07/04/08 00:43:08 oXH1Lf7u
>>22の代わりに俺が見つけましたよ。
以下、『本格推理1』の「選者曰く」のP.489から。
先般、立風書房から本格物のアンソロジーを出した。そのなかに山沢晴雄氏の「死の黙劇」
をとるここになった。この短篇は雑誌に発表された時点で一度読んだきりだったのに、挿絵が
瀬川成一郎氏であることと、イラストにミイラみたいなホウタイ姿の人物が描かれていたこと、
作中菓子店の場面が効果あげていたことなどはよく覚えている。この作品のコピーが立風か
ら送られて来て、三十年ぶりに読み返してみてビックリした。わたしの「五つの時計」という
短篇の中に出て来るトリックが、山沢氏の「死の黙劇」のトリックと同じものだったからで
ある。わたしは即刻同氏に一書を呈して、今後「五つの時計」は破棄することを伝えた。折り
返し届いた氏の返信は、気にしないでくれという好意的なものであった。まあ、山沢氏がそう
いってくれたことでもあるし、昨今のわたしは、結果的には「盗作」となったあの部分を削っ
て、あたらしいトリックを考案し、改めてそれをはめ込んで、このミスを糊塗しようと考えて
いる。本格ミステリーの作家にとってトリックは、左程大切なものなのである。