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阿井渉介『列車消失』(1990→1995、講談社文庫)【6点】
大井川鉄道井川線。走行中の七輌編成の列車から6号車のみが姿を消し、
直後にJRに乗員35人の身代金を要求する連絡が入る。身代金を運ぶ
寝台列車では怪奇現象続出。二度死ぬ自殺者、車内を徘徊する胴体死体・・
本格鉄道ミステリー・牛深刑事の「列車シリーズ」。
今度ノベルスで復刊されるということで阿井に初挑戦。舞台設定といい、
破天荒な怪奇現象といい、著者もいうとおり島田荘司に影響を受けているが、
島田の小説が確かな「筆力」に支えられていたのに対し、阿井は格段に劣る。
そのため、犯行過程・動機にいくつかの疑問符がついてしまい、首をかしげた。
大勢出てくる警察関係者・JR関係者の書き分けも不十分で、「これは誰だっけ」
と前ページに戻ることも再三。また列車消失のトリックや密室殺人の真相は、
いくらなんでも警察が調べれば・・・と思う。でも楽しめる人は楽しめるだろう。
ちなみに文庫の解説は、あの大森望。