07/04/08 02:37:15 Zvrkvxan
高橋克彦『広重殺人事件』(講談社文庫、1989→1992)【9点】
東北の天童市で発見された“天童広重”と、浮世絵師広重の絵日記。
謎に包まれる広重の東北行は、何を目的としたものだったのか。
津田良平・塔馬双太郎が広重の死に挑む。シリーズ三部作完結篇。
写楽・北斎に較べると扱う歴史的事件も若干マイナーとなるが、
ロジックの冴えは相変わらず。しかし本書の中心は、冒頭で津田に
降りかかるあるショッキングな事件、およびこれまで学界の旧弊や
美術商の贋作に振り回されてきた津田が行ったある行動であり、
人間ドラマとしても秀逸。とくに三部作を順に読んできた読者は、
涙なくしては読めない。高橋克彦の「甘ちゃん気質」が成功した稀有な例。
シリーズとしての評価は【10点】。歴史ミステリー好き必読の三部作。
津田、もういい。もういいんだよ・・・・゚・(ノД`)・゚・。