08/04/24 14:53:51 M3eZBqAa
「グリンドルの悪夢」パトリック・クェンティン(原書房)
のどかな田舎町に起こった少女の失踪事件。それに前後して
ペットの犬や猿が襲われる事件も多発する。少女の父親は真相を
掴みかけたものの殺されてしまい、またも行方不明者が……。
シリーズものは物理的にも精神的にも読めないからせめて単発の新刊は
読み逃さないようにしたいと思うけどこれイマイチだなあ。
何かたらたら読み繋いでる感じだった。もちっとピリリとした
要素が欲しい。真相も退屈だし。ただラストの( ̄ー ̄)は良い。
ひがしのりにはこういう粋は無いね。
解説読んで登場人物表は敢えて付けなかったのかなとチラリと
思ったけど、そこまでしなきゃならん理由は無いし前科もあるから
怠惰決定。ちゃんと付けろ。
729:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
08/04/27 00:51:22 n0hUskoO
「道化の町」ジェイムズ・パウエル(河出書房新社)
奇妙な味というよりファンタジー本格ミステリ短編集みたいな感じ。
表題作のみマーシィのアンソロで読んでいたが、てっきりあの世界が
舞台の連作かと思ってたら違うのね。良かったそれで。この人の
世界観は「犯人は誰だ」というアンソロジーで都筑道夫が書いた話を想起させるなあ。
ベストは表題作かな。設定がプロットに良く練り込まれてる。
次点は「アルトドルフ症候群」。これは奇妙な味としても
本格としても○。最初の「最近のニュース」も切れ味が良くて
掴みに持って来い。それから「愚か者のバス」は設定が面白かったし、
「折り紙のヘラジカ」の極めて特異な状況設定も笑える。
ただ、いくつかの話は観念的というか展開が速すぎてついていけなかった。
解説で紹介されてた短編は読みたいな。
730:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
08/04/27 01:00:33 n0hUskoO
「雨の午後の降霊術」マーク・マクシェーン(トパーズプレス)
才能はあるのに不遇を囲っている霊能力者マイアラは夫と共に
思い切った行動に打って出る。資産家の子供を誘拐し、居場所を
言い当てることで自分の評判を上げようと企んだのだ。
いくつかのミスを孕みながらも計画は進んで行くのだが―。
この瀬戸川さんの出版社は厨房時代ポール・ジェニングスの
奇想天外な短編集に嵌った時にお世話になったけど、本書が含まれる
叢書もアームストロングの作品もあり中々興味深い。
でも本作は駄目。詰まらんかった。ちょっとオチが洒落てるだけの代物。
読んでて退屈だった。大して長く無かったから良かったけど。
甚一さんは罪なお人でありんすなあ。うじ虫もこんなんなら読まんわ。
731: ◆XjFtIkbasQ
08/04/30 02:28:22 /LicCmbI
リチャード・ノース・パタースン『サイレント・ゲーム』(上下)
(2003→2005、新潮文庫)【8.5点】
恋人殺害の容疑者として地元から孤立したため、故郷を捨てたトニー・ロード。
親友サムが少女殺害の容疑者として苦境に立たされたことを知り、28年ぶりに帰郷。
弁護を進めながら、親友の言動に違和感を覚えるトニー。事件の真相は?
そして28年前のあの夜、一体何が起こったのか・・・?
一応続き物らしいけど、本作だけでも特に問題なし。第一部のトニーやサムの
青春時代の物語はややスローペースだが、このときの人間関係が裁判シーンに
深く関係してくる。人種・宗教問題をからめながら、事件は混迷を深めていく。
事件としてはシンプルながら、親友に疑惑と後ろめたさを抱きながら弁護する、
弁護士トニーの苦悩と葛藤が読みどころ。とにかく一気読みのおもしろさ。
ラストの展開・真相にはちょっと物足りない点もあるが、満足できる読書。
732: ◆XjFtIkbasQ
08/05/07 03:41:46 zUqZc5WD
リチャード・ノース・パタースン『ダーク・レディ』(上下)
(2004、新潮文庫) 【8点】
麻薬犯専門弁護士が、女装・倒錯性行為の首吊り死体で発見される。
元恋人の検事補ステラは、人種問題・市長選挙戦に絡む別の殺人事件を追いながらも、
市中を牛耳る麻薬王らの犯罪事件に巻き込まれていく・・・
『サイレント・ゲーム』で敵役をつとめた検事ステラ・マーズが主人公だが、
本作では作者お得意の法廷シーンはなく、後書きによれば「ポリティカル・サスペンス」。
市長選挙・人種問題・雇用問題・新球場建設問題など、やや固いテーマが出てくるが、
元恋人の謎の死をめぐるサスペンスはこれまでどおり。
ただ本作は、旧作にもましてスロースターターであり、上巻はやや退屈さも覚える。
もっとも下巻ですべての情報がひとつの犯罪に結びついていく手腕は健在で、
とくにあるビデオが登場する第4部の展開はページをめくらずにはいられない。
733: ◆XjFtIkbasQ
08/05/08 04:24:31 Ns2s1/FC
ヘニング・マンケル『殺人者の顔』(2001、創元文庫)【8点】
外国移民排斥の気運高まる90年代、スウェーデン南部の寒村で発生した老夫婦殺害事件。
虫の息の老妻が遺した「外国の……」という言葉と、見慣れないロープの結び方に
警察は戦慄する。さらに何者かに無関係の移民が殺害され、警察当局は苦境に立たされる・・
ここ数年気にはなっていたヴァランダー・シリーズの第一弾。
老夫婦の殺害が明らかになる冒頭ですぐに物語に引き込まれた。
やもめで中年の主人公のキャラや新任の美人検察官などキャラの配置はさほど目新しくなく、
事件の捜査も堅実で、地味な印象はぬぐえないが、読みやすい訳文もあいまって、一気読み。
もっとも事件の解決も真相も「けれん」は少なく、ちょっと物足りない気もするが、
それまでの地道な展開もあいまって「まあ現実はこんなもんだよな」と納得はいく。
本国では10年以上前に全9作で完結しているようだけど、これはぜひ読まねば。
734:名無しのオプ
08/05/08 12:42:55 bL0xVrIQ
マンケルジャクソン
735:書斎魔神 ◆AhysOwpt/w
08/05/10 16:32:40 S2aiBuHJ
デズモンド・バグリイ「高い砦」を読んだ。
ハイジャックされアンデス山中に墜落した飛行機の生存者たち、
乗客のひとりである政治家(前大統領)の命を狙い一行への襲撃が繰り返される・・・
反共的描写や南米のルーズな面に対するシビアな視線は、いかにも60年代の英国作家の手に
なるものらしく、CIAに対する好評価など、その後(70年代以降)の国際情勢を見ると、
今では疑問に感じざるを得ないような面も多い。
まあ、この辺はスパイ小説でないから大目に見るとしても、
過去に非常に面白く読んだ記憶があったわりには、再読してみてガク-リという作であった。
中世風の手作りの武器(クロスボウ、カタパルト等)で迫り来る共産軍に対抗というメーンの
アイデアは面白いのだが、今読むとそれだけで、ストーリーは御都合主義のヒーロー談に
過ぎないという感が強く、最初は少したそがれた感がある主人公オハラがランボー化してしまう
終盤は白けることこの上ないものがある。
救援を求めるため峻険な山越えに挑む副主人公格のフォレスターとローデの冒険談も、
マクリーン等と比較すると、デイテール描写が弱いのも難だ。
今時、これを読んで喜んでいるのは、深夜アニメを見呆けているオタぐらいなものであろうかと思う。
736: ◆XjFtIkbasQ
08/05/11 05:45:19 5uYFxywj
ヘニング・マンケル『リガの犬たち』(2003、創元文庫)【7.5点】
漂着した救命ボートから、外国人の男2名の銃殺死体が発見された。
やがてラトヴィア警察に捜査権が移った矢先、思わぬ別の殺人事件により
警部ヴァランダーはラトヴィアのリガに赴くことになるが・・・
スウェーデンのヴァランダー・シリーズ第二弾。冒頭の引き込みは前作同様、上手い。
前作が地元の殺人事件に対する地道な捜査・推理がメインだったのに対し、
本作は独立直後の共産国ラトヴィアの警察や犯罪組織との駆け引きが中心となる。
後半のリガへの潜入・逃避行なんかはそれなりに手に汗握るんだけど、
事件の黒幕候補が限定されてるせいか、「警察による捜査・推理」の要素は薄く、
そこを期待してたのでちょっと残念。さくさく読めたことは読めたんだけど。
あと、リエパ中佐との交流ももうちょっと書き込んでくれれば説得力増したかな。
ところでヴァランダーが前作同様、異様に惚れっぽいところと、
彼が警察署史料庫のゴミ箱に「残してきた」○○○の行方が気になる。
737:名無しのオプ
08/05/11 23:10:24 +jz8T0pJ
「治療島」セバスチャン・フィツェック 読了
これくらいのどんでん返し、国内ミステリではよくあるじゃん
こんなんでドイツではベストセラーになっちゃうんだなァという感想
738:名無しのオプ
08/05/12 00:00:37 UkVSX+fH
別にどんでん返しだけで評価されたわけじゃないだろうに
737は本格ファンなのか?
739:名無しのオプ
08/05/12 10:02:45 cHRtuu4q
どんでん返し=本格という発想
740:名無しのオプ
08/05/12 13:21:43 XkwUILWV
どんでん返しだけで小説が評価されるわけじゃないからなあ。
>>737の理屈だとカラマーゾフの兄弟も『この程度の謎解きなんて国内ミステリならざらにある。
こんなんでロシアでは文豪扱いなの?』ってことも言えてしまうわな。
741:名無しのオプ
08/05/12 21:54:21 fNNczPJt
>>739
どんでん返しの巧拙だけで作品を評価するのは本格ファンが多いけどな
742:名無しのオプ
08/05/13 22:03:00 9vERRO4o
現代海外ものを読むと
日本はミステリ先進国だなァと思う
743:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
08/05/14 11:25:46 WEXdrdwJ
「査問」ディック・フランシス(早川書房)
大方の予想を裏切りレースで2着になったケリイは八百長の疑いを
かけられ査問会で免許停止処分を受けてしまう。何故か自らに不利な
証言や証拠が次々と現れたのだ。納得の行かないケリイは
不信と軽蔑の眼差しに耐えながら自分を陥れた人物を突き止めようとする。
これも前回の「度胸」と同じく「興奮」の系譜に連なる正統な
ディスられもの。査問会のシーンなんか良い感じに煽ってくれます。
そして巻き返しが始まるわけですが、段々と復讐が尻すぼみに
なっていくのは少し残念かなあ。敵の情状を酌量しちゃうとどうもね。
でもやっぱり主人公はカッコイイす。
しかし競馬界ってやなとこだなあ。特に馬主とはあんまりお友達に
なりたくないや。
744:名無しのオプ
08/05/15 23:09:45 1XqTGOyW
>>742
本格・変格モノに限ればそうかもね。特に変格は。
ハードボイルドやノワールとかエスピオナージュだとつらいけど。
ただ女性作家の本格はイギリスに負けてるな。
745:名無しのオプ
08/05/16 20:20:12 TVy24JI9
あんなやつらに勝てるかよw
746:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
08/05/16 21:04:42 jqYvZv5o
「ランドルフ・メイスンと7つの罪」メルヴィル・ディヴィスン・ポースト(長崎出版)
弱気を助け悪事を奨める弁護士の暗躍を描く連作短編集。
いやぁ待ってました! どう凄いのか読みたかった。確かに狙いは面白い。
話のパターンとしては、悪人というより心の弱い人に泣きつかれた
メイスンが法の抜け穴を潜れる悪事を紹介してやるというもの。
冒頭の「罪体」は模倣犯が頻発して法改正に繋がったくらいと聞いて
楽しみに読んだだが、感想は絵空事だなという印象。このやり方によって
刑事は免れても民事で損害賠償されたり、罪名を切り換えて
逮捕されたりしそうだし、そもそもこんなにきっちり法律は
運用されて行かないよ。キムラ弁護士に読ませたら何ていうかな。
しかしアブナー伯父と対決したらどっちが勝つかな。あの人あんま
法律に忠実じゃなさそうだが。
747:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
08/05/18 15:01:51 eanEIt63
「ロジャー・シェリンガムとヴェインの謎」アントニイ・バークリー(晶文社)
従弟のアントニイと休暇旅行を楽しんでいたシェリンガムは
急遽新聞社の特派員としてある事件現場に赴くこととなった。
ある女性が崖から転落したのだが、その手には他人の服のボタンが
握り締められていたのだ。単純に見えても裏があると睨むシェリンガムは
ヤードの腕利きモーズビー警部とある時は協力しある時は競いながら
真相を暴き出そうとする。
第3弾。頭は切れるが補正はかかってない探偵と、優秀な警官と、
お約束の騎士道精神に骨の髄まで毒された助手が
事件を蚕食していくと、そこには捻れが産まれ歪みが産まれ面白くなる。
やっぱバークリーはブルースより凝ってるね。良いのう。
でも、指紋調べりゃ解るんじゃないか?
748:書斎魔神 ◆AhysOwpt/w
08/05/18 17:18:09 xG/PLxMd
W・H・ホジスン「幽霊狩人カーナッキの事件簿」を読んだ。
勘違いして「おれだけのナッキーキター!!」とか絶叫したアホなミステリオタもいるかも、
ナッキーにあらずカーナッキである(w
全10編を読破した感は、天才ラブクラフトとの差を痛感した、というのが正直なところか。
ゴースト・ハンターものに限定しても、レ・ファニュ、ブラックウッドにも遠く及ばず、
低評価のクインとどっこいどっこいといったところか(どちらも独自の読み難さがある。
ホジスンはくど過ぎる感がある情景描写、クインはレトリックを多用した文体)
収録作品中、格別推すべきものは見当たらないものの、
カーナッキがママンと同居していた頃の怪異談「角屋敷の怪」は、
リットン卿の古典を想起させるオーソドックスな設定と展開なので、怪奇小説好きは一読してみても
よかろうかと思う。
海洋怪談の名手というイメージがあっただけに、カーナッキが最後にトンデモ理論こねまくりな
「魔海の恐怖」には失望、同様にホジスン版「エクソシスト」という感がある「異次元の豚」には
さらにパワーアップした同様な欠点があるため、「笑い」狙いでない限り読むのが厳しいものが
あろうかと思う。実質的にシリーズのとう尾を飾るべき作で、これはなかろう。