+PvZnX/
久々、リチャード・レイモン「殺戮の野獣館」を再読してみた。
再読のせいもあるが、刺激的な作が増加した今日では刊行時のインパクトは既に無く、
むしろ、おぞましい行為の描写を寸止めする展開はシニカルな論者なら「奥床しい」と評する
やもしれぬ。
ジョン・ソールの「暗い森の少女」のような凄味もなく、やはりレイモンはマイナーな作家であった
と思わざるを得ない。
リアルな野獣とでも称すべきヒロインの前夫ロイというキャラの処理にも失望を禁じ得ない
キワモノな作らしく、モノホンな野獣とのガチンコ勝負を期待していたのだが・・・
209:書斎魔神 ◆AhysOwpt/w
08/08/17 15:45:58 7+PvZnX/
レイ・ゴールデン「5枚のカード」を読んだ。
ポケミス名画座シリーズの1冊として刊行された作だが、
裏表紙の解説に「サスペンスフルに展開する異色のウェスタン小説」とあるとおり、
実態は完全に西部小説、プロファイルを見ても、作者はテキサス州フォートワース生まれの
典型的西部小説家であり、フランク・グルーバーのようなミステリも書く人ではないようである。
牛泥棒をリンチにかけた関係者の連続殺人というフーダニットとして書くことも十分に
可能な設定なのだが、犯人は早々と登場、以後はグローリー・ガルシュという西部の町を舞台に
丁寧な情景描写を積み重ねたウェスタンの世界が展開されてゆく。
短く読み易いのが取り柄であり、それなりに楽しめはするのだが、リクエストがあったとはいえ、
なぜ本作がポケミスで刊行されたのか、これこそ「ミステリ」ではある。
解説中にある「laid eyes」ネタではないが、「ふたりは込み上げる欲望に身を任せた」(71頁)、
「はじめて欲望の奔流に身を任せた・・・」(139頁)、訳者の「好み」のような
ポルノグラフィーまがいのこの「原文」も気にかかるところだ。
210:名無しのオプ
08/08/17 17:53:28 BUs2psEg
>>207
よくわからんが馬がまたネタバレでもしたのかな?
俺はアボーンしてるからわかんないや。
211:名無しのオプ
08/08/17 21:18:07 oe4/DfUy
>>210
完全に“スレ違い”なことを書いているんだよ。
しかも、書いている本人が“スレ違い”であることを自覚している。
212:名無しのオプ
08/08/18 10:18:18 y6fZR2C+
なぜスレ違いになったのか検証することが大事だろうね。
読後感というクソコテ一人の独占的使用により海外篇が潰れたという事実を改めて確認する必要がある。
213:名無しのオプ
08/08/18 13:08:29 KhTqYpol
読後感のようなクソなんかとちがって書斎さんの論考はためになるよなあ。
書斎さんは神なんだからそれに従わなければいけない。
214:名無しのオプ
08/08/18 13:30:02 MVIFRl0/
二人のコテハンをスレ名にした単独スレを、隔離用にたてて欲しい。
で、もう他スレには現れないでくれと。
215:名無しのオプ
08/08/18 15:05:24 y6fZR2C+
>>214
書斎は問題ない。
悪いのは読後感だよ。
216:名無しのオプ
08/08/18 16:38:45 201ai/QZ
コテハン嫌いな人はNG指定すればいいだけ。
ここは本を読んだ感想を書き込むスレであって
感想の感想を書き込むことの方がスレ違い。
どっかの板でヲチスレでも立てて他所でやってくれ。
217:名無しのオプ
08/08/18 16:42:34 y6fZR2C+
>>216
その感想が問題になっていることに気づかないとは‥。
長々と愚にもつかぬ感想を毎日のように書き込む態度が問題視されているのに。
218:名無しのオプ
08/08/18 18:03:27 0pPQ23OD
だからそれをNG指定すりゃいいだろが
感想スレに感想を書くこと自体はおかしくないんだから
こういうやり取りこそが本来邪魔なんだよ
つか、書斎をかばってる時点で相手にしちゃ駄目だったか
219:名無しのオプ
08/08/19 03:18:24 mk7QNqZF
書斎アンチがわざと擁護してるんようにしか見えない
ある意味書斎よりタチ悪い
220:名無しのオプ
08/08/19 11:31:54 EJqhsNZi
>>219
激しく同意。
いつもスレを荒らすのは書斎アンチなんだよなあ。
書斎はスレタイに沿って書き込んでいるだけなんだから。
221:名無しのオプ
08/08/19 21:08:10 DGI1BNRH
>>217
騒いでるのはごく一部。
コテハンをNGにしてる俺にしてみれば、
君のほうがよほど迷惑だ。
222:名無しのオプ
08/08/19 21:22:33 JZeCg/+f
|| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄||
|| ○荒らしは放置が一番キライ。荒らしは常に誰かの反応を待っています。
|| ○放置された荒らしは煽りや自作自演であなたのレスを誘います。
|| ノセられてレスしたらその時点であなたの負け。
|| ○反撃は荒らしの滋養にして栄養であり最も喜ぶことです。荒らしにエサを
|| 与えないで下さい。 ΛΛ
|| ○枯死するまで孤独に暴れさせておいて \ (゚ー゚*) キホン。
|| ゴミが溜まったら削除が一番です。 ⊂⊂ |
||___ ∧ ∧__∧ ∧__ ∧ ∧_ | ̄ ̄ ̄ ̄|
( ∧ ∧__ ( ∧ ∧__( ∧ ∧  ̄ ̄ ̄
~(_( ∧ ∧_ ( ∧ ∧_ ( ∧ ∧ は~い、先生。
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223: ◆XjFtIkbasQ
08/08/22 13:34:53 4t1t7LHJ
逢坂剛『燃える蜃気楼』(上下、2003→2006、講談社文庫)【6点】
イベリア・シリーズ第三弾。日米開戦後のスペイン・ドイツが舞台。
「宝石商」北都とイギリス情報部ヴァジニアとの恋愛模様に、
謎の日系アメリカ人ナオミが絡んでくる。
第二弾同様、どうもメリハリがないまま上下巻を読了。
謀略物なのに緊迫感があまりないのは、敵味方がペラペラ情報交換しすぎのせい?
終盤の某人物の登場は、ようやくシリーズ物の利点が生かされたという感じ。