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垣根涼介『ワイルド・ソウル』(幻冬舎、2003)【8.5点】
戦後の日本政府の無謀な国策により未開の南米に送られた棄民たち。
地獄のような経験を経て生き延びた4人が、現代日本に復讐する。
第一章の衛藤ら棄民たちの苦難は実に重いテーマであるが、第二章以降の
「計画」のパートは実にスピーディーかつスリリング。中心人物ケイの
キャラが、物語を爽快なものとしており、暗いテーマを扱いながらも
基本はエンターテインメント。最後の2割くらいで文章が雑というかちょっと
違和感のある文体になるが、そこがちょいと残念。
あと、もうちょっと「復讐」をスケールの大きいものにしたほうが良かったような気もするが、
一気読みの快作。