『読みました』報告・海外編Part.3at MYSTERY
『読みました』報告・海外編Part.3 - 暇つぶし2ch503:書斎魔神 ◆qGkOQLdVas
07/09/22 14:41:38 Ic8sUadm
ダシール・ハメット「コンチネンタル・オプの事件簿」を読んだ。
本書の訳者でもある小鷹信光氏編による本邦オリジナル作品集。
おれは(オプ風に(w )ハメットの短編も読んではいたが、
創元の稲葉明雄訳によるものであり、長編も創元で親しんでいたため、
小鷹訳のハメットを読むのは本書が初、90年代の新訳だが小気味良い訳文は健在だ。
オプ初登場作品「放火罪および…」、異色短篇として銘打たれている
「ジェフリー・メインの死」、オプ最後の事件となる「死の会社」の3編は出来の差は
あれど、一応、謎解きミステリしているのだが、
連作「ターク通りの家」と「銀色の目の女」、中篇連作「血の報酬」(第1部「でぶの大女」
第2部「小柄な老人」)は、大乱歩が引いてしまったのがわかる原初ハードボイルドの典型、
(連作と「血の・・」の第1部と第2部の終盤の繋ぎの展開が同様なパターン、
メーンの敵役キャラの逃亡になっているのは、初出が雑誌掲載ということもあって、
読者の興を惹くためと思われだ)
内容的には、ハードボイルド・ミステリというよりは完全に探偵が出て来るノワールと
化している感がある。
これらの作を読むと、ハメットの後継はレイモンドでもロスマクでもなく、
ゴアズやスタークでもなく、エルロイなのではないかという説に同感せざるを得ないもの
がある。(この点は、長編の場合も「マルタの鷹」「ガラスの鍵」を読んだ後に「血の収穫」を読んだ場合の同様な感ありか)
いずれにしろ、萌えアニメ画のような新書を耽溺しているアホなミスオタの覚醒剤代わりに突き付けて読ませたい書とは言い得る。


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