07/12/15 13:43:19 TaMPCJbC
ジョエル・タウンズリー・ロジャース『赤い右手』を読んだ。
アベックを襲撃した殺人者は森に消えた・・・そして連続殺人が・・・
10年以上前に初訳され、
ミステリとして、そのあまりの反則ぶり(叙述もストーリー展開も)に驚愕した作、
あまりに見え見えの展開にしないために、あまりに無理やりな展開になってしまった
という感を強く受ける。つまり狙い過ぎたのである。
また、国書刊行会のシリーズ作品にしては、かなりエグくグロな描写も多い異色作
でもある。
(この作家は、文体、作風からは濃いキャラを前面に出したサスペンス系統の方が
向いているように思われる。実際、ピカレスク風の作も著しているようだ)
今思えば、ハーバード大卒・プリンストン大院中退な高学歴とはいえ、
単行本は数冊を刊行するにとどまったパルプ作家の手によるものだけに、
過大評価は禁物、気軽に読み飛ばすべきものだったのかとも思う。
つまり腹を立てたり、突っ込みを入れるだけ野暮っていうことである。
解説でも指摘されているとおり、時系列が錯綜する構成となっているが、
幸いにもこなれた明解な翻訳により読み難さは免れているのは幸いである。
細かい点だが、解説において、メーンキャラとなるコークスクリュー(あだ名)が、
ドクと自称していた点につき、全くコメントが無いのが気にかかった。
これも、まあ『アレ』なわけだが・・・