08/02/24 09:24:46 YquhWQb+
>>695
様は「結論はわかっているから読む価値なし」ってことか。
そういう頭の悪い評価しかできないから八流にも値しないんだよ君はw
それにあの程度の展開スピードがジェットコースターねえ・・・
よっぽど小説というものを読みつけていないんだな八流クンは。
それとも自分の知らない本をあっさり取り上げることのできるカースレ住人に嫉妬して
とにかく貶してやろうというミジメで幼稚な嫌がらせが目的なのかい?
どちらにせよ「白衣の女」をたった一日で読みきれるかどうか考えてからレスするべきだったねw
700:名無しのオプ
08/02/24 14:25:17 yFOQZtHS
コピペやめろ糞書斎
701:名無しのオプ
08/02/24 21:17:13 +kQmv7uH
699についてはこちら↓
スレリンク(mog2板:166番)
702:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
08/02/26 16:41:08 g7G/BmtD
「ロジャー・マーガトロイドのしわざ」ギルバート・アデア(早川書房)
吹雪の山荘で雑誌記者が殺された。被害者は他のメンバー全員から
反感を買っていたが、殺人現場は密室状態であった。山荘の主人は
近くに住んでいる元警部を呼び、疑似捜査が始まった―。
舞台設定が不十分でなあ。密室トリックは取るに足らんもので、
それ以外にしてもやや大まかに言えば国内に先例がある。厳密には
違うけども、それにしたって強引で作り込みが甘い。防御のために
(メル欄1)必要性が無いし、仮にあるとしても(メル欄2)なら
問題無いはず。
結局日本と違って本格がジャンルとして続いてるわけじゃなく、
時折気まぐれに書かれる程度だから全体としての精度も低く、
こうなってしまうのかも。もっとも、もっと各論的な古典と新本格との
違いに起因する問題かも知れないが。
703:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
08/02/26 17:54:41 g7G/BmtD
「作者の死」ギルバート・アデア(早川書房)
名声を博した評論家の元に自伝を書きたいという女性が現れる。
自らを暴かれることに不快感を抱く評論家。そんな時、評論家の知人が殺害される事件が発生する。
何かよう解らんが究極のフーダニットととの煽りがあるからミステリーか?
事件が起こるのは半分過ぎてからだけど。
しかしこれを読んでこの作家の評価下がったなぁ。
まあ、去年出したミステリーの内容に淡い期待をしておく。
704:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
08/02/29 02:41:12 yEodr/61
「記憶をなくして汽車の旅」コニス・リトル(東京創元社)
目を覚ました。
ここはどこ? 私は誰?
どうやら汽車の中らしい。荷物を探ると数通の手紙が見つかった。
状況が掴み切れないまま私は途中で出会った親戚(?)や
偽の婚約者(?)と共にオーストラリア横断の旅を続けることに
なるのだが、殺人事件が起きて容疑者になってしまい……。
44年作ということは立派な古典ですね。豪の作家と言えばヒューム、
マーシュ、アフォード、ブラウン、ロウ、ジェニングスを知ってる。
前二人未読。これを機に色々と紹介が進むと良いですね。
ただ本作の内容はイマイチでした。突端は「もうひとりのぼくの殺人」
みたいで惹かれるし、メルボルンからパースまで大平原の旅と
いうのもロマンがあって良いけれども、ラストがかなり残念でした。
モロにHIBKな感じで……。それ早く言えよ!と。
いくらかあった謎が駆け足で解釈されているのも不満が残りました。
ともあれ、他作品が近刊らしいから、これ以上のものを期待しときます。
705:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
08/03/03 02:01:33 XCDinYvo
「死体が多すぎる」エリス・ピーターズ(社会思想社)
先王の逝去により後継者争いが勃発。シュールズベリの近くでも
城攻めが行われた。その犠牲者達を埋葬するべく城に入ったカドフェルは
死体の数が一体多いことに気づく。私的殺人の被害者が
紛れ込まされていたのか―。
発端の謎は良いがこれ、本来落ちなんだよなw
そこから広げ様(閉じ様)が無いというか……。だからストーリーは
殺人よりも貴族の亡命に主眼が置かれているし、犯人を指摘するのも
論理によってどころか自白ですら無く唐突に決め手が出て来るという。
ロマンスについても描写不足でノれない。もっと面白味が無いとね。
706:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
08/03/04 17:26:16 JwSxS+dP
「密偵ファルコ 青銅の翳り」リンゼイ・デイヴィス(光文社)
皇帝へ謀反を企んでいた貴族達の一人が殺された。容疑者は
同じ一味の家来とみられ、皇帝の密命を帯びたファルコは
地方に隠屯する他の一味へ警告するため旅に出る。
やっぱこっちのがオモロイな。カドフェルはストーリーが無い癖に
出ずっぱりだから密度が薄く感じられるのよね。その点こっちは
ファルコのファルコによるファルコのための物語だからみっちり
読み込められる。
つうかヘレナタン(´Д`;)ハァハァ。
そらファルコンMにもなるわ。マルコ殿下もこの境地に到達すれば
随分楽になるのにw
ぶっちゃけバカップルだと思うがそれもまた宜しからずや。
解説のラノベ作家はユマ・サーマンと言ってたが、小生は
ガブリエル・アンウォーを推す。彼女正当派美人なのに何故か
B級にばっか出て宝の持ち腐れなんだよなぁ。個性派と言って
不細工ばっか起用するハリウッドのフェミ偏重主義の犠牲者と言うか。
次点はシエナ・ギロリー。
707:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
08/03/04 23:23:58 JwSxS+dP
「第四次元の小説」(小学館)
数学をテーマにした奇妙なアンソロジー。
文系の頭には細かい所はモンゴリアンダイナマイトだが、
大まかに見ると数学ネタありきでのアイデア小説が多くて
ミステリー的にはもう一歩先の展開が欲しかったかな。
708:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
08/03/07 17:07:37 FZVwURWg
「漆黒の霊魂」オーダスト・ダーレス編(論創社)
ホラー・アンソロジー。楽しく読んだ。こういうのはまずハズレがないね。
一部例外はあるけど。
一番怖かったのはホジスン「ミドル小島に棲むものは」。あと
デニス・ロイド「緑の花瓶」も印象に残った。
スレッサーやボウモントも読むぞ。
709:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
08/03/09 02:42:38 OVf5983A
「度胸」ディック・フランシス(早川書房)
若手騎手ロバートはある日同僚の自殺に出くわし衝撃を受ける。
死者には調教手との不和が囁かれていた。この事件を皮切りに他の
騎手達もトラブルに見舞われ勢いを失ってゆく。それはやがて
評判の良かったロバートの身にも振り掛って来るのだが……。
5作目にしてやっと「興奮」に近い筋立てに出会えた。ただあまりに
淡々と運び過ぎているきらいがある。もっと荒れていい。
ロマンスも大人しめで物足りないし犯行の杜惨さも気にかかる。
骨組みは良いのだが肉付けがイマイチ。次に期待。
710:名無しのオプ
08/03/09 17:25:12 qF0qM3E+
「白衣の女」W・コリンズ(岩波文庫)
これはスリラー小説であり、ミステリーとはちょっと違うけれど
広義のミステリーということでひとつ。
この小説は各章によって記述者が替わるという形式がとられており、
そのエピソードが起こったときその場にいた人物の日記や手記が用いられている。
この手法はこの作品にとってまさに最適なものであり、
記述者の感じた恐怖や危機感等が読者にダイレクトに伝わり
結末まで全く飽きさせない効果をあげている。
そしてその結末も、由緒正しき19世紀の大衆小説という感じで大へん結構でした。
ただしこの小説、良くも悪くも「19世紀の大衆小説」なので
人によっては退屈だと感じられるかもしれない。
現在のジェットコースター的スリラー&サスペンス小説に比べればやはり展開は遅いし、
ドンデン返しが乱発されるわけでもない。
しかも由緒正しき結末ということは、ある意味ありきたりでもあり、
「意外な結末」にこだわるような人はレベルが低いと見るかもしれない。
正直読書の幅があまり広くない人にはただ長いだけの退屈な代物に思えるだろう。
しかし様々な分野、さまざまな作風の小説を多く読んで経験を積み、
面白さの基準となる物差しを数多く持つようになったならば
この小説を面白いと思えるようになることは間違いない。
追記
ただ「白衣の女」の正体はちょっとがっかりした。
某有名作品の某人物の正体ほど酷くはないけど、もうちょっと何とかしてほしかったかなw
711:名無しのオプ
08/03/13 22:36:41 94TZHSld
「ホッグ連続殺人」W・L・デアンドリア
まだ100ページ弱しか読んでいないけど、HOGの正体が判った、と思う。
(メール欄)だろうな。
712:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
08/03/17 00:40:57 jnfS2KcE
「ブラックウォーター湾の殺人」ポーラ・ゴズリング(早川書房)
恋人ケイトと彼女の家の別荘がある島にやって来たストライカー警部。
そこには陽気だがある種排他的な人々がおり、彼らは非社交的な
新しい入居者に戸惑っていた。また、美しい画家ダリアは
別れた夫の陰に脅えており、彼女を想う保安官マットはその事に
悩んでいた。そんな中、惨殺体が発見される……。
シリーズ3作目だが、またイマイチな出来。
作者の見所たるロマンスとサスペンスが弱い。何でもっと
男女のシーンを書き込まないのか。サスペンスフルな展開もあまりなく
そうなると後は本格に準拠した評価しか無くなる訳で。そうなると
ろくに伏線も無い真相が不満に感じるわけで。……
713:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
08/03/17 21:04:00 jnfS2KcE
「甘美なる危険」マージェリー・アリンガム(新樹社)
バルカン半島にあるという小国の継承に関わる極秘任務を帯びた
キャンピオンとその仲間達は継承者一族の住む田舎町へとやって来るが、
そこでは奇妙な印が散見されたり、野外で死体が発見されて
しかもすぐに消えたりと不気味な現象が続発する。更に継承権を
奪おうとする悪の組織からの追っ手も現れ、彼らを阻むのだが……。
探偵ミーツ奥さんもの。出だしはやたらデカイ印象だが舞台は
ほとんど田舎町から動かない。本格というより冒険小説のノリで
作者のこれまで読んだ作品の様な地味さや中途半端さは
感じられなかった。こういう作風が合ってるのかもね。
自分はいくつかの伏線(と思ったもの)から犯人の見当を付けた
{(メル欄)}が考え過ぎだったみたい。これがレッドヘリングなら
凄いが。まあ違うだろう。上の「ブラックウォーター湾の殺人」と違い
舵取りが明白だからは減点対象にはならず。
714:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
08/03/18 17:46:06 IMWuYJ4i
「タイタニック号の殺人」マックス・アラン・コリンズ(扶桑社)
売れっ子のミステリ作家フットレルは、愛妻と共に乗り込んだ
豪華客船上で殺人事件に巻き込まれることになる。
密室状態の現場に全裸で倒れていた死体は何を物語っているのか?
直截に言ってガッカリした。自分も度々夢想していた設定だけに
それなりに期待もあったのだが見事にすかされた。
古典本格の雰囲気が感じられるだけで、中身はスカスカ。謎も推理も
ほとんどない。ただ順繰りに話聞いていって最後は自白させるだけ。
密室だってただのハッタリ。一瞬でもそう
銘打ちたかっただけとしか思えない不要設定だった。
解説でかなり逆褒めしていたが単純に書けなかっただけ
なんじゃないかと。アンダースンはおろかアデアにも遠く及ばない。
所詮ノベライズ作家風情が分に過ぎた望みを抱いたのが間違い。
そのせいで今後この魅力的な題材は二番煎じの誹りを受けずに
使われることはなくなったし、扶桑社の貴重な本格枠も一つ失った。
この二重の浪費が二重に腹立たしい。
続編も確保しちゃったんで仕方なく期待して読む。
715:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
08/03/18 18:02:20 IMWuYJ4i
「ヒンデンブルク号の殺人」マックス・アラン・コリンズ(扶桑社)
ドイツ―アメリカ間を航行中の大型飛行船内で乗客が忽然と
消失する事件が発生。たまたまその乗客と同室だったミステリ作家
チャータリスは船長達の要請を受け隠密捜査に乗り出すが……。
大惨事シリーズ2作目。
ちったぁましにと開いてみると章毎に二行の梗概が付せられており
むむこれは力入ってまんなぁと期待して読んだらこの様。どの様?
がっぽーーーん。
相変わらず推理もせんとアチコチうろつき童子でセックスしたりしよる。
いくら歴史的なことを丹念に調べたり登場人物も実在のみにしたり
しても内容が詰まんなかったら糞だかんね。ハイハイボクちゃん
よくできまちたね~とでも言って欲しいのか? キモイんだよ!
ただ終盤ようやっと些少な伏線を回収してそれなりに見せ場を
作ってたのは進歩とみれないこともない。
あとナチを悪者として安易なメイキングをしなかったのは評価する。
セイントの短編集出して欲しいなぁ~論創や。
716: ◆XjFtIkbasQ
08/03/23 03:07:23 yqEazbAY
マイクル・コナリー『ブラック・アイス』 (扶桑社ミステリー1994)【8点】
モーテルの一室で発見された、ハリウッド署麻薬課の警官らしき死体。
生前の警官と面識のあったボッシュは、自分の抱える事件と警官とが関係する
ことを知る。メキシコに飛んだボッシュに迫る、麻薬王のヒットマン・・・
第一作『ナイトホークス』は若干期待値を下回ったが、二作目のこれはよかった。
死体から発見されたミバエを手掛かりに舞台はメキシコにまで及ぶが、
やや緩慢な前半に較べて後半は一気読みのおもしろさ。過度のケレンはないが、
終盤の展開も上手い。
しかし「メイクラブ」という訳語はどうにかなりませんか。
717: ◆XjFtIkbasQ
08/03/26 01:08:38 FOMNuaTZ
マイクル・コナリー『ブラック・ハート』 (扶桑社ミステリー1995)【9点】
左遷の契機となった4年前の連続娼婦殺人事件。ボッシュに撃ち殺されたはずの
猟奇的犯人“ドール・メーカー”から、その生存を示唆するようなメモが届く。
折りしも犯人とされる人物の遺族から告訴され、苦境に立たされるボッシュ。
ドール・メーカーは生きているのか? 模倣犯の犯行なのか? 裁判の行方は?
リーガル+サイコ+犯人探しの贅沢な一冊。これは文句なしにおもしろい。
特に、“ドール・メーカー”が撃ち殺されたあとに殺害されたと思しき
コンクリートの中の金髪女の遺体が出てきたりして、どう着地するのか
予想が難しい。上下巻だがハラハラドキドキの一気読みでした。
シリーズ第三弾ということで重複する登場人物やエピソードもあり、
順番に読んだほうが絶対に楽しめる。コナリーは本格好きにも受けると
何かで読んだが、その理由がわかった。単体で読むとどう評価されるか解からないが、
とにかくシリーズの先が気になる【9点】。
718:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
08/03/27 17:54:33 dZZl8VRf
「フォーチュン氏を呼べ」H・C・ベイリー(論創社)
久々ライヴァルたち。
「黄色いなめくじ」や「死者の靴」等読んだが、何か毛色の変わった
作風でいまいち好きになれなかったのだが、今回も然り。
この人はあまり「隠そう」という意識が無いのではないか。
でも「気立てのいい娘」のラストや「ある賭け」のプロットは中々良い。
719:読後感 ◆NQWAR.YQkg
08/03/29 17:32:33 I1NdfoKw
「ジョン・ディクスン・カーを読んだ男」ウィリアム・ブリテン(論創社)
パロディ+αの短編集。どれもミステリーとしてはK越えしている
ものの、パロディということを考えると表題作が一番印象強いかな。
まあ、これはテーマの着眼点の違いに因るのかも。
純粋にミステリーとしては「うそつき」がベスト。この真相は他に
知らなかった。
「巨匠を笑え」と読み比べてみると良いね。テーマの処理の仕方はあっちのが上やも……?
720:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
08/04/10 21:52:39 Cj+SlIPu
「カスに向かって撃て」ジャネット・イヴァノヴィッチ(集英社)
前回の事件以来モレリの家に同居しているステフは偶然強盗を
目撃してしまい、そのせいか凄腕の殺し屋に命を狙われることになる。
しかもこの大事な時にモレリとケンカ別れをしたステフは
ひょんなことからレンジャーの隠れ家を突き止め潜伏しつつ
仕事を続けるのだが……。
ここ数年本格出したり古典出したりマルコ復活させたりと
渋い仕事をしてきた扶桑社ですが、本シリーズに関しちゃ
完全に下手を打ちましたね。不手際過ぎ。
ただ、このシリーズも10作を数えてかなりマンネリ気味。
最初はミステリー要素が勝っていたのに今ではステフを巡る
イケメン二人の三角関係を誤魔化し誤魔化し書いてる感じです。
もう展開無理からなのが明らかで読んでて微妙。某ラノベの二の舞か。
この際きちっとパートナーを決めて最初の作風に回帰して欲しいです。
ミステリーとしても駄目だし、ロマンスファンにも喜ばれないと
思います。案外保守的ですからね、彼らは。
721: ◆XjFtIkbasQ
08/04/11 03:53:11 mEkTmjkI
ジェフリー・ディーヴァー『エンプティー・チェア』
(2001→2006、文春文庫)【8.5点】
手術の為ノース・カロライナに訪れたライムとアメリア。地元保安官の要請で、
女性2人を拉致して逃亡中の少年の足取り調査を依頼される。土地鑑がないまま、
地元のアウトロー・反抗的な保安官らに阻まれながら捜査を進めるライムだが・・
ライム物を読むのは久しぶりのせいか、くどいほどの大小のヒネリの連続にも
素直にしめた。南部の湖沼地帯の追跡劇も、終盤のアメリアの置かれた状況も
どうなることかとハラハラ(まあ、アレだからアレになるとは分かっているんだけど)。
何にも考えずにハラハラドキドキして騙されたいときにはやっぱりディーヴァーというのを
再認識。
722: ◆XjFtIkbasQ
08/04/11 11:05:24 mEkTmjkI
ケン・フォレット『ホーネット、飛翔せよ』(2004、ヴィレッジブックス)【7.5点】
第二次大戦中、イギリス空軍はドイツ軍が高性能レーダーを開発し、次々と
戦果を挙げていることを懸念。デンマークにスパイ網を形成し、なんとか
ドイツの軍事機密をあばこうとするが露見。窮地打開はあるデンマーク青年に双肩に・・
史実が元になってるらしいけど、それを考慮したためか小説としてあまり必要でない
人物もちょこちょこ出てきたりして、そのせいか、やや焦点がぼやけた印象がある。
個人的にはデンマーク青年ハラルドと恋人カレンの冒険活劇として楽しめた。
ドイツの手先となるデンマーク警察のペーターとの対立もいい。
すいすい読めるが、スパイものとしてはちょっと抜けてる人が多い。
一部のアレなシーンを除けば、大人の手前の青年とお転婆お嬢さんとの掛け合いが、
宮崎駿アニメの登場人物のようだなあと思った。
723:名無しのオプ
08/04/15 00:53:13 ezx0jxQX
ブラッド・メルツァー『運命の書』読了。
全編通して本当につまらなくてビックリした。
724:書斎魔神 ◆AhysOwpt/w
08/04/19 17:55:32 J7lvVg0B
スコット・スミス「ルインズ 廃墟の奥へ」を読んだ。
帯には「息もつかせぬホラー・サスペンス」と銘打たれているが、実態は秘境冒険小説と言い得る。
あの「シンプル・プラン」のスコットの待ちに待った新作(第2作)であり、前作同様にプロットは
単純ながらも、畳み掛けるような語りと優れた筆力によるリアリティに富んだディテール描写
(「訳者あとがき」に作者は舞台となるメヒコへ行ったことがないとあるのにはびっくり、
密林等秘境の描写の迫力は秀逸であり、この作家の筆力の凄さを実感させるものがある)で
読ませるものはあり、ヒーロー不在、勧善懲悪を廃した展開は同じような特色を有する
ジム・トンプスンのノワール作品とも全く異なる魅力に富んではいる。
ただし、メーンな敵役(?)が50年代アメリカB級ホラー映画まがいなのはさすがに脱力せざるを
得ないものがある。
せめてSF風のオチでも付けて欲しいところではあるが、この辺はスコットの守備範囲ではないと
いうことか。
725:名無しのオプ
08/04/19 18:26:05 1mb/fucW
URLリンク(ime.nu)
国営放送の主演女優の結婚式での晴れ姿がなぜシャットアウトなのか?
NHK.宮崎あおい夫と「広末をクスリ漬けでマワしたヤクザ」の関係★38
スレリンク(news2板)
726:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
08/04/24 14:33:37 M3eZBqAa
「堕ちた天使―アザゼル」ボリス・アクーニン(作品社)
白昼堂々起きた不可解な自殺事件。被害者とおぼしき若者は
当日あちこちで目撃されていた。事件に興味を抱いた若き警官
ファンドーリンは独自に捜査を行うがやがて国際的な謀略が
浮かび上がる―。
1作目。最初は面白味が乏しくて読みにくかったが中盤からまあ読めた。
しかし後味ワルー……。
これが話題になるんだからロシアはよくよく娯楽に飢えた国だったんだな。
でも次で化けたかも知れないので読むわ。
727:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
08/04/24 14:43:27 M3eZBqAa
「ノヴェンバー・ジョーの事件簿」ヘスキス・プリチャード(論創社)
カナダのホームズこと樵探偵の短編集。
期待の割にフツー。でもこれはライヴァルたちに共通して言えること。
彼らの作者たちはホームズを意識し過ぎたあまり突飛な設定に
しづらかったのかも。まあともあれ、ベストは……特にないや。アハ。
728:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
08/04/24 14:53:51 M3eZBqAa
「グリンドルの悪夢」パトリック・クェンティン(原書房)
のどかな田舎町に起こった少女の失踪事件。それに前後して
ペットの犬や猿が襲われる事件も多発する。少女の父親は真相を
掴みかけたものの殺されてしまい、またも行方不明者が……。
シリーズものは物理的にも精神的にも読めないからせめて単発の新刊は
読み逃さないようにしたいと思うけどこれイマイチだなあ。
何かたらたら読み繋いでる感じだった。もちっとピリリとした
要素が欲しい。真相も退屈だし。ただラストの( ̄ー ̄)は良い。
ひがしのりにはこういう粋は無いね。
解説読んで登場人物表は敢えて付けなかったのかなとチラリと
思ったけど、そこまでしなきゃならん理由は無いし前科もあるから
怠惰決定。ちゃんと付けろ。
729:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
08/04/27 00:51:22 n0hUskoO
「道化の町」ジェイムズ・パウエル(河出書房新社)
奇妙な味というよりファンタジー本格ミステリ短編集みたいな感じ。
表題作のみマーシィのアンソロで読んでいたが、てっきりあの世界が
舞台の連作かと思ってたら違うのね。良かったそれで。この人の
世界観は「犯人は誰だ」というアンソロジーで都筑道夫が書いた話を想起させるなあ。
ベストは表題作かな。設定がプロットに良く練り込まれてる。
次点は「アルトドルフ症候群」。これは奇妙な味としても
本格としても○。最初の「最近のニュース」も切れ味が良くて
掴みに持って来い。それから「愚か者のバス」は設定が面白かったし、
「折り紙のヘラジカ」の極めて特異な状況設定も笑える。
ただ、いくつかの話は観念的というか展開が速すぎてついていけなかった。
解説で紹介されてた短編は読みたいな。
730:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
08/04/27 01:00:33 n0hUskoO
「雨の午後の降霊術」マーク・マクシェーン(トパーズプレス)
才能はあるのに不遇を囲っている霊能力者マイアラは夫と共に
思い切った行動に打って出る。資産家の子供を誘拐し、居場所を
言い当てることで自分の評判を上げようと企んだのだ。
いくつかのミスを孕みながらも計画は進んで行くのだが―。
この瀬戸川さんの出版社は厨房時代ポール・ジェニングスの
奇想天外な短編集に嵌った時にお世話になったけど、本書が含まれる
叢書もアームストロングの作品もあり中々興味深い。
でも本作は駄目。詰まらんかった。ちょっとオチが洒落てるだけの代物。
読んでて退屈だった。大して長く無かったから良かったけど。
甚一さんは罪なお人でありんすなあ。うじ虫もこんなんなら読まんわ。
731: ◆XjFtIkbasQ
08/04/30 02:28:22 /LicCmbI
リチャード・ノース・パタースン『サイレント・ゲーム』(上下)
(2003→2005、新潮文庫)【8.5点】
恋人殺害の容疑者として地元から孤立したため、故郷を捨てたトニー・ロード。
親友サムが少女殺害の容疑者として苦境に立たされたことを知り、28年ぶりに帰郷。
弁護を進めながら、親友の言動に違和感を覚えるトニー。事件の真相は?
そして28年前のあの夜、一体何が起こったのか・・・?
一応続き物らしいけど、本作だけでも特に問題なし。第一部のトニーやサムの
青春時代の物語はややスローペースだが、このときの人間関係が裁判シーンに
深く関係してくる。人種・宗教問題をからめながら、事件は混迷を深めていく。
事件としてはシンプルながら、親友に疑惑と後ろめたさを抱きながら弁護する、
弁護士トニーの苦悩と葛藤が読みどころ。とにかく一気読みのおもしろさ。
ラストの展開・真相にはちょっと物足りない点もあるが、満足できる読書。
732: ◆XjFtIkbasQ
08/05/07 03:41:46 zUqZc5WD
リチャード・ノース・パタースン『ダーク・レディ』(上下)
(2004、新潮文庫) 【8点】
麻薬犯専門弁護士が、女装・倒錯性行為の首吊り死体で発見される。
元恋人の検事補ステラは、人種問題・市長選挙戦に絡む別の殺人事件を追いながらも、
市中を牛耳る麻薬王らの犯罪事件に巻き込まれていく・・・
『サイレント・ゲーム』で敵役をつとめた検事ステラ・マーズが主人公だが、
本作では作者お得意の法廷シーンはなく、後書きによれば「ポリティカル・サスペンス」。
市長選挙・人種問題・雇用問題・新球場建設問題など、やや固いテーマが出てくるが、
元恋人の謎の死をめぐるサスペンスはこれまでどおり。
ただ本作は、旧作にもましてスロースターターであり、上巻はやや退屈さも覚える。
もっとも下巻ですべての情報がひとつの犯罪に結びついていく手腕は健在で、
とくにあるビデオが登場する第4部の展開はページをめくらずにはいられない。
733: ◆XjFtIkbasQ
08/05/08 04:24:31 Ns2s1/FC
ヘニング・マンケル『殺人者の顔』(2001、創元文庫)【8点】
外国移民排斥の気運高まる90年代、スウェーデン南部の寒村で発生した老夫婦殺害事件。
虫の息の老妻が遺した「外国の……」という言葉と、見慣れないロープの結び方に
警察は戦慄する。さらに何者かに無関係の移民が殺害され、警察当局は苦境に立たされる・・
ここ数年気にはなっていたヴァランダー・シリーズの第一弾。
老夫婦の殺害が明らかになる冒頭ですぐに物語に引き込まれた。
やもめで中年の主人公のキャラや新任の美人検察官などキャラの配置はさほど目新しくなく、
事件の捜査も堅実で、地味な印象はぬぐえないが、読みやすい訳文もあいまって、一気読み。
もっとも事件の解決も真相も「けれん」は少なく、ちょっと物足りない気もするが、
それまでの地道な展開もあいまって「まあ現実はこんなもんだよな」と納得はいく。
本国では10年以上前に全9作で完結しているようだけど、これはぜひ読まねば。
734:名無しのオプ
08/05/08 12:42:55 bL0xVrIQ
マンケルジャクソン
735:書斎魔神 ◆AhysOwpt/w
08/05/10 16:32:40 S2aiBuHJ
デズモンド・バグリイ「高い砦」を読んだ。
ハイジャックされアンデス山中に墜落した飛行機の生存者たち、
乗客のひとりである政治家(前大統領)の命を狙い一行への襲撃が繰り返される・・・
反共的描写や南米のルーズな面に対するシビアな視線は、いかにも60年代の英国作家の手に
なるものらしく、CIAに対する好評価など、その後(70年代以降)の国際情勢を見ると、
今では疑問に感じざるを得ないような面も多い。
まあ、この辺はスパイ小説でないから大目に見るとしても、
過去に非常に面白く読んだ記憶があったわりには、再読してみてガク-リという作であった。
中世風の手作りの武器(クロスボウ、カタパルト等)で迫り来る共産軍に対抗というメーンの
アイデアは面白いのだが、今読むとそれだけで、ストーリーは御都合主義のヒーロー談に
過ぎないという感が強く、最初は少したそがれた感がある主人公オハラがランボー化してしまう
終盤は白けることこの上ないものがある。
救援を求めるため峻険な山越えに挑む副主人公格のフォレスターとローデの冒険談も、
マクリーン等と比較すると、デイテール描写が弱いのも難だ。
今時、これを読んで喜んでいるのは、深夜アニメを見呆けているオタぐらいなものであろうかと思う。
736: ◆XjFtIkbasQ
08/05/11 05:45:19 5uYFxywj
ヘニング・マンケル『リガの犬たち』(2003、創元文庫)【7.5点】
漂着した救命ボートから、外国人の男2名の銃殺死体が発見された。
やがてラトヴィア警察に捜査権が移った矢先、思わぬ別の殺人事件により
警部ヴァランダーはラトヴィアのリガに赴くことになるが・・・
スウェーデンのヴァランダー・シリーズ第二弾。冒頭の引き込みは前作同様、上手い。
前作が地元の殺人事件に対する地道な捜査・推理がメインだったのに対し、
本作は独立直後の共産国ラトヴィアの警察や犯罪組織との駆け引きが中心となる。
後半のリガへの潜入・逃避行なんかはそれなりに手に汗握るんだけど、
事件の黒幕候補が限定されてるせいか、「警察による捜査・推理」の要素は薄く、
そこを期待してたのでちょっと残念。さくさく読めたことは読めたんだけど。
あと、リエパ中佐との交流ももうちょっと書き込んでくれれば説得力増したかな。
ところでヴァランダーが前作同様、異様に惚れっぽいところと、
彼が警察署史料庫のゴミ箱に「残してきた」○○○の行方が気になる。
737:名無しのオプ
08/05/11 23:10:24 +jz8T0pJ
「治療島」セバスチャン・フィツェック 読了
これくらいのどんでん返し、国内ミステリではよくあるじゃん
こんなんでドイツではベストセラーになっちゃうんだなァという感想
738:名無しのオプ
08/05/12 00:00:37 UkVSX+fH
別にどんでん返しだけで評価されたわけじゃないだろうに
737は本格ファンなのか?
739:名無しのオプ
08/05/12 10:02:45 cHRtuu4q
どんでん返し=本格という発想
740:名無しのオプ
08/05/12 13:21:43 XkwUILWV
どんでん返しだけで小説が評価されるわけじゃないからなあ。
>>737の理屈だとカラマーゾフの兄弟も『この程度の謎解きなんて国内ミステリならざらにある。
こんなんでロシアでは文豪扱いなの?』ってことも言えてしまうわな。
741:名無しのオプ
08/05/12 21:54:21 fNNczPJt
>>739
どんでん返しの巧拙だけで作品を評価するのは本格ファンが多いけどな
742:名無しのオプ
08/05/13 22:03:00 9vERRO4o
現代海外ものを読むと
日本はミステリ先進国だなァと思う
743:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
08/05/14 11:25:46 WEXdrdwJ
「査問」ディック・フランシス(早川書房)
大方の予想を裏切りレースで2着になったケリイは八百長の疑いを
かけられ査問会で免許停止処分を受けてしまう。何故か自らに不利な
証言や証拠が次々と現れたのだ。納得の行かないケリイは
不信と軽蔑の眼差しに耐えながら自分を陥れた人物を突き止めようとする。
これも前回の「度胸」と同じく「興奮」の系譜に連なる正統な
ディスられもの。査問会のシーンなんか良い感じに煽ってくれます。
そして巻き返しが始まるわけですが、段々と復讐が尻すぼみに
なっていくのは少し残念かなあ。敵の情状を酌量しちゃうとどうもね。
でもやっぱり主人公はカッコイイす。
しかし競馬界ってやなとこだなあ。特に馬主とはあんまりお友達に
なりたくないや。
744:名無しのオプ
08/05/15 23:09:45 1XqTGOyW
>>742
本格・変格モノに限ればそうかもね。特に変格は。
ハードボイルドやノワールとかエスピオナージュだとつらいけど。
ただ女性作家の本格はイギリスに負けてるな。
745:名無しのオプ
08/05/16 20:20:12 TVy24JI9
あんなやつらに勝てるかよw
746:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
08/05/16 21:04:42 jqYvZv5o
「ランドルフ・メイスンと7つの罪」メルヴィル・ディヴィスン・ポースト(長崎出版)
弱気を助け悪事を奨める弁護士の暗躍を描く連作短編集。
いやぁ待ってました! どう凄いのか読みたかった。確かに狙いは面白い。
話のパターンとしては、悪人というより心の弱い人に泣きつかれた
メイスンが法の抜け穴を潜れる悪事を紹介してやるというもの。
冒頭の「罪体」は模倣犯が頻発して法改正に繋がったくらいと聞いて
楽しみに読んだだが、感想は絵空事だなという印象。このやり方によって
刑事は免れても民事で損害賠償されたり、罪名を切り換えて
逮捕されたりしそうだし、そもそもこんなにきっちり法律は
運用されて行かないよ。キムラ弁護士に読ませたら何ていうかな。
しかしアブナー伯父と対決したらどっちが勝つかな。あの人あんま
法律に忠実じゃなさそうだが。
747:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
08/05/18 15:01:51 eanEIt63
「ロジャー・シェリンガムとヴェインの謎」アントニイ・バークリー(晶文社)
従弟のアントニイと休暇旅行を楽しんでいたシェリンガムは
急遽新聞社の特派員としてある事件現場に赴くこととなった。
ある女性が崖から転落したのだが、その手には他人の服のボタンが
握り締められていたのだ。単純に見えても裏があると睨むシェリンガムは
ヤードの腕利きモーズビー警部とある時は協力しある時は競いながら
真相を暴き出そうとする。
第3弾。頭は切れるが補正はかかってない探偵と、優秀な警官と、
お約束の騎士道精神に骨の髄まで毒された助手が
事件を蚕食していくと、そこには捻れが産まれ歪みが産まれ面白くなる。
やっぱバークリーはブルースより凝ってるね。良いのう。
でも、指紋調べりゃ解るんじゃないか?
748:書斎魔神 ◆AhysOwpt/w
08/05/18 17:18:09 xG/PLxMd
W・H・ホジスン「幽霊狩人カーナッキの事件簿」を読んだ。
勘違いして「おれだけのナッキーキター!!」とか絶叫したアホなミステリオタもいるかも、
ナッキーにあらずカーナッキである(w
全10編を読破した感は、天才ラブクラフトとの差を痛感した、というのが正直なところか。
ゴースト・ハンターものに限定しても、レ・ファニュ、ブラックウッドにも遠く及ばず、
低評価のクインとどっこいどっこいといったところか(どちらも独自の読み難さがある。
ホジスンはくど過ぎる感がある情景描写、クインはレトリックを多用した文体)
収録作品中、格別推すべきものは見当たらないものの、
カーナッキがママンと同居していた頃の怪異談「角屋敷の怪」は、
リットン卿の古典を想起させるオーソドックスな設定と展開なので、怪奇小説好きは一読してみても
よかろうかと思う。
海洋怪談の名手というイメージがあっただけに、カーナッキが最後にトンデモ理論こねまくりな
「魔海の恐怖」には失望、同様にホジスン版「エクソシスト」という感がある「異次元の豚」には
さらにパワーアップした同様な欠点があるため、「笑い」狙いでない限り読むのが厳しいものが
あろうかと思う。実質的にシリーズのとう尾を飾るべき作で、これはなかろう。