07/02/23 23:24:01 6ikZZihe
>アホか、とっくに読んでるわ
>自己弁護してんじゃねーよ
何一つマトモに出来なかったダメな人間の上等文哀れ
前問に答えられないクズ
157:名無しのオプ
07/02/24 00:53:04 stp/qU11
>>148
>いい書評はその本を読んでみようという気にさせるものだと思う。
書評!?「重鎮」(笑)でもあるまいし、2ちゃんで書評とは恐れ入り
ました。
ここに印象だけの「感想文」程度の駄文を越えるものが書かれるとは
思ってもいなかった。
ともかくも、その伝でゆくと、読んでガッカリした作品については、
ここに書いてはいけないのかなあ。駄作を駄作と言えない感想文のスレ
って一体!?
158:あらすじごめん
07/02/24 04:12:41 i+AKjlW1
浅暮三文『石の中の蜘蛛』(集英社文庫、2002→2005)【7点】
楽器の修復を生業とする立花は、引越し先の部屋で「音のなる石」を見つける。
先住者の物らしいが、その直後にひき逃げされ入院し、聴覚に異常をきたす。
音が視覚的に認識できるようになった立花は、先住者の「音の痕跡」から
その女性を探し出しだそうとするが、周辺に怪しい男が出没し・・・・
物語の展開は「失踪者」探しなのだが、その方法が異常聴覚をつかった方法。
立花が部屋の床をスプーンで叩いてその反響音で先住者の女性の体格や声質を
把握していくのが楽しい。とくに電話に刻まれた「音」を復元してある目的地を
捜し出すシーンは秀逸。
ただ、物語の性質上、凝った表現や独特の言い回しが多く、ちょっと読みにくかった。
じっくり読書したいときにはいいかもしれないが、そこがマイナス。
159:名無しのオプ
07/02/24 21:13:08 VUx5Ssf1
>>156
>>157
ハイハイわかったから消えろ
160:名無しのオプ
07/02/24 23:58:44 KoVetbm4
とりあえず156は、いまごろ13階段でぐだぐだ騒がないでね
騒ぐときは友達にでも言ってね
ここではアホみたいにあらすじ書かないでいいから
161:読後感
07/02/25 02:31:57 BEEi+yk6
「凶鳥の如き忌むもの」三津田信三(講談社)
小説家・刀城言哉は取材のため瀬戸内のとある漁村へやって来る。
そこで18年ぶりに行われる“鳥人の儀”に立会人として参加した
刀城だったが、当日拝殿に篭っていた巫女が消えてしまう。
異常を感じ拝殿に乱入した刀城が見たのは飛び去っていく巨大な
鳥の姿であった。そして18年前にも同じように巫女が消失して
いたのだ! そして巫女を捜す刀城達にも何物かの魔の手が……。
前作からの期待にたがわぬ出来だった。ただ本作は全体に渡って
怪奇的な装飾を施すというより怪奇性を帯びた事件を起こして
それについてロジカルに検討していくという組み立てになっており
前作とはやや毛色が違う。真相も手抜きなしの意外さで見事。
ただ意地でも見取図を付けないのが腹立つ。
あと終盤の(メル欄)の意味が解らんかった。
それに犯人のプライオリティとかもちょっと?かな。
これからもこの濃度で書き続けてくれるなら読みたいが
マンネリ化しそうで心配。
162:書斎魔神 ◆qGkOQLdVas
07/02/25 11:32:54 YWG+YrTq
加藤幸子「家のロマンス」を読んだ。
地味ながら芥川賞、芸術選奨文部大臣賞、毎日芸術賞等に
輝く純文学の実力派ヴェテラン作家の新作である。
ミステリと言い得る作は書いておらず、純文学不得手なミスオタは
この作者のキャリアを見て褌一丁の姿で逃げ出すやもしれぬ(w
ただし、本作に関しては多少ホラー風な部分(その合理的解釈も可能だが)
もあるゆえ、あえてこの板で紹介する次第である。
ミステリは、時間・空間・登場人物数のいずれかに大きな制約を受けるのが通例であり、
そこに読み捨て本としての物足りなさが生じるわけであるが、
これらの制約を脱した魅力を持つのが、いわゆる大河小説と言われるものである。
(「百年の孤独」「ブッテンブローク家の人びと」「エデンの東」「夜明け前」等々)
これらの作には、ちんけなミステリを読むことでは決して味わうことが出来ない
小説を読む醍醐味を味合うことが可能である。
本作は、「家」というものに対する人々の「思い」を、祖母ミヤと作者の分身と思われる
その孫娘ヨシノを中心に置いて描いた2部構成の作品、
筆者は最近、本書と同様に家族の系譜を描いた作として、原田康子「海霧」、
津島佑子「火の山 山猿記」等を読んだが、いずれも上・下巻に及ぶ大部なものと
なっているが、本作の場合は、わずか180頁強(活字2段組でもない)という
ボリュームでありながら、上記作品等に劣らない読む醍醐味を堪能出来る実に無駄がない佳作であると言い得る。
各人、慎んで読め!
163:名無しのオプ
07/02/25 12:49:12 lhka+ybP
三津田はもう少し、もう少しでいいから文章が讀み易ければ……
164:名無しのオプ
07/02/25 12:49:32 hv37G32e
>>161はいつもの通りクソ、>>162はミステリしか読まないバカには理解されないだろうが、相当な教養が背景にあると感じさせるなあ。
165:名無しのオプ
07/02/25 13:13:27 gt328UWs
>>164
じゃあ、書く場所を間違えてるなw
166:名無しのオプ
07/02/25 14:03:40 BnyA/GIy
294 名前:ミステリ板住人 ◆0FE6khB7i2 投稿日:2006/01/08(日) 14:50:39
「エデンの東」は未読。
読むのであれば、ハヤカワ文庫版と大阪教育図書の全集と、どちらがベターか?
ただし、一般教養としてのスタインベック作品読破としては、この評判芳しからざる
長大な作を読むか否か、悩むところではある。
298 名前:ミステリ板住人 ◆0FE6khB7i2 投稿日:2006/01/08(日) 19:57:19
自分はスタインベックヲタではないので、信頼出来るプロの評価を参考に
出来栄えが良い面白い作品は落とさずに読んでおきたいということだ。
167:名無しのオプ
07/02/25 14:12:38 hv37G32e
>>166
このコピペ荒らしは報告対象にはならないんだよなあw
168:名無しのオプ
07/02/25 17:06:07 6SyhF2m4
>>164
相当な教養が背景にある人が「味合う」って書くかバカ
169:名無しのオプ
07/02/25 17:35:23 hv37G32e
>>168
2ちゃんの書き込みごときでいちいち推敲なんかしないよ。
つまらんことにこだわるなアホ。
170:名無しのオプ
07/02/25 17:49:38 cr9C486V
推敲どうこうより、言葉が違っているからねぇ
あじわう なのに あじあう ってタイピングしてるわけだから。
171:名無しのオプ
07/02/25 17:57:16 puoyERpM
>>160>>164>>167>>169辺りは国内作品の感想書かないなら
出てゆけや
172:名無しのオプ
07/02/25 19:53:05 /+ri9Hp5
いちいち、つまんねえことで突っかかるな。たかが2ちゃんだ。
173:名無しのオプ
07/02/25 21:37:19 kaomQhWN
って書くと、そんなことで突っかかるなって書くなって書かれるよw
174:名無しのオプ
07/02/25 23:02:56 MXbRjrVV
ここは他人の感想にいちいち難癖をつけないと
気が済まない人がいるスレですか?
175:名無しのオプ
07/02/25 23:20:02 Tz6DDimY
1,2行くらいで言いたいことサラッといいきれよ。
スノッブ気取りたかったらブログでも開いて勝手に晒せばいい。
176:名無しのオプ
07/02/25 23:41:41 hv37G32e
>>175
読後感などその典型だよな。
177:名無しのオプ
07/02/27 23:33:20 9HDwZaOG
今までにブックオフ等で集めてあったけど、ずっとほったらかしだった島田の御手洗シリーズ等三十三冊、今日から一気に読むことにします
読みおわったらまたカキコします
とりあえず星占術からいくぜ
178:名無しのオプ
07/02/27 23:41:43 4oHsfWHU
いきなりなにかちがっているような
179:名無しのオプ
07/02/27 23:51:18 lZt/xcqP
>>177
カキコしなくていいです><
180:名無しのオプ
07/03/01 21:40:12 RuDrrIjg
試しに変換
星戦術
181:名無しのオプ
07/03/07 17:28:14 PLntUhxt
陳舜臣『神戸異人館事件帖』(徳間文庫1979→1986)【5.5点】
一見普通の事件だがその真相にはこういうウラがあったんだよ、
というのを老人になったオキゲン・ヤン
オキゲンさん、ヤンさんの日中コンビの短篇集。
昭和初期の神戸を舞台に起こった大小の事件の真相とは。
一見普通の事件だがその真相にはこういうウラがあったんだよ、
というのを老人になったオキゲン・ヤンが絵解きをするというもの。
ただ、本格推理とみるには伏線があまり張られていなく、意外性も希薄。
戦前の背景として軍部やスパイも出てくるが、ミステリとしてはうーむ。
182:名無しのオプ
07/03/07 19:48:12 ZdJj7swY
>>181
張り倒していいか?
183:読後感
07/03/07 22:10:19 cjcPi1n7
「奈良―紀州殺人周遊ルート」高柳芳夫(徳間書店)
自作の映画化作品の撮影現場を見学していた推理作家・朝見。
彼の目の前で女優が小道具の短剣を身体に突き刺した。
しかしそれは本物だった! 一体誰が摩り替えたのか?
この事件を皮切りに関係者が次々と謎の死を遂げていく。
怪我をした女優に頼られた朝見は連続殺人が起きていると睨むが―。
久々某スレからのセレクト。やっぱ装丁画と言えば辰巳より村山だよね。
面白かったです。伏線もバッチリでどんでん返しもハマってます。
新本格の只中でキオミスもやるもんだろ、と見せ付けた感じ。
人間消失トリックは容易に見当がつくけど密室トリックは中々
シンプルイズベストを表せていたと思います。
ただ(メル欄)についての説明が無かったのが残念。
あとこのタイトルで映画化はないだろーと。
それから日ソ作家同盟って本当にあったの?
今はどうなってるんでしょうか。
184:読後感
07/03/10 02:37:45 igxoBoW7
「もう一人の乗客」草野唯雄(光文社)
男は死んでいた。女はその場から逃げ去った。雨の中拾った
タクシーは見知らぬ男との相乗り。しかもその後事故を起こし
新聞沙汰になってしまう。お陰で婚約は破談となり更に殺人容疑
まで……。女の姉は疑いを晴らすため相乗りの相手を捜そうとする。
某スレからのセレクト。掴みは抜群なのだがそこがピークだったな。
「女相続人」でも思ったがこの人は話を引き延ばし過ぎ。
仕込みが少な過ぎとも言えるが。このネタだけで長編は支えられないよ。
解明シーンもダメダメ。唯一評価出来るのはロマンスがあるとこか?
185:名無しのオプ
07/03/10 15:57:58 lGl17zF6
『夏の夜会』 西澤保彦 光文社文庫
冒頭から何回も繰り返されるように
この作品中では記憶は不確実で不明瞭
そして恣意性を持っているという設定。
出てくるデータは全て嘘ではないものの
100%信用する事は出来ない。
そんな中で読者が真相を推理するのは恐らく無理であろう。
だが提出された情報と、作中の雰囲気・流れから
最終的な着地を経験・直感で何となく予想は出来てしまうかも。
これは少し残念である。
どうせならもう少しアンフェアに
もう少し描写を省いて最後の衝撃が欲しかった。
(提出の仕方とその精度を考えれば
フェアプレイを目指す(事の出来る)作品でないように思う)
その場合物語的盛り上がりを少し失うかもしれんが
それでも最後の衝撃が欲しいと思うのは
まぁ新本格好きの悪い所かもしれません。
季刊誌で4回連載されていたらしい。
1話の引きは見事。2話の小技とどんでん返しも見事。
3話のベロベロに酔った登場人物も見事。
最終話の筆の置き方も見事。
この作品最大の弱点は登場人物の名前。
解説の人はそれすら褒めていたが、そこは同意できんなぁ。
普通の名前をですね、お願いしたいです。
おすすめします。
186:書斎魔神 ◆qGkOQLdVas
07/03/10 16:49:25 qVBKgUKO
笹沢左保「どんでん返し」を読んだ。
あとがきによれば、意図されたもではないとのことだが、地の文は一切無し会話体のみで
構成された異色ミステリ集である。
格別に面白い作はなく、「木枯し紋次郎」「無宿人御子神の丈吉」等の股旅もので
その情景描写の巧みさをもって知られる作者にとっては、みずから得意手のひとつを
封じてしまったやにも思えるが、
さすがに稀代のストーリーテラーだけあって、登場人物の会話の中に情景がおのずから
浮かび上がって来るかのような展開に関しては見事である。
「影の訪問者」の深夜のマンション、「霧」の湖畔の情景等々…
80年代初頭、幼稚なミスオタが続々と乱入する以前、ミステリが大人の読物で
あった時代の刊行であった。
187:名無しのオプ
07/03/14 00:17:56 e96xUo1F
都築道夫『七十五羽の烏』(1972→1980、角川文庫)【6点】
いい加減な理由で探偵事務所を営む物部太郎の元に若い女性の依頼人。
目撃すると不幸が起こるという滝夜叉姫の怨霊を伯父が見たというのだが・・
茨城の旧家を舞台に起こる殺人事件の顛末。
都築の筆致のせいか道具立ての割にはおどろおどろしさもなく、
伏線とかフェアプレイではあるのだが、真相は正直物足りない。
事件の展開も平板で、評判が高い割には楽しめなかった。
都築とか佐野洋とか、「スマートな推理小説」とは相性悪いのかしらん。
188:名無しのオプ
07/03/14 01:10:31 5hVp17w7
>都築とか佐野洋とか、「スマートな推理小説」とは相性悪いのかしらん。
たしかに“都筑”とは相性悪そうだなw
189:名無しのオプ
07/03/14 01:24:03 e96xUo1F
都筑先生ごめんなさい。
190:名無しのオプ
07/03/14 02:41:22 w4hPycN7
ユルス
191:読後感
07/03/15 18:00:27 vHBsHjEw
「異郷の帆」多岐川恭(講談社)
長崎出島でオランダ商人が殺された。現場は彼の部屋で、
事件当時は多数の訪問者が推定されており、その中にはハーフの
美女お幸も含まれていた。彼女に思いを寄せる青年通詞浦恒助は
同僚や出島の顔役が絡む痴情のもつれや密輸に関係しているのでは
と睨むが……。
「出島を密室に仕立てた」とかで期待して読んだけどイマイチ。
印象的な謎が提示されないし解明部もダメダメ。真相に関する
伏線はもっと大胆なものが欲しかったと思う。
ただ時代小説としては良いと思う。ラストも心地よい。
昔長崎に住んでいたことがあるけど懐かしさは感じられず。
出島は原形を止めてないしなぁ。
192:あらすじごめん
07/03/17 19:32:30 0zI6z7Mm
三津田信三 『厭魅の如き憑くもの』(原書房、2006)【7点】
小説家刀城は、憑き物筋と祓い家との対立が残る、神々櫛村に赴く。
村のあちこちに祀られる「カカシ様」。祓ったモノを流す暗い川。
神隠しの言い伝えの残る村に起こる連続殺人事件!
都筑のあっさり系が物足りず、こってり系に挑戦。
第二弾の『凶鳥~』読んでいたんである程度は覚悟していたが、
読みにくいことおびただしい。見取り図がなく人物関係が難解なのも一因だが、
要するに文章がドヘタなのである。正直何回も投げ出しそうになった。
文章自体のレベルで言えば加賀美雅之以下だが、最後まで読んで評価一変。
前例のある仕掛けだが、これはスゴイ。ただ総合的に評価すると、
やはり読みにくすぎるのは大きなマイナス。
真相【9点】文章【3点】雰囲気【7.5点】というところか。
193:名無しのオプ
07/03/18 10:36:30 vNlYcaxG
自治スレで、最近多発している、書斎に対して最悪板、あり板からコピペしてレスする荒らしを、
運営側に報告することを検討しています
コピペを迷惑だと思う人は参加してください
194:名無しのオプ
07/03/18 15:10:21 ymgDl8ik
>>192
三津田は小説の文章がとにかく下手なんだよなあ……
編集者、企画人としては優秀なんだが。
195:名無しのオプ
07/03/18 16:29:20 8daxtPgz
三津田って編集者なの?
正直、あの文章力で他の作家の校正が出来るのか心配・・・
196:名無しのオプ
07/03/18 19:42:14 QISMAr3I
校正はそれで専門家がやるもの
197:名無しのオプ
07/03/18 21:30:56 gmoEiKbc
校正は誤字脱字、慣用句の使い方の間違い、記述された事実の正否などを
チェックするので、言葉の誤用のほかは文章そのものを直すことはふつうありません。
198:195
07/03/18 21:47:10 8daxtPgz
ああ、そうなんだ。ども。
でも編集者って、担当の作家の原稿読んでおかしいとこは
指摘したりしないのかな。
二階堂とかの小説読むと明らかにおかしいのにそのままってことは、
編集者もあえて指摘しないんですかね。
199:名無しのオプ
07/03/19 00:09:11 ha1ENZLQ
晩餐は「檻」の中で
っていう作品呼んだ方いますか?
200:名無しのオプ
07/03/19 02:49:09 JjrifmWg
関田涙のスレに行ったほうがいいのでは・・・
201:名無しのオプ
07/03/19 08:04:45 Yu0h0bpu
>>198
三津田は編集者というより企画人。これに関しては確かに優れる。
あと、他人の文章の粗が良く見える=本人の文章が上手い、ではない。
ついでに二階堂の場合は編集者がどうこう言うとそれに文句言いそう。
202:あらすじごめん
07/03/19 18:25:27 JjrifmWg
道尾秀介『片目の猿』(新潮社、2007)【8点】
特技の盗み聴きを活かし、探偵事務所ファントムを経営する三梨。
ある楽器メーカーから産業スパイ調査の依頼を受ける。そして調査中、
対象企業での殺人を聴いてしまう。一方、新たにスカウトしたサングラスの女性が、
どうにも不審な行動をとり始め・・・・
絶好調の道尾秀介の長篇ミステリ。ケータイ配信という媒体もあってか語り口は
軽妙で、登場人物もこれまでになくキテレツ。オビには「大技・小技炸裂」とあるが、
小技をいくつも積み重ねて読者を幻惑する。全部見破るのは確かに困難。
『シャドウ』などに較べると騙され快感度は低いが、リーダビリティの高さと、
巧みな伏線を評価したい。
(メール)に関するある真相は不要な気もするが、まあ本筋から目をそらすための
レッドヘリング的なものか。道尾版『めぞん一刻』(違うか)。
203:名無しのオプ
07/03/19 19:01:55 lEeRisUS
>>202
あらすじと感想の長さがほぼ同じってどうなのよ
204:あらすじごめん
07/03/19 20:45:53 JjrifmWg
二階堂黎人編『新・本格推理07 Qの悲劇』(光文社文庫、2007)【7点】
おなじみの公募形式本格推理短篇集。
本作は9本収録+二階堂選評。SF物や異世界物、歴史物までなかなか
バラエティに富んでおり、拙いものもあるが値段分は十分楽しめる。
印象に残ったのは「くるまれて」「ホワットダニットパズル」「イルクの秋」。
ただ「本格なのでトリック重視で採用」とか明言しておいて、
「トリックが凡庸」と評する作品を採用するなど、首尾一貫しない
採用基準は健在。このほかにも二階堂氏の選評は「お前が言うな」と
突っ込みたくなるものが多いが、そこはお約束としてスルーすべきか。
205:あらすじごめん
07/03/24 04:14:52 BgolPGM1
逢坂剛『禿鷹の夜』(2000→2003、文春文庫)【7.5点】
神宮署生活安全課の悪徳警部補・禿富鷹秋(禿鷹)は、渋六興業と癒着するうちに
南米マフィアのヒットマンに命を狙われることになる。追いつ追われつの
騙し合い・殺し合いの果てに禿鷹をまつ運命とは。シリーズ第一弾。
とりあえず容赦のない性格の禿鷹をはじめ、渋六興業のヤクザたちの
キャラクターがいい。いまどき珍しいほど任侠肌の組長、唯一大学卒の野田、
役所浩司似の水間、ファッションセンス最悪の組長の娘などが、禿鷹の毒を
薄めてくれている。ストーリーはシンプルであり、逢坂剛お得意のサプライズも
やや控え目。だがそれだけに読後の禿鷹の印象は強い。
それにしても禿鷹以上に容赦がないのは逢坂剛・・・
206:書斎魔神 ◆qGkOQLdVas
07/03/24 20:05:22 CGoXEoTv
氏家幹人「かたき討ち」を読んだ。
期待以上に面白かった新書新刊であった。
仇討ちものは、冒険・サスペンス(巻き込まれ型の一変種と言い得る)の要素がある
うえに、ミステリ的な予想外の展開を遂げるものも多く、
私自身、池波正太郎、菊池寛、直木三十五等の仇討ち小説を読み耽った時期があるが、
正直言うて、本書に収録されたエピソードには、上記した小説の手練たちの作以上の
面白さに富むものが多く一読巻を置かせぬほどである。
先妻が後妻を襲撃する「うわなり打」、
自分が腹を切ることにより敵をも切腹に追い込む「さし腹」、
遺族への特権であった「太刀取」、そしてこれぞ物語の宝庫とも言い得る「衆道敵討」、
「おんな敵討」等々…
時代性の違いがあるとはいえ、美少年との性的交渉を要求してその親のもとにまで
押し掛ける武家の少年たちのエピ(これが後の騒動の起因となる)に、
元祖2ちゃんねらーとも称すべきDQNぶりを見るのは、ひとり私だけではないはずである。
仇討ちという凄惨な面があるテーマにもかかわらず、飄々とした著者の語りは暗さを
感じさせないのも読物としてはグッド。
207:名無しのオプ
07/03/25 12:43:34 fvbcJd8X
>>206
相変わらず全ての本がミステリーに見えるんだね。
文学というものを全く理解していない証拠だよ。
208:あらすじごめん
07/03/26 13:41:00 MRRXTZ2x
『小説すばる』4月号<総力!今どきのミステリー特集>【7点】
道尾秀介「隠れ鬼」【7点】 この作家、どんどん上手くなるなあ。
逢坂 剛「おれたちの街」【6点】 ユーモアもの。ネタは平凡だが読んでて楽しい
井上夢人「あした絵」【5.5点】 これはミステリーなのかなあ
泡坂妻夫「五節句」【5点】 ベテラン作家の小ネタ
麻耶雄嵩「こうもり」【8点】 マヤは短篇でも手を抜かない
田中啓文「あくびの稽古」【7点】あるロジックを評価して
西村 健「鉄砲玉哀歌」【6点】ダジャレかよ!
伊岡 瞬「十二歳の冤罪」【7点】ありきたりだがラストの余韻を買って
門井慶喜「架空の風景」【6点】シャレかよ!
鏑木 蓮「雲へ歩む」【6.5点】文章は読みやすくなったがネタを詰め込みすぎ
総じて新鋭の作品がおもしろかった。あと、東野・黒川対談、大沢・福井・亀山鼎談、
北村・法月対談など、どれも楽しめる。馳の短篇は某兄妹事件を見て思いついたのか。
盛りだくさんの内容で、870円というお値段分は楽しめました。
209:あらすじごめん
07/03/27 05:20:11 5AcX1hGO
高田崇史『QED 鬼の城伝説』(講談社ノベルス、2005)【6点】
岡山の旧家鬼之辺家には、鳴ると当主が不幸になるという釜がある。
先々代・先代の死に続き、三度なる釜。そして言い伝えどおり、
首を切断された当主の死体が密室状態の土蔵で発見され・・・
タタル&ナナのシリーズ。初期は歴史ネタにも力をいれていたが、
最近は薄味で物足りない。その代わり文章がよみやすくなり、
無理に殺人事件と結びつけないある意味開き直った姿勢が、
テンポよく物語を読ませる。しかし二人の仲がまったく進展しとらん。
ただ、以前の作中で述べた歴史薀蓄は簡単に流されており、
シリーズ順に読んだ方がよいようだ。
210:名無しのオプ
07/03/28 10:40:51 oRGFZpUU
友達から薦められて綾辻行人「十角館の殺人」を読みました。
推理小説は初めてなのですが一気に読んでしまいました。
皆さんは読むとき人物相関図みたいなものを書きながら読むのでしょうか?
読んでるうちに「このひと、どんなひとだったけ」ってなって戻ったりしてしまいます。
それとも何冊か読んでるうちに慣れていくのでしょうか?
211:名無しのオプ
07/03/28 11:09:14 tRgaWxUc
>>210
ごめんね、そういう話題はスレ違いだと思うの。
第十五ミステリー板雑談所兼質問所
スレリンク(mystery板)
初心者もミステリーの世界に入りたい!【第5夜】
スレリンク(mystery板)
ここは淡々と読んだ本を報告するスレなので、上二つのどちらかで聞いてみてください。
212:名無しのオプ
07/03/29 10:26:09 7MSSg8jd
桜庭一樹 『赤朽葉家の伝説』 読了。
面白いなぁ。と思った部分もあるが、
ミステリが読みたいと思って読んでいたので
ちょっとどうにもなかなか・・・
と言うのも最後30%くらいまでミステリの匂いはほぼしないのだ。
謎は被害者探しという面白いものであるが
解決に至る一点を隠すために二段組200頁以上使って
伏線とダミーをばら撒くってのは何か不毛に思える。(そして真相はかなり地味なのだ)
勿論別にそういうためだけに200頁尽くしたわけではないだろう。
しかしそうなると最後に振って沸いたように出てくる
ミステリ要素は必要だったのか?浮いてないかな?
こういうの読むと自分は貧しい読者だなぁと少し落ち込む。
装丁は内容に実にマッチしていて美しい。
いい本なのだとは思うけど、
嘘臭いゲーム的な登場人物が駒のように扱われる本格が
大好きな俺が読む本ではなかったように思います。
213:名無しのオプ
07/03/29 16:42:09 JV5H6iLP
>>212
そうなんか。
二階堂黎人が絶賛してたから、コテコテ本格(旧家とか伝説とか密室)の
本だと思ってた。
214:名無しのオプ
07/03/29 17:30:04 wtmpQosQ
>>213
>旧家とか伝説
この二つはばっちり。
ただ、カー的な密室や驚愕の叙述トリックがあるわけではない。
215:名無しのオプ
07/03/29 18:20:18 AMJnz1vX
まあもともとミステリ作家じゃないしね。
216:名無しのオプ
07/03/29 19:06:50 81W+MQzZ
>>213
別に二階堂もコテコテの本格とは言ってなかったぞ
むしろ文学として褒めてた
217:名無しのオプ
07/03/29 19:10:18 D08znYCJ
>>212
ラノベ作家にミステリを期待するなよ
218:名無しのオプ
07/03/30 12:04:06 KnDbW0VS
日本ミステリー大賞新人賞「海のパッサカリア」・・・
つまらないし、文章絶賛されてるけどかなり読みずらい。
場面転換とか時系列の整理が下手なので、すごく読むほうが
頭を使わされる感じ。裏稼業の描写がゴルゴやシティーハンターを
超えてないし・・・
219:書斎魔神 ◆qGkOQLdVas
07/03/31 14:36:30 EVa8w31t
黒木亮「巨大投資銀行 バルジブラケット」を読んだ。
「再生巨流」に関する論考でも指摘しておいたことだが、
現代における冒険小説の「形」は本書のような専門知識に裏打ちされた
経済冒険小説とでも称すべきものしかないのではなかろうかと思う。
最早、大海原や険峻な山岳といった大自然を背景にした作品は、
オールドファッションとした感があり、また、ソ連を中心とした共産圏の解体、
戦争のハイテク化等により、従来の戦争冒険小説やスパイ小説は成立し難く
なって来ているのは良く知られたところである。
本作は、通俗的な経済小説にありがちな色事(なにしろ女性に関する詳細な描写さえ
ない)や陰謀といった創りものめいた要素は一切捨象され、本筋の80年代バブル期
から90年代平成不況の金融情勢をビビッドに描くと共に、そこに生きるディーリングに賭ける3人の男たちの日々の冒険、
これに伴う挫折と再生を描いたリーマン・ロマンとでも言えるものである。
作者がこれでもかこれでもかと書き込んで来る金融取引の専門知識は、
エンタメとして見た場合は、いささか辟易とさせられぬでもないが、
(金融業界志望の大学生にテキスト的に読まれているとも聞く)
先日逝去された城山三郎先生が本格的に開拓された経済小説の久々の本流とも
言い得る作である。
この板には、本書で書かれている金融に関する知識を十分に理解出来る者は存在
しないが、前半部分のポイントを成すアービトラージ(裁定取引)くらいは、
しっかりと理解しておきたいものである。
220:書斎魔神 ◆qGkOQLdVas
07/03/31 14:37:16 EVa8w31t
面白いのは、メーンキャラ3人中では、一番地味なコース(東海銀行ならぬ東都銀行から
モルガン・スタンレーならぬモルガン・スペンサー、以後もリーマンとしての金融マンの
道を歩む)桂木英一の人生に大きく頁数が割かれ、主人公となっていることである。
作家によっては、外資トレーディング部門のヘッドで資産形成しスピンオフ、
独立へとひた走る時代の風雲児的存在である竜神宗一や同じく外資系証券会社の
資本市場部ディレクターを経て独立、悠々自適の道を進む藤崎清治といった
キャラ立ちし易い人物を主に持って来たいところであろうが、
彼らはあくまで桂木との対比で描かれているに過ぎない。
このあたりは金融界での実務経験が長い作者の人間観が覗えるようでいて面白いものが
ある。
221:名無しのオプ
07/03/31 15:24:13 eM43TPU4
>>216
二階堂は頭だけじゃなくて文学にも明るいからね
222:名無しのオプ
07/03/31 16:24:05 kuZ1aQ3r
二階堂はミステリ以外に言及すると結構良いこと書くよ
223:名無しのオプ
07/03/31 18:21:45 F4wRv7DJ
ミステリよりも海外SFと文学全集に入ってる主流文学を読んでるほうがずっと好きな人だから
224:名無しのオプ
07/03/31 19:26:51 zFaFwPLy
>>219
突っ込みどころが多すぎて…
まあ一言で言えば、
今頃この程度の認識なのかよ
225:名無しのオプ
07/04/01 12:23:49 s5bkmefy
ネジ式ザゼツキー読みオワタ
面白かった!
しかもなぜか途中でジーンときた。良いね。
226:名無しのオプ
07/04/06 22:48:45 qd8Sh8b1
高橋克彦『写楽殺人事件』(講談社文庫、1983→1986)【8.5点】
謎の浮世絵師写楽を研究する津田良平は、古書市で入手した画集に、
「東洲斎写楽改近松昌栄」という落款を見て驚愕する。知人の冴子と
秋田に赴き近松の調査をする津田だが、学会の派閥抗争に巻き込まれ・・・
乱歩賞受賞作。
ふたたび「写楽=阿波能役者斉藤十郎兵衛」説が固まった現在、
「写楽=秋田蘭画絵師」説をキモとする本書を再読。大勢出てくる研究者や
美術商の書き分けが弱いとか、殺人事件がつけたしっぽいのはマイナスだが、
津田の写楽別人説は、やっぱりスリリングでおもしろい。
今後の津田の運命を思うと泣けてくる・・・・゚・(ノД`)・゚・。
227:名無しのオプ
07/04/07 00:34:22 8EKkWXh+
惨いよな…>今後の津田
228:名無しのオプ
07/04/07 01:38:29 ujyES7e4
高橋克彦『北斎殺人事件』(講談社文庫、1986→1990)【9点】
著名画廊の依頼で「北斎=幕府隠密」説に取り組む津田良平。
フェノロサ・岡倉天心の箱書をもつ北斎の埋もれた大作が発見され、
一方ボストンでは日本人の貧乏老画家の遺体が発見される。
果たして北斎の作品は真作なのか? ボストンの殺人事件との関係は?
日本推理作家協会賞受賞作。
北斎隠密説の論証は実に手に汗握る。北斎の経済状況やその家系、人脈の解明など、
本当に北斎は隠密だったのではないかと錯覚するほど。ボストンの
殺人事件もうまく北斎の謎と結びついており、またキャラクターもうまく立っている。
ラストがちょいとセンチメンタルに過ぎるが、これは傑作。
中学日本史ていどの幕末の人名・事件の知識があれば、誰もが楽しめるはず。
>>227 しかし嗚呼、津田・・・・゚・(ノД`)・゚・。
229:名無しのオプ
07/04/07 19:38:27 oZFOOD+O
> 749 名前:書斎魔神 ◆qGkOQLdVas 投稿日:2006/11/04(土) 20:40:34 ID:TVo8a471
> 尾崎紅葉「金色夜叉」を読んだ。
> 芝居や映画でおなじみ寛一&お宮のストーリーだが、
> 原作は先の展開が読めないサスペンス小説として読むことが可能。
> 土曜の晩に「たったひとつの恋」とか見ながら、「身分違いの恋キター!」とか喜んでいる
> アホなミスヲタ連中にこそ読ませたい大衆文学の古典的作品と言い得よう。
ミス板でこの本を取り上げ、ミステリーとして読めると主張するからには、
ミステリーとして評価しなければ何の意味もないのにそれができない。
これが論点を定められないという論者として致命的な欠点だということに気付いていないのかな?
あともう一つ。親方は
「プロの読み手が推薦する本だけを読む」それ以外の作品を読むような奴はヲタと呼ばれる恥ずべき人間だ」
というのが持論の筈なのに、
よりによって『金色夜叉』を読むとは傑作だw
識者wの意見は
「尾崎紅葉の読むべき作品は他にある。『金色夜叉』はミーハーの読むもの」
なのにw
230:名無しのオプ
07/04/07 20:11:19 y0WC5yiA
【都知事選】浅野史郎氏、志同じならと民団に支援を要請
スレリンク(news4plus板)%33990/
東京都の人は、ぜひ読んでみてください。
現在、朝鮮総連や民団その他の反日団体が、総がかりで浅野を応援しています。
浅野が知事になれば、たぶん東京は終了します。
231:名無しのオプ
07/04/08 00:11:25 uprUNzN8
ミステリーランド 上遠野浩平「酸素は鏡に映らない」読了。
ミステリーとしてはすごい伏線があるわけでもなく、普通の冒険ものでした。
つーか、ミステリーランドシリーズは乙一と上遠野しか読んでないが、
子供向けということもあって、ミステリー成分は薄めなのかな?
話としては、主人公の少年とその姉と俳優くずれのご近所探索を主軸にして、
・作中作のヒーローアニメ「無限戦士ゼロサンダー」
・主人公と酸素さんとの公園での会話
がところどころに挿入され、ストーリーを盛り上げたり補完したりする。
大きな話の一部を切り取ったという感じで、
メインの物語自体は、少年の成長、挫折からの復活を持って完結するが、
全体の話としては未解決の伏線を多々残して終了する。
あとの話はブギーシリーズなどでやるみたい。
上遠野節とブギーの世界を理解した人でないとほとんど理解できない内容になっ
てるので、ミステリーランド的にどうなんだろう。
ちなみにミスヲタだけどラノベ読みな私は、p221の
「君と、とりとめのない話をして、なんとなく楽しかった……それだけだ。」
で、パンドラ以来久々に上遠野節にうるっとなってしまった。
とりあえずp126,127の酸素さんとぬこに萌えるであります。
232:名無しのオプ
07/04/08 02:37:15 Zvrkvxan
高橋克彦『広重殺人事件』(講談社文庫、1989→1992)【9点】
東北の天童市で発見された“天童広重”と、浮世絵師広重の絵日記。
謎に包まれる広重の東北行は、何を目的としたものだったのか。
津田良平・塔馬双太郎が広重の死に挑む。シリーズ三部作完結篇。
写楽・北斎に較べると扱う歴史的事件も若干マイナーとなるが、
ロジックの冴えは相変わらず。しかし本書の中心は、冒頭で津田に
降りかかるあるショッキングな事件、およびこれまで学界の旧弊や
美術商の贋作に振り回されてきた津田が行ったある行動であり、
人間ドラマとしても秀逸。とくに三部作を順に読んできた読者は、
涙なくしては読めない。高橋克彦の「甘ちゃん気質」が成功した稀有な例。
シリーズとしての評価は【10点】。歴史ミステリー好き必読の三部作。
津田、もういい。もういいんだよ・・・・゚・(ノД`)・゚・。
233:名無しのオプ
07/04/08 02:47:31 JdMwcNiB
>>231
>つーか、ミステリーランドシリーズは乙一と上遠野しか読んでないが、
>子供向けということもあって、ミステリー成分は薄めなのかな?
2冊しか読んでないのに物凄く勝手な思い込みだな。
ミステリーランド何冊刊行されているか知ってる?
とはいえね、本格っぽいのは確かに少ない。
でも読んで楽しい作品が多いから、まずはもっと読んでみてください。
かつて子供だったあなたと少年少女のためのー
234:231
07/04/08 03:18:07 uprUNzN8
>2冊しか読んでないのに物凄く勝手な思い込みだな。
>
疑問形の意味、知ってるか?
2冊だけ読んで断言するほど馬鹿じゃないさ。
>本格っぽいのは確かに少ない。
>
>でも読んで楽しい作品が多いから、まずはもっと読んでみてください。
>
そうなのか。参考になった。
小野不由美やら殊能将之やら、読みたいのはたんまりある。
もうちょい安ければ、買いまくりたいぐらいだ。
とりあえず次は麻耶たんの「神様ゲーム」にチャレンジしてみるよ。
235:名無しのオプ
07/04/08 03:25:02 JdMwcNiB
神様ゲームは危険だぞ。
まあ麻耶たんのファンなら問題無いが。というかお勧めなのだが。
ジョブナイルでこれはなあ~という麻耶たんらしい毒にまみれた作品だ。
楽しんでくれぃ!
236:名無しのオプ
07/04/08 05:47:54 L8+i5Glc
>>232
あかん、思い出し泣きしそう…自分も久々に再読しよっかな…
237:名無しのオプ
07/04/10 13:55:46 /msGhZDS
ちょっと前に流行った「泣けるフラッシュ」の、
「ウォーキング(?)」だっけ。
あれ思い出す。誰か貼ってくれ。
238:あらすじごめん
07/04/11 00:31:15 Pc0b5/Ql
高田崇史『QED ventus 御霊将門』(講談社ノベルス、2006)【4.5点】
桑原・奈々・沙織の将門ツアー。
せっかくおいしい素材を用いながら、単なる観光ツアー展開で終わっているのが
残念。直前に高橋克彦の浮世絵三部作読んでいただけに、
高田の「セリフによる歴史事象の説明」の拙さに辟易。
ミステリ的要素も一応あるが、まったく本筋とは無関係。
239:あらすじごめん
07/04/11 00:46:26 Pc0b5/Ql
萩原浩『噂』(2002→2007、新潮文庫)【8点】
渋谷の女子高生の間で流行る都市伝説、女の足首を切断する“レイン・マン”。
香水の新ブランドの販売作戦のひとつだったはずだが、それをなぞるかのような殺人事件が・・・
レイン・マンの正体は誰なのか?
荻原のは『オロロ畑』しか読んでいないんだが、これはおもしろかった。
やもめ+女子高生の父親である刑事木暮のキャラほか、キャラの設定は
ありがちなんだが、女警部補との捜査はコミカルかつ軽妙で、ぐいぐい読める。
オビにある「(メール)」は余計だったなあ。あれで展開が読めてしまった。
240:あぼーん
あぼーん
あぼーん
241:あらすじごめん
07/04/14 00:26:39 NXgLGjtw
高橋克彦『北斎の罪』(1990→1993、講談社文庫)【7.5点】
トンデモ・ホラー・浮世絵・本格がごちゃまぜになった短篇集。
『竜の柩』のプロローグ的短篇も収録されており、ある意味、
高橋克彦のすべてが味わえる。飛び抜けた傑作はないが、どれも楽しめる。
ただし、トンデモ系は好き嫌い分かれるだろうなあ。自分は大好きなんだけど。
242:あらすじごめん
07/04/14 23:14:14 NXgLGjtw
佐藤正午『Y』(1998→2001、ハルキ文庫)【7点】
ある日、「私」にかかってきた電話。相手は親友だというが覚えはない。
そしてその男から渡された莫大な金額の預金通帳とフロッピー。
そのフロッピーには時間遡行をしたという男の不思議な物語が記されていた。
タイムトラベル+恋愛もの。
物語の雰囲気は東野圭吾『パラレルワールド・ラブストーリー』に似ているが、
人物関係が多少ねじまがっていて筋が複雑である。しかも要のヒロインが
あまり魅力的でなく、「こんな女のために・・」と何度も思ってしまった。
(リアルといえばリアルだが)。文章自体はすっきりしていて読みやすく、表現も上手い。
243:名無しのオプ
07/04/17 22:43:49 UF8YpvCS
鯨統一郎「マグレと都市伝説」
こんなに大笑いしたミステリは初めてだ。
毎度のどんでんもポイント高し。
244:あらすじごめん
07/04/18 00:47:29 vjl8rkr0
垣根涼介『ワイルド・ソウル』(幻冬舎、2003)【8.5点】
戦後の日本政府の無謀な国策により未開の南米に送られた棄民たち。
地獄のような経験を経て生き延びた4人が、現代日本に復讐する。
第一章の衛藤ら棄民たちの苦難は実に重いテーマであるが、第二章以降の
「計画」のパートは実にスピーディーかつスリリング。中心人物ケイの
キャラが、物語を爽快なものとしており、暗いテーマを扱いながらも
基本はエンターテインメント。最後の2割くらいで文章が雑というかちょっと
違和感のある文体になるが、そこがちょいと残念。
あと、もうちょっと「復讐」をスケールの大きいものにしたほうが良かったような気もするが、
一気読みの快作。
245:名無しのオプ
07/04/19 09:17:51 QMoZS+C8
「ソウルケイジ」誉田哲也 読了
「ストロベリーナイト」でシリーズ物にしたいのだろうなと、予測はできていた。
しかし、この内容なら全くシリーズ物にする意味がわからん。
主人公と、その仲間が同じというだけで、どこにも生かされていない。
物語も主人公だけでなく登場人物の視点で描かれていくため、それぞれが事件を勝手に説明していき、
謎が、まったく謎でも何でもない状態になっている。
ただ淡々と物語が進んでいくのである。
ミステリー、警察物を読んでいく上での楽しさ、ドキドキワクワク感がない。
これは致命的。
「ストロベリーナイト」でもオチに行くまでの課程がミエミエだったが、それはそれである程度読ませたし、評判になったが
これは話題にも上がらないだろうね。
246:あらすじごめん
07/04/19 16:15:35 IWSZztkN
野沢尚『リミット』(1998→2001、講談社文庫)【7点】
頻発する幼児連続誘拐事件。特殊捜査班の有働公子は被害者宅で
誘拐犯らと折衝するかたわら、自らも誘拐事件に巻き込まれる。
身内のはずの警察組織も敵に回し、息子を助けるために公子がとった手段とは。
作者が脚本家という先入観をのぞいても、あまりに「ドラマチック」な展開。
「絵になる」舞台・シーンを念頭において執筆してるなあと思う。
犯人グループに誰一人同情すべき人間がおらず、また後味が悪い。
読者に嫌悪感を催させるという作者の筆致はさすがだが、
重い中にも爽快感のあった『ワイルド・ソウル』とは逆。
有働公子が超人すぎるという気もするが、まあ「母性」のなせるわざと納得。
ただ、ラストの「あれ」はリアリティとしてどうなんだろうなあ。
247:名無しのオプ
07/04/19 16:32:39 QMoZS+C8
何でワイルド・ソウルが出てくるのか不明
248:あらすじごめん
07/04/19 16:53:58 IWSZztkN
ごめん、直前に読んだから。
確かに較べる意味はないよね。
249:書斎魔神 ◆qGkOQLdVas
07/04/21 22:37:12 lZCiCDwJ
里見弴「極楽とんぼ他一篇」を読んだ。
志賀直哉、武者小路実篤、実兄の有島武郎ら他の白樺派の作家と比較すれば、
娯楽性がある大衆小説的な書き手として知られる作者であるが、
「多情仏心」と並ぶ代表作とされている表題作は、
同窓で主人公の義弟でもある安藤可阿児の発狂の謎、これに関連する安藤姉弟の母の死
(なんとその名は「安藤みき」(w )、総領息子謙一に対するテロ…
ミステリな事件が続出しながら、痛快なまでにスルーされてゆくのが面白く、
極楽とんぼと称された吉井市蔵の生涯を描き切ってしまう。
(ここが「文学」の凄味である)
密室とか怪事件とか言うて喜んでいるミスオタに、まさに突き付けて読ませたい作
であり、本作を一読したオタはミステリ如きに耽溺している自己のむなしい人生に
ついて一考するやもしれぬ。
作者は、作中に記す。(謙一テロに関して)
「迷宮入りの推理を得手とする作家もあることゆえ、そのうち週刊雑誌でお目にかかる折
もあろうか。筆者にはさらに興味がないし、事実これ以上のことは知らない。」と。
併録された「かね」は、これもまた里見氏でなければ書き得ないと言うてよい飄々とした
クライムノベル・ピカレスクロマン(?)である。
「一生の間に、何かひと仕事し残さなくては駄目だ。死ぬ前に、ああ、俺も、
あれだけのことをしたんだからと思えば、ほんとうに、にッこり笑って死ねる。
残念ながら、俺には、それがないのだ…」
父が今際の際に残したこの言葉を胸に奉公先での拐帯行為を繰り返す他吉…
小品ながら、読み応え十分なものがある。
250:名無しのオプ
07/04/21 23:07:32 OK73C0Qo
>>249
> 里見弴「極楽とんぼ他一篇」を読んだ。
俺は里見弴は好きだからとっくの昔に読んでいるのだが、
『極楽とんぼ』のどこがミステリーなんだ?
何でもかんでもミステリー見えてしまう重度のミスヲタには困ったもんだ。
> ミステリ如きに耽溺している自己のむなしい人生
ミステリー板ばっかりに粘着している己の人生を見つめてみれば?
文学板にはちょこっと顔出したと思ったらすぐ消えるが、
ミス板は長期間過疎ったスレでも誰かがレスするとすぐさま飛んでくるくらい
毎日毎日徹底的にチェックしているほどの重症の ミ ス ヲ タ 人生をさ。
251:名無しのオプ
07/04/22 02:00:59 IIEMVyzT
東野圭吾『手紙』(2003→2006、文春文庫)【8点】
強盗殺人で服役中の兄を持つ直貴。恋愛、音楽、就職、結婚・・・・
人生の様々な場面でその現実を突きつけられた彼が最後にとった手段とは。
加害者の家族を正面から描いた作品だが、シンプルというか真っ正直な展開に
ちょっと意外な思いがした。兄貴からの暢気な手紙にいらだつ直貴の感情や、
周囲の反応もよく解る。救いのあるようなないような終盤の展開も含め、
東野のいつもの技量が冴える佳作。
252:書斎魔神 ◆qGkOQLdVas
07/04/22 21:23:40 IxkkfcXh
黒木亮「アジアの隼」を読んだ。
前に紹介した「巨大投資銀行」以上に経済冒険小説の色彩が濃い作、
本作で描かれた金融ディール、巨大プロジェクト受注合戦等は、
まさに「現代の冒険」と呼ぶにふさわしいものがあるやに思う。
メーンな舞台は、ドイモイ政策による投資ブームに沸く90年代前半のベトナム、
関連して触れられるマレーシアのマハティール首相と巨大ヘッジファンドの
頭首ジョージ・ソロスとの通貨防衛を巡る対立等は、
今でも記憶に新しいところではあるが、既に5年前の作であり、全体的に見ると時代背景が古くなっているのはこのジャンルの作の避け得ないものであろう。
日本長期債券銀行(無論、モデルは長信銀の方)ベトナム支社長の真理戸、
香港の新興証券会社ペレグリンの債券部長リー(韓国系アメリカ人)、
米大手銀行ハノーバー・トラストのシン(ポートピープルだったベトナム人)、
キャリアが異なるこの3人のアジア人がメーンキャラとなるが、
いずれも挫折への道を辿るのが異色な展開か。
(ただし、人間ドラマとしての基本線は勧善懲悪、ハッピーエンドで締められているが)
ただし、ベトナムを中心とした風俗描写は作品に厚みを与えるものとなっている
ものの、後の「巨大投資銀行」では極力抑制されるラブフェアに筆を割き過ぎなのは
難である。この辺は、まだ従来の通俗的な企業ものの域を脱していなかったという感が
ある。
253:名無しのオプ
07/04/23 21:14:22 dB0J8GNk
「火蛾」古泉迦十
第十七回のメフィスト賞受賞作品を今さら読了。
イスラム教を絡めたミステリというのが新鮮で面白かったです。
密室殺人の部分が全体から浮いていて、むしろ不必要じゃないかという
気はしましたけど、奇怪な事件を綺麗に収束させていて感心しました。
早く第二作を出してほしいんだけど・・・もう無理なのかな・・・。
254:名無しのオプ
07/04/24 22:45:10 5LV/mpEB
大阪圭吉『とむらい機関車』(2001、創元文庫)【8点】
1930年代に発表された短篇9篇+随想。
アレ系真相のはしりであろう「とむらい機関車」、
陰鬱な鉱山での密室状況での殺人事件の顛末を描いた「坑鬼」が双璧。
寝る前に一篇づつじっくり味わって読むべき短篇集。
255:名無しのオプ
07/04/26 21:22:26 P0JeKPSd
「くらのかみ」小野不由美
ミステリーランドの一作。
子供向けだと思ってナメてかかったら、かなり複雑なパズラーで面食らう。
いっぺんに容疑者が登場して混乱するし、細かいタイムスケジュールと
にらめっこしながら読む羽目になるとは思わなかった・・・。
児童文学な雰囲気や、可愛げのない主人公の子供たちが良い感じ。
欲を言えば、もう少し”お蔵様”が目立ってほしかったかな。
256:書斎魔神 ◆qGkOQLdVas
07/04/30 14:49:03 93/+5Y2O
石川淳「至福千年」を読んだ。
乞食・非人を決起させ、江戸に千年王国を実現せんとするカルト集団の暗躍を
メーンとした伝奇時代冒険小説であり、
その内容もあって岩波とは思えぬ差別用語満載な娯楽性も強い作である。
まあ、評価し難い作ではあるが、読んでみろ。
257:名無しのオプ
07/04/30 16:09:32 Rt/WnRbI
真保裕一『ダイスをころがせ!』(上下、2002→2005、新潮文庫)【8.5点】
失職し妻子と別居する健一郎は、高校時代の友人天知から衆院選出馬の
手助けを依頼される。健一郎は、自分の失職と市の不正の関連に気づき、
天知の秘書として奮戦する。34歳中途半端男の再チャレンジ青春小説。
選挙戦の戦略とか、建設業界の不正とかも重要な要素だが、読みどころは
34歳というある程度先の見通しがつく年齢で、人生のやり残しを模索する
健一郎たちのドラマ。まるで高校時代の「文化祭」のように同級生の選挙を
手助けするスタッフの友情がいい。
物語の締めくくりも、ああいう風にするしかなかったのであろうが、
サキという女性の描き方に若干の不満はある。
それでも読後に爽快感と、自分ももうちょっとがんばろうかなと思わせる快作。
258:名無しのオプ
07/05/01 20:38:05 CDbx0ErX
「北列車連殺行」阿井渉介
とある有名な題材に見立てた連続殺人事件。
テレビドラマの脚本家という前歴のためか文章がかなり無機質。ドラマの脚本でも
読んでる気分になる。
連続殺人で見立てた題材、動機などでユニークだと思える点はあるものの、無理を
しすぎていて全体が破綻している。なんだかジョー・スタンプみたいな感じ。
ついでに登場人物がどいつもこいつも攻撃的で、あまり親近感が持てなかったのも
個人的にはきつかった。
259:名無しのオプ
07/05/03 20:46:14 MesBlbIA
「結婚って何さ」笹沢左保
笹沢左保の初期長編。
いきなり殺人事件に巻き込まれた女主人公が、身の潔白を証明する
ために真相を究明する・・・というお話。
ちょっと都合よく話が進みすぎる気がするけど、サスペンスフルな
展開で読ませる内容だし、密室状態の部屋に死体が出現するという
謎の真相も面白かった。
260:名無しのオプ
07/05/04 23:30:26 9pKhxBq0
荒山徹『十兵衛両断』(2003→2005、新潮文庫)【7.5点】
柳生一門と朝鮮からの刺客との対決を描いた連作中篇集。
表題作は、朝鮮の陰陽師の妖術ノッカラノウムによって、肉体を韓人に
奪われた十兵衛三厳の苦難の物語(正直これが一番出来がよくない)。
続く「柳生外道剣」「陰陽師坂崎出羽守」「太閤呪殺陣」はいずれも
妖術は馬鹿馬鹿しいが、これはおもしろい。
秀吉の朝鮮出兵を絡めた朝鮮と柳生との対決は、鉱脈を掘り当てた気がする。
(隆慶一郎+山田風太郎)÷3といったところか。ただ、隆の小説のように
すがすがしい男が一人もいないのは残念。すべてが「恨」のキャラなのはいかがか。
「侠」のキャラも見たい。あるいは柳生友景がそういう位置づけなのかな。
続篇に大いに期待。
261:名無しのオプ
07/05/05 20:08:31 VP3T5l+c
北森鴻『緋友禅 旗師・冬狐堂』(2003→2006、文春文庫)【7点】
旗師冬狐堂こと宇佐美陶子の連作集。
短篇の名手である作者お得意の古物系美術品ミステリ。
個人的には本格推理として読める「永久笑み」の少女がおもしろかった。
262:名無しのオプ
07/05/08 20:26:52 /8whgHHe
「真昼に別れるのはいや」笹沢左保
兄の死に異変を感じ、妹が事件の真相究明の乗り出す・・・という話。
いわゆるアリバイ物なんですが、容疑者からのアリバイ提出方法がかなりユニークで
自分は類例を知りません。少なくとも、ここだけは一読の価値があると思います。
あと動機も面白い。とある伏線から、こういう風に繋げるものかと感心しました。
残念なのは、それらに比べてアリバイトリックが貧弱すぎることでしょうか。
263:名無しのオプ
07/05/09 20:41:32 E6rz/udM
「六色金神殺人事件」藤岡真
雪で閉ざされた東北の田舎を舞台に、古史「六色金神伝紀」に見立てた
連続殺人事件が発生する・・・という話。
文章がゴタゴタしてますし、解決編でも整理が中途半端なまま突き進んで
いくので少し読みにくい作品だったのですが、ページを繰りなおしてみると
各所にダブルミーニングやミスディレクションが仕掛けられているのだと
わかって、その巧みさに驚きました。
ただ、アレがアレでしたというところだけがスッキリしない感じ。
きっちり落とし前をつけてくれていたら大傑作になんですけど・・・。
264:名無しのオプ
07/05/10 10:59:13 E4v3AplR
「探偵実話」(1957年4月特別号)
「愛欲情炎実話特集号」と銘打ってあった故か、エロ本の棚に100円で
紛れ込んでいた(エロ本を探していて見つけた訳には非ずw)。まあ
目次を見ても、「娘を姦殺される凶悪漢」「売春婦・克子の反抗」「スカ
ートをはいたお巡りさん-生理休暇の巻」といった調子ですから・・・。
で、どうしてこんな雑誌に、鮎川哲也「りら荘事件」が連載されたのだ
ろう?本号では、管理人の奥さんが殺され、彼女が持っていた紙片に
書かれた電話番号を探るべく、由木刑事が東京に向かっている頃、りら
荘に新しいキザな客が現れて・・・、という辺りが掲載されていました。
この新しいキザな客って、星影龍三でしたっけ?もう十数年も前に読ん
だきりだから忘れてしまった・・・。
あと、鷲尾三郎の短編「影を持つ女」があって期待したけど三流スリラー。
社長夫人の過去を知る脅迫者が現れて、という良くあるパターン。ピス
トルのすり替えに、ちょっとトリッキーな味があっただけ。その他、朝山
蜻一「夜の扮装」はゲイの三角関係の殺人だが駄作、牧竜介「少女の眼」
は特異な視力を持つ少女が暗闇の中、父親殺しの犯人を目撃する話。後味
悪いことこの上なし。須田京子「川底」は犯罪実話で三流週刊誌ネタ。
黒岩姫太郎「贋者綺譚」は俳優が旅行先で自分を名乗るニセ者に遭って
・・・。オチは読めた。
むしろ、ストリッパーの巡業一座の愛欲にまみれた復讐を描いた、永田
政雄「窖地獄」が、俗悪極まる内容だけど、物凄い迫力があり面白かった。
265:名無しのオプ
07/05/10 22:38:46 kr11Ejiu
北山猛邦のギロチン城殺人事件読みました
この作家の本は初めてだったんだけど、トリック一本勝負って感じだね
犯人とか動機とかどうでもいいという姿勢なのかなと思った
その肝心のパズル的トリックはなかなかよかったし、登場人物など記号だと言わんばかりの安易なネーミングも潔くていい
ただ探偵がどうやってトリックを解いたか等々一読しただけでは理解しにくい点も多々あった
266:名無しのオプ
07/05/10 22:52:56 8yKl/ZNZ
>>265
アリスミラー城も読んどけ
267:名無しのオプ
07/05/10 23:09:18 cWc9MsQV
>>260
スレ違い
荒山スレで思う存分感想を語ってくれ
268:書斎魔神 ◆qGkOQLdVas
07/05/12 14:57:36 Xpw0m/FF
>エロ本を探していて見つけた訳には非ずw
なんかしょうもない奴が紛れ込んでいるな(w
黒木亮「トップ・レフト ウォール街の鷲を撃て」を読んだ。
私がこの著者の作品を手にするのは、
先に紹介した「巨大投資銀行」「アジアの隼」に続いて3冊目となるが、
本作がデビュー作である。
既に金融経済情報満載ではあるが、後の「巨大投資銀行」あたりと比較すると、
登場人物たちの恋愛、情事、家庭事情等に筆が割かれており、通俗的な経済小説と
しての面が強く出ているのはデビュー作ゆえの「小説」としての配慮であろうか。
ゆえに、終盤の今西夫妻と龍花の恋人道子との偶然の出会いといった臭過ぎるシーン
まであったりするわけである。
物語は、トルコ・トミタ自動車(どう見てもトヨタだが)の巨大融資を巡る主幹事
(これがタイトルの「トップ・レフト」である)獲得を目指す邦銀と米投資銀行の
攻防を描いたものであり、ここに金融界のM&A、ヘッジファンドの投機等が
絡んで来る。
今、読んでもそれなりに読み応えがある経済冒険小説と言うてよいが、
NYのツインタワーの登場、最終章で簡単に触れられている邦銀のグループ化の状況等
を見ると、刊行当時(2000年末)には最新の情報読物でもあったであろう本書に
描かれた世界にも隔世の感がある。
269:書斎魔神 ◆qGkOQLdVas
07/05/12 14:59:25 Xpw0m/FF
興味がある者も多いかと思うので、ここで私のGW中の読書記録とでもいったものを紹介
しておく。
・黒木亮「トップ・レフト」 前記
・ 石川淳「至福千年」 紹介済み。格別面白くもないが奇妙な感がある作であった。
・ 江藤淳・松浦玲編「勝海舟 氷川清話」 何度読んでも面白い勝翁の正に『清話』。
・ 薄田泣菫「茶話」 気軽に読める実話小噺集といった趣の作なのが良し。
・ 里見弴「多情仏心」 前述した「極楽とんぼ」と並ぶ里見長編の代表作だが、
やや冗長な面があるのが難か。
なお、海外作品に関しては別スレを熟読のこと。心して読め!
270:名無しのオプ
07/05/12 15:32:35 JWHr4caL
逢坂剛『配達される女』(2000→2004、集英社文庫)【7点】
御茶ノ水署生活安全課の斉木&梢田コンビの短篇集第二弾。
解説にあるように「軽ハードボイルド」と呼べばいいのかな、
とりあえずオッサン二人の軽妙な掛け合いや、行き当たりばったりの
捜査が楽しい。「才媛」こと五本松のキャラもいい。ミステリ的ひねりは
少ないが、表題作の意表をついた展開など、
逢坂らしい展開が随所にみられて飽きない。第一弾は読んでないけど面白かった。
271:名無しのオプ
07/05/12 16:59:27 JWHr4caL
逢坂剛『無防備都市 禿鷹の夜Ⅱ』(2002→2005、文春文庫)【8点】
神宮署生活安全課の警部補禿富鷹秋の長篇第二弾。渋谷を縄張りとする
南米マフィア系・悪徳警官とハゲタカとの対決を描く。
前作と異なり、ヒットマンよりも悪徳警官との対決がメインとなるが、
ストーリー的には同じ構造。しかし暴力シーンはやはり手に汗握る。
前作より少し大人し目になったような気もするが、まだまだ冷酷無比な
ハゲタカの非道ぶりが痛快。ハゲタカに降り回される渋六興業の面々の方が
よほど善人に見える。水間&野田コンビも相変わらずいい味出してる。
272:名無しのオプ
07/05/15 18:56:37 tyT5Sv6Q
歌野晶午 『密室殺人ゲーム王手飛車取り』
連作短編集みたいな趣であった。面白かった。
特にQ3、Q5、Q7が面白かった。
しかしタイトルはもう少し何とかならなかったのかね。
273:名無しのオプ
07/05/16 17:09:05 2QN13c4z
麻耶雄嵩「蛍」
まんまと騙されました
「翼ある闇」は駄作だったがこれは素晴らしい
文章力も確実に上がっている
同じ作家の本を2冊は読んでから評価を下す、というポリシーを持ってて良かった
こんな名作と出会えたんだから
274:名無しのオプ
07/05/16 18:36:13 uy55rgJQ
>269
>興味がある者も多いかと思うので、ここで私のGW中の読書記録とでもいったものを紹介しておく。
興味なんかあるか
キモいんだよ無職ジジイ
275:名無しのオプ
07/05/16 18:51:02 oVkAxTRt
>>274
自演乙
276:書斎魔神 ◆qGkOQLdVas
07/05/19 12:20:43 ObHT19p9
野村胡堂探偵小説全集を読んだ。
短編23作(内ジュブナイル6作)、評論・エッセイ等11篇を収録したものであるが、
特筆すべき著作は見当たらず、読み上げるのが辛いものがあった。
所詮、あらえびすは現代ミステリで名を成した人ではなく、捕物帳等の時代小説の人
であったのだという点を、あらためて痛感させられる結果となったのが残念である。
あえて本書の価値を見出すとすれば、資料的な観点からのみということになろう。
縄田一男氏が、本書をGWに推す作品の1冊に挙げていたが、確かに部厚いし、
まったりと休暇中に読むには最適やもしれぬ。
ただし、これは相当に気の長い暇人であろう(w
277:名無しのオプ
07/05/19 14:13:35 5C0F5Sjr
書斎は暇人なのか?
278:名無しのオプ
07/05/19 14:38:18 6ti0YYS+
ハ,,ハ
('(゚∀゚∩_ おいらをどこかのスレに送って!
/ヽ 〈/\ お別れの時にはお土産を持たせてね!
/| ̄ ̄ ̄|.\/
| .モツ煮..|/
 ̄ ̄ ̄
現在の所持品:たばこ・ライター・コーヒー・ブラックブラック・枕・ケータイ電話・睡眠薬・聖教新聞・ダッチワイフ
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聖教新聞・ザビー・ゼクター・ブロント・コスモクリーナー・フラゲしたファミ通・単一宇宙全能能力・ヨミ
ショルダー式携帯電話・焼きそばパン・ 触手・テレビ石・ユグドラユニオン・ヾ(゚゚ω゚゚ω゚゚)ノ゙ ・一浩二・ 暴走庵
スプー・ふしぎ星の☆ふたご姫・バカ・こいつの持ち物7+8並に少なくね?・スマブラX・例のアレ・シレン・ゴリラ
ライター・コーヒー・ブラックブラック・枕・ケータイ電話エダのガム・ダッチのグラサン・外付けSCSI340MHDD
ネットランナー4月号TYG02・小嶋進社長・ゲルトモ・ディプスファンタジア・張さんの22LRバーボン・セガサターン
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パームリフト・野村胡堂探偵小説全集
279:名無しのオプ
07/05/20 09:10:31 hkkTqpp7
>>278
書斎馬人やるよw
280:名無しのオプ
07/05/20 21:42:15 EExIGFJM
野沢尚『魔笛』(2002→2004、講談社文庫)【6.5点】
新興宗教の教祖の死刑判決が下りた瞬間、渋谷で起きた無差別テロ。
刑事鳴尾は僅かな手掛かりからその実行犯の照屋礼子にたどり着くが、
なぜか公安はその情報を握りつぶす。照屋礼子とは一体何者なのか?
照屋礼子の手記という体裁をとっているため、あちこちに「私」が出てきて
物語に入りにくい。ふつうに三人称多視点で良かったと思う。
乱歩賞最終候補作の改訂だと思うが、もっと大胆に構成を変えたほうがよかった。
女が夫に殺されかかったり、刑事が獄中のその女と結婚したりというパートは
果たして必要だったのだろうか。緊張感あるドラマチックな展開はさすがだが、
ちょっと物語自体は消化不良の感じがする。
281:名無しのオプ
07/05/22 03:35:18 HsjYOdYT
垣根涼介『ヒートアイランド』(2001→2004、文春文庫)【8点】
渋谷でファイト・クラブを主宰するアキとカオル。
あるメンバーが喧嘩の結果強奪したバッグには大金が詰め込まれていた。
ヤクザ・プロの犯罪者に追われるアキたちが打った一か八かの大博打。
ストーリー自体はありふれているのだが、これはおもしろい。
とくに「計画」が動き出す後半三分の一のスリルとアクションは一気読み。
アキとカオル以外のメンバーの書き分けが若干弱いのと、チンピラの
リュウイチが見せ場らしい見せ場もなく退場するのはもったいない気がするが、
つづく「ワイルド・ソウル」に共通する爽快感と疾走感にあふれた物語。
282:名無しのオプ
07/05/25 16:16:01 pQqRqoxT
『三年坂 火の夢』 早瀬乱
行方不明の父を探し、「三年坂で転んだ」という謎の言葉を残して死んだ帝大生の兄
「兄に何があったのか?そして三年坂とは?」
一高入学を目指して上京し、兄の痕跡を追う弟、実之
雑誌編集者から奇妙な依頼を受ける予備校講師メッキ。東京には発火点が何ヶ所かあるという
そしてその発火点に同時に火をつければ東京は炎上するという
同僚の講師、立原とともに発火点を探すメッキ
この2人のストーリーが交互に語られ、「三年坂」の謎が徐々に明かになっていく
明治維新後の東京を舞台にした変わったミステリーという感じ
東京で三年坂を探しながらもだんだん挫折していく受験生実之の苦悩とか、青春ものの要素もある
また、読んでいて島田荘司の火刑都市あたりの江戸・東京論とかを思い出した
今後、メッキを探偵役にした続編を書いていく予定があるのかもしれない
下宿の女中トキの「ごじゃります」に萌えた
283:読後感
07/05/26 18:30:06 iU/2ZjmB
「そして犯人もいなくなった」司城志朗(立風書房)
死体が歩いた!?
死亡推定現場の歩道から数メートル離れた反対側の歩道に横たわる
死体の謎。それ以降に断続的に起こる奇妙な変死事件の数々……。
それらの裏側に隠れているものとは―?
久々某スレからのセレクト。戦後から新本格以前までのベスト3に
入る傑作らしいと聞き楽しみに読んだが……イマイチ期待外れ。
中盤で明らかになる大きなネタを前半で中途半端に開示しているから
台無し。もっと巧くぼかせるのに不手際だとしか思えない。
まあ、その後どんでん返しがあったりして飽きることは無かったけれども。
284:読後感
07/05/26 18:49:26 iU/2ZjmB
「The unseen 見えない精霊」林泰広(光文社)
伝説の大シャーマンをカメラに収めるべくインドの奥地へ向かった
「僕」は、現地で凄腕の同業者ウィザードの姿を目撃する。
しかし、その直後に出会った老婆は彼は死んだと言う。
そして老婆によって呼び出されたウィザードの霊は摩訶不思議な
物語を語り始める……。
一時期局地的盛り上がりを見せた本作も読んでみれば余りパッとせず
当時知らなかったのもむべなるかなといった感じ。
全ては一つのトリックのために存在しており、そのための展開の
持って行き方が強引で不自然だしインドの雰囲気も皆無に近い。
そこは推薦人である泡坂妻夫と同じくマジシャン作家の特徴と思って
割り切ればいいんだけど、このトリックがまた切れ味が鈍いの。
一応伏線もあるし様々な謎が一発で解ける快感は担保してるけど
どうしても非現実的に思われて仕方がない。
「塀の角で転校生とぶつかる」みたいに良く聞くが有り得ない類のもの。
やるなら短編までかなぁ。
285:書斎魔神 ◆qGkOQLdVas
07/05/26 22:33:08 mtsLK7Na
野上弥生子「海神丸」を読んだ。
野上作品の代表作にして、日本文学史上に残るドキュメント・ノヴェルの佳作、
漂流文学の傑作であり、鬼気迫る海洋冒険小説として読むことが可能な作でもある。
くだらない密室ネタやライト・ノヴェルで盛り上がっているミスオタにこそ突き付けて
読ませたい1作であり、ふやけた精神に火箸を当てられたような覚醒効果があるかと思う。
本編と付録である『海神丸』後日談を読み比べて1番面白く思うたのは、
救助船に発見された時に、海神丸の船員たちは本編では普段着とされているのに対して、
事実は、後生着(正確にはgo shore着であるが、場にいっそ適した言葉として
あえて残す旨を記した作者のカッコ書きが挿入されている)なる一張羅の銘仙を着込んで
いたこと、まさに「事実は小説よりも奇なり」の小さなひとつの例として面白いものがある。
286:名無しのオプ
07/05/28 01:39:38 tKPqyJm1
重松清『流星ワゴン』(2002→2005、講談社文庫)【8.5点】
自分はリストラで退職、息子は家庭内暴力、妻は不倫、父親は危篤。
駅前のベンチで「もう死んでもいいかな」と中年男「僕」の前に現れたワゴンには、
交通事故で死んだ橋本さん親子が乗っていた。3人の深夜のドライブの結末は。
初重松。時間旅行+家族の絆をテーマにしたよくあるストーリーと思いきや、
何気ない描写や小道具の使い方が達者で、物語に没頭した。とくにチュウさんと
「僕」の会話や意地の張り合いは、読んでいて何度もうんうんと頷き、笑った。
読み終わって元気が出る。今さらだろうが、かなりよい物語。
287:書斎魔神 ◆qGkOQLdVas
07/06/03 14:48:05 hBypIYhd
新田次郎「蒼氷・神々の岸壁」を読んだ。
俺は、新潮文庫と文春文庫でこの作者の作品集を読み漁った時期
(現在よりも刊行点数が多かった)があるが、
HMCの識者のひとり曰く「新田氏は山上の松本清張である」という評は
まさに言い得て妙である。
4作を収録した本作品集は、表題作は、前者は冨士山頂の気象観測所をメーンな舞台とし、
後者はロッククライマーを主人公とした、いずれもリアルな描写が光る冒険小説として
読める作に仕上がっている。
「疲労凍死」は遭難死を巡る山岳ミステリ、「怪獣」はホラータッチの作である。
いずれも恋愛絡み(「怪獣」は相当過去のエピであるが)、この点が俺の新田文学渉猟期と
でも称すべき時期に本作品集をオミットし、今日まで未読であった因である。
ストイックに徹した「強力伝」(直木賞受賞作)から新田作品に親しんだ者としては、
山岳小説に下界の俗、かつ、甘過ぎる要素を物語のメーンに持ち込んで欲しくないと
いう個人的気分が強いのである。
288:名無しのオプ
07/06/04 08:12:03 2JnJxbCZ
>>287
またもやホモマゾクラブとやらを持ち出す。下品だなあ。
289:名無しのオプ
07/06/05 17:25:29 TGIv71RJ
>>283
読後感さま、某スレの>3です。
その作品を紹介しましたが、ご期待に添えず残念です。が、
>戦後から新本格以前までのベスト3に
>入る傑作らしい
は勘違いですよ。某スレで色々紹介した後に、本作を未紹介の
うちでは切り札、隠し玉になる傑作、として紹介しただけで、
確か評価は★★★★☆でしたっけ?
当然、★5つの満点の作品は他に幾つもあるので、ベスト3と
いうことはないです。
290:読後感
07/06/08 11:03:27 fV9Gqgno
>>289
や、ご指摘の通りでした。訂正します。
291:名無しのオプ
07/06/14 20:20:51 ZiLd84wP
タイムカプセル 折原一
ブコフで300円だったんで購入した。なるほど、300円だ。
いろんな意味でがっかりした一冊。この人は、もっと人を喰った様な話が書ける人だと思ってただけに残念。
292:名無しのオプ
07/06/14 22:53:00 SIp77U1O
小杉健治『裁かれる判事 越後出雲崎の女』
(1987→1992、集英社文庫)【7点】
堅物の判事である義兄が、被告人の妻の殺した容疑で逮捕。
杉原早紀は義兄を救うべく、アリバイを証明してくれるはずの赤いコートの
女を捜し出そうとするが、容易にその存在は見つからず・・・
某スレよりのセレクト。
2時間サスペンスのような内容だが、適度にあっさりとした文章で読みやすい。
分厚い人間ドラマを期待する人にはおすすめできないが、肩のこらない読書、
適度なサプライズが効いている。個人的には作者の熱意が空回りしていた
『土俵を走る殺意』よりも楽しめた。
293:名無しのオプ
07/06/14 22:58:56 SIp77U1O
小川勝己『彼岸の奴隷』(2001→2004、角川文庫)【7.5点】
誰一人まともなキャラが出てこないミステリー小説。
スゴイことはスゴイが読んでていやーな気分になった。
おもしろかったけど。
294:読後感
07/06/17 10:30:56 2618Aeqw
「赤朽葉家の伝説」桜庭一樹(東京創元社)
製鉄で財を成した山陰地方の旧家・赤朽葉家の女性たちを
三代に渡って描く年代記。
「とてつもない傑作」(北上次郎)とか推協賞受賞とか聞いて
あのラノベ作家がどんな傑作をものしたのかと期待に股間を
膨らませて読んだ。……が、期待外れだったよぅ。なんつーか、
浅いというか嘘臭いというか……。
赤黒の対比、出目金との関係、ニートの捜査など安っぽくて
非現実的な要素が多く、年代記という重厚なスタイルにそぐわない。
「初期の代表作を」ということで書かれたらしいがそれがまず
無理があったと思う。代表作かどうかなんて後にならんと判らんし。
器は事前に用意出来ても中身はそうは行かないからね。
殊に酷いのは第二部の母親の生き様。全て嘘臭い。こりゃ何だ。
舐めてんのか?ファミ通じゃねえぞ。特に職業とか笑うしかない。
笑えないけど。「ラノベ脳全開でお送りしております」とテロップでも
流しとけ。
あと腹立つのは詰まらんオリジナル設定。ぶくぷく茶とか字を見る度
軽くイラっと来る。
何だこの狸が化けたみたいなネーミングは?
北杜夫からパクったのか?
創作するにしてももっと表意的な名前にしろよと。
他にも燃やしたら供養しに来る草とか。もう名前も思い出せんわ。
久城君でも立ち読みしながら舌打ちするだろうよ。
「確かに推理小説では初めて読んだよ。ただしラノベでは嫌と
言うほど読んだことがある。ラノベなんて低俗な小説を読んだ
ことのない評論家は騙せるかも知れないが俺は騙されねえよ。
GOSICKを毎巻読んでたからな」
295:読後感
07/06/17 10:33:45 2618Aeqw
ろよと。
他にも燃やしたら供養しに来る草とか。もう名前も思い出せんわ。
久城君でも立ち読みしながら舌打ちするだろうよ。
「確かに推理小説では初めて読んだよ。ただしラノベでは嫌と
言うほど読んだことがある。ラノベなんて低俗な小説を読んだ
ことのない評論家は騙せるかも知れないが俺は騙されねえよ。
GOSICKを毎巻読んでたからな」
296:読後感
07/06/17 10:34:51 2618Aeqw
二重投稿失礼しました。
297:名無しのオプ
07/06/17 10:39:33 LxnJc5J7
落ち着けw
余程合わなかったのか。
良い点も書いて欲しかったな。
298:読後感
07/06/17 10:43:22 2618Aeqw
良い点は読み進め易い点でしょうか。
299:名無しのオプ
07/06/17 10:48:19 /M0DmyGc
>何だこの狸が化けたみたいなネーミングは?
>北杜夫からパクったのか?
これは酷い・・・
気に入らなかったら気に入らなかったで、もっと冷静に感想書けよ
下品な批判だけの、ヒステリックな感想なんて参考にも何にもならない
300:名無しのオプ
07/06/17 11:27:49 QbpW1rAH
最後のはシュノーせんせのパロかw
301:名無しのオプ
07/06/17 15:12:21 e5CHniYW
もう読後感は書斎と同レベルだな……何様だよこいつ
302:名無しのオプ
07/06/17 15:21:25 3/vvbt5Z
ほっとけ
俺は読んだ作品に一々文句付けだしたあたりからNGにしてる
303:名無しのオプ
07/06/17 17:58:46 2CgLSVH4
>>301
読まずに感想書いてる書斎と一緒にしたら可愛そうだろw
304:書斎魔神 ◆qGkOQLdVas
07/06/17 21:35:55 UoYJ4+oK
田中貴子「検定絶対不合格教科書古文」を読んだ。
あとがきに、この著者がミステリ好きである旨がさらっと記されているが、
さもありなん、教科書に採用されることが多い古文を文学的に読み解いた
第1部「教科書を読み直す」は、まさにミステリの「謎解き」そのものである。
「宇治拾遺物語」の「児のそら寝」に僧と児の性愛関係を読み取り、
「平家物語」の「木曾の最期」の義仲と今井四郎に「うほっ」を見る等々。
また、明治時代の子規の「仰臥漫録」から古代まで遡って古文を読んでゆく
第2部「教科書には載らない古文を読む」も非常に面白い趣向であった。
惜しまれるのは、およそ「教科書」の名にふさわしくない著者の現行教科書批判等が
展開されている第3部「論説編―国語教科書の古文、ここがヘン!」である。
いかにも本書版元(朝日新聞社)らしいものがあり、著者が最も書きたかった部分でも
あろうかと思うが、1部、2部と比較した場合の内容的違和感は大きい。
2部までの280頁でもボリューム的には十分であるし、3部の内容はあとがき等で
軽く論及する程度にして欲しかったものである。
また、こうした方が古文の楽しさを伝えるいう著者の意図には、
より沿う形と成り得たのではなかろうかと思う。
305:書斎魔神 ◆qGkOQLdVas
07/06/17 21:39:00 UoYJ4+oK
稲垣恭子「女学生と女学校」を読んだ。
女学校という存在そのものが、現代ではまさに「ミステリ」と言い得る面があるが、
明治時代に端を発する旧制高等女学校は、現代の女子校とは異質に見えて、
そこに現代の女子学生の諸形態の原型を見ることが出来るのが面白い。
腐女子(第1章「文学少女」)、百合(第2章「女学生の手紙の世界」)
ヤリマン等(第3章「堕落女学生・不良少女・モダンガ-ル」)、
お嬢(第4章「ミッション女学生」)、そして現代の多数の女子校や短大にも
見て取れるであろう現象(終章 「軽薄な知」の系譜)。
元祖JKに対する興味本位ではなくして、現代歴史書として手に取ってみるべき書と
言い得る。
野上弥生子「大石良雄」を読んだ。
表題作は、大石内蔵助こと大石良雄(「よしたか」と読む)が、
句や庭を愛する風流人として生きることが許されず、
吉良邸討ち入り決行へと追い詰められてゆく過程が、
妻子(妻の名が「くり」となっている)や同志等周囲の人々との絡みで描かれてゆく
心理サスペンス・ミステリ風の作であり、短い作ながら読み応え十分。
併録された作者晩年の作「笛」は、母子家庭を材にし、戦後の庶民生活を活写した
アットホームな市井小説と見えながら、ショッキングなラストを迎える。
タイトルが効いて来る締めの淡々とした一文も印象的な作。
「人間」というものが何ら描けていないくだらない新書・文庫ミステリに耽溺している
ミスオタよ、悔い改め、心して読め!
306:名無しのオプ
07/06/17 22:32:14 xDuC1ANM
>>301
何でもミステリにしちゃう書斎と一緒にしたら可愛そうだろw
307:名無しのオプ
07/06/17 22:44:17 GngvvmCb
>>306
何でもミステリにしてるかどうかともかく、感想の内容はもう完全に同レベルだよ
308:名無しのオプ
07/06/18 00:03:59 AC6Fe8LO
>>304-305
こいつは謎解きやらサスペンスやらがあれば「ミステリ」と思い込むんだろうけどさ、
こういう何でもミステリーに見える重度のミスヲタって、傍から見てるとキモいよなw
309:名無しのオプ
07/06/18 00:08:19 AC6Fe8LO
スレッド絞込み遊びその1: 感想スレを「読み応え」で絞り込んでみよう
310:名無しのオプ
07/06/18 02:22:51 hKfWUWqk
小杉健治『崖』(1989→1992、講談社文庫)【7.5点】
数年前に行方不明となった男の白骨死体が発見された直後、
被害者の妻の現夫が自宅で焼死した。刑事たちは妻の周辺を洗うが、
証拠は見つからない。謎めく妻の過去。そして事件の真相とは・・・
登場人物の性格が途中で変わったりするなど、人物設定がイイカゲンなのは
いただけないが、事件の真相はちょっと予想外で驚いた。
簡潔かつ場面転換の早い文章を、テンポがいいと評価するか書き込みが浅いと
するかは評価の分かれるところだが、個人的には楽しい読書だった。
89年だと大長篇は無理な時代かもしれないが、もうちょっと書き込んだら
かなりおもしろい作品になったはず。ブッコフの100円コーナーででよく見かける。
311:名無しのオプ
07/06/18 02:32:48 hKfWUWqk
大沢在昌『氷の森』(1989→1992、講談社文庫)【7点】
私立探偵緒方は政治家の依頼で、行方不明になった女子大生を捜索。
女子大生と一緒にいた若者に殴り込みをかけられるが、事件は殺人事件に一転。
緒方はヤクザの追跡をかわしつつ、背後に見え隠れする謎の存在に立ち向かうが・・・
『新宿鮫』の原点として評価が高いらしいが、やはりサメには及ばない。
真相が明らかになり、事件に一本線が通ったときの爽快感にやや欠けるというか。
キャラクターもいまひとつ型どおりで印象に残る人物がいないのも残念だが、
文章の妙な迫力と泥臭さは、最近の大沢にはない魅力。
312:名無しのオプ
07/06/18 05:49:49 9Q7deA0J
鯨統一郎『北京原人の日』
5点
銀座の通りのど真ん中に落下してきた軍服姿の老人のポケットには
北京原人の化石の一部が入っていた。
たまたま落下地点に居合わせた主人公の経済的に困窮しているカメラマンの青年は
この事件をスクープにして名を売ろうと考えるが事件は思い掛けない展開へ。。。
太平洋戦争直前の北京原人の化石紛失という実話をもとにした歴史ミステリーの
一種かと思って期待すると肩透かしを食わされる。
以下、気になった点。
・北京原人そのものの謎は前半でちょっと触れられるだけで、
それが主要テーマではないせいか後半では言及されなくなってしまう点。
面白い仮説を出しておいてミスディレクションの積もりだったのだろうか。
・北京原人の化石紛失の謎が現代の事件の背景にあるのだが、その紛失の
理由(事件の動機)は太平洋戦争の謎にも関わるのだが、荒唐無稽過ぎ。
・登場人物の描写が雑なので誰にも感情移入できないし、
初めは各々打算で結びついていた主人公達にいつの間にか本当の仲間意識が
芽生える辺りの展開が安易。
・主人公が絶体絶命のピンチに陥ると決まって助けが入るご都合主義。
・文章(地の文・会話文とも)が雑。これは主人公の人格が軽薄なので
わざとなのかもね。
とにかく作者がテーマをうまく料理できず消化不良を起こしている感がある。
313:312
07/06/18 10:12:34 9Q7deA0J
ちょっと訂正
登場人物の描写が雑なので→登場人物の造形が雑なので
314:名無しのオプ
07/06/18 10:19:44 9Q7deA0J
>>294
ブクブク茶というのは沖縄の伝統的な茶として実在するんだが。
315:名無しのオプ
07/06/18 11:07:07 6nHSQFsp
本ではぷくぷく茶じゃなかったっけ?モデルには違いないだろうけど。
316:読後感
07/06/18 17:59:19 Aq1G6tuX
「水車館の殺人」綾辻行人(講談社)
人里離れた山奥に立つ異形の館・水車館。そこに住むのは
白いマスクで顔を隠した男と一歩も外を出ずに育った彼の若い妻。
そして今年もあの日がやって来る。唯一館に客人を迎える日が。
去年は忌まわしい連続殺人が起こった。そして今年もまた……。
やられたなあ。何で解んなかったんだろ。本当オーソドックスな
仕掛けだったのに。ここんとこ本格を読んでないから鈍ったのかしら?
いやだわ。
追伸 由良三郎っていいやつ!
317:名無しのオプ
07/06/21 11:10:38 7AoIWtUT
>鈍ったのかしら?
何言ってるのこいつ。
確かに書斎レベルになったな。
318:名無しのオプ
07/06/21 15:04:16 NG/Glba6
もう触るな。
こうなったら治らない。
319:名無しのオプ
07/06/21 15:32:40 zxXJKuKV
叩かれてこそ読後感て感じ
今まで寂しかったぜw
320:書斎魔神 ◆qGkOQLdVas
07/06/23 12:06:20 6mjQZZRr
原武史「鉄道ひとつばなし2」を読んだ。
著者のどこか文学的筆致が良、好評だった前作も同様だが、
本書もトラベル・ミステリファンには必読な鉄道ネタが満載である。
特に第七章(「鉄道の明日を思う」)にある「一分の盲点」は、正に「鮎の世界」そのもの。
著者は、マニアックな鉄オタにあらず、「鉄道」という交通機関を通して「文化」
を洞察するというスタンスなのが、私のような一般的な読書人にも面白く読めるもの
となっている因であろう。
今では歴史ミステリの素材足り得る第一章「天皇と東京」は、
鉄道を通して官と民の問題を取り上げており、著者の専攻が活かされた読み応えが
ある作となっている。
321:書斎魔神 ◆qGkOQLdVas
07/06/23 12:07:25 6mjQZZRr
武藤康史「旧制中学入試問題集」を読んだ。
一見、ミステリとは無縁、著者もミステリ関係の著作は皆無な慶應出身(マスター)
の評論家であるが、入手困難なものが多い旧制中学入試問題の徹底した紹介・分析
により浮かび上がって来るのは、時代の影、国家の意思といったものである。
(天皇に関する一連の国語の問題、算術の問題に頻出する戦争ネタ等々
この点には明解な記述はないものの、示唆する記述は散見される)
この辺の展開は、歴史ミステリそのものと言い得る。
なお、過去問を見ていて思うのは、合格・高得点狙いには、教科書(「尋常小学読本」等)
の熟読(教科書記載の漢字、文章からの出題が圧倒的に多い)、
過去問研究(繰り返し出題される頻出問題が多い)等が必須という受験の基本は、
今でも不変なものがあるのは、面白くもあると共に、ペーパーテストという制度の限界
をかいま見る気もした。
322:名無しのオプ
07/06/23 12:30:28 o+Sdz+6N
普通に板違いだな
削除依頼出したら通る予感
323:名無しのオプ
07/06/23 23:02:43 IbeEm7/V
>>320-321
最早「ミステリーとして読む」ことさえ止めた模様。
324:名無しのオプ
07/06/23 23:04:14 IbeEm7/V
また「読み応え」w
本の評価これしかないのか
325:名無しのオプ
07/06/24 08:59:27 UgLeLVMs
なんだかかわいそうになってくるよなw
326:名無しのオプ
07/06/24 16:32:48 r0sUjV6K
>>324
言い回しで叩くのは止めたが良いよ
じゃあ他の人がそれ使ったら荒らしなのかってことになる
327:名無しのオプ
07/06/24 17:12:30 5g5MDMWu
コピペ元で反論したらいいじゃん。
それ誰がコピペしたやつだぜ。本人に言いたければ最悪板でやって。
ってかそもそも「荒らし」ということを324は言ってないんだがなw
328:書斎魔神 ◆qGkOQLdVas
07/06/24 21:33:13 TdYWdYY2
久々に森博嗣「すべてがFになる」を読んだ。
95年の執筆という点を考慮すると、バーチャル・リアリティに対する洞察や
ウィルスの問題等のいまだに難題となって事項にも言及されているのは、
作者のキャリアが活かされており、今読んでもさすがという感はある。
ただし、携帯電話が普及していない(登場人物の台詞には出て来る)等、
時代の変遷を感じさせるものはあり、現在では本作のクローズド・サークルは成立
し得ないものとなっている。
また、ミステリという観点からは、タイトルに関する謎解きが非常にわかり難いもの
であり大衆向き読物としては問題があること、機械的なトリックのスケール感と奇抜さは
ある程度評価し得るとしても、人的なトリックに関しては、
見て・調べてわからないはずがないものであり、この犯人キャラが、
なぜこんな雑な犯罪が成立し得ると考えたのか疑問を残すものとなっている。
第1作ということもあって、後にアホなミスオタを熱狂させることになる、
ワトスン役萌絵の露出は色々な面でやや抑え気味。
329:書斎魔神 ◆qGkOQLdVas
07/06/24 21:35:52 TdYWdYY2
髙木彬光「死美人劇場」を読んだ。8篇を収録。
大好評な収録作品全話講評いってみよう!!
「血ぬられた薔薇」
収録作品中で一番のボリュームながら、内容は都会スリラーといった類の作であり、
見るべきものはない。
「原子病患者」
ちょっとヤバいネタではあるが、時事(第五福竜丸事件)に絡めたトリックが巧く
決まっている。オチも妙にリアルで見事。
「恐しき馬鹿」
タイトルは2ちゃんねらーのことにあらず(w、
探偵小説に多用されるエイプリルネタである。
死体発見時の混乱した状況をもっと丁寧に描かないと説得力を持たない展開と言い得る。
「魔笛」
差別用語濫発、今ならこのままでは到底無理ぽな作。
耳なし芳一(なぜか「保一」と表記されている)風の怪談仕立てながら
殺人トリックは「刑事コロンボ」でも使用されていた近代的なものである。
ただし、笛に関するトリックはオールド・ファッション、かつ、展開そのものに無理有り過ぎである。
330:書斎魔神 ◆qGkOQLdVas
07/06/24 21:37:08 TdYWdYY2
「盲目の奇蹟」
今もあるマネービルネタ、神津探偵談には珍しい経済ネタでもある。
殺人(狙撃)トリックは、最早、「名探偵コナン」ちゅーか、「探偵学園Q」ちゅーか、
トンデモ過ぎる漫画レベルである。
「目撃者」
熱海の住宅街の夜から始まる語りは惹き込むものがあるだけに、
その後、ストーリーの肝心な部分を偶然性に頼り白けさせるのが惜しまれる。
「冥府の使者」
これも探偵小説にはありがちなアムネジアネタ。
謎の女を巡るミステリアスな出だしながら、御都合主義な展開で特に見るべきもの無し。
「死美人劇場」
表題作でありながら、出来はいまイチ感が強い。
トリックは、鮎・清張先生風だが、短編ゆえか細かくは書き込まずあっさりと
流されている。
本作も戦後の廃墟化した映画館を舞台にした怪奇探偵小説風の出だしはおもろいだけに、
その後の適当な展開が残念。
331:名無しのオプ
07/06/24 22:55:37 OHTONs+Z
今野敏『隠蔽捜査』(新潮社、2005)【8点】
都内で起こる連続殺人事件の被害者は、過去の少年犯罪者たち。
保身第一の上層部・マスコミ対策に神経をすり減らす警察庁のキャリア竜崎。
しかし家庭内でも問題が起こり、しかも現場でささやかれる被疑者の身元が・・
警察庁総務課の課長という、これまでにないキャリアを主人公に据え、
警察庁の上司や警視庁刑事局との熾烈な駆け引きを描くのがおもしろい。
焦点も「変人」竜崎の手腕の発揮ぶりと家庭問題に限定し、
連続殺人事件はあくまで材料にすぎないが、実に緊迫したストーリー展開。
続篇も出たようなので楽しみ。
332:名無しのオプ
07/06/25 08:57:48 nkcduJch
「F」って、出たのは最初だけど四作目じゃなかったっけ。
333:名無しのオプ
07/06/25 10:44:21 Ru/AybyB
確かに携帯電話がこれほど普及すると、それ以前の過去の推理小説を読むと、
「その当時の」と念頭に置いとかないと違和感はある。
昭和三十年代の推理小説で、電話そのものが、下宿人とか中流以下の家庭には
また普及していなかったのを、昭和五十年代以降に読んだ時のような。
334:名無しのオプ
07/06/25 21:05:26 alWYpwvj
高橋克彦『パンドラ・ケース よみがえる殺人』
(1988→1991、文春文庫)【8点】
最初に死んだ大学サークルのメンバーの13回忌にあわせ、集まったメンバーたち。
開かれたタイムカプセルには、干乾びた指とある事件を告発するような新聞記事が。
雪深い民宿でひとり、またひとりメンバーが殺されていく。犯人は誰なのか。
いわゆる「吹雪の山荘モノ」だが、メインは70年代に青春を送った男女の
回顧物語。たぶん作者の70年代に対する強烈な印象が原点だろう。
塔馬双太郎・チョーサク・アリサという作者のレギュラーキャラがメンバーの
中にいるので、これ以降の作品を読んだことのある読者は真相にたどりつきやすいかも。
犯行がやや綱渡り的なのと粗いのが不満だが、物悲しい終盤も含めて、水準以上の良作。
昭和は遠くなりにけり。
335:名無しのオプ
07/06/26 03:23:19 peR1r62/
多島斗志之『龍の議定書』(1985→1988、講談社文庫)【7.5点】
中華人民共和国と台湾とを和解させようとする「S2キャンペーン」。
華僑劉偉南から話しを持ち込まれた大手広告代理店の塔原は、孫文を題材に
着々と計画を進めるが、孫文狂言誘拐説やフリーメーソン暗躍説など、
次第に国際謀略に巻き込まれていく。果たして事件の真相は?
とりあえず孫文の死にまつわる仮説は興味深く読んだ。どこまでオリジナルなのかは
分からないが、作者の独創だとしたらこれは大したものだと思う。
素っ気無い文体と深みのないキャラは、このデビュー作ではややマシな方だが、
物足りなさも覚えるのは確か。また『密約幻書』や『バード・ウォーズ』のような
どんでん返しが弱いのも確かだが、まずまずの佳作。
336:名無しのオプ
07/06/29 05:03:48 Trri0FNu
>>331のレビューが面白そうだったんで読んでみたけど、
こりゃもはやミステリーじゃないな。警察小説とも言いがたい。
ある種のサスペンスはあるけど、一種の「サラリーマン小説」か、
また、若者を題材にしたのが「青春小説」なら、これは「中年小説」。
中年世代の人生というのがこの作品のメインテーマ。
337:名無しのオプ
07/06/29 09:02:57 nSlTmY91
最近のミステリを読んだことないんだろうな
338:名無しのオプ
07/06/29 09:50:52 WigZGm33
>>336の中ではミステリーという言葉が、かなり狭い範囲の作品を指すものなのでは
339:336
07/06/29 18:34:52 LtjDc+Sv
作品自体はそれなりに面白かったよ。
文章がこなれてないのと人物造形が単純なのが弱点かな。
>>331の人も言ってるように事件は単なる小道具でしかない。
主題はあくまで人間ドラマ。
社会派っぽさやサスペンスの展開は松本清張あたりを思わせないでもない。
上で警察小説とも言い難いと書いたけど、まあ現代型警察小説なのかも知れない。
340:名無しのオプ
07/06/29 21:10:19 jYEyRGv0
話題になった本で、なにを今さら
341:名無しのオプ
07/06/30 11:09:24 39Av0ymQ
お前ら人の感想にあーだこーだいちゃもん付ける暇があったら
自分の感想書けよ
342:名無しのオプ
07/06/30 11:28:44 JROSqj8e
高橋克彦『聖豹紀 バンドネオンの豹』
(1996→2000、講談社文庫)【5点】
地球征服を狙う魔人サーベル・タイガーは、アガルタの古代機械を
手に入れるためトルファンに。アガルタの戦士ジャガー、ネモらは
それを阻止しようとトルファンに集結するが、そこには恐ろしい敵が。
冒険小説「バンドネオンの豹」の続篇。
まあ、少年向けと作者が言い切っているだけあって、正義対悪の対決パターン。
それでも前作はナチスとか地底王国アガルタとか伝奇要素だけは楽しめたが、
今回はサイキックな戦闘がメインで少々退屈。いかにも少年少女向けの
ロマンスらしきものもあるが、現代の少年少女はどういう感想をもつのだろう。
343:名無しのオプ
07/06/30 17:37:57 FT5+1l5J
最近のミステリーがそんなに凄いのか?
344:名無しのオプ
07/07/01 11:29:25 4ERKdwCn
本多孝好『MISSING』(1999→2001、双葉文庫)【7.5点】
小説推理新人賞受賞作「眠りの海」ほか、死にまつわる「喪失」を
テーマとした短篇集。いわゆる「推理小説」とみた場合は物足りなく、
きわめて普通小説に近いが、広義の意味でなら、
まあミステリー小説の範疇(「瑠璃」以外)。
個人的には、老人ホームの老人が女子高生を尾行させるのはなぜか、
という「蝉の証」がいちばんおもしろかった。
345:名無しのオプ
07/07/02 02:02:50 kzqDk+Z7
海渡英祐『積木の壁』(1981→1985、徳間文庫)【6点】
経営コンサルタントを名乗り企業の調査を行う調査員岩岡。
自らの独立のきっかけとなった、ある企業の合併問題に調査を進めるうち、
恋人の紀子が何者かに殺害される。現場のマンションに残されたマッチ箱の
中のキーは? そして手帳に記された「he」「she」は何の符牒なのか?
思ったよりは古臭くないが、いかにも地味な社会派推理小説。
展開は逢坂剛の岡策モノのような感じだが、けれんはほとんどない。
トランプのクイーンやマッチ箱のキー、手帳の符牒など思わせぶりな要素は
若干あるものの、真相はきわめて拍子抜け。真犯人も予想の範囲内にとどまる。
ただ文章は読みやすく確かであるから、地に足の着いた堅実な推理小説ではある。
もっとも出てくる女がすべて主人公に好意を持つというのはいかがなものか。
346:書斎魔神 ◆qGkOQLdVas
07/07/07 23:39:13 YNTMW1dj
蘇部健一「六とん2」を読んだ。
最近「3」も刊行されたが、なぜか積読にしてしまっていた作品集。
蘇部先生らしいバカミスモードは相変わらず全開とはいえ、
「六枚のとんかつ」「動かぬ証拠」と比較すれば、展開やオチのパワーダウンは
否めないものがある。
グループA
「最後の事件」「三色パンの秘密」「甘い罠」
この3作はバカミスとしてそれなりに面白い。
最初の作はあまりにバカバカし過ぎる絵オチが笑える。
グループB
「午前一時のシンデレラ」「行列のできるパン屋さん」「姿なき目撃者」「読めない局面」
半下石シリーズの三篇だが、どれも出来は今ひとつである。
そもそも古畑風のダンディな半下石は、意外にまともな長編ミステリ向きのキャラ
なのである。
グループC
「誓いのホームラン」
モデルは元巨人の河合。泣かせる美談と見せて…ラストがなかなか効いている。
「地球最後の日?」
このラスト(絵オチ)?
「叶わぬ想い」
ビターな絵オチは良いのだが、するとそれ以前に問題が出て来る。
フェアプレー厳守とまで言わぬまでも、もう少しぼかして書く必要があるのではないか?
「きみがくれたメロディ」
正直に書くが、蘇部先生がこういうものを書いては駄目である。
347:名無しのオプ
07/07/08 00:43:21 18mnzNc2
久間防衛大臣の辞任問題が新聞紙上を賑わしている。しかし、ここまで愚かな内閣だとは思わなかった。
そもそも総理の実力もなく人選ミスばかりしている安倍首相。松岡農水相の自殺も腑に落ちないが、今回の「しょうがない」発言も国民を馬鹿にしているとしか言いようが無い。
辞任は当然であろう。
そもそも世界で唯一の核被爆国であり、核の悲惨さを訴えなければならない国の立場にあるべき防衛大臣が、なんたる無責任発言をしてしまうのだろうか。こいつも大臣の器ではないなあ。
どうみても落とした側のアメリカ側に立って物を言っているとしか思えない。アメリカは戦争を仕掛けたのは日本であり、戦争終結を早めるのには核爆弾が効果的だったと、考えているかもしれないが、
アメリカ国民は、核の悲惨さを何処まで認識しているかも疑わしく、20世紀の偉大なる発明の一つに核爆弾をリストアップしているほどだ。
またアメリカの識者までが、原子爆弾を日本に投下したことにより、戦争の犠牲者をこれ以上出すのを食い止められたと、トンチンカンなことを言っているのだ。だから日本が中心になって、
核廃絶を訴えたところでアメリカは、何処まで核問題に真剣になっているか疑問符がつくのである。
んな中で、防衛大臣という要職につく人が、被爆者遺族を逆なでするようなことを平然と言って、けして許されるものでは無いだろう。
本当に安倍内閣は瀕死の重傷と言ってしまってもいい状態である。
ところで、防衛庁が何時の間にか、ドサクサにまぎれて防衛省に昇格して、長官が大臣になってしまった。
これでますます憲法第九条の改憲が現実味をおびてきそうだが、なんか気づかない間に、どんどんときな臭くて保守的な国家になっていく。それで、まさか宮内庁までが宮内省にならないだろうなあ・・・・・。
ああ、コワ! 主権在民は何処へいく!
348:いまのところ0点
07/07/08 09:12:50 GFoUElmI
志水辰夫『行きずりの街』(1990→1990、新潮文庫)【0点】
読み中。読み続けるべきか思案中。
私(主人公)は40代の塾講師。十数年前、東京の名門女子校を
女生徒との交際が発覚し、退職を余儀なくされた。十数年ぶりに
かつての学校を訪れた私は、十数年前の事件の裏とともに、
事件に巻き込まれていく(はずだ)。
・・と、ここまで読んで0点。
(はずだ)と書いたのは、だいたい四分の一読んでるのに
まだ事件が起きていない。主人公は何が目的なのかよくわからないが
東京の街やら、かつて勤めていた女子校やらを歩き回っているだけ。
とにかく全然盛り上がらない。
この小説は某書店で、店員お勧めの小説として平積みになっていたし
1990年の「このミス」で1位にもなったミステリーらしいが、
本当かよ! と思うほどつまらない。
「このミス」、1990年はよっぽど不作の年だったんだろうな。
349:名無しのオプ
07/07/08 09:20:41 gjrJ7Ijs
ページめくってすぐ死体が転がってないと駄作認定か
そもそも読みおわってないなら書き込むなよ
チラシの裏にでも書いてろカス
350:いまのところ0点
07/07/08 09:20:56 GFoUElmI
現代ミステリーのお約束の構成。つまり早く事件を起こして
読者を引き込んでいく、というストーリーになっていない。
それに名門女子校を舞台にしたミステリーならば、たとえば
学園を巻き込んだ大スキャンダルが背景に・・とか、
女子校生とのエロチックな濡れ場とかを期待するが、
そんなもの全然ない。
誰を面白がらせようとしているのか、読者に対するサービス
精神がまったく感じられないんだ。
主人公は魅力の感じられないうらぶれた40男で
そいつが靴をすり減らして、東京の街を歩き回っている、
というストーリーがここまで延々続いている。
綾辻行人が「うらぶれた刑事が、靴をすりへらして歩きまわり
しょぼくれた事件の真相を明らかにしていく。・・こんな
ミステリーは読みたくない。」
といった趣旨のことを言ってミステリー批判をしていたが、
この小説は綾辻の批判にぴったり当てはまる。
ものすごくつまらない。
351:いまのところ0点
07/07/08 09:23:07 GFoUElmI
>>349
そういうのは、ふつう駄作だろう。
映画でも開始5分で観客の心をがっちりつかみ、
盛り上がらせられなければ駄作、というのはお約束だぞ。
352:名無しのオプ
07/07/08 09:35:43 DhwEgtia
GOTHで一貫して登場してるのは神山樹と森野夕でおk?
何か最後の話で気になる表現(乙一特有の詰めの甘さ)があった。
353:名無しのオプ
07/07/08 09:50:18 Fb/0eHQq
現代ミステリーのお約束の構成
エロチックな濡れ場を期待
サービス精神
綾辻
映画でもお約束
釣りかなんかだと思ったらただの馬鹿だったか
354:名無しのオプ
07/07/08 09:55:11 hgE125M7
>>348
少なくとも全部読めよ。
『読みました』報告・国内編Part.4、だぜ。
355:名無しのオプ
07/07/08 09:55:31 gjrJ7Ijs
>>353
シーッ!
356:名無しのオプ
07/07/08 11:20:29 2XtCTL47
>女子校生とのエロチックな濡れ場とかを期待するが
ねーよw
357:名無しのオプ
07/07/08 11:28:51 7Sl2Rh7I
つまらんのだけは同意だな
358:いまのところ0点
07/07/08 16:51:28 rfznVRZL
そう言われたので、もう少しだけ読んでみた。
その感想は・・
↓
ヘドが出そうなくらいつまらん。
こんなものを1位にするとは「このミス」も落ちたものだ。
359:名無しのオプ
07/07/08 17:09:33 SHQsGtVZ
>>358
>こんなものを1位にするとは「このミス」も落ちたものだ
って、「行きずりの街」が1位取ったのは「このミス」4年目のことだぞw
おまえ、ひっこんでたほうがいいな。
360:名無しのオプ
07/07/08 17:10:40 aWAcjcN1
>>358
アンチシミタツ粘着乙
もうわかったよ
361:いまのところ0点
07/07/08 18:14:14 FeVnDuku
ひっこんでいるべきは沁みた痛のほうだろう
フッフッフッ
362:名無しのオプ
07/07/08 18:19:43 g1m5k64T
>>361
もうわかったよ。あらすじだけにしておけばいいものをw
363:名無しのオプ
07/07/08 18:24:39 Mf6rIgCb
>>361
なんだ、「あらすじごめん」くんかあw
>ひっこんでいるべきは沁みた痛
解説してくれw
364:いまのところ0点
07/07/08 18:29:42 FeVnDuku
ならば説明してやろう。
主人公に魅力全く無し。さえない四十男でこいつがどうなろうが
知ったことではない、という気にさせる。
事件が起きない。もう四分の一読んでるのに誰も死なない。
このまま誰も死なないんじゃないか?
主人公もただ歩き回っているだけ。その理由もわからない。
まあ、こんな四十男の理由なんか知りたくもないがw
365:名無しのオプ
07/07/08 18:32:26 H9lzcOS2
小説読むの向いてないってだけだな
女子校が舞台というだけで濡れ場期待してミステリ読むようなアホだし
366:名無しのオプ
07/07/08 18:32:45 7Sl2Rh7I
つか>>361>>364は別人だろ
ID違うしコピペだし
367:いまのところ0点
07/07/08 18:56:05 FeVnDuku
↑フッフッフッ
ID入れ替えのトリックを見破れないおまいは、ミス板から
去るがよい。
368:名無しのオプ
07/07/08 19:04:05 f5vEOsUj
まあ、沁みた痛み、ならわかるがなw
369:名無しのオプ
07/07/08 20:15:11 nFlJ3NBY
今年の横溝賞作品、だれか読んだ人いたら、コメント頼みます。綾辻先生が
激賞したとかで、気になるんだが
370:名無しのオプ
07/07/11 18:07:27 CXE64tVv
>>369
週刊文春で千街がレビュー書いてた。首挽はあんまり評価高くなかったな…
371:読後感
07/07/12 20:27:56 8aRcyThm
「寝台特急『出雲』+-の交叉」深谷忠記(勁文社)
健康食品を騙った詐欺事件が発覚し、推薦文を書いた美緒の父親の
同僚の大学教授に非難が及ぶ。そんな中被害者達の急先鋒だった
女性が殺害された。警察はこの大学教授を容疑者とみたが、
彼もまた死体となって見付かるのだった。果たして真犯人は一体―。
久々に某スレからのセレクト。
読殺まで大分かかった。トラミスは肌に合わんのかなぁ。
アリバイ崩しかと見せかけてフーダニットかと見せかけてやっぱり
アリバイ崩しだった。トリックは良く出来ていたし解明の過程も
ミステリーの定石に則った形で手堅い造りであった。
でもイマイチカタルシスを感じられないんだよなぁ。
若輩者にはまだトラミスは敷居が高いのかも。
372:名無しのオプ
07/07/14 00:54:57 Tl9BmzRW
湊かなえ「聖職者」(短篇、2007)【8点】
第29回小説推理新人賞受賞作。
ある中学教員(女)の「語り」形式の短篇。
学期末のホームルームで女教師が淡々と語りだし、徐々にある事件の
顛末が明らかになるという趣向。選評でもいわれているとおり、
文章が安定していて伏線の張り方もなかなか上手い。
ここ10年の同賞受賞作の中では疑いなくトップクラス。
すでに先輩の永井するみよりも力はあると思う。長篇を読んでみたい。
>>348 そこまで読んでおもしろくないなら、シミタツとは相性悪いのでは?
無理に読まないほうが。
>>369 現在読んでます。東北の寒村、マタギ、五百羅漢、生き埋めの伝説など
道具立ては、ばっちり。逆さまの死体も出てきます。
373:名無しのオプ
07/07/14 00:59:27 629Fw3oo
>>371
読殺ってなに?
374:名無しのオプ
07/07/14 01:17:29 eY0VWBn6
>>373
気違いはスルーで
375:名無しのオプ
07/07/14 01:39:03 629Fw3oo
>>374
了解
376:書斎魔神 ◆qGkOQLdVas
07/07/14 23:00:22 ef5V60/r
新田次郎「アルプスの谷 アルプスの村」を読んだ。
山岳小説のマエストロの軽い紀行エッセイという先入観に囚われて
今までノーマークな作であったが、60年代初頭におけるヨーロッパアルプス旅行は
正に「冒険談」そのもの、現代ほどに都市化・俗化が進行していない時代でもあり、
観光地とはいえ、状況によってはそこは死と隣り合わせの世界なのであるということが
わかる。
同行者が語呂から「異端者の谷」と称したエタンソンの谷踏査シーンなどは、
山岳冒険小説のワンシーンのまんまである。
一流の小説家らしい風景描写の美麗さは読む者を魅了して離さないが、
適宜、気象に関する客観的なコメントが挿入されるのは、いかにも気象庁勤務者で
あったこの作者らしく、良きコントラストを成しているのが、かえって面白い。
また、人や風物に対する所感が驚くほどストレートに綴られており、
この作者、意外に「難しい人」なのかと思わす部分も多い。
小説に関しては、「ユーモアが無い」「女性に関する描写が弱い」等の批判がある作者
ではあるが、本作に関しては、一部例外(チューリッヒ行きの列車で乗り合わせたピザな
シシリー女等)を除いて女性(特に若い女性)に対する優しい眼差しの数々が印象に
残るものがある(例えば、作者にサインをせがむショートパンツ姿のベルギーの
ガールスカウトたちとの出会い等)、
大氷河(メールドグラース)でのエピ。
『・・真紅のキルティングコートを着た女に出会った。二人は霧の中で言葉を交わした。
「どっちへ行ったらいいでしょうか」女が心細そうに私に訊いた。
「私の後へついて来るがいい」
もう心配のないところに来ていた。ちょっとした下り斜面があり、そこで女の手を
取ってやった。その青い眼の女の手はひどくやわらかで、つめたかった』
「私の後へついて来るがいい」って、イエスか?(w
このくだりは、新田先生は笑いを狙ったところであろうか?
377:名無しのオプ
07/07/14 23:15:43 a+WsLb/c
読後感の迷走ぶりを見るに付け、書斎さんの偉大さが浮かび上がるなぁ。
378:名無しのオプ
07/07/15 16:54:53 oDBRtVbF
大村友貴美『首挽村の殺人』(2007、角川書店)【6.5点】
友人杉の死の真相を調べるため、岩手の無医村に赴任した医師滝本。
過酷な間引きの伝承が残り、「おつかいさま」の儀式を続ける寒村。
やがて雪中で逆さに埋まった死体が発見され、さらに凶暴な赤熊も出没。
閉鎖的な東北寒村に、伝承をなぞるかのような連続殺人事件が横行する!
第27回横溝正史賞受賞作。
完全なクローズド・サークルではなく、外界との行き来も自由で警察が捜査。
現代的な高齢化問題や町村合併・産業廃棄物問題も絡めており、単なる
山村モノにはしていない。作者が岩手県滝沢村在住ということで、東北山村の
生活やマダギの習俗などはなかなか詳しくリアリティがあり、読み応えがある。
しかしこうした舞台設定であれば当然期待される血族のドロドロや、過去の
因習などの要素が連続殺人事件の真相と乖離しており、肩透かしをくらう。
犯人像や動機もなんだかなあ。(メール欄)カワイソス。 (´・ω・`)