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ケン・フォレット『針の眼』(1996改訳、新潮文庫)【8.5点】
大戦末期、ドイツ軍劣勢を覆す情報を掴んだ冷酷なスパイ(暗号名“針”)。
ロンドンを脱出しドイツへ向かう“針”と、英国情報部との暗闘は、
嵐の孤島で決着を迎えようとする。
フォレットの出世作を読んでみた。序盤から一気読みの面白さで、
これを29歳で書いたという作者にびっくり。Dデイを背景としたスパイ物で
題材的にはそれほど独自性はないが、孤島に住む若夫婦を事件に絡ませることで
物語を奥深くしている。
“針”の人物造形やエピソードにもうちょっと厚みがほしかったし、
ラストもちょっとあっけない気もするが、名作と呼ばれているのも納得。