『読みました』報告・海外編Part.3at MYSTERY
『読みました』報告・海外編Part.3 - 暇つぶし2ch596:書斎魔神
07/12/01 15:02:11 8zQbFAKw
J・D・カー『囁く影』を読んだ。
定期的なジョン作品再読を怠らない俺ではあるが、出来栄えが芳しくないものが多い
せいもあって、ギディオン・シリーズ中期から後期にかけての地味めの作などは
どうも縁遠くなるものである。
本作はカーオタにはわりと評判が良い密室犯罪ものであるが、
訳者のノートと題されたあとがきにある、『・・・この作品の特に堅牢で緻密な構成は、
フェル博士登場の一連の作品の中でもずばぬけていると思われるが、どうだろう』
というヨイショに対しては、『それは違うだろう』としか言いようがない。
あとがきには、本作の手がかりの呈示の仕方を評価した部分もあるが、
トリックに関連した服装の件ひとつ見ても、これに気付けというのは無理というもので
あるし、第1の殺人トリック(密室)はあまりに老人というガイシャのキャラを
考慮すれば説得力が無さ過ぎ、ふと映画『ディアハンター』を想起させる第2の事件の
トリックの方が、まだ面白みがあるやに思う。
また、中期以降のジョンには珍しく吸血鬼ねたというオカルティズムを
導入しているが、初期のようなコテコテの怪奇色を施すわけでもなく、
あっさりと流されているのも、怪奇探偵小説好きとしては物足りないし、
ヒロインのフェイがハモンドに雇用される経緯その後の展開等、
いかに創り物を意図した謎解きミステリとはいえ、『小説』として無理が有り過ぎる感が
ある。そもそも、バーバラというキャラは不要だったのではないか?
意外性を持ったのは、ラストがジョン作品らしい恋愛成就のハッピー・エンディング
と思いきや、ビッチ(意外にもジョンは同情的)ねたを貫徹した点か。

597:書斎魔神
07/12/02 12:05:13 HQ+ylbHI
ジョン・スラディック『黒い霊気』を読んだ。
前に紹介した『見えないグリーン』が案外と楽しめたので手に取ってみたものの・・・
ジョン作品を想起させる交霊会絡みの怪奇探偵小説スタイルだが、
『見えない・・・』と同様に本作も英国を舞台にしながら軽快なアメリカン・ミステリの
タッチが貫かれているのが特色、テンポ良く読み易いものの、
オカルティズムによる恐怖感、サスペンスの盛り上がりが弱くなってしまっている
恨みもある。
そして、本作の最大の弱さは、錯覚とミステリではおなじみの小道具を使用した不可能犯罪
(人間消失、空中浮遊等)のトリックがあっけなさ過ぎることである。
はっきり言うて、一時期ミステリ板でも人気があった『名探偵コナン』レベルの
謎解きであり、文庫化までには至らなかったのが納得がゆく出来と言える。

598:書斎魔神
07/12/03 19:42:43 p64dJF70
アトゥール・ガワンデ著「コード・ブルー」を読んだ。
著者はハーバード大学医学部・同大公衆衛生大学院卒。現在は外科研修医。
あの「ニューヨーカー」誌のスタッフライターでもある。
2ちゃんねらー風情から見れば、雲の上のそのまた上の人と言えよう(w
ミスヲタ必読の章は、本書の第三部「不確定」第一章「乳児の死の謎」だ。
乳幼児突然死症候群(SIDS)とされた乳児10人の謎の連続死、
30年の歳月を経て母親が起訴されたが…
今流行の医学ミステリとなり得るネタが満載だ。
座して読め!


599:名無しのオプ
07/12/03 23:20:41 ztPJuLzA
求職活動、乙!

600:名無しのオプ
07/12/03 23:26:33 WO9Vy5As
中学校、いや小学校すら、お情けで卒業させてもらった書斎にとっては、
雲の上の上の上の上の上の上の上の上の上の上の上の上の上の上の
人と言う事かw

なあ、書斎、お前の文書、文法が変だぞ
主語と述語の位置がメチャメチャだったり、接続詞や形容詞もみんな変だぞ
パクッた文書の所だけ文法が正しくて、それ以外が、メチャクチャだから、
構成がまるわかりで、もはや喜劇だ、
その他の知識もみんな変、少しは勉強しろよ!

601:名無しのオプ
07/12/03 23:29:41 WO9Vy5As
つまらん論考なんかやってないで、小・中学校レベル(特に国語の基礎)から
やりなおせアホ!

602:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
07/12/04 17:35:35 4CE/v48k
「ウイッチフォード毒殺事件」アントニイ・バークリー(晶文社)

とある実業家が毒殺され歳の離れた妻が逮捕された。このニュースを
知ったシェリンガムは発見された砒素の量が多すぎることから
事件の経緯に疑惑を持ち、友人アレックを誘い独自に調査を始める。

2作目。あくまでも「有罪とは言えないかも」という姿勢を取りながらも
段々推理に偏りが出てくるシェリンガムの人間味や、所々で開陳される
彼の価値観が印象深い。ただ、個人的にはもっと俗っぽさが欲しいところ。
今後に期待。

真相に関しては同時期のある作品を思い浮かべたが本作の方が
先と判りある作品にやや失望。本作の評価が上がった。

お尻ペンペンされて赤面するシーラタン(´Д`;)ハァハァ

603:注! ルールに変更点があります
07/12/06 01:38:24 IQ440aV+
現在、「2chが選ぶこのミステリーがすごい!2008」の投票を行っています
こちらに投票お願いします 

2chが選ぶこのミステリーがすごい!
スレリンク(mystery板:129-番)

【以下のルールを守ってください】
・投票スレの>>1-3は無視してください。
・対象作品は奥付表記で2006年11月~2007年10月の期限内に発行された広義のミステリー作品。
・6作品以内で順位をつけて投票すること。
・必ずしも6作挙げる必要はない。1作でも投票可とするが上記に書いてるように順位はつけること。
・1位=10点、2位=9点~6位=5点で集計。
・国内作品と海外作品は別々に投票する。
・一行以上の総評必須(ネタバレ禁止)投票スレ>>129の「各作品に一行以上~」は間違いです
・宝島社の作品は対象内
・投票期間は12月6日~1月15日まで


今年のこのミス、本ミスなどのランキングです。参考にしてください
国内編 スレリンク(mystery板:130-133番)
海外編 スレリンク(mystery板:134-138番)


604:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
07/12/07 04:02:45 qSSUiJXv
「悪魔はすぐそこに」D・M・ディヴァイン(東京創元社)

横領疑惑をかけられ罷免の危機にあった大学講師が自宅で
中毒死を遂げた。彼は生前、過去に大学で起きたある醜聞の真相を
知っていることをほのめかしていた。そして程なく第2の殺人が起こり、
警察は前述の醜聞に関係の深い人物に疑いの目を向ける。
そんな中同じく醜聞に関わりのある若き数学講師や、公正を
旨とする法学部教授らが事件の解明に乗り出すのだが……。

ディヴァインキター!!!!!
と思いきや最大の見所たる「復縁のロマンス」が無い!
仕方ない本格ミステリとして読むかと思ったが本作のロマンスも
そう悪くは無かった。

本格としても流石の読み応えだが、フーダニットにこだわる余り
アンフェアすれすれになっていると感じた。この真犯人、
自分は二人目に疑った人物なのだが、読み返して断念したのだった。
つまり不自然なんですな。記述の正誤という以前に存在がね。
この作者ならもっと巧くまとめられるんじゃないかとつい思ってしまう。
まあエンタメ度を重視すれば見過ごせる瑕瑾かも?

追伸 解説ののりりん、国内でDVD化されてる映画ぐらい観ときなよ。

追伸の自乗 このミス5位、ミス

605:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
07/12/07 04:06:07 qSSUiJXv
チャ3位、本ミス2位だって。前2つはこれまで本格を無視
し続けて来た人達が何故か投票したということかね。
そんな奴ら皆まとめて死ねばいいのに。
本ミスが「死の相続」を1位にしなかったのは自粛かな? そう思おう。

606:書斎魔神
07/12/08 17:05:42 +HFCcWyf
クライド・B・クレイスン『チベットから来た男』を読んだ。
解説では絶賛状態(『謎・論理・意外な結末の三位一体を、独創的なストーリー
とあざやかな雰囲気のなかでなしとげた、まさに本格好きの琴線をゆさぶる逸品と
いえます』だそうである)だが、全集初期の刊行物だったこともあって売らんかなという
気持ちはわからぬではないものの、あまりに持ち上げ過ぎである。
全327頁の作品であるにもかかわらず、メーンなネタである密室殺人の発生する
のは物語もとうに半ばを過ぎた第九章(224頁から)というのも気の長い話であり、
ここに至るまで、あくまで物語の装飾に過ぎない作者の仕入れたチベット密教ネタを
たっぷりと拝聴させられることになる。
(ネタ本に『西蔵旅行記』まで挙げられており、その薀蓄は結構本格的なものに
思えるが、読書人ならぬ単なるミスオタにはきついものがあろう)
そして、最大のセールスポイントである密室トリックもやや物理的小技過ぎるきらいが
ある。ジョンならロマンス等もまぶしながらも、もっと切り詰めて書いたのではないか。
探偵役の歴史学者の爺ちゃんのキャラも地味過ぎでインパクトを欠く。
ただし、謎解き終了によるあっさりとした幕切れはしっこさがなくて良し。
97年の邦訳作品だが、黄色人種に対する作者の蔑視を感じさせるような
部分もあってか、この作者の刊行物は後が続かなかったようである。
(第十三章で探偵と警部が日本料理屋で食事するシーンは、ちょっと面白いものがある。
タマネギ、キノコ、スライスしたヒシの実入りのスキヤキとは・・・(w )

607:名無しのオプ
07/12/08 17:32:34 ZRLLyXCV
その1
1.「チベットから来た男 クレイスン」でぐぐります
2.一番目にあるであろうアマゾンのページをひらきます
3.ピエロという人のレビューを読みます 
                                 以上

その2
1.URLリンク(www5a.biglobe.ne.jp)をひらきます
2.「チベットから来た男」の感想を読みます
                                 以上

そのほか、これまでもよく引用されておられる
URLリンク(www.h2.dion.ne.jp)
のページや、
URLリンク(www6.ocv.ne.jp)
あたりも見るとよいでしょう

608:名無しのオプ
07/12/08 19:03:54 FBUrjkNj
やめろ・・・

609:名無しのオプ
07/12/08 20:38:07 uMMdDQeS
さすが書斎。時間だけはたっぷりあるからなw

610:名無しのオプ
07/12/09 08:31:53 tdb6cIkk
書斎の文は、よそのレビューサイトかたの剽窃だっていうのは
前にも指摘されていたよな。
いくつかのレビューサイトの文を混ぜて、かと思う、やに思う、感があるで
文末を締める文体に書き直すだけ。姑息ぅ~~!!

611:名無しのオプ
07/12/09 10:11:53 NSsdqpbL
>>608
やめろも何も、もう投稿されたんだから手遅れだよ。
嫌なら削除依頼でも出せば?まずスルーされるだろうけどね。

612:書斎魔神
07/12/09 13:59:17 B+KBu3xU
トルーマン・カポーティの短編集「ミリアム」(新潮文庫)を読む。
カポーティ作品を「ミステリ」という文脈で語った例はあまり見かけないが、
クライム・ノヴェルの傑作「冷血」の著者なのは良く知られたところである。
表題作「ミリアム」は、伏線が十分に張られた短編サイコ・ミステリとしても
楽しめる作。しかし、そのテーマは奥深いものがある。
ミステリ板には、純文学と聞くと、「純文学キター!」とか絶叫して逃げ出す輩が
多いようだが、このような者たちにも突き付けて読ませたい作である。
そして、早くミステリのみが本ではないことを自覚して欲しいものである。

613:名無しのオプ
07/12/09 15:12:08 qT4R2l9s
これくらいだったらパクらなくても書けるな。
てか、ほんとに読んでる感じがしないw

614:書斎魔神
07/12/09 15:37:14 7vONORbQ
ピーター・アントニイ『衣裳戸棚の女』を読んだ。
結局、真相(犯人)は禁じ手なんだが、こういうバカミス的使い方なら納得、納得
という感あり。
著名な戯曲家兄弟の共作ゆえ、会話体が多くスピーディに読めるが、その分重厚さを欠く
のが難か。軽過ぎて未訳の他作を読みたい気がしない。
ジョンあたりが書けば、ロマンス(これに使える若い男女キャラもある)
もまじえて勿体ぶって書き込むのではなかろうか。

615:名無しのオプ
07/12/09 16:43:49 bT9gkpaP
>>610
いや、姑息なんていうレベルではないよ。

ハッキリ言って“盗用”だよ。

616:名無しのオプ
07/12/09 16:47:24 bT9gkpaP
書斎魔神は、書斎盗人とでも改名するべきだな。

617:名無しのオプ
07/12/09 17:45:04 R2g3yyFA
>>613
612なんて、ちょっと解説でも見れば読まなくても書ける程度のことだね。
いやむしろ本当に読んであの程度のことしか書けないのなら
わざわざここに書き込む必要なんかないよw。

618:名無しのオプ
07/12/09 17:48:30 x8W9gCzm
あらすじ書いてくれるほうがまだマシw

619:名無しのオプ
07/12/09 19:31:29 dAEJoDXh
今のスレの流れをみていると、感想を書き込む場合は「書斎魔神」を名乗るのが決まりになったのかと勘違いしそうだなw

それとも、盗用練習スレになったのかw

620:名無しのオプ
07/12/09 19:36:36 T+/Ahv4q
パクリがばれてあわててスレを流そうとしてるだけにしか見えないw

621:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
07/12/12 00:26:12 Fbd4BA6T
「恐怖の谷」コナン・ドイル(新潮社)

ホームズの許にもたらされた一通の暗号文。
それは宿敵モリアティ教授の組織にいる“ディープ・スロート”
ポーロックからの物であった。暗号を解いたホームズだったが、
時既に遅く、その中で予告されていた犯罪は起きてしまっていた。
田舎の古館に轟く銃声。書斎で見付かった惨殺死体。堀に囲まれた
巨大な密室から犯人は如何にして消えたか?
館の主人が口走った「恐怖の谷」とは?

長編の中で唯一読んだことも観たことも無かった話。事件の解決と
動機の物語という「緋色の研究」と同じ構成になっている。

しかし「緋色の研究」の後半が只のサスペンス小説だったのに対して
本作の後半は捻りが加えられており、また事件の解明においても
111pでホームズが言うように、最後までだんまりを通すのではなく
推理の過程をワトスン(=読者)に提示して進められている。
これらは本作が発表された1915年にはもう開幕していた黄金時代を
意識しての変化の様に思える。一方でデビュー作と同じ二部構成に
したことはゲーム的なパズラーが勃興しつつある中で原点回帰を
唱えたのかも、とこれは考え過ぎか。

個人的には「緋色の研究」後半のサスペンスも犯人指摘シーンの
鮮やかさも大好きである。

622:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
07/12/12 15:08:51 Fbd4BA6T
「殺意のバックラッシュ」ポーラ・ゴズリング(早川書房)

警察官ばかりを狙った連続殺人事件が発生し、ストライカー達の
捜査は、被害者達の繋がりが全く掴めずに難行する。そんな中、
同棲中の恋人に男の陰がちらつき苛立ちを深めるストライカー。
しかし彼にも心を乱される女性が現れ……。

前作における主人公と恋人の出逢いはそれはもう酷かった。
ハワード・ブラウン風に言うなら“二日酔いのバーバラ・カートランド”
てな感じで。しかし流石に4年経って頭を冷やしたのか幾分
冷静に二人の破滅的な関係を描写している様に見受けられた。
愛情以外共有物の無い二人にそれぞれ新しい異性が現れ―昔早川が
非情にもぶっちぎったジャネット・ニールという作家の作品を思わせる
展開にニラニラしながら読んだ。一応、ケリはつくんだけど、
「実はあの後……」なんてまだまだ後付けは可能だぞ牛頭!

ミステリーとしても中々良かった。前作の様な古典を意識した
象牙の塔の殺人より、本作の様なスピーディーなサスペンスに
力を発揮出来る作家だと思った。シリーズ次作も読む。

623:名無しのオプ
07/12/14 00:49:17 HjS5Jj74
「泥棒のB」 スー・グラフトン ハヤカワ

「たまには軽いのもいいけど、これってさすがに軽すぎるんじゃないの?」と
一生、読まない作家リストに入っていたんだが、ふと手にしてしまった。
主人公はご存知、キンジー・ミルホーン
失踪人探しの依頼から隠された犯罪に出くわすという
ありきたりのストーリーながらテンポよく読ませてくれる。
強烈なキャラこそ出てこないが、みんなそこそこ楽しませてくれる。
やたらと女探偵というのを売りにしたシリーズかと危惧していたが
そうでもなかったし結構楽しめた。



624:書斎魔神
07/12/15 13:43:19 TaMPCJbC
ジョエル・タウンズリー・ロジャース『赤い右手』を読んだ。
アベックを襲撃した殺人者は森に消えた・・・そして連続殺人が・・・
10年以上前に初訳され、
ミステリとして、そのあまりの反則ぶり(叙述もストーリー展開も)に驚愕した作、
あまりに見え見えの展開にしないために、あまりに無理やりな展開になってしまった
という感を強く受ける。つまり狙い過ぎたのである。
また、国書刊行会のシリーズ作品にしては、かなりエグくグロな描写も多い異色作
でもある。
(この作家は、文体、作風からは濃いキャラを前面に出したサスペンス系統の方が
向いているように思われる。実際、ピカレスク風の作も著しているようだ)
今思えば、ハーバード大卒・プリンストン大院中退な高学歴とはいえ、
単行本は数冊を刊行するにとどまったパルプ作家の手によるものだけに、
過大評価は禁物、気軽に読み飛ばすべきものだったのかとも思う。
つまり腹を立てたり、突っ込みを入れるだけ野暮っていうことである。
解説でも指摘されているとおり、時系列が錯綜する構成となっているが、
幸いにもこなれた明解な翻訳により読み難さは免れているのは幸いである。
細かい点だが、解説において、メーンキャラとなるコークスクリュー(あだ名)が、
ドクと自称していた点につき、全くコメントが無いのが気にかかった。
これも、まあ『アレ』なわけだが・・・

625:名無しのオプ
07/12/15 14:38:12 80FRuaqz
>>624
盗用元のURLを記しておいてください。よろしくお願いします。

626:名無しのオプ
07/12/15 15:18:23 FOvg2Is+
またアマゾンのピエロから盗みましたとさ

627:書斎魔神
07/12/15 18:04:37 vrDGVSbh
馬鹿野郎!!!!!!!!!!!!!!

628:書斎魔神
07/12/16 21:20:21 /wa4VffF
C・デイリー・キング『タラント氏の事件簿』を読んだ。
個々の作品の出来栄えはともかくとして、不可能犯罪の凝った状況設定が
なかなか楽しい作品集であった。
ただし、この作者、魅力的な謎の設定という点は長けているものの、
その解決部分は弱いというのが全体的な印象である。
大好評につき収録作品全話講評いってみよう!
『古写本の呪い』
NYのど真中にある博物館、呪いがかかっていると言われる古代アステカの古写本を
徹夜番という設定が面白い。
密室内からの写本消失の謎はこれしかないという意外にあっけないものでるあるのが難か。
『現れる幽霊』
ワトスン役(ジェリー・フィラン)のロマンスを中心に置いた怪談仕立ての一編。
新装家屋の幽霊談というのが異色だが、解決が御都合主義で機械的過ぎるのが難か。
『釘と鎮魂曲』
屋上のペントハウスを舞台にした凄惨な密室殺人ものである。
ガイシャ(絵のモデルである若い娘)と犯人のキャラを濃く書き込めば、
横溝風の怪奇・猟奇趣味溢れる読物になったであろうが、都会派デイリーは
あっさりと語って謎解き(筋は通っているが、小技という感あり)してゆく。
『第四の拷問』
マリー・セレスト号事件の前ふりに始まり、終盤、いきなりB級パニックホラー的
展開となるトンデモな作、まあこの意味では楽しめる作とは言える。
探偵しか知り得ない事実が後で明かされる等のアンフェアな部分もあるが、
こういう点を問題視すべき作ではなかろう。

629:書斎魔神
07/12/16 21:21:18 /wa4VffF
『首無しの恐怖』
収録作品中唯一の非不可能犯罪もの。
時代性もあって人種偏見丸出しなネタだが、
ストーリーそのものは警察小説的な犯人探索のスリルに富む異色作。
『消えたハープ』
これも不可能犯罪もの、密室から消えたハープの謎。
『・・・もののけの仕業か』というタラントの台詞等のくだけた訳には笑える。
収録作品中では最長の作品で、書き込んである分、密室状態のサスペンスを感じさせる
作だが、謎解きは『やっぱりそれか』程度のもの。
『三つ眼が通る』
タイトルから笑える。真面目に訳しているんだろうか。
この作も人種偏見あり、ストレートなトリックの短かめの作。
『最後の取引』
これはトンデモというか・・・これを書くとミステリのシリーズとしては終わるしかない。
逆に終わらせるための作とも言える。 
タラント氏は嫌味の無いジェントルな名探偵なので、
オカルト的な妙な人物におちょくられぱなしの感があるのは気の毒。

630:名無しのオプ
07/12/16 21:34:47 z0UjmpPE
>>628-629
>>625

631:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
07/12/20 15:01:54 Dl7JUAU5
「SAS エチオピア皇帝の宝」ジェラール・ド・ヴィリエ(東京創元社)

貧乏貴族の雇われスパイ、マルコ殿下の今回の任務は独裁体制の下で
内戦状態になっているエチオピアで死んだ皇帝が隠したと言われる
莫大な黄金を捜し出しエリトリア人民解放戦線を支援すること。
マルコは現地のCIA工作員の助けを借り黄金に繋がる人物と
コンタクトを取るが独裁政権の殺し屋にかぎつけられる……。

表紙の外人は当時来日してたモデルか何か?
「実はこの人が!?」的なサプライズがあったりして。

内容はまあお馴染みのセックスドンパチセックス拷問セックス
みたいな感じで楽しめるよ。地理的に良く調べてるな、ってか
嘘かも知れんけど。
ただ、出てくる女が全員爆乳つうのはどうかと思う。一人でいい。
その方が興奮するから。

後半マルコが安らぎの象徴としてアレクサンドラ思い出すのワロタw
まあ確かに比較すりゃマシだけどさ。

632:書斎魔神
07/12/20 17:55:12 2mDgZfXQ
ジョルジュ・ランジュランの作品集「蝿」を読んだ。
たいした作品ではないが「安楽椅子探偵」という犯人探しのミステリも収録されている。
表題作は、映画「ザ・フライ」の元ネタ(忠実な映像化ではない)。
70頁強程度の短編だが、比較的忠実に映像化された
英国ハマー・プロ作品のエッセンスの全てが原作にあったのだと良くわかる。
短いながら伏線も十分が効いたスリリングなSFミステリの趣がある原作が、
文学性の面から見てもはるかに上である。
作者ランジュランは既に忘れられた作家ではあるが、ロンドン育ちのフランス人
だけあって、英国の渋さと仏国のメランコリーが巧みに融合された独自のムード
がある作風は忘れ難いものがある。
ただし、「蝿」以外の本書収録作品は、見え見えな展開が多い糞ばかりなのが残念だ。
まさに2ちゃんねらーレベルと言い得る。

633:名無しのオプ
07/12/20 18:19:40 ULUikXVy
書斎さん、ID切り替え忘れてますよ。
コロンボスレでわめいてたのは書斎さんだったんですねw

634:名無しのオプ
07/12/20 18:22:38 Yd/3Qt/9
馬鹿、ここに極まれりwwwwwwwwwwwwwww

494 名前:名無しのオプ[] 投稿日:2007/12/20(木) 14:04:58 ID:2mDgZfXQ
大学の非常勤講師だぞ、ミス住は。

497 名前:名無しのオプ[] 投稿日:2007/12/20(木) 16:01:02 ID:2mDgZfXQ
英米比較文学論と憲法学(日本国憲法)

504 名前:名無しのオプ[] 投稿日:2007/12/20(木) 17:50:50 ID:2mDgZfXQ
黙れ・・・

635:名無しのオプ
07/12/20 18:25:13 kmFQDxFO
悔しかったんですね

636:名無しのオプ
07/12/20 18:37:33 bu/6ep1u
「ジョルジュ・ランジュラン」でぐぐったら、
一番上にアマゾンの「蝿」のページがあったw

637:名無しのオプ
07/12/20 20:17:39 Gd5MtgzT
「ハエ男の恐怖(1958)」でも「ザ・フライ」でも、
英国ハマー・プロ作品なんかじゃねえぞって、
何回注意されたら判るんだ?この阿呆は。


638:名無しのオプ
07/12/20 22:22:51 ZbhOVkwt
>>637
日本公開された蝿男は、全部20世紀フォックスでしたね
親方の薄味頭の中にだけ、ハマー・プロ製の蝿男がいるのでしょうW

639:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
07/12/21 00:20:23 a7SuE1N/
「無意識の証人」ジャンリーコ・カロフィーリオ(文藝春秋)

妻に逃げられて以来精神不安定で生きる意欲を失くしていた弁護士
グイードは少年を誘拐し殺した容疑をかけられた黒人男性の弁護を
引き受けることになる。己の抱える問題に悩みながらもグイードは
裁判に臨んでいく。

ディーヴァー絶賛の駄作。まず第一章が不要。この程度のことは
第二章に織り交ぜれば事足りる。それから本筋に関係ない観念的な
場面が所々に挿入されていて興を削ぐ。見せ場であるはずの法廷シーンも
プロとは思えぬ躍動感の無さ。長々と証人の心理状態について
話してたりしてどさまぎに自説を垂れ流してるだけみたいな印象。
読んで損した。

640:名無しのオプ
07/12/21 01:42:26 233G+REd
632についてはこちら↓

スレリンク(mog2板:53番)

641:書斎魔神 ◆AhysOwpt/w
07/12/22 16:53:49 hIphPIKf
マイクル・イネス『アララテのアプルビイ』を読んだ。
冒頭は、船上を舞台にしたミステリと思わせて、非常に予想外の展開を見せる
アプルビイ・シリーズの異色作である。
正直言うて、本格ミステリとしての面白さはゼロだが、
そもそもそれを意図していない作である。
英国は冒険小説もお家芸とする国だが、漂流、原住民の襲撃、宝探しの秘密、
スパイ、戦争の影等の伝統的な冒険小説ではおなじみの要素を盛り沢山にした作を、
極めて我流で文学趣味と機知に富んだ作風になっているとはいえ、イネスが書いていたという意外感は大きいものがある。
爽やかだが本格ミステリと異なり知性のきらめきという点では分が悪い冒険小説だが、
オクスフォード出身なプロフェッサーであるマイクルの『漏れならこう書く』という
意気込みが感じられはする。
細かい点だが、翻訳で気になったのは『リヴァイアサン』に『巨大魚。クジラという意味
もある。しばしば悪の象徴』との解説が付されているが(256頁)、
バイブルに由来するものである点にも触れておくべきであった。
読者の教養が読ませ、楽しませるという側面があるマイクル作品の場合、
こういった配慮には事欠くべきではなかろうかと思う。

642:書斎魔神 ◆AhysOwpt/w
07/12/23 21:02:31 MYHlwA5z
ロナルド・ノックス『サイロの死体』を読んだ。
著名な『陸橋殺人事件』は、謎解きミステリとは言うても癖のある変化球的作と
言い得るが、本作は怪奇、猟奇、エロ等の装飾が無いコテコテの英国本格探偵小説である。
最初は地味過ぎる設定、語りのテンポも緩く読むのが辛い面もあれど、
トリックはジョン級のものをかましてくれるゆえ、この点は十分に満足がゆくし、
謎解き部分における『手がかり索引』という手法も読者への挑戦とは異なる趣向で
面白いものがある。

643:名無しのオプ
07/12/23 21:18:30 QeAjOkl4
読むならクイーン読んで出題に回答するべきだろお前はw

644:名無しのオプ
07/12/23 23:41:10 Vl7WnzHQ
「ロナルド・ノックス」でぐぐってみたら、Wikiのページがトップにあったw

645:名無しのオプ
07/12/24 00:03:04 g15bmCsw
それは別に珍しくないが

646:書斎魔神 ◆AhysOwpt/w
07/12/24 12:05:17 jsglOLPH
ジャック・ケルアック『オン・ザ・ロード』を新訳により再読した。
(旧訳の邦題は『路上』)
青春冒険小説とでも称すべき作であり、作品全体を覆う清新さは今も健在である。
米大陸を文字どおり西(西部・西海岸)へ行ったり、東(東部・東海岸)へ行ったり・・・
いつの時代にもこの手の作ではおなじみのドラッグもセクースも
ミュージック(ビーバップ興隆の頃)も有りだが、大事件は皆無なストーリー、
ヒッチハイクとバイクという違いはあれど、
後の映画『イージー・ライダー』(69年公開)が念頭に浮かばずには置かないが、
本作の素材となった作者の米大陸放浪が40年代後半、作品の刊行が57年、
映画公開年にはジャックは鬼籍に入ってしまう。
キャプテン・アメリカたちの殺伐としたバイク放浪と比較して、ぼくとポン友デューイの
ヒッチハイクは、なんともマターリ、まだ親切とホスピタリティが存在した
古き良きアメリカを感じさせるものがある。
そして時代は下り『ヒッチャー』(85年公開)に象徴されるようなヒッチハイク恐怖の
時代へとなってまう・・・
いずれの『時代』にも戦い続ける国メリケンの戦争の影を作品上に見るのは、
ひとり私だけではなかろう。
(言うまでもなく、ロードには第2次大戦、イージーにはヴェトナム戦争、
ヒッチには冷戦終結期)

647:名無しのオプ
07/12/24 13:46:50 is6pIosM
またパクリかwww

648:名無しのオプ
07/12/24 14:10:37 XTSFZtv+
「ジャック・ケルアック」でぐぐってみたら、
トップにWikiのページが、
その次にアマゾンのページが、
あったw

649:名無しのオプ
07/12/24 14:20:38 XTSFZtv+
でもって、アマゾンのページにアクセスしてみたら、
「オン・ザ・ロード」が一番上に、
「路上」が二番目に、あったw


偶然だとしたら、ものすごいなw

650:名無しのオプ
07/12/24 17:15:45 pQOa+t1l
<いないいないバーカ>

651: ◆XjFtIkbasQ
07/12/31 20:41:12 ZI+Oep1S
ケン・フォレット『針の眼』(1996改訳、新潮文庫)【8.5点】

大戦末期、ドイツ軍劣勢を覆す情報を掴んだ冷酷なスパイ(暗号名“針”)。
ロンドンを脱出しドイツへ向かう“針”と、英国情報部との暗闘は、
嵐の孤島で決着を迎えようとする。

フォレットの出世作を読んでみた。序盤から一気読みの面白さで、
これを29歳で書いたという作者にびっくり。Dデイを背景としたスパイ物で
題材的にはそれほど独自性はないが、孤島に住む若夫婦を事件に絡ませることで
物語を奥深くしている。

“針”の人物造形やエピソードにもうちょっと厚みがほしかったし、
ラストもちょっとあっけない気もするが、名作と呼ばれているのも納得。

652:名無しのオプ
07/12/31 21:33:22 l//hlFiM
「オールダリー荘」シリーズの第三弾、ジェームズ・アンダースンの
“The Affair of the 39 Cufflinks” を読んだ。

2度の殺人事件の後、「オールダリー荘にはいにしえのジプシーの呪いがかけられている」
とまで書きたてられて、今後、ハウスパーティーは開かないと宣言するバーフォード伯爵。
しかし、大伯母の葬儀と遺言状の公開のために、ソーンダーズ家の親戚たちが集まったその晩
またもや事件が。
登場するのは、犬猿の仲の国会議員と勅選弁護士、アメリカ帰りのファッションジャーナリスト、
いたずら好きの青年、おつむの軽いブロンド娘、継母にこき使われてきた故人の孫娘等々。
おなじみウィルキンズ主任警部が、犯行現場にばらまかれた39個のカフリンクの謎や
倒れた甲冑像の謎、盗まれた歯磨きチューブの謎などに挑む。
もちろん令嬢ジェリーもウィルキンスと探偵の腕を競う。
バーフォード伯爵の怪しげな行動ははたして殺人事件のストレスゆえか。

登場人物は、被害者を除いて憎めない人ばかりだが、それぞれに秘密を抱えていて
それが明らかになっていく過程が楽しい。笑っているうちに、事態は緊迫していく。

前の作品(「切り裂かれたミンクコート事件」)から22年を経て書かれた本作だが、物語の中では
ほんの数カ月しかたっていない。
作品としては3作中一番出来がいいように思う。
とにかく楽しくて、あっという間に読み終えた。
そのうち翻訳されるだろうが、英語も難しくないので、前作が気に入った人は原書で読んでみては。
伯爵には気の毒だが、ぜひ第四弾がでてほしいものだ。

653:書斎魔神 ◆AhysOwpt/w
08/01/02 19:57:49 mLA4FooI
スラヴォミール・ラウイッツ『脱出記 シベリアからインドまで歩いた男たち』を読んだ。
副題からもわかるとおり、まあ凄まじいまでの冒険ドキュメントである。
第2次大戦中、シベリアの強制収容所から脱走した著者(『終わりに』に記されているが、
正確には語り部)と六人の仲間、途中、孤児となったポーランド人少女も加わった七人は
自由の地英国統治下インドを目指し、逃げに逃げまくる・・・
フョードルの『罪と罰』や『死の家の記録』の舞台となった北シベリアから、あの『アーロン収容所』
の舞台ビルマ(ミャンマー)の隣国にまで及ぶのだから、そのスケールと苦難の大きさが推し測れ
ようというものである。
筆者は、ハガードの冒険小説等に関して、秘境冒険小説的要素が全体の前半あるいは
3分の1程度にとどまる点につき不満を述べたことがあるが、時代を大きく下るとはいえ、
意外にもノンフィクションである本書によって十二分以上にその欲求を満たされる結果と
なったのは意外であった。
本書の場合、全23章中14章がその逃避行の経緯の記述に当てられており、
極寒のシベリア縦断、酷暑のゴビ砂漠縦断、峻険なヒマラヤ越え(このリアルな書の終盤になって
雪男目撃談が登場するのには意外感があったが、このエピがあったがため本書刊行の契機と
なったことが訳者あとがきに記されている)等々、
まさに息もつかせぬ展開の連続である。

654:書斎魔神 ◆AhysOwpt/w
08/01/02 19:58:28 mLA4FooI
また、前半も拘置所における凄惨な拷問(右の歯を叩き折られ、バランスを取ると称して
反対側の歯まで叩き折られるシーン、キシュカという立ちっ放しの独房への幽閉シーン等)、
家畜車両に押し込まれての強制所への大移動、その後のシベリア死の行進とでも称すべき
雪中シーン等迫力溢れる場面の連続であり、日本語訳で活字上下2段組あるいは
上・下巻分冊になるほど詳説しても良かったのではないかと思われるほどの重みがある
内容となっている。
(『はじめに』には『この本に書いた物語は、、いまは昔の1945年に私が片言の英語で、
最初は妻に向かって話し、その後ほかの人に話したことを、ごく短く約めたものである』
と記されている)
ただし、読んでいて疑問に感じた部分も無くはない。
・氷結したシベリアの河に落ちるシーンがあるが、ハートアタックや凍傷になってしまうのでは
ないか?
・装備無しでゴビ砂漠やヒマラヤ山脈越えというのは現実的に可能性はあるのか?
等である。

655:名無しのオプ
08/01/02 21:33:21 b9ytbZJM
パクリ感想乙

656:名無しのオプ
08/01/02 22:05:02 mqn91Wvj
さすが書斎のセレクトは一味違う。
今年も楽しみに読ませてもらいます。

657:名無しのオプ
08/01/02 22:19:08 AtTwbwOO
同感です。本当にすごいよ。新年から感激です。

658:名無しのオプ
08/01/02 22:59:31 aUGZgGOI
自分で声援乙

659:名無しのオプ
08/01/03 06:06:09 7UJ6eiSR
普通に板違いだな
よそでやれや>>653-654

660:名無しのオプ
08/01/05 19:27:29 6pPl8EC2
>>651
「針の目」が面白かったなら同じ作者の「鴉よ闇へ翔べ」もおススメ。
同じくDデイ裏話ものなんだが、いろいろな特技と経歴を持った6人の
訳ありの女たちが占領下のフランスに密かに潜入する、
という粗筋を聞くだけで「ナバロンの要塞」や「特攻大作戦」を想起して
期待に胸躍らせる人であれば読んで損はないと思う。

ちなみにフォレットは上記2作しか読んでないけど、「大聖堂」は面白いらしいね。
読むかどうかは判らないが。

661:651
08/01/05 23:47:54 M4MC3l8O
>>660
>「鴉よ闇へ翔べ」もおススメ。

あ、ちょうどそれ探してるところ
(びんぼ人なので主に古本派(ノ∀`) )。

初フォレットは『大聖堂』で、すごくおもしろかったよ。
ちょっと長いけど。

662:名無しのオプ
08/01/09 21:05:46 oeQTVhEP
大聖堂、上巻最後のメ欄が苦痛で、ここから先がどうにも読めないんです。
おもしろいと評判なので、読まないのはもったいないかとは思うんですが。

663:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
08/01/10 17:16:44 Si/BMsYl
「警視の接吻」デボラ・クロンビー(講談社)

人生に大きな転機を迎えることになったダンカンはジェマとの間に
溝を感じる様になる。そんなとき公園で美女の他殺体が発見され、
二人は地元警察と共に捜査に当たるが、浮かんで来た容疑者の中には
ジェマの心を騒がす人物が……。

シリーズ第6作。最長かも知れないが、ミステリーとしての密度は
あまり感じなかった。前作から変化を予期させていた二人の関係を
シリーズとして見ていくのが正しい読み方なのかな。
ただジェマの酊露滅鬼がやっつけぽかったのが残念。折角長いのに。

664:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
08/01/10 17:43:10 Si/BMsYl
「強盗こそ、われらが宿命 上・下」チャック・ホーガン(ヴィレッジブックス)

地元の仲間とつるんで強盗を繰り返していたダグは、ある時
押し入った銀行の支店長クレアにあろうことか一目惚れしてしまう。
情報収集にかこつけて彼女に近付いたダグはやがて恋人として
付き合うようになる。しかし事件を追うFBI捜査官フローリーは
ダグ達に目星を付け、少しずつ輪を狭めていく。そして彼もまた
事情聴取したクレアに好意を抱いていた。恋人と生きるため
ダグの取るべき道とは?

あけまちんこおめでたまきんことしもよろしくとりいみゆきとけこんしたい
ロマンススレで紹介されていたけどちっとも食い付きがなく、
保守的なスレだからなぁと思っていたところが読んだ上では
あそこには合わないとの結論に。
ロマンス的には二人のシーンが思ったより少ないし、ヒロインが
主人公に釣り合ってない。結局主人公の潜在的な願いの一部としての
“女性”が実体化しただけという感じ。ただミステリー的には
(メル欄)という解釈も出来んこたないかも?
他に気付いたのは主人公の立場からみた“悪人”の数が少ない
ということ。個人主義のアメ公にしちゃあ珍しい主人公。

別にお奨めはしない。

665:書斎魔神 ◆AhysOwpt/w
08/01/13 21:16:17 lJni/5CL
フィッリップ・マクドナルド『フライアーズ・パードン館の謎』を読んだ。
売れっ子女流作家が曰く因縁付きの屋敷の密室状態で謎の溺死を遂げた。
地元警察さえ超自然現象という結論に傾いていくのだが・・・
と俺が書くと面白そうではあるが、結論を言えば、現代において読む価値無し。
謎解きミステリ好きなら、アーヤやアリスの作を読んだ方がよかろう。
凶器(?)の処分にかろうじて面白さが感じられ、関係者一堂を会した名探偵の謎解きならぬ
降霊会という趣向は異色なものの、見え見えな犯人、安手なロマンスの導入等頂けない要素多し。
登場時点では探偵役はハードボイルドを想起させるようなクールな感じで良いのだが、
後半は古典的なナイト化してメロメロでがっくりさせられるのもマイナス評価大。

666:名無しのオプ
08/01/16 08:54:06 eQv+PTQR
某掲示板の感想文。
「一言で言えば失敗作」
読みが浅い自分をさしおいて、
よくも簡単に書けるなあ___


667:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
08/01/16 17:43:23 9iVIwIOE
「殺意の海へ」バーナード・コーンウェル(早川書房)

戦地で銃弾を浴び下半身不随となったヨット乗りニック。
彼は必死のリハビリで何とか歩けるまでに回復するが、2年ぶりで
戻った港には愛する船の変わり果てた姿があった。船の修理費用のため
自らのドキュメンタリー番組の制作を承諾したニックだったが、
それが国の行く末に関わる騒動に巻き込まれる端緒であった……。

雨様のエッセイに脅されて読めなかった幾星霜。「興奮」みたいなのを
読みたいとの思いが強まり漸く読んだがまあ主人公の気の毒なこと。
虐げられ殴られ貶められ舐められ騙され裏切られ踊らされ寝取られと
マゾ大喜びの一冊。フランシスよりフランシスらしいんじゃないか。

冒険小説としても見事な出来。勧善懲悪やハッピーエンドを
覆えるだけの読み応えがある。著者初の現代もので、
その小慣れてないことが重厚さに繋がってるんじゃないかと。
後の『ロセンデール家の嵐』はもっと角が取れて丸くなってたもの。
読むのはその方が楽だけどね。

時々読みたい作家だ。

668:書斎魔神 ◆AhysOwpt/w
08/01/19 14:00:20 rbKU2/9L
シーバリー・クイン『グランダンの怪奇事件簿』を読んだ。
ワセミスの仁賀克雄氏(昔から怪奇・幻想作品のアンソロジスとしても著名)が
監修するコレクションの1冊、名探偵に相当するキャラは登場するとはいえ、
実態は怪奇小説そのもの、この板で紹介するのが少し躊躇されるぐらいである。
獣人、吸血鬼、悪魔、ルー・ガルー・・・全て怪奇は怪奇のまま描かれ、そして解決される。
これは掲載誌がWTゆえ、当然といえば当然か。
今読むと、漫画的な作が多く(「死人の手」「ウォーバーグ・タンタヴァルの悪戯」などは
笑うしかないような展開の典型と言い得る)、
この点では、少年誌のホラー漫画を愛読しているような輩には最適な読物と言えるやもしれぬ。
探偵役の仏人ジュール・ド・グランダン(医師・大学教授そしてファントム・ファイター)は、
ポワロもどきに会話にフランス語をまじえる(この部分の訳は読み難く、ストーリーの勢いを殺ぐ
というデメリットあり)ファンキーなオヤジ、暗く、重くなりがちな物語群の救いになってはいる。
なお、著者略歴を見ると、ワシントン生まれ、ワシントン国立大学(現 ジョージ・ワシントン大学)
ロースクール卒の弁護士、第1次大戦に従軍後、葬儀社の法律顧問、業界誌編集、法医学教授
を勤めるとある。オカルトに関する薀蓄に学識を感じさせる部分があるとはいえ、
学歴、キャリア共に十分に地元の名士と言うてよい人物がこんな漫画ちっくな作を書いていた
というのにも驚いた。

669:名無しのオプ
08/01/19 19:32:38 IeJOy/if


マスゴミの売国っぷりがマジでヤバイ件
なぜかニュースで自民を叩き民主の韓国推しをスルーしてる

【政治】 “韓国の李氏「自民が躊躇してる。民主党がリードして」” 民主、在日韓国人ら永住外国人の地方参政権付与法案、提出へ調整★2
スレリンク(newsplus板)l50


日本終了。
これで、日本はチベットの様な状態になり、中国様の元で奴隷として
働く様になります。


コピペして、拡散してください。




670:うざいと思いますが最終日なので宣伝させてください
08/01/20 04:08:28 uiTOqtHV
2007年のベストミステリを投票で決める「2chが選ぶこのミステリーがすごい!」スレ
本日投票最終日です。まだ未投票の方は、ぜひ参加してください。
スレリンク(mystery板)

【以下のルールを守ってください】
・投票スレの>>1-3は無視してください。
・対象作品は奥付表記で2006年11月~2007年10月の期限内に発行された広義のミステリー作品。
・6作品以内で順位をつけて投票すること。
・必ずしも6作挙げる必要はない。1作のみでも投票可とするが、上記に書いてるように順位はつけること。
・1位=10点、2位=9点~6位=5点で集計。
・国内作品と海外作品は別々に投票する。
・一行以上の総評必須(ネタバレ禁止)
・宝島社の作品は対象内

テンプレです
1位,
2位,
3位,
4位,
5位,
6位,

<総評>

671:名無しのオプ
08/01/20 10:56:06 h8Bh5YaL
>>668
漫画・怪奇物=低級 ミステリー=高級
開いた口がふさがらない浅薄な脳味噌の持ち主であることが一目でわかる
好文だな。それで自分が高級だと思ってるのが漫画にも使えんほど漫画的だわ。
(なにも仁賀本を持ち上げようってんじゃないが、こういうバカ見ると虫唾走るってだけ)

672:名無しのオプ
08/01/20 11:14:54 Yu7OGiy/
放置がいちばん。

673:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
08/01/21 00:41:54 g4RtOJC6
「クロエへの挽歌」マージェリー・アリンガム(新樹社)

私立探偵キャンピオンは頻発する嫌がらせに悩む売れっ子俳優
ステインから相談を受ける。訪れた彼の邸宅で癖のある女優
クロエや他の関係者達と顔を合わせたキャンピオンはステインの
妻リンダに穏やかならざる想いを抱く。その夜屋敷でリンダと
語らっていたキャンピオンの所へ慌てた様子のステインが現れ
人を殺したと告白する……。

「まだかクロエ!」「今読んでます!」
一昨年の年末は『屍衣の流行』を読んでたからおよそ一年ぶりか。
なんつーか、こう、探偵がストーリーを追って行くだけで
あまり推理しないのがなぁ。心中チラチラおもんみるだけじゃなくて
もうちょっと物証に基づいた演繹的な推理を開陳して欲しい。

あと小説の技巧として、見せ方が中途半端。これが例えばクロフツの
某作品みたいに力を入れて書いてあればもっと驚けたと思う。

674: ◆XjFtIkbasQ
08/01/24 16:14:05 5Tqhq2El
マイクル・コナリー『ナイト・ホークス』
         (上下、扶桑社ミステリー1992)【7.5点】

湖近くのパイプから発見された死体。ハリウッド署殺人課刑事のボッシュは、
被害者がベトナム時代の戦友だと知る。死体にいくつかの不審点を発見した
ボッシュは、大掛かりな銀行強盗の事件で動くFBI、さらには警察組織の
監察官がボッシュを阻む。シリーズ第一弾。

世評高いシリーズに挑戦。一匹狼でベトナム時代の古傷を抱えるボッシュと、
FBI女捜査官のエレノアとの関係など、なかなか好調な滑り出し。捜査は
意外とオーソドックスな感じだが、伏線のばらまきも上手い。ディーヴァーや
逢坂剛的なあざとい意外性はないものの、つぼを押さえたテクニック。

終盤の展開はあるていど予想できたが、今後ボッシュがどのような運命を
たどるのか楽しみ。



675:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
08/01/25 00:09:11 XplfH4hC
「ナツメグの味」ジョン・コリア(河出書房新社)

短編集。初訪韓だが“これぞ奇妙な味!”てな感じでハマれた。
『頼みの綱』や『魔王とジョージとロージー』の世界観とか好きだわ~。
あと本書は“悪魔との対決”ものが多いのが特徴なんだけど、
この趣旨のアンソロジーってあるのだろうか? とふと思った。

一番印象に残ったのは『遅すぎた来訪』。ある階段の絵みたいな話。

コリア他のも読まんとなぁ。

676:書斎魔神 ◆AhysOwpt/w
08/01/26 22:08:09 C5R8q2+3
ハリントン・へクスト「テンプラー家の惨劇」を読んだ。
本名フィルポッツことアガサん家の隣の家のオサーンの作である。
邦題から「Yの悲劇」や横溝作品の如き怪奇探偵小説を期待すると、
大きく裏切られる。
フィルポッツ名義の「闇からの声」や「灰色の部屋」を見ればわかるとおり、
決して怪奇性等を忌避する作家ではないのだが、本作ではこの手の要素は皆無であり、
また、美少女は登場するものの、時代性もあって「萌え」の強調はあり得ない。
つまり、本作の実態は犯罪小説ちゅーか、終盤の犯人の一人語りが象徴的に示すように、
犯罪者小説とでも称すべきものであり、作者の主眼は謎解きなどではなくして、
(従って、犯人はすぐに見当がついてしまう構成である)
一種特異なキャラである犯人という「人間」を描くことにあると言い得る。
(この点では、不自然なまでに謎解きに傾斜した低俗なミステリよりは、はるかに「文学」に
近いものではある)
しかしながら、作者十八番の田園小説のタッチによる悠々とし過ぎた語りは、21世紀の現代に
マッチしたものとは言い得ず、ある種異様とも言い得るオタを除いて到底受け入れられるものでは
なかろう。

677:名無しのオプ
08/01/27 14:23:47 O1YWk8ac
つまらん

678:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
08/02/02 00:27:09 dRdQqEWb
「ペンローズ失踪事件」R・オースティン・フリーマン(長崎出版)

骨董品収集家ペンローズが黙って出かけたきり行方知れずとなった。
彼はジャンルを問わず手当たり次第にコレクションを増やしている変人で
失踪後には何者かが保管室に侵入した形跡も発見された。
捜査を始めた警察はペンローズらしき男が怪我をして病院に運ばれたこと、そして
彼の車とその車に轢かれたと見られる死体を発見するが―。

短編と違ってこの人の長編はどうも残念な印象が拭えないのだが、
今回は失踪者の行く先を突き止めるというやや異色のストーリーで
掴みはOK。しかも相手は途中でアクシデントに見舞われており、
そのイレギュラー要素を物証主義のソーンダイクがどう処理するのか?
とか引きは十分にあった。ただ読み終ってみるとフーダニット興味が
弱いのと、ペンローズの事件への関わり方に不満が残った。
まあ今まで読んだ長編の内ではマシな方かな。

しかし第一部は誰に対して?

679:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
08/02/02 00:52:08 dRdQqEWb
「フランクフルトへの乗客」アガサ・クリスティ(早川書房)

呑気な外交官スタフォードは空港の待合室で出会った美女から懇願され
訳も分からないままパスポートとマントを貸してしまう。そして帰国後、
スタフォードは何者かに度々命を狙われるようになる。
その背後に潜むものとは……?

うわぁ駄作じゃん。巻き込まれ型はお得意のはずなのに老耄したのか。
登場人物が延々抽象的な話ばかりして事件の背景が中々見えてこない。
恐らく当時隆盛だった韜晦趣味が横溢したエスピオナージュを
意識したのだろうが“元”が提示されないからただ空白なだけ。
だからやがて背景が見えて来ても不自然な印象を受けてしまう。
そして終盤、怒涛のやっつけ展開には目が点になる暇もない。

大体タイトルからしてズレてるもん。
後この主人公迂濶過ぎ。こんな奴即クビだろ。

680:書斎魔神 ◆vVXVsEKCZ.
08/02/02 21:05:35 q4TTE16e
A・A・ミルン「四日間の不思議」を読んだ。
喩えていえば、品が良い赤川次郎といった感がある作である。
突然な叔母の事故死、
姪っ子ジェニーのちょっとした工作により事態は警察も巻き込んで大紛糾へ・・・
正攻法な謎解きミステリの面白さを狙った作ではないためこの点の面白さは皆無であり、
ラストも見えている。また、本格ミステリのパスティーシュやパロディとしての趣向はあるものの、
アントニイ作品のようなビターなテーストではないため、この点の刺激も乏しい。
ならば、「本作はつまらないのか?」と問われれば、「さほどにもあらず」との答えになろう。
プーさんの作者らしいミステリ仕立ての現代メルヘンと把握し、アホなねらー風に言えば
マターリ、マターリ・・・とその雰囲気を楽しめばOKかと思う。
ヒロインのデンパがかった美少女(ミステリも好き(w )ジェニー、同類の友人ナンシーと
アニメ化したら活きそうなキャラである。
ただし、男性キャラ陣がピザでチビの流行作家アーチボルト、
彼の弟でヒーロー役のデリク(売れない画家)も30男、殺人事件の経験不足で迷走ばかりの
マリゴールド警部等、ビジュアル的には弱いものがある。
この点の修整が要(デリクをビヨルン・アンデルセン風な美少年に設定する)か。
(ただし、ジェニーがデリクに惹かれるのは父性への憧憬(父親は逝去)もありそうで、
この辺のテーマが崩れてしまうが)

681:書斎魔神 ◆vVXVsEKCZ.
08/02/02 21:06:17 q4TTE16e
ピーター・チェイニー『この男危険につき』を読んだ。
ハードボイルド風のノワールといった感がある作、人死が多いハードな展開ながら、
軽快なタッチのため、カーター・ブラウンほどではないが、気軽に読み飛ばせる。
ということは、ハードカバーで出すまでもなく、ペーパーバックに相当する新書あたりが
作品の格・雰囲気共に妥当ということなのだが。
現代では壊滅状態とはいえ、本作の作者チェイニーと並んでフランスで人気があった
ハドリー・チェイスが、本邦ではスピレインブームが落ち着いた60~70年代において、
刊行点数(殆どが創元推理文庫)等を見ても、翻訳通俗ハードボイルドの旗手と言い得る
時代がある。これに比較して、チェイニー作品の不遇さが目立つのはなぜか?
独自性を気取った読み難い文体で、内容的には大部分が事実・資料紹介にとどまっている
解説には大きな不満が残る。(名翻訳家にして粋な趣味人である田中小実昌氏をコミさんと
書くのも頂けない。自身の分を知れという感がある)
チェイスにも言及するのであれば、本邦におけるこの辺の事情に触れてこそ意味があるのである。
ここは是非、小鷹信光御大の御出馬を願いたいところだったのだが、やはり予算の関係だろうか?
(なあ、筆者は氏がチェイニーに関して書いているのを目にした記憶がない)

682:名無しのオプ
08/02/02 21:22:06 r7x3lR+3
なあw

683:書斎魔神 ◆vVXVsEKCZ.
08/02/09 18:22:15 3125sX7L
アントニイ・ギルバート『薪小屋の秘密』を読んだ。
ヒッチにより映画化(ただし、大幅に脚色)もされたフランシスの古典を想起させる青髭もの、
幽霊話も絡ませた怪奇探偵小説風の設定が期待を持たせるが、正直言うて期待外れな作、
97年の刊行だが、この後、この著者の作品翻訳が途絶えたのは致し方あるまい。
特に作者にはサスペンス盛り上げの意図があったのであろうが、
終盤の「ひっかけ」は今時は安手のテレビドラマでもやらないネタであり、がっかりさせられること
この上ないものがあった。
茶色尽くめな弁護士探偵クルックは類が無い面白く個性的なキャラだし、
アガサ・クリスティ(ヒロインの名もアガサ)の名が出たり、おなじみシャーロックの格言(?)が
出て来たりとお遊びも楽しめる面はあるのだが、いかんせんメーンとなる謎が小粒過ぎる感があり、
これで邦訳300頁以上を繋ぐのはきついものがある。
250頁前後(邦訳換算)で収めれば、もう少しシャープなサスペンス・ミステリとして楽しめるものと
なったかと思う。
ヒロイン像(孤独な中年女性)をはじめ、ロンドンのハイアウォサ・クラブの面々、
バディス荘の住人、そして家政婦ミセス・ハート等の登場する女性たちの姿が活写されている点を
評価する手もあるが、(つまりミステリにしては「人間」が書けているということ。あくまでミステリに
してはということだが・・・)、くどい性格描写がミステリとしてテンポを阻害している恨みもある。

684:名無しのオプ
08/02/09 18:41:37 FzmZefy8
「そして誰もいなくなった」から「スリーピング・マーダー」まで
ハヤカワ・ミステリ文庫のクリスティ作品85作を全部読破した俺だが、
確かにフランクフルトが一番駄目だった。

685:名無しのオプ
08/02/09 18:49:07 8I+4p2WD
>>684
全部読んだわけでないけど、読んだうちでは確かに駄作。
まあその最低水準レベルでも結構楽しんで読んだのだけど

686:名無しのオプ
08/02/09 19:05:37 mcfr50Sj
>>684
同感。
そして二番目が「運命の裏木戸」。

687:名無しのオプ
08/02/09 19:52:02 bAM+ndSv
俺は複数の時計かな
つーかクリスティスレでやれよw

688:書斎魔神 ◆AhysOwpt/w
08/02/10 20:37:59 90wUJtbk
ジョンスレで低評価ゆえ、久々にJ・Dカー『喉切り隊長』を再読してみた。
うーん、謎解きミステリとしてはアレだが、
(特に一見不可能犯罪に見える柵内の兵士殺しのトリックはジョンにしては単純過ぎ)
「あの男」をラスボスというオチは西洋時代小説として読めば驚愕、
かつ、楽しいものではなかろうか
ただし、西洋チャンバラを目玉にした「ビロードの悪魔」等と比較して、
アランとハンスのガチンコ勝負がない点などは不満も残ろう。
アランの諜報活動にも筆を割いたジョンらしからぬエスピオナージ的要素も
色濃い作だが、このため喉切り隊長捜索はメーンストーリーのひとつに過ぎないのが残念、
ここに焦点を置き、連続殺人者が暗躍する陣営における探偵談を中心としても、
非常にスリリングな作に仕上がったのではなかろうか。
ナポレオン戦争を背景に、ボニー御本人や怪人(?)フーシェ大臣が真の主人公とも見え、
熱い男たちの葛藤に絞って書いてもOKだったような作なのだが、
「・・・薄地の絹でつくった、ハイ・ウェストの夜会服を着ていたが、その下には、ほとんどなにもつけていない・・」という状態で全編活躍するマドレーヌ(アランの妻)、
直接描写はないものの、作品中で入浴するエキゾチックな美人スパイのイダ、
可愛い系キャラのルーシー(ホープウェル夫人)、年増系美人アンジェールと
女性キャラによる彩りは満載(注 野村萬斎ではない(w )
55年という時代の制約もあってお色気シーンは抑制気味だが、ジョンのサービス精神、
ある種の好き者ぶりが伺える。

689:名無しのオプ
08/02/11 10:55:15 JLGk/6/9
>>683
書斎はアントニイ・ギルバートという作家が分ってないな
A・ギルバートは基本的に純粋サスペンス小説を書こうとはしていない
あくまでも本格の作家だ
ただし歪んだ展開を見せる本格だけど
「薪小屋」にしてもサスペンス小説を書こうとして後半にオチを付け足した訳じゃない
最初から前半を青髭ものに見せかけているのは計算づくで
途中から普通の本格とは違う変な物語展開をしていくというのは
この作者の得意なパターンだ

690:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
08/02/11 16:20:45 PxwxzhHz
「正義の四人/ロンドン大包囲網」エドガー・ウォーレス(長崎出版)

英外相に送り付けられた脅迫状。それには犯罪者引渡法案を
廃案しなければ殺すと書かれていた。送り主は世直しと称して
世界中で殺人を繰り返すテロリスト四人組。強気にはねつける
大臣だったが、第2第3の脅迫状が舞い込み……。

多作家なのに翻訳は少ないウォーレスの新訳。何かの後書きで
本作は懸賞付で発表されたが正解が殺到して版元アボーンと
紹介されてたがそういうタイプの話じゃないっぽいが……。

狙う側と狙われる側が交互に描かれスリリングな雰囲気を
演出しようとしているが、ヘマがヘマなのかヘマじゃないのか
はっきりしない書き方のためイマイチエキサイトしなかった。
ラストの殺人方法は中々良かったかな。
しかしこの当時の防犯装置ってどんな仕組みなんだろう?

本書で第1期は終了したわけだが、装丁の謎解きが載ってなかった。

691:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
08/02/11 16:36:24 PxwxzhHz
「切り裂かれたミンクコート事件」ジェームズ・アンダースン(扶桑社)

映画に目覚めたバーフォード伯爵はオールダリー荘をロケ地として
提供することにした。関係者が下見にやってくる週末、ちょうど
夫人の従姉妹夫婦も来ることになり、お転婆娘ジュリーは接待役として
2人のボーイフレンドを呼ぶ。さらに土壇場の客も舞い込んで来て
館は賑やかな週末を迎えることになるが、2日目の夜、再び
殺人の幕が―。

つい2作目から読んでしまったがネタバレは……それっぽいかなってのが
1ヶ所だけ(泣。
500後半と長めで、登場人物達の行動が細かく
描かれているが、伏線の香りを撒き散らしているので冗長に感じられず
むしろ読みやすかった。

終盤の展開がややあざとく感じられ、フーダニットも難易度はそう
高くないが、まとまりはあって完成度は高いと思う。

当時は有名俳優と下層階級が普通に一つ屋根の下で過ごせたのかぁ。

692:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
08/02/18 00:40:50 e3pZJOlu
「死を招く航海」パトリック・クェンティン(新樹社)

病気療養の為単身客船に乗り込んだ女性記者メアリは、残して来た
婚約者宛てに日記を書き始める。微に入り細をうがったその日記には
やがて恐怖に彩られた事件の顛末が綴られることになるのだった……。

パトQの初めて読む本格は書簡体小説。富豪が毒殺され、存在しない
男の影がちらつくという話。「このページには重大な手掛りが!」
みたいなヒント表示もあり(ちなみに自分は「これだ!」と思ってた所、
見事にレパルスしたorz)。他にも人物位置やコントラクト・
ブリッジなるゲームの推移が図解されているのだが、巻末のルールを
みてもはぁ~さっぱりさっぱり~。ま、こういうのって往々にして
大雑把な理解で良いことが多い気がするけどね。

作中で強調してある様に序盤のヒントに気付くかが犯人指摘の決め手に
なるわけだけれど、負け惜しみじゃないがこれどうかな~?
翻訳のせいかも知れないがちょっと決め手としては足りないと思う。

他には日記というより手紙の束みたいだとか、その他大勢の客に
殺人を秘すのは無理じゃないかとかいう点が気になった。

693:名無しのオプ
08/02/18 01:15:44 ZjDpa/sa
              ー--------
             |     │    ◎│
              |      │      │
              | ◎    │     │
             │,.‐''"´ ̄ ̄``'‐.、   ,i
             ノ   ,-、   ,.‐, \/
    i´`、      /   ││   ," |   ヽ      , 、
    |  i,      │   ││   |  |   │    ノ )
     i、 L、_    /   ノ ,i   `-´    │   ノ  ノ、
   ,i´ i,-  )  Λ   (_ ノ        Λ  / つ/  )
  (  /´ヽ /   / |\           Λ ヽ (   ``)
   ``、   `、 │ |│`'‐.、 ____,.,‐''´| | │  >  i''
     `:、  ヽ │ | |  |_ノ、ノ  i_ ノ-;´ノ │ /  /
      ヽ  ヽ │ | ゙i ̄ /  ̄\  / / / /  /
       ゙i   ゙i \`、゙i/     `v´ / ノ /  /
        ゙i   ゙i   ゙ヽ ゙i、       / /"´ ノ  /
         ゙i   ゙i  ヽ \__/| /  /  /
          ゙i     `、   ヽ.ノ ノ    /
           `     ``'--‐''"    ‐''"
     ボッボッボクチン♪ 書斎魔神! プ~

694:名無しのオプ
08/02/20 21:34:51 hI4rasKl
ポケミス板が落ちたようだな
まあ作品の感想はこっちで書けばいいか

695:書斎魔神 ◆AhysOwpt/w
08/02/23 23:06:51 jTHfnF/I
ウィルキー・コリンズ『白衣の女』を読んだ。
ミステリというよりは「スリラー」と称すのがふさわしい作。
ジョン・スレだったか、本作を面白いとか書いている不見識な者がいたが、
大時代的に過ぎる点は致し方ないにしても、極端な偶然性(その後のストーリーに不可欠な
物語の発端からして「これ」であり、白けることこの上ない)に支えられ、
見え見えなラストに至る展開は、到底、現代人の鑑賞に堪えるものではないと言い得る。
結局、当時としてはヒーロー&ヒロインの結末は「あれ」しかないのであって、
それに至る二転三転するジェットコースター的ストーリー展開を味わうべきなのであろうか。
であるのであれば、本作を評価する輩に私は言いたい。
「富士急ハイランドのジェットコースターでも乗ってろや(w 」と。

696:名無しのオプ
08/02/23 23:44:14 MZ9wmGPB
>>694
もう一回立ててもいいかな?
感想だけでもないし

697:名無しのオプ
08/02/24 00:35:36 nAhfBkqN
イラネ
海外は古典もそれ以外もスレあるし

698:名無しのオプ
08/02/24 00:49:18 VkJRNkbw
富士急ハイランドのガンダム・ザ・ライドに乗って絶叫しすぎて、
酸素欠乏症になってしまった書斎魔神w

699:名無しのオプ
08/02/24 09:24:46 YquhWQb+
>>695
様は「結論はわかっているから読む価値なし」ってことか。
そういう頭の悪い評価しかできないから八流にも値しないんだよ君はw
それにあの程度の展開スピードがジェットコースターねえ・・・
よっぽど小説というものを読みつけていないんだな八流クンは。
それとも自分の知らない本をあっさり取り上げることのできるカースレ住人に嫉妬して
とにかく貶してやろうというミジメで幼稚な嫌がらせが目的なのかい?
どちらにせよ「白衣の女」をたった一日で読みきれるかどうか考えてからレスするべきだったねw

700:名無しのオプ
08/02/24 14:25:17 yFOQZtHS
コピペやめろ糞書斎

701:名無しのオプ
08/02/24 21:17:13 +kQmv7uH
699についてはこちら↓

スレリンク(mog2板:166番)

702:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
08/02/26 16:41:08 g7G/BmtD
「ロジャー・マーガトロイドのしわざ」ギルバート・アデア(早川書房)

吹雪の山荘で雑誌記者が殺された。被害者は他のメンバー全員から
反感を買っていたが、殺人現場は密室状態であった。山荘の主人は
近くに住んでいる元警部を呼び、疑似捜査が始まった―。

舞台設定が不十分でなあ。密室トリックは取るに足らんもので、
それ以外にしてもやや大まかに言えば国内に先例がある。厳密には
違うけども、それにしたって強引で作り込みが甘い。防御のために
(メル欄1)必要性が無いし、仮にあるとしても(メル欄2)なら
問題無いはず。

結局日本と違って本格がジャンルとして続いてるわけじゃなく、
時折気まぐれに書かれる程度だから全体としての精度も低く、
こうなってしまうのかも。もっとも、もっと各論的な古典と新本格との
違いに起因する問題かも知れないが。

703:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
08/02/26 17:54:41 g7G/BmtD
「作者の死」ギルバート・アデア(早川書房)

名声を博した評論家の元に自伝を書きたいという女性が現れる。
自らを暴かれることに不快感を抱く評論家。そんな時、評論家の知人が殺害される事件が発生する。

何かよう解らんが究極のフーダニットととの煽りがあるからミステリーか?
事件が起こるのは半分過ぎてからだけど。
しかしこれを読んでこの作家の評価下がったなぁ。
まあ、去年出したミステリーの内容に淡い期待をしておく。

704:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
08/02/29 02:41:12 yEodr/61
「記憶をなくして汽車の旅」コニス・リトル(東京創元社)

目を覚ました。
ここはどこ? 私は誰?
どうやら汽車の中らしい。荷物を探ると数通の手紙が見つかった。
状況が掴み切れないまま私は途中で出会った親戚(?)や
偽の婚約者(?)と共にオーストラリア横断の旅を続けることに
なるのだが、殺人事件が起きて容疑者になってしまい……。

44年作ということは立派な古典ですね。豪の作家と言えばヒューム、
マーシュ、アフォード、ブラウン、ロウ、ジェニングスを知ってる。
前二人未読。これを機に色々と紹介が進むと良いですね。

ただ本作の内容はイマイチでした。突端は「もうひとりのぼくの殺人」
みたいで惹かれるし、メルボルンからパースまで大平原の旅と
いうのもロマンがあって良いけれども、ラストがかなり残念でした。
モロにHIBKな感じで……。それ早く言えよ!と。
いくらかあった謎が駆け足で解釈されているのも不満が残りました。

ともあれ、他作品が近刊らしいから、これ以上のものを期待しときます。

705:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
08/03/03 02:01:33 XCDinYvo
「死体が多すぎる」エリス・ピーターズ(社会思想社)

先王の逝去により後継者争いが勃発。シュールズベリの近くでも
城攻めが行われた。その犠牲者達を埋葬するべく城に入ったカドフェルは
死体の数が一体多いことに気づく。私的殺人の被害者が
紛れ込まされていたのか―。

発端の謎は良いがこれ、本来落ちなんだよなw
そこから広げ様(閉じ様)が無いというか……。だからストーリーは
殺人よりも貴族の亡命に主眼が置かれているし、犯人を指摘するのも
論理によってどころか自白ですら無く唐突に決め手が出て来るという。
ロマンスについても描写不足でノれない。もっと面白味が無いとね。

706:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
08/03/04 17:26:16 JwSxS+dP
「密偵ファルコ 青銅の翳り」リンゼイ・デイヴィス(光文社)

皇帝へ謀反を企んでいた貴族達の一人が殺された。容疑者は
同じ一味の家来とみられ、皇帝の密命を帯びたファルコは
地方に隠屯する他の一味へ警告するため旅に出る。

やっぱこっちのがオモロイな。カドフェルはストーリーが無い癖に
出ずっぱりだから密度が薄く感じられるのよね。その点こっちは
ファルコのファルコによるファルコのための物語だからみっちり
読み込められる。

つうかヘレナタン(´Д`;)ハァハァ。
そらファルコンMにもなるわ。マルコ殿下もこの境地に到達すれば
随分楽になるのにw
ぶっちゃけバカップルだと思うがそれもまた宜しからずや。

解説のラノベ作家はユマ・サーマンと言ってたが、小生は
ガブリエル・アンウォーを推す。彼女正当派美人なのに何故か
B級にばっか出て宝の持ち腐れなんだよなぁ。個性派と言って
不細工ばっか起用するハリウッドのフェミ偏重主義の犠牲者と言うか。
次点はシエナ・ギロリー。

707:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
08/03/04 23:23:58 JwSxS+dP
「第四次元の小説」(小学館)

数学をテーマにした奇妙なアンソロジー。
文系の頭には細かい所はモンゴリアンダイナマイトだが、
大まかに見ると数学ネタありきでのアイデア小説が多くて
ミステリー的にはもう一歩先の展開が欲しかったかな。

708:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
08/03/07 17:07:37 FZVwURWg
「漆黒の霊魂」オーダスト・ダーレス編(論創社)

ホラー・アンソロジー。楽しく読んだ。こういうのはまずハズレがないね。
一部例外はあるけど。
一番怖かったのはホジスン「ミドル小島に棲むものは」。あと
デニス・ロイド「緑の花瓶」も印象に残った。

スレッサーやボウモントも読むぞ。

709:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
08/03/09 02:42:38 OVf5983A
「度胸」ディック・フランシス(早川書房)

若手騎手ロバートはある日同僚の自殺に出くわし衝撃を受ける。
死者には調教手との不和が囁かれていた。この事件を皮切りに他の
騎手達もトラブルに見舞われ勢いを失ってゆく。それはやがて
評判の良かったロバートの身にも振り掛って来るのだが……。

5作目にしてやっと「興奮」に近い筋立てに出会えた。ただあまりに
淡々と運び過ぎているきらいがある。もっと荒れていい。
ロマンスも大人しめで物足りないし犯行の杜惨さも気にかかる。
骨組みは良いのだが肉付けがイマイチ。次に期待。

710:名無しのオプ
08/03/09 17:25:12 qF0qM3E+
「白衣の女」W・コリンズ(岩波文庫)

これはスリラー小説であり、ミステリーとはちょっと違うけれど
広義のミステリーということでひとつ。

この小説は各章によって記述者が替わるという形式がとられており、
そのエピソードが起こったときその場にいた人物の日記や手記が用いられている。
この手法はこの作品にとってまさに最適なものであり、
記述者の感じた恐怖や危機感等が読者にダイレクトに伝わり
結末まで全く飽きさせない効果をあげている。
そしてその結末も、由緒正しき19世紀の大衆小説という感じで大へん結構でした。

ただしこの小説、良くも悪くも「19世紀の大衆小説」なので
人によっては退屈だと感じられるかもしれない。
現在のジェットコースター的スリラー&サスペンス小説に比べればやはり展開は遅いし、
ドンデン返しが乱発されるわけでもない。
しかも由緒正しき結末ということは、ある意味ありきたりでもあり、
「意外な結末」にこだわるような人はレベルが低いと見るかもしれない。
正直読書の幅があまり広くない人にはただ長いだけの退屈な代物に思えるだろう。
しかし様々な分野、さまざまな作風の小説を多く読んで経験を積み、
面白さの基準となる物差しを数多く持つようになったならば
この小説を面白いと思えるようになることは間違いない。

追記
ただ「白衣の女」の正体はちょっとがっかりした。
某有名作品の某人物の正体ほど酷くはないけど、もうちょっと何とかしてほしかったかなw


711:名無しのオプ
08/03/13 22:36:41 94TZHSld
「ホッグ連続殺人」W・L・デアンドリア

まだ100ページ弱しか読んでいないけど、HOGの正体が判った、と思う。
(メール欄)だろうな。


712:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
08/03/17 00:40:57 jnfS2KcE
「ブラックウォーター湾の殺人」ポーラ・ゴズリング(早川書房)

恋人ケイトと彼女の家の別荘がある島にやって来たストライカー警部。
そこには陽気だがある種排他的な人々がおり、彼らは非社交的な
新しい入居者に戸惑っていた。また、美しい画家ダリアは
別れた夫の陰に脅えており、彼女を想う保安官マットはその事に
悩んでいた。そんな中、惨殺体が発見される……。

シリーズ3作目だが、またイマイチな出来。
作者の見所たるロマンスとサスペンスが弱い。何でもっと
男女のシーンを書き込まないのか。サスペンスフルな展開もあまりなく
そうなると後は本格に準拠した評価しか無くなる訳で。そうなると
ろくに伏線も無い真相が不満に感じるわけで。……

713:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
08/03/17 21:04:00 jnfS2KcE
「甘美なる危険」マージェリー・アリンガム(新樹社)

バルカン半島にあるという小国の継承に関わる極秘任務を帯びた
キャンピオンとその仲間達は継承者一族の住む田舎町へとやって来るが、
そこでは奇妙な印が散見されたり、野外で死体が発見されて
しかもすぐに消えたりと不気味な現象が続発する。更に継承権を
奪おうとする悪の組織からの追っ手も現れ、彼らを阻むのだが……。

探偵ミーツ奥さんもの。出だしはやたらデカイ印象だが舞台は
ほとんど田舎町から動かない。本格というより冒険小説のノリで
作者のこれまで読んだ作品の様な地味さや中途半端さは
感じられなかった。こういう作風が合ってるのかもね。

自分はいくつかの伏線(と思ったもの)から犯人の見当を付けた
{(メル欄)}が考え過ぎだったみたい。これがレッドヘリングなら
凄いが。まあ違うだろう。上の「ブラックウォーター湾の殺人」と違い
舵取りが明白だからは減点対象にはならず。

714:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
08/03/18 17:46:06 IMWuYJ4i
「タイタニック号の殺人」マックス・アラン・コリンズ(扶桑社)

売れっ子のミステリ作家フットレルは、愛妻と共に乗り込んだ
豪華客船上で殺人事件に巻き込まれることになる。
密室状態の現場に全裸で倒れていた死体は何を物語っているのか?

直截に言ってガッカリした。自分も度々夢想していた設定だけに
それなりに期待もあったのだが見事にすかされた。
古典本格の雰囲気が感じられるだけで、中身はスカスカ。謎も推理も
ほとんどない。ただ順繰りに話聞いていって最後は自白させるだけ。
密室だってただのハッタリ。一瞬でもそう
銘打ちたかっただけとしか思えない不要設定だった。

解説でかなり逆褒めしていたが単純に書けなかっただけ
なんじゃないかと。アンダースンはおろかアデアにも遠く及ばない。
所詮ノベライズ作家風情が分に過ぎた望みを抱いたのが間違い。
そのせいで今後この魅力的な題材は二番煎じの誹りを受けずに
使われることはなくなったし、扶桑社の貴重な本格枠も一つ失った。
この二重の浪費が二重に腹立たしい。

続編も確保しちゃったんで仕方なく期待して読む。

715:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
08/03/18 18:02:20 IMWuYJ4i
「ヒンデンブルク号の殺人」マックス・アラン・コリンズ(扶桑社)

ドイツ―アメリカ間を航行中の大型飛行船内で乗客が忽然と
消失する事件が発生。たまたまその乗客と同室だったミステリ作家
チャータリスは船長達の要請を受け隠密捜査に乗り出すが……。

大惨事シリーズ2作目。
ちったぁましにと開いてみると章毎に二行の梗概が付せられており
むむこれは力入ってまんなぁと期待して読んだらこの様。どの様?
がっぽーーーん。

相変わらず推理もせんとアチコチうろつき童子でセックスしたりしよる。
いくら歴史的なことを丹念に調べたり登場人物も実在のみにしたり
しても内容が詰まんなかったら糞だかんね。ハイハイボクちゃん
よくできまちたね~とでも言って欲しいのか? キモイんだよ!

ただ終盤ようやっと些少な伏線を回収してそれなりに見せ場を
作ってたのは進歩とみれないこともない。

あとナチを悪者として安易なメイキングをしなかったのは評価する。

セイントの短編集出して欲しいなぁ~論創や。

716: ◆XjFtIkbasQ
08/03/23 03:07:23 yqEazbAY
マイクル・コナリー『ブラック・アイス』 (扶桑社ミステリー1994)【8点】

モーテルの一室で発見された、ハリウッド署麻薬課の警官らしき死体。
生前の警官と面識のあったボッシュは、自分の抱える事件と警官とが関係する
ことを知る。メキシコに飛んだボッシュに迫る、麻薬王のヒットマン・・・

第一作『ナイトホークス』は若干期待値を下回ったが、二作目のこれはよかった。
死体から発見されたミバエを手掛かりに舞台はメキシコにまで及ぶが、
やや緩慢な前半に較べて後半は一気読みのおもしろさ。過度のケレンはないが、
終盤の展開も上手い。

しかし「メイクラブ」という訳語はどうにかなりませんか。

717: ◆XjFtIkbasQ
08/03/26 01:08:38 FOMNuaTZ
マイクル・コナリー『ブラック・ハート』 (扶桑社ミステリー1995)【9点】

左遷の契機となった4年前の連続娼婦殺人事件。ボッシュに撃ち殺されたはずの
猟奇的犯人“ドール・メーカー”から、その生存を示唆するようなメモが届く。
折りしも犯人とされる人物の遺族から告訴され、苦境に立たされるボッシュ。
ドール・メーカーは生きているのか? 模倣犯の犯行なのか? 裁判の行方は?

リーガル+サイコ+犯人探しの贅沢な一冊。これは文句なしにおもしろい。
特に、“ドール・メーカー”が撃ち殺されたあとに殺害されたと思しき
コンクリートの中の金髪女の遺体が出てきたりして、どう着地するのか
予想が難しい。上下巻だがハラハラドキドキの一気読みでした。

シリーズ第三弾ということで重複する登場人物やエピソードもあり、
順番に読んだほうが絶対に楽しめる。コナリーは本格好きにも受けると
何かで読んだが、その理由がわかった。単体で読むとどう評価されるか解からないが、
とにかくシリーズの先が気になる【9点】。

718:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
08/03/27 17:54:33 dZZl8VRf
「フォーチュン氏を呼べ」H・C・ベイリー(論創社)

久々ライヴァルたち。
「黄色いなめくじ」や「死者の靴」等読んだが、何か毛色の変わった
作風でいまいち好きになれなかったのだが、今回も然り。
この人はあまり「隠そう」という意識が無いのではないか。
でも「気立てのいい娘」のラストや「ある賭け」のプロットは中々良い。

719:読後感 ◆NQWAR.YQkg
08/03/29 17:32:33 I1NdfoKw
「ジョン・ディクスン・カーを読んだ男」ウィリアム・ブリテン(論創社)

パロディ+αの短編集。どれもミステリーとしてはK越えしている
ものの、パロディということを考えると表題作が一番印象強いかな。
まあ、これはテーマの着眼点の違いに因るのかも。

純粋にミステリーとしては「うそつき」がベスト。この真相は他に
知らなかった。

「巨匠を笑え」と読み比べてみると良いね。テーマの処理の仕方はあっちのが上やも……?

720:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
08/04/10 21:52:39 Cj+SlIPu
「カスに向かって撃て」ジャネット・イヴァノヴィッチ(集英社)

前回の事件以来モレリの家に同居しているステフは偶然強盗を
目撃してしまい、そのせいか凄腕の殺し屋に命を狙われることになる。
しかもこの大事な時にモレリとケンカ別れをしたステフは
ひょんなことからレンジャーの隠れ家を突き止め潜伏しつつ
仕事を続けるのだが……。

ここ数年本格出したり古典出したりマルコ復活させたりと
渋い仕事をしてきた扶桑社ですが、本シリーズに関しちゃ
完全に下手を打ちましたね。不手際過ぎ。

ただ、このシリーズも10作を数えてかなりマンネリ気味。
最初はミステリー要素が勝っていたのに今ではステフを巡る
イケメン二人の三角関係を誤魔化し誤魔化し書いてる感じです。
もう展開無理からなのが明らかで読んでて微妙。某ラノベの二の舞か。

この際きちっとパートナーを決めて最初の作風に回帰して欲しいです。
ミステリーとしても駄目だし、ロマンスファンにも喜ばれないと
思います。案外保守的ですからね、彼らは。

721: ◆XjFtIkbasQ
08/04/11 03:53:11 mEkTmjkI
ジェフリー・ディーヴァー『エンプティー・チェア』
            (2001→2006、文春文庫)【8.5点】

手術の為ノース・カロライナに訪れたライムとアメリア。地元保安官の要請で、
女性2人を拉致して逃亡中の少年の足取り調査を依頼される。土地鑑がないまま、
地元のアウトロー・反抗的な保安官らに阻まれながら捜査を進めるライムだが・・

ライム物を読むのは久しぶりのせいか、くどいほどの大小のヒネリの連続にも
素直にしめた。南部の湖沼地帯の追跡劇も、終盤のアメリアの置かれた状況も
どうなることかとハラハラ(まあ、アレだからアレになるとは分かっているんだけど)。

何にも考えずにハラハラドキドキして騙されたいときにはやっぱりディーヴァーというのを
再認識。

722: ◆XjFtIkbasQ
08/04/11 11:05:24 mEkTmjkI
ケン・フォレット『ホーネット、飛翔せよ』(2004、ヴィレッジブックス)【7.5点】

第二次大戦中、イギリス空軍はドイツ軍が高性能レーダーを開発し、次々と
戦果を挙げていることを懸念。デンマークにスパイ網を形成し、なんとか
ドイツの軍事機密をあばこうとするが露見。窮地打開はあるデンマーク青年に双肩に・・

史実が元になってるらしいけど、それを考慮したためか小説としてあまり必要でない
人物もちょこちょこ出てきたりして、そのせいか、やや焦点がぼやけた印象がある。
個人的にはデンマーク青年ハラルドと恋人カレンの冒険活劇として楽しめた。
ドイツの手先となるデンマーク警察のペーターとの対立もいい。

すいすい読めるが、スパイものとしてはちょっと抜けてる人が多い。
一部のアレなシーンを除けば、大人の手前の青年とお転婆お嬢さんとの掛け合いが、
宮崎駿アニメの登場人物のようだなあと思った。

723:名無しのオプ
08/04/15 00:53:13 ezx0jxQX
ブラッド・メルツァー『運命の書』読了。

全編通して本当につまらなくてビックリした。

724:書斎魔神 ◆AhysOwpt/w
08/04/19 17:55:32 J7lvVg0B
スコット・スミス「ルインズ 廃墟の奥へ」を読んだ。
帯には「息もつかせぬホラー・サスペンス」と銘打たれているが、実態は秘境冒険小説と言い得る。
あの「シンプル・プラン」のスコットの待ちに待った新作(第2作)であり、前作同様にプロットは
単純ながらも、畳み掛けるような語りと優れた筆力によるリアリティに富んだディテール描写
(「訳者あとがき」に作者は舞台となるメヒコへ行ったことがないとあるのにはびっくり、
密林等秘境の描写の迫力は秀逸であり、この作家の筆力の凄さを実感させるものがある)で
読ませるものはあり、ヒーロー不在、勧善懲悪を廃した展開は同じような特色を有する
ジム・トンプスンのノワール作品とも全く異なる魅力に富んではいる。
ただし、メーンな敵役(?)が50年代アメリカB級ホラー映画まがいなのはさすがに脱力せざるを
得ないものがある。
せめてSF風のオチでも付けて欲しいところではあるが、この辺はスコットの守備範囲ではないと
いうことか。

725:名無しのオプ
08/04/19 18:26:05 1mb/fucW
URLリンク(ime.nu)
国営放送の主演女優の結婚式での晴れ姿がなぜシャットアウトなのか?

NHK.宮崎あおい夫と「広末をクスリ漬けでマワしたヤクザ」の関係★38
スレリンク(news2板)

726:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
08/04/24 14:33:37 M3eZBqAa
「堕ちた天使―アザゼル」ボリス・アクーニン(作品社)

白昼堂々起きた不可解な自殺事件。被害者とおぼしき若者は
当日あちこちで目撃されていた。事件に興味を抱いた若き警官
ファンドーリンは独自に捜査を行うがやがて国際的な謀略が
浮かび上がる―。

1作目。最初は面白味が乏しくて読みにくかったが中盤からまあ読めた。
しかし後味ワルー……。
これが話題になるんだからロシアはよくよく娯楽に飢えた国だったんだな。

でも次で化けたかも知れないので読むわ。

727:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
08/04/24 14:43:27 M3eZBqAa
「ノヴェンバー・ジョーの事件簿」ヘスキス・プリチャード(論創社)

カナダのホームズこと樵探偵の短編集。
期待の割にフツー。でもこれはライヴァルたちに共通して言えること。
彼らの作者たちはホームズを意識し過ぎたあまり突飛な設定に
しづらかったのかも。まあともあれ、ベストは……特にないや。アハ。

728:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
08/04/24 14:53:51 M3eZBqAa
「グリンドルの悪夢」パトリック・クェンティン(原書房)

のどかな田舎町に起こった少女の失踪事件。それに前後して
ペットの犬や猿が襲われる事件も多発する。少女の父親は真相を
掴みかけたものの殺されてしまい、またも行方不明者が……。

シリーズものは物理的にも精神的にも読めないからせめて単発の新刊は
読み逃さないようにしたいと思うけどこれイマイチだなあ。
何かたらたら読み繋いでる感じだった。もちっとピリリとした
要素が欲しい。真相も退屈だし。ただラストの( ̄ー ̄)は良い。
ひがしのりにはこういう粋は無いね。

解説読んで登場人物表は敢えて付けなかったのかなとチラリと
思ったけど、そこまでしなきゃならん理由は無いし前科もあるから
怠惰決定。ちゃんと付けろ。

729:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
08/04/27 00:51:22 n0hUskoO
「道化の町」ジェイムズ・パウエル(河出書房新社)

奇妙な味というよりファンタジー本格ミステリ短編集みたいな感じ。
表題作のみマーシィのアンソロで読んでいたが、てっきりあの世界が
舞台の連作かと思ってたら違うのね。良かったそれで。この人の
世界観は「犯人は誰だ」というアンソロジーで都筑道夫が書いた話を想起させるなあ。

ベストは表題作かな。設定がプロットに良く練り込まれてる。
次点は「アルトドルフ症候群」。これは奇妙な味としても
本格としても○。最初の「最近のニュース」も切れ味が良くて
掴みに持って来い。それから「愚か者のバス」は設定が面白かったし、
「折り紙のヘラジカ」の極めて特異な状況設定も笑える。

ただ、いくつかの話は観念的というか展開が速すぎてついていけなかった。
解説で紹介されてた短編は読みたいな。

730:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
08/04/27 01:00:33 n0hUskoO
「雨の午後の降霊術」マーク・マクシェーン(トパーズプレス)

才能はあるのに不遇を囲っている霊能力者マイアラは夫と共に
思い切った行動に打って出る。資産家の子供を誘拐し、居場所を
言い当てることで自分の評判を上げようと企んだのだ。
いくつかのミスを孕みながらも計画は進んで行くのだが―。

この瀬戸川さんの出版社は厨房時代ポール・ジェニングスの
奇想天外な短編集に嵌った時にお世話になったけど、本書が含まれる
叢書もアームストロングの作品もあり中々興味深い。

でも本作は駄目。詰まらんかった。ちょっとオチが洒落てるだけの代物。
読んでて退屈だった。大して長く無かったから良かったけど。
甚一さんは罪なお人でありんすなあ。うじ虫もこんなんなら読まんわ。

731: ◆XjFtIkbasQ
08/04/30 02:28:22 /LicCmbI
リチャード・ノース・パタースン『サイレント・ゲーム』(上下)
(2003→2005、新潮文庫)【8.5点】

恋人殺害の容疑者として地元から孤立したため、故郷を捨てたトニー・ロード。
親友サムが少女殺害の容疑者として苦境に立たされたことを知り、28年ぶりに帰郷。
弁護を進めながら、親友の言動に違和感を覚えるトニー。事件の真相は?
そして28年前のあの夜、一体何が起こったのか・・・?

一応続き物らしいけど、本作だけでも特に問題なし。第一部のトニーやサムの
青春時代の物語はややスローペースだが、このときの人間関係が裁判シーンに
深く関係してくる。人種・宗教問題をからめながら、事件は混迷を深めていく。

事件としてはシンプルながら、親友に疑惑と後ろめたさを抱きながら弁護する、
弁護士トニーの苦悩と葛藤が読みどころ。とにかく一気読みのおもしろさ。
ラストの展開・真相にはちょっと物足りない点もあるが、満足できる読書。

732: ◆XjFtIkbasQ
08/05/07 03:41:46 zUqZc5WD
リチャード・ノース・パタースン『ダーク・レディ』(上下)
                     (2004、新潮文庫) 【8点】

麻薬犯専門弁護士が、女装・倒錯性行為の首吊り死体で発見される。
元恋人の検事補ステラは、人種問題・市長選挙戦に絡む別の殺人事件を追いながらも、
市中を牛耳る麻薬王らの犯罪事件に巻き込まれていく・・・

『サイレント・ゲーム』で敵役をつとめた検事ステラ・マーズが主人公だが、
本作では作者お得意の法廷シーンはなく、後書きによれば「ポリティカル・サスペンス」。
市長選挙・人種問題・雇用問題・新球場建設問題など、やや固いテーマが出てくるが、
元恋人の謎の死をめぐるサスペンスはこれまでどおり。

ただ本作は、旧作にもましてスロースターターであり、上巻はやや退屈さも覚える。
もっとも下巻ですべての情報がひとつの犯罪に結びついていく手腕は健在で、
とくにあるビデオが登場する第4部の展開はページをめくらずにはいられない。

733: ◆XjFtIkbasQ
08/05/08 04:24:31 Ns2s1/FC
ヘニング・マンケル『殺人者の顔』(2001、創元文庫)【8点】

外国移民排斥の気運高まる90年代、スウェーデン南部の寒村で発生した老夫婦殺害事件。
虫の息の老妻が遺した「外国の……」という言葉と、見慣れないロープの結び方に
警察は戦慄する。さらに何者かに無関係の移民が殺害され、警察当局は苦境に立たされる・・

ここ数年気にはなっていたヴァランダー・シリーズの第一弾。
老夫婦の殺害が明らかになる冒頭ですぐに物語に引き込まれた。
やもめで中年の主人公のキャラや新任の美人検察官などキャラの配置はさほど目新しくなく、
事件の捜査も堅実で、地味な印象はぬぐえないが、読みやすい訳文もあいまって、一気読み。

もっとも事件の解決も真相も「けれん」は少なく、ちょっと物足りない気もするが、
それまでの地道な展開もあいまって「まあ現実はこんなもんだよな」と納得はいく。
本国では10年以上前に全9作で完結しているようだけど、これはぜひ読まねば。

734:名無しのオプ
08/05/08 12:42:55 bL0xVrIQ
マンケルジャクソン

735:書斎魔神 ◆AhysOwpt/w
08/05/10 16:32:40 S2aiBuHJ
デズモンド・バグリイ「高い砦」を読んだ。
ハイジャックされアンデス山中に墜落した飛行機の生存者たち、
乗客のひとりである政治家(前大統領)の命を狙い一行への襲撃が繰り返される・・・
反共的描写や南米のルーズな面に対するシビアな視線は、いかにも60年代の英国作家の手に
なるものらしく、CIAに対する好評価など、その後(70年代以降)の国際情勢を見ると、
今では疑問に感じざるを得ないような面も多い。
まあ、この辺はスパイ小説でないから大目に見るとしても、
過去に非常に面白く読んだ記憶があったわりには、再読してみてガク-リという作であった。
中世風の手作りの武器(クロスボウ、カタパルト等)で迫り来る共産軍に対抗というメーンの
アイデアは面白いのだが、今読むとそれだけで、ストーリーは御都合主義のヒーロー談に
過ぎないという感が強く、最初は少したそがれた感がある主人公オハラがランボー化してしまう
終盤は白けることこの上ないものがある。
救援を求めるため峻険な山越えに挑む副主人公格のフォレスターとローデの冒険談も、
マクリーン等と比較すると、デイテール描写が弱いのも難だ。
今時、これを読んで喜んでいるのは、深夜アニメを見呆けているオタぐらいなものであろうかと思う。

736: ◆XjFtIkbasQ
08/05/11 05:45:19 5uYFxywj
ヘニング・マンケル『リガの犬たち』(2003、創元文庫)【7.5点】

漂着した救命ボートから、外国人の男2名の銃殺死体が発見された。
やがてラトヴィア警察に捜査権が移った矢先、思わぬ別の殺人事件により
警部ヴァランダーはラトヴィアのリガに赴くことになるが・・・

スウェーデンのヴァランダー・シリーズ第二弾。冒頭の引き込みは前作同様、上手い。
前作が地元の殺人事件に対する地道な捜査・推理がメインだったのに対し、
本作は独立直後の共産国ラトヴィアの警察や犯罪組織との駆け引きが中心となる。

後半のリガへの潜入・逃避行なんかはそれなりに手に汗握るんだけど、
事件の黒幕候補が限定されてるせいか、「警察による捜査・推理」の要素は薄く、
そこを期待してたのでちょっと残念。さくさく読めたことは読めたんだけど。
あと、リエパ中佐との交流ももうちょっと書き込んでくれれば説得力増したかな。

ところでヴァランダーが前作同様、異様に惚れっぽいところと、
彼が警察署史料庫のゴミ箱に「残してきた」○○○の行方が気になる。

737:名無しのオプ
08/05/11 23:10:24 +jz8T0pJ
「治療島」セバスチャン・フィツェック 読了
これくらいのどんでん返し、国内ミステリではよくあるじゃん
こんなんでドイツではベストセラーになっちゃうんだなァという感想

738:名無しのオプ
08/05/12 00:00:37 UkVSX+fH
別にどんでん返しだけで評価されたわけじゃないだろうに
737は本格ファンなのか?

739:名無しのオプ
08/05/12 10:02:45 cHRtuu4q
どんでん返し=本格という発想

740:名無しのオプ
08/05/12 13:21:43 XkwUILWV
どんでん返しだけで小説が評価されるわけじゃないからなあ。

>>737の理屈だとカラマーゾフの兄弟も『この程度の謎解きなんて国内ミステリならざらにある。
こんなんでロシアでは文豪扱いなの?』ってことも言えてしまうわな。

741:名無しのオプ
08/05/12 21:54:21 fNNczPJt
>>739
どんでん返しの巧拙だけで作品を評価するのは本格ファンが多いけどな

742:名無しのオプ
08/05/13 22:03:00 9vERRO4o
現代海外ものを読むと
日本はミステリ先進国だなァと思う

743:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
08/05/14 11:25:46 WEXdrdwJ
「査問」ディック・フランシス(早川書房)

大方の予想を裏切りレースで2着になったケリイは八百長の疑いを
かけられ査問会で免許停止処分を受けてしまう。何故か自らに不利な
証言や証拠が次々と現れたのだ。納得の行かないケリイは
不信と軽蔑の眼差しに耐えながら自分を陥れた人物を突き止めようとする。

これも前回の「度胸」と同じく「興奮」の系譜に連なる正統な
ディスられもの。査問会のシーンなんか良い感じに煽ってくれます。
そして巻き返しが始まるわけですが、段々と復讐が尻すぼみに
なっていくのは少し残念かなあ。敵の情状を酌量しちゃうとどうもね。
でもやっぱり主人公はカッコイイす。

しかし競馬界ってやなとこだなあ。特に馬主とはあんまりお友達に
なりたくないや。

744:名無しのオプ
08/05/15 23:09:45 1XqTGOyW
>>742
本格・変格モノに限ればそうかもね。特に変格は。
ハードボイルドやノワールとかエスピオナージュだとつらいけど。

ただ女性作家の本格はイギリスに負けてるな。

745:名無しのオプ
08/05/16 20:20:12 TVy24JI9
あんなやつらに勝てるかよw

746:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
08/05/16 21:04:42 jqYvZv5o
「ランドルフ・メイスンと7つの罪」メルヴィル・ディヴィスン・ポースト(長崎出版)

弱気を助け悪事を奨める弁護士の暗躍を描く連作短編集。

いやぁ待ってました! どう凄いのか読みたかった。確かに狙いは面白い。
話のパターンとしては、悪人というより心の弱い人に泣きつかれた
メイスンが法の抜け穴を潜れる悪事を紹介してやるというもの。

冒頭の「罪体」は模倣犯が頻発して法改正に繋がったくらいと聞いて
楽しみに読んだだが、感想は絵空事だなという印象。このやり方によって
刑事は免れても民事で損害賠償されたり、罪名を切り換えて
逮捕されたりしそうだし、そもそもこんなにきっちり法律は
運用されて行かないよ。キムラ弁護士に読ませたら何ていうかな。

しかしアブナー伯父と対決したらどっちが勝つかな。あの人あんま
法律に忠実じゃなさそうだが。

747:読後感 ◆VkkhTVc0Ug
08/05/18 15:01:51 eanEIt63
「ロジャー・シェリンガムとヴェインの謎」アントニイ・バークリー(晶文社)

従弟のアントニイと休暇旅行を楽しんでいたシェリンガムは
急遽新聞社の特派員としてある事件現場に赴くこととなった。
ある女性が崖から転落したのだが、その手には他人の服のボタンが
握り締められていたのだ。単純に見えても裏があると睨むシェリンガムは
ヤードの腕利きモーズビー警部とある時は協力しある時は競いながら
真相を暴き出そうとする。

第3弾。頭は切れるが補正はかかってない探偵と、優秀な警官と、
お約束の騎士道精神に骨の髄まで毒された助手が
事件を蚕食していくと、そこには捻れが産まれ歪みが産まれ面白くなる。

やっぱバークリーはブルースより凝ってるね。良いのう。

でも、指紋調べりゃ解るんじゃないか?

748:書斎魔神 ◆AhysOwpt/w
08/05/18 17:18:09 xG/PLxMd
W・H・ホジスン「幽霊狩人カーナッキの事件簿」を読んだ。
勘違いして「おれだけのナッキーキター!!」とか絶叫したアホなミステリオタもいるかも、
ナッキーにあらずカーナッキである(w
全10編を読破した感は、天才ラブクラフトとの差を痛感した、というのが正直なところか。
ゴースト・ハンターものに限定しても、レ・ファニュ、ブラックウッドにも遠く及ばず、
低評価のクインとどっこいどっこいといったところか(どちらも独自の読み難さがある。
ホジスンはくど過ぎる感がある情景描写、クインはレトリックを多用した文体)
収録作品中、格別推すべきものは見当たらないものの、
カーナッキがママンと同居していた頃の怪異談「角屋敷の怪」は、
リットン卿の古典を想起させるオーソドックスな設定と展開なので、怪奇小説好きは一読してみても
よかろうかと思う。
海洋怪談の名手というイメージがあっただけに、カーナッキが最後にトンデモ理論こねまくりな
「魔海の恐怖」には失望、同様にホジスン版「エクソシスト」という感がある「異次元の豚」には
さらにパワーアップした同様な欠点があるため、「笑い」狙いでない限り読むのが厳しいものが
あろうかと思う。実質的にシリーズのとう尾を飾るべき作で、これはなかろう。


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