『読みました』報告・海外編Part.3at MYSTERY
『読みました』報告・海外編Part.3 - 暇つぶし2ch202:名無しのオプ
06/11/24 07:11:16 GX/1zDgi
んなもん同罪だ
「そっちのが荒らし」は要するに荒らしてるやつ以上に荒らしにか変わってるやつが悪いという意味不明な理屈だな
ほっておけばよいんでいちいちこんなことことさらにいうまでもない

同罪と騒いでる時点で自分も同罪って気づけ


ってことでおれは以下沈黙

203:名無しのオプ
06/11/24 07:11:59 GX/1zDgi
か変わってる → 関わってる

204:名無しのオプ
06/11/24 14:49:31 l+PBDGFe
>>202
「同罪だ」と注意することは必要だろ
それすら駄目なら結局ヒーロー気取りを勘違いさせたままになるし
一度目の注意を同一視するのは詭弁だと思う

205:名無しのオプ
06/11/24 20:16:33 AMXOT9x0
「真鍮の栄光」 ジョン・エヴァンズ
私立探偵ポール・パインの第三作目。
今回も主人公殴られまくりで、その境遇に自分で一人ツッコミしてるのには笑った。
古風なハードボイルドに見せて、バリバリのフーダニット+大どんでん返しなのは相変わらず。
今回も最後にとんでもない結末が待ち構えていて驚かされる。が、この解決は賛否両論だと思う。
個人的には否定派。理由はメル欄だから。伏線も今回は少し苦しい感じか。

206:読後感
06/11/25 00:19:32 Fq2b6hm6
「ペンギンは知っていた」スチュアート・パーマー(新樹社)

課外授業で生徒達を連れて水族館に来ていたミス・ウィザーズは
そこで大事なハットピンを落としてしまう。
生徒を総動員で捜させた結果無事見つかったのだが、
発見されたのはそれだけではなかった。生徒の一人が
ペンギンの水槽に漂う死体に見入っていたのだ!
ミス・ウィザーズは持ち前の正義感と好奇心から
警察に協力を申し出るが―。

プロットは特に珍しくもなくありがちで犯人もわかりやすい。
ただ、第2の殺人のトリックは少し興味を引いた。
主人公は「強い女性」ではあるが、男性作家の手によるせいか
フェミ臭さはなく好感が持てる。

207:読後感
06/11/25 16:30:36 Fq2b6hm6
「黄金」ディック・フランシス(早川書房)

再婚に反対したため長らく父と絶縁状態であったアマ騎手イアンは、
突如父に呼び出される。再婚相手であったモイラは少し前に
何者かに殺されていたのだが、今度は彼自身が狙われているという。
護衛として同行することになったイアンは愛憎渦巻く一族の中で
犯人探しを行うことになるのだが……。

フーダニットだが分厚い割にプロットは単純で、
推理も多分に心理的なもの。
見所は主人公と断絶して家族との絆の再生にある。
どれだけ敬遠迫害されても家族の繋がりを信じ続ける主人公という
この厳しくも理想的な作風が現代のおとぎ話として好まれるのだろう。
ミステリーとして特に読むべきものではなかった。

208:読後感
06/11/26 18:49:49 QoO0J7Ll
「アプルビイの事件簿」マイケル・イネス(東京創元社)

これから出るらしいので予習として。
ライヴァルたちの括りにされているが活躍時期は大分ズレてます。
話の筋は良さげなんですが、読むとイマイチ印象に残らないというか
…文体のせいでしょうか?
左右違う靴を履いている男を目撃したことから始まる「死者の靴」や
放置自動車と雪崩によって立往生したアプルビイ夫妻が宿を借りた
古城で起こる伝説通りの殺人を描いた「終わりの終わり」など。
他にショートショートもあり。

209:名無しのオプ
06/11/26 22:07:41 b6UMloCl
「蜘蛛の巣」ピーター・トレメイン(東京創元社)

 7世紀のアイルランドを舞台にした歴史ミステリー。
 当時のアイルランドは5王国に分かれており、事件の舞台は、
 そのうちのモアン王国。
 ケルト教会の修道女で、ドーリィー(法廷弁護士)であり、
 アンルー(上位弁護士、裁判官)の資格を持つフィデルマが
 主人公。
 古代アイルランドはブレホン法という法律があり、女性の地位
 も比較的高かったらしい。
 因習に満ちた谷の村で、氏族の族長が殺され、その後も殺人が
 起こる。容疑者とされたのは、盲目で耳も聞こえない若者。
 乗り込んだフィデルマは、強い意志力でもって、裁判官として
 の自分を認めさせ、真犯人を見つけ出す。

 古代のアイルランドが、現代の法治国家とにたような仕組みを
 確立していたのは驚きで、新鮮だった。
 注意深い観察と深い洞察力による推理で、次々に真相を暴き出す
 フィデルマは、まるでポワロのよう。
 日本のものでは、「犬神家の一族」を思わせる雰囲気もある。
 上下2分冊だが、おもしろい。一気に読める。
 
 

210:名無しのオプ
06/11/27 09:41:11 7WJTJ99l
読後感のつまらん報告はいい加減やめてほしいな。

211:名無しのオプ
06/11/27 22:13:13 +mjSFvuo
自分で感想書かないクズはグダグダ言うな

212:名無しのオプ
06/11/28 00:49:58 J7OOTCZJ
いつも楽しく読んでいます。読後感さん応援してます。がんばって。

213:名無しのオプ
06/11/28 20:29:15 7Tjmdvp0
「殺人四重奏」 ミッシェル・ルブラン
その手のミステリとしては高名らしい作品。
連城三紀彦の某作品のインスパイア元みたいな感じがする。
いかにもフレンチミステリといいたくなる内容で、終盤の無茶苦茶な展開が非常に面白かった。
ただ、この邦題は問題。これのせいで五割くらい面白さを減じているような気がするのだが・・・。

214:読後感
06/11/28 23:47:32 /jX8mlKr
「孔雀の羽根」カーター・ディクスン(東京創元社)

マスターズ警部に届いた一通の手紙。
それによると今夜とある廃屋に十客のティーカップが出現するという。
手紙を見て警部は顔色を変えた。何故なら2年前にも似た内容の
手紙が届き、それが殺人事件に発展したからなのだ。
しかも犯人は捕まっていなかった。そして夜、指定の場所で
一人の男が射殺される。至近距離から撃たれていたにも関わらず
屋内には忍んでいた警官と被害者しかいなかった。
そして現場には十客のティーカップと
孔雀模様のテーブルクロスが残されていた。
果たして犯人はどうやって入りどうやって殺しどうやって出たのか?

勿論警官が犯人じゃないよ。
中々の良作だと思った。謎の不可解性は抜群だし、
怪奇趣味の理由付けもマル。トリックは強引な部分もあるが
古典本格ならば許容範囲であれかし。ストーリー性が薄いので
ロマンスで犯人が絞られちゃうとお嘆きの方も安心して読めるかと。
細かいページ付きの解明もGood。「吸血の家」のインスパイア元かな。

珍しくイキイキとした悪女が出てくるのも印象的。
ただ、尋問する場面で不自然な箇所があったようだ。

215:読後感
06/11/29 18:50:57 9jc2Rnmd
「マッターホルンの殺人」グリン・カー(新樹社)

戦時中諜報活動をしていた経験を持つシェークスピア俳優
リューカーの所へ旧知の秘密情報部チーフクレイベリーがやって来る。
彼はあるフランス人政治家について当人がどのような思想を
持っているか探り出して欲しいと頼みに来たのだった。
そのフランス人は今登山のためスイスに滞在しており、
それは奇遇にもリューカーがこれから休暇を過ごそうとしている
場所だった。旧友の頼みを引き受けたリューカーだったが……。

やっぱ山岳ミステリーつったらカーしかいないよね、うんうん。
期待外れでした。
51年の作品なのに筋書きも道具立てもオーソドックスだし
プラス思わせぶり過ぎる地の文のせいで
早くに犯人の見当がついてしまいます。
紹介されなかったのもむべなるかな。

216:名無しのオプ
06/11/29 19:28:55 dCe+y+Dk
「ババ・ホ・テップ」 ジョンRランズデール
ミステリマガジンの今月号

老人介護施設で余生を送るエルビス・プレスリーが主人公。
過去から蘇ったミイラにケツの穴から魂を吸われるところを
エルビスに助けてもらった自称ケネディ大統領(黒人)と共に
そのミイラとの闘いを描いた短編。
とにかく下品で面白く、こんなに笑った小説も久しぶりだ。
それでいて男の生き様を見せられたりしてで
読後は満足感でいっぱいになった。

217:名無しのオプ
06/11/29 19:37:04 48G+a5Fm
「メソポタミアの殺人」 アガサ・クリスティー
イラクの遺跡発掘隊を舞台としたポアロものの一作。
衆人環視の不可能犯罪。クリスティーらしからぬ豪快なトリックで、なんだかカー作品みたい。
よくよく考えてみると、失敗する可能性が高そうなうえに、実行現場を誰かに見られかねない
非常に危険な犯行だと思うのだが、それはそれということか。
解決編での論理性は低く、あまりカタルシスを得られなかったのは少々不満。

218:読後感
06/12/02 11:58:37 IMLCywVy
「死体のない事件」レオ・ブルース(新樹社)

不良青年ロジャーズが酒場に入って来るや殺人を犯したことを告白し、
その直後毒を飲んで死亡した。そこに居会わせたビーフ巡査部長は
ロジャーズが詳細を明かさずに死んだため死体探しをすることになる。
やがてこの奇妙な事件が世間を騒がせ始めると、ヤードから
スチュート警部がやって来てビーフ達を指揮し
活発な捜査を進めていく―。

前作「三人の名探偵のための事件」は凝ったプロットとパロディが
詰まった傑作だったが、本作は死体探しという趣向が珍しいという
以外は前作より優れた点は無いように思えた。初心者で無い限り
冒頭でからくりがある程度読めるし、展開と真相は前作の焼き直しの
様に感じられる。また解説にある通りかなりアンフェアな部分もある。

更に言えば斜に構える余り物語性を軽視しているのも個人的には-。

219:書斎魔神 ◆qGkOQLdVas
06/12/03 00:22:53 WxofN7+Q
ミスヲタには縁遠い話であろうが、レフ・トルストイ「戦争と平和」の新訳が
岩波文庫から刊行されている。
初読時は、工藤精一郎先生(以下、工藤ちゃんと略す)の訳による新潮文庫版で
あったが、今回読んだ岩波版は活字のポイント、訳文等、
内実共にかなり読み易くなっているやに思う。
安手のミステリを読み漁っているミスヲタもこの機にこの世界的な文学を
手に取ってみたらどうであろうか、
灯下親しむべき候、気分はまさに往年の旧制高校生である。
まあ、正直言うて無理な注文だとは思うが(w
久々の再読してみたが、ナポレオンのロシア侵攻、形勢逆転による
逃げるナポレオン率いるフランス軍、追うロシア軍、
(作者レフは、ナポレオン軍の敗退を俗に言われる冬将軍にその主因を求める
ことはせず、糧秣の確保等占領政策の失敗により、本格的なロシアの冬が到来する
前に既にその敗退は始まっていたとする見解が慧眼である)
これにピエールとアンドレイという2人の貴族とヒロインのナターシャを中心とした
ロシア上流階級のロマンスが絡む、作者自身がホーマーの叙事詩の如きものを意図して
いたというだけあって、これを戦争冒険小説と言わずして何と言おうか。
本作の最大の主眼は、作者レフの史観呈示(「歴史に英雄無し」)にあることは
言うまでもないが、そもそも同時代人たちは本作を現代の日本人がシバリョウを
読むかのように楽しんでいた向きもあったのではなかろうか。

220:読後感
06/12/03 03:15:31 hkkASva1
「死の相続」セオドア・ロスコー(原書房)

恋人ピートの遺産相続のため中南米ハイチに赴いた貧乏画家カート。
2人はピートの叔父の屋敷で様々な使用人達と共に遺言を聴くが、
その内容は、1~8番目まで候補者が指定され、もし候補者が
24時間以内に屋敷を離れたら相続の権利を失い権利が次の候補者に移る
という実に奇妙なものであった。
その後埋葬を済ませ各々が寝室に引き取った直後最初の殺人が起き、
更に第2、第3の犠牲者が……。

「夢果つる館の殺人」といい「奇妙な遺言」というのは
古典のパターンなのかな? あまり知らないけど。
いやはや、凄かった! 頭ん中グングニルした。正に怪作!

まず舞台となるハイチという国。中国の武侠作家金庸が
中国にミステリーが根付かなかった理由を訊かれて
「中国では法の執行が健全ではないから」と答えていたが、
独裁国家でブードゥー信仰が盛んなハイチは正にその典型なわけで、
名探偵の推理も華麗にスルーされそうな予感がひしひし伝わって来る。
というかまず探偵がいるかも分からないんだけど……。

とにかく24ばりに連続殺人が怒涛の勢いで進行して圧倒される。
中盤からは更に加速しまるでサイコホラーに転換したかのような
無茶苦茶な展開になり本格だという認識は銀河の彼方にすっ飛んで
終いには孤軍奮闘大立ち回りでもう何が何だかわからなくなる。

こんなもんどう決着付けるんだ絶対無理だろと思っていると……
あ~ら不思議! ビシャリと収まる。こりゃ傑作だよ。

221:書斎魔神 ◆qGkOQLdVas
06/12/03 23:38:54 qGrH5hFP
G・ガルシア=マルケス「わが悲しき娼婦たちの思い出」を読んだ。
川端康成「眠れる美女」にインスパイアされた作とのことだが、
巻末の訳者解説にもあるとおり、似たシチュエーションながらも
全く異質な殺人も有りな濃いサスペンス・ストーリーが展開されてゆく。
途中までは悲劇の予感を漂わせながらも、いかにもラテン系らしい「性と生」に
対する前向き、かつ。肯定的なハッピーエンディングが楽しい。
「満90歳の誕生日に、うら若い処女を狂ったように愛して、自分の誕生祝いにしようと
考えた」、この過激なインパクトある冒頭の書き出しから、
ガルシアのマジック・リアリズムの世界が始まっているのだと言い得る。

222:名無しのオプ
06/12/04 20:55:17 DYbF7v2H
「サンタクロース殺人事件」  ピエール・ヴェリー
なんとも変なミステリ。
探偵役が口にする解決の糸口も含めて、全体的に奇妙なメルヘン風味が漂っている。
ほとんど手がかりが提示されない点は不満に感じたが、事件は複雑に構成されていて、
探偵役の語る解決編ともども、予想以上にテクニカルで感心させられた。
ただ、原文からそうなのか翻訳の問題なのか、妙に読みづらいのは困ったところ。
急な場面転換が頻繁に起こるので、読みにくさは倍増してるし。

223:名無しのオプ
06/12/05 01:22:34 YKXZrwJe
「サンタクロース殺人事件」は読みたいなーと思ってたら中学の図書館に置いてあってビックリした覚えがある
あの図書館、クリスティとかは置いてないくせに中国迷路とか十三角関係とか乱歩賞のマイナーな奴とか変なのが置いてあったなぁ

224:読後感
06/12/06 00:21:19 zAo8nWR4
「飢えた海」ウィルバー・スミス(文藝春秋)

大企業に成長させた海運会社のトップの座を奪われ、
絶世の美女であった妻も寝取られ、最愛の息子までも失ってしまっい
絶望のどん底に叩き落とされたニック。
隠居料として半ば押し付けられた子会社は多額の負債を抱えていた。
そんな彼の乗る船に突然舞い込んだSOS通信。それは難破した
豪華客船からのもので、オーナーはあの憎い敵であった。
ニックは沸き上がる復讐の念を胸に救助に向かうことになるが…。

勿論救助は前半の展開で、その後は主人公を取り巻く
人間関係の愛憎を中心としたストーリーになる。
全体的に類型的で、それはいいのだが悪役が少々薄っぺらいのが残念。
ドンパチやらで簡単に人が死んだりすることがないのが意外だった。

225:読後感
06/12/06 00:41:03 zAo8nWR4
「ティー・パーティー」チャールズ・L・グラント(早川書房)

婚約者の浮気相手を殺して失意のダグは服役後逃げる様に
田舎へとやって来た。そこには長らく廃虚と化している屋敷があり、
住人から呪われた場所として恐れられていた。
ところが屋敷を買い取るとの情報が流れ始め、その頃からダグや
他の住民達の身に不可解な現象が相次ぐ。
そして不審に思う彼等の許へ屋敷への招待状が届けられた―。

とあるガイドブックで★4つだったから読んでみたんだけど、
別になんてこたない凡作だった。
筋立てはキング(未読)みたいな感じだが前フリが長すぎる。
パーティーをもっと中盤に持って来て終盤にもう一山欲しかった。
一応仕掛けめいたものがあるけど切れ味はイマイチな印象。

226:名無しのオプ
06/12/08 20:34:57 1KU2gVpy
「もの言えぬ証人」 アガサ・クリスティー
ポアロものの一作。
妙な構成が目を引くものの、クリスティー文庫版の解説にもあるように事件そのものに相当の無理が
見られるし、ポアロの語る真相にも論理的な穴が多く、出来はいまひとつな感じ。
生前の被害者が交霊会において、後光が差したり口からエクトプラズムを出したりしていた、という
奇怪な事件の真相はユニークで実にインパクト大。実現可能かどうかは別として、強く印象に残る。

227:読後感
06/12/09 00:34:01 mSvB1U22
「真鍮の栄光」ジョン・エヴァンズ(早川書房)

私立探偵ポール・バインの今回の依頼は都会に出ていき行方知れず
となった娘の捜索。彼女は出発前何故か全ての写真を破棄したという。
バインは彼女の友達もまた同じような状況にあると知り、
そちらからもアプローチしていくが、関係者が次々と殺されていく。
果たして彼女達に隠された秘密とは?

「シリーズ物は順番に読みましょう」
小鷹さんが三部作中最も衝撃の真相と言ってらっしゃいましたが
正にその通り! これは予測出来ませんでした。ガツンと来ました。

あと本作はミスディレクションが複数ばら撒いてあるようで
僕も見事に嵌ってしまいました。
(メル欄)はちょっと有り得ないと思いますけど、
話が成立しないわけではないからいいか。

228:名無しのオプ
06/12/09 20:57:34 4ev+Sv67
「九人と死人で十人だ」 カーター・ディクスン
H・M卿もの。
船上での殺人劇という「盲目の理髪師」を思わせる設定ながら、こちらは喜劇要素が非常に少なく、
いないはずの人間が一人増えたという不可能趣味が前面に押し出されている。
とにかく提示される謎が非常に魅力的で、読ませる内容。大戦の雰囲気を伝える点でも興味深い。
ただ冷静に考えてみると、あの状況でこの事件自体が成立しえないような気もするのだが・・・。

229:名無しのオプ
06/12/10 19:26:48 BP2W121e
「誘拐」 ビル・プロンジーニ
名無しのオプシリーズの一作目。
タイトルのとおり、主人公が子供の誘拐事件に巻き込まれるいう物語。
事件の構造は少々ひねくれているものの、目新しさも特になく、全体的に平凡な内容だと思う。
パルプマガジンの収集が趣味という主人公の造形、それと終盤での奇怪な論理が楽しめれば・・・
という感じだろうか。

230:読後感
06/12/11 03:41:54 gW+VC2RB
「タイムマシンの殺人」アントニー・バウチャー(論創社)

おしどり探偵ひくトミー。
ミステリー評論家でありながら実作ではSF・ホラーを多く
手掛けた人って結構珍しいのでは。

読んだ感想としては何かこう所々はしょってる感がして
イマイチ設定・展開が呑み込めなかった話がいくつかあった。
筆が先走り過ぎてる部分があるのかなーと。
読解力不足と言われればそれまでだが一応書いとく。

お気に入りはラストの「たぐいなき人狼」。
恋はスリルショックサスペンスでした。
次点は「悪魔の陥穽」。これらのシリーズだけで1冊編んで欲しい。
それ以外だと、「人間消失」のトリックや表題作の論理が面白かった。

P.S.夏に買ってすぐ実家のちゃぶ台に放置したきりの
「シャーロキアン殺人事件」が無くなってませんように…

231:読後感
06/12/14 00:48:09 39apm+P5
「淫獣の幻影」フィリップ・ホセ・ファーマー(光文社)

標的の尾行中相手の男と共に失踪した相棒コルベンの行方を
追っていた私立探偵チャイルドは警察に呼び出され
あるフィルムを観せられる。そこには裸で寝かされ
足を広げさせられたコルベンが映っていた。
そして彼は現れた男女にペニスを噛み千切られ殺されてしまったのだ!
その時チャイルドは観た。女の股間で蠢く何かを。
事件を探るチャイルドは伝手を通じて幽霊屋敷にたどり着くが
そこで彼が見たものは紛れもない女の幽霊だった!

エログロハードボイルドって感じ。ふんだんに官能シーンがあるけど
個人的には人と人との健全な交わりにしか興奮を見い出せないもので、
本書のエログロはちょっときつかった。殊に催淫座薬打ち込まれて
豚女に犯されるとこなんか斜めどころか平行読みしたぐらい。

とにかくエログロの雰囲気に嵌れる人でないと辛いと思う。
自分はあまり嵌れなかったけど気になる終り方だったんで
続編が邦訳されてるなら読んじゃいそうだ…。

232:読後感
06/12/15 21:03:05 s805kxS4
「無頼の掟」ジェイムズ・カルロス・ブレイク(文藝春秋)

叔父たちと銀行強盗をして逮捕されたソニーは成り行きで
警官を殺してしまい刑務所へ送られる。そこから何とか脱獄し、
叔父たちの許に戻ったソニーは、ふたたび強盗を繰り返すが、
息子を殺した男の脱獄を知った老刑事は復讐のため彼を追うのだった。

面白いというか読みやすい。続きが気になってどんどんいっちゃう。
翻って見ると別に大したプロットじゃないなと思うんだけども、
読んでる最中はそんなこと全然頭にないんだよね。
暴力描写に眉をしかめつつもページを繰る手は止まらない。
ただどれもこんな感じならその内飽きるだろうな…。

とりあえず次はアラムルチ読みます。

233:書斎魔神 ◆qGkOQLdVas
06/12/16 19:42:49 /a9WmpUN
ポール・アルテ「赤髯王の呪い」を読んだ。
このミス、文春のランキングをはじめとしてスルー状態な作品集、
出来栄えを見ればこれは致し方ないものがあるが、
怪奇探偵小説好きなら意外に楽しめるかと思う。
大好評な全話講評行ってみよう!
「赤髯王の呪い」
執筆されたのは本作(私家版)が先ではあるが、オチはあのヒット作の二番煎じであり、
連続不可能犯罪の謎解きはあっけないか、強引である。
前半は怪談話絡みの怪奇探偵小説そのものだが、終盤は一転、フランスの作家らしい
ムーディな心理サスペンスとなってゆくので、
トマス・クックの記憶シリーズの愛読者などには一読の価値はあるかもしれぬ。
「死者は真夜中に踊る」
実話「動き廻る棺」を想起させるような話で、怪奇な館ものの雰囲気は良し。
ジョン作品というよりは、名探偵コナンレベルの謎解きを気軽に楽しめるか否かで、
読後の感想も変わってこようかと思う。
「ローレライの叫び」
孔雀の羽根はやはりオマージュか?
本作もローレライ伝説に材を取った怪奇な雰囲気の盛り上げは巧みだが、
肝心の謎解き部分が「いつか来た道」に過ぎないのが残念。
「コニャック殺人事件」
この作者には珍しい超自然現象ネタを絡ませない不可能犯罪もの。
ゆえにすっきりした出来にはなっているものの、本質はぎりぎりバカミスになるかどうか
といったところか。

234:名無しのオプ
06/12/16 21:17:16 zGnYYex+
「金蝿」 エドマンド・クリスピン
半世紀近く昔の翻訳であるせいか、めちゃくちゃ読みにくい。新訳出してくれ。
肝心の中身はカーのような雰囲気ながら、なんだか今ひとつ。
幽霊話を持ち出して色々と煽るわりには物語に絡んでこないし、明かされる真相には困惑する。
ついでに探偵役が、関係者の証言を嘘と見抜く理由もよく分からない。そういえば金蝿の指輪に
関する理由付けも謎だった。

235:名無しのオプ
06/12/17 05:54:35 jUfOWDWC
ケン・フォレット『大聖堂』(上中下、SB文庫)【9点】

12世紀のイングランド。大聖堂建設の夢を持つ建設家、禁欲的な修道院長、
零落貴族の姉弟、成り上がりの傲慢貴族、野心溢れる司教など魅力的な人物が
織り成す大河歴史物語。

久しぶりに読み応えのある小説だった。冒頭の赤毛の若者の絞首刑のシーンが
一応ミステリー的な要素としてラスト近くで解決されるが、中心となるのは
あくまでキングスブリッジにおける大聖堂建立の物語。さまざまな事件や苦難が
次々に襲い掛かり、読者の興味を逸らさない。どの登場人物も欠点をかかえており、
それが物語を奥深いものとしている。

やや長いのが難ですが、それだけに冬休みの読書にうってつけ。
新潮文庫版がブッコフで並んでいるのをよく見かける。

236:名無しのオプ
06/12/18 19:47:02 g/uQr+dm
「赤い右手」 ジョエル・タウンズリー・ロジャーズ
片田舎で殺人鬼が跋扈するというお話。
かなり妙ちくりんな作品。時制が飛び飛びになっているうえ、けったいな文章のせいもあり、
途中からアル中の日記でも読んでるような感じになってくる。
なぜここまで無茶な犯行を行わなければならないのかという疑問は残るし、ロジックは飛躍
どころかワープするしと、かなり八方破れな作品なのだが、逆にそこが魅力なのだと思う。
強引な力技が気に入らない人には合わない作品とは思うけど。
どうでもいいが、「コペルニクス的転回」という惹句は少しズレてるような気がする。

237:読後感
06/12/18 23:45:03 4iXM6c9/
「荒ぶる血」ジェイムズ・カルロス・ブレイク(文藝春秋)

大物ギャングの下で殺し屋として働いていたジミーはある時
一人の女に出会い、心を奪われる。一時の逢瀬を楽しむ二人。
しかしそれは突然終りを告げる。彼女に執着するメキシコの牧場主が
殺し屋を差し向け奪い去って行ったのだ!
ジミーは仲間と共に恋人奪還に向かうが…。

まあ、予想通り前作と構成はまるで同じw
ただリーダビリティだけは一級品。抜群にある。
プロット自体は大したことなし読後何も残らないけど。
例えるなら釣りで散々引っ張っといて漸く釣り上げたら
何も変わってなかった、みたいな感じかな?

このミス3位は高いような気がするけど、年一で楽しむ分にはいいかも。

238:読後感
06/12/21 00:14:16 TLB0aVqi
「魔性の森」ハーバート・リーバーマン(角川書店)

新しい相続人のため、土地確認の森歩きをする測量人と周辺住民たち。
しかし突如測量人が発作で倒れ、皆は森の中で迷子になってしまう。
見当を付けて歩き回るが深みにはまるばかり。やがてじわじわと
人間関係にも亀裂が入って来る……。

当スレからのセレクト。ひたすら道に迷うというだけの話。
読みやすかった。誰にも感情移入出来ない所が良い。
ラストは意味不明だけど…。

239:読後感
06/12/21 00:16:13 TLB0aVqi
「太陽の殺意」M・K・プレストン(ソニー・マガジンズ)

久し振りに故郷へ帰って来たチャンタリーンの目的は
濡衣を着せられてリンチにあった父親の汚名を晴らし
殺害犯達を見付けるためだった。皆の前で高らかにそう宣言する
彼女だったが、その直後仇の一人と思われる男が殺され、
容疑者になってしまう。若手弁護士ドルーの助けを借りて
チャンタリーンは調査を続けるが―。

300弱と短いのだけが取り柄。やたらダラダラしてて
ろくに調べようとしないし小説としてのまとまりも悪い。
こんなんがノミネートされるなんてクラーク賞はレベルが低すぎる。
日暮さん仕事選びなよ…。

240:読後感
06/12/21 09:37:45 TLB0aVqi
「海のオベリスト」C・デイリー・キング(原書房)

航海中の豪華客船で短い停電の最中に起こった殺人。
被害者は心臓を撃たれて即死しており、体内から2個の弾丸が
摘出された。しかし、銃声は一度しか聴こえなかったのだ!
ピストルを持っていた男が取り調べを受けるがそこから放たれた
弾丸は他の場所から発見され、更に解剖の結果被害者は
毒殺されていたことが明らかとなる。
この混乱した事態に乗客である4人の心理学者達はそれぞれ独自の
推理を披露して犯人を指摘するのだが―。

オベリスト三部作シリーズスタート。
本書の特徴は「多重推理」と「巻末の手掛り索引」である。
一人が答えを示し、それが違うようだと判明して次へ進むのだが、
その否定の方法が論理的に矛盾を突いたりして崩していくのではなく、
作中で制定された「明確な物差し」によってなされており、
読者としては結論に一抹の不安を覚えながらも頭を悩ますことなく
次に進んでいける。ここは物足りなさを感じる人も
いるかも知れないが、読み進みやすいことは間違いない。

また、手掛り索引については少々細か過ぎる気がした。
こういうのは少数の要領を得たポイントを指摘するべきだと思う。
間違っても「ロートレック荘事件」のようににならないよう…。

真相に関してはごしゃごしゃやり過ぎて意外性が削がれた感あり。

241:名無しのオプ
06/12/22 01:47:57 WbbSNsXH
クリストファー・プリースト『魔法』(ハヤカワFT文庫)

爆弾テロに巻き込まれた報道カメラマンのグレイは、記憶をなくし病院で治療を受けていた。
彼のもとを訪ねてくる自称「元恋人」のスーザン。
スーザン、グレイ、スーザンの恋人ナイオール、彼らの奇妙な三角関係の行方は……

『奇術師』がこのミスや文春でベストテンに選出されたプリーストの代表長編。
やっぱりボーダレスな小説で、恋愛、幻想、SF……など多彩な要素を含む。
「奇才プリーストが語り(=騙り)の技巧を遺憾なく発揮して描いた……」とあらすじにあるように、叙述要素が物語の仕掛けに組み込まれている。
解説にある激賞の言葉ほど面白いとは思わないが、第五部からとんでもない方向へ話がずれていく様子や、ラストで明らかになる仕掛けは、なかなかの見ものだった。
ちなみに解説は法月綸太郎。

242:名無しのオプ
06/12/23 23:53:09 Q4Hcy7ra
「私が見たと蝿は言う」エリザベス・フェラーズ

本格は感傷でしか読まないんだけど久しぶりに。
安アパートの一室から殺人に使われた凶器が見つかり
住人の誰かが犯人ってことになるんだけど
それぞれの住人が面白い。本格好きにはちょっと
物足りないかもしれないけど(十分楽しめるレベル)
おれみたいに謎がどうより人間模様を楽しみたい人にはいいと思う。
面白かったなぁと思ったら「猿来たりなば」の人なんだね


243:読後感
06/12/24 00:28:31 yTEQKdaw
「鉄路のオベリスト」C・デイリー・キング(光文社)

アメリカ大陸を横断中の豪華列車内のプールで男が死んでいるのが
発見された。状況からみて溺死と思われたが、解剖の結果
違うことが判明する。続いて第2の事件が発生し一人が殺され
一人が危うく生き延びた。列車に乗り込んでいたロード警部補は
旧知の心理学者と共に捜査に乗り出すのだが―。

シリーズ2作目。鮎哲訳。この人のマイナー作家に対する情熱の
お陰で本書や「殺意のトリック」を読むことが出来てありがとう。

今回は前作と比べて《多重推理》という型はぐんと薄まった感じ。
心理的推理に因る所が多い上に結論が安直。ただ、読みやすさは増した。
プラス、意外性も確保出来ていたかな。あらあらこんな
夜明け前よりミエミエな、と思っていたら見事にハズレちゃった。
前作よりもミステリーぽかったな。

あ、刊行順に読んでね!

244:注! 前宣伝のルールに変更点があります
06/12/25 19:45:49 Wf2c/Oqd
現在、「2chが選ぶこのミステリーがすごい!」の投票を行っています
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以前こちらのスレに投票された方へ。こちらの投票もちゃんと集計しておきます
2chが選ぶこのミステリーがすごい!2006
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ご投票お願いします。長書き込み失礼しました

245:読後感
06/12/31 04:55:57 16RpEECi
「空のオベリスト」C・デイリー・キング(国書刊行会)

サンフランシスコ行きの旅客機内で外科医が殺された。
被害者は国務長官の緊急手術をする予定であり、日時まで指定された
殺人予告を受け取っていた。そして予告通りの時刻に酔い止めの
カプセルを服用したきり目を覚まさなかったのだ!
しかもカプセルは護衛のロード警部が渡したものだった……。

原題カコイイ。オベリストよ、高く翔べ!
シリーズの特徴であったはずの多重推理はすっかり形骸化している。
その代わりというか本書はエピローグを冒頭に持ってきてプロローグで
締めるという仕組みが採られており、こういうの新本格以外では
Pマクの「ライノクス殺人事件」しか知らない。さて、どれほどの意味が
あるのかと思いきや、あまりなかった。

自分はプロローグを前にしてもう一度エピローグに戻りそれから
プロローグを読んで手掛り索引に当たり解説(この空気の読めなさは
異常)を読んだが、イマイチよく呑み込めなかった。犯人は解った
けど、じゃあ「あれ」をやったのは誰か? ロードの推理が正しい
のか? ならば(メル欄1)と(メル欄2))の説明は?
ここから一人の人物が導き出される気がするのだが……。謎だ。

ちなみに中盤のサプライズは薄々見当ついた。

246:名無しのオプ
06/12/31 11:44:57 CL2iYDUP
P.ボアロー『殺人者なき六つの殺人』(講談社文庫)

『悪魔のような女』の片割れ。サスペンスではなくがちがちの密室もの。
パリのアパルトマンで銀行家夫婦が狙撃される、という事件を筆頭に、タイトル通り6つの殺人事件が起こる。
真相が暴かれてみると、因果関係が連鎖しているので、6つもある殺人はすべて必然であることがわかる。
ただし、全体で250Pしかないため、次から次へ事件が起こって慌しい。
ひとつの事件を反芻する時間がないので、不可能性の強調も足りていない。
一番いけないのは、形として容疑者が存在しないことだ。
犯人の可能性があるのは一人しかなく、読者にとっては簡単に先が読めてしまう。
殺人の因果関係については、よく練られていると思うだけに惜しい。
小説としての面白みはほとんどないが、古典本格マニアであれば読む価値あり。

247:書斎魔神 ◆qGkOQLdVas
06/12/31 18:36:22 CzHikJAp
今冬は、アガサ・クリスティのマイナーな作を取り上げてみたく思う。
「愛国殺人」を読んだ。
スパイ・スリラーの著作も相当数あるアガサらしいエルキュールものだが、
やはり本格ミステリはエスピオナージ等が絡まない館もの等の方が
雰囲気にマッチするやに思われる。
犯人の犯行は、アガサらしい間隙を突くアクロバティックなものだが、
歯科医のスキルを簡単に見過ぎている点が気にかからぬでもない。
大きな可も不可も無い凡作といった評価が妥当かと思う。

248:読後感
06/12/31 20:58:23 16RpEECi
「屍衣の流行」マージェリー・アリンガム(国書刊行会)

私立探偵キャンピオンの妹でデザイナーのヴァルは若き実業家
アランに想いを寄せていた。しかしアランは人気女優ジョージアに
心を奪われており、ジョージアの夫レイモンドは妻そっくりの
モデルとデートをしていた。そんな中キャンピオン自身も
旧知の女性と婚約してしまう!!
迷走する恋模様の中失踪していたジョージアの元恋人が白骨死体で
発見され、更にレイモンドが飛行機内で死亡する。スキャンダルを
恐れた関係者達は隠蔽を計るが事はやがて漏洩しヴァルにも危険が!

のりりん曰く「森博嗣風ラブコメの原点」。しかしどこにコメが?
コメが主食の日本人としてこれは辛い。

つーか無駄になげーよ。大仰で持って回った言い回し、長ったらしい
比喩、その場その場で語られる男性・女性観など読書意欲を削がれて
参った。これもっと刈り込んでスマートにして欲しい。

大体プロットも大したことない。温い本格orサスペンスって感じ。
犯人の意外性もないし(これは解説でも消極的に認められている)、
このトリックのどこが凄いのかもさっぱり解らん。
ロマンスも唐突で腑に落ちない。解説者(=訳者)は褒めすぎ。

それでは皆さん、よいお年を。

249:名無しのオプ
07/01/01 15:24:52 IbXXBdhW
読後感は出て行けや。つまらん主観を押し付けて読書の楽しみを奪うなボケ。

250:名無しのオプ
07/01/01 15:36:00 HrTtkK4O
下劣なコテハン叩きはルール違反ですよ。


251:書斎魔神 ◆qGkOQLdVas
07/01/01 21:52:44 xXMhNOYc
「ポケットにライ麦を」
一般のミステリファンには十分にマイナー、エルキュール・シリーズと比較して作品数が
圧倒的に少ないジェーン・シリーズということもあって、
アガサファンには、結構、読まれているのがこの辺の作かと思う。
アガサ作品にありがちな若い男女の安手なラブロマンスが無く、
横溝風のいずれも一癖ある人物たち(一族)が集う館ものという設定は、
謎解きミステリのお膳立てとしては申し分が無いものがあるのだが、
いかんせん「売り」であるマザー・グース絡みの見立て殺人に無理が有り過ぎで、
必然性が感じられない点が弱い。


252:書斎魔神 ◆qGkOQLdVas
07/01/02 22:04:15 jv2425Sn
「ヒッコリー・ロードの殺人」
アガサファンでないと読んでいなさそうなエルキュールもの。
日本で例えれば、学生下宿(本作では入居者全てが学生というわけではないが)を
舞台にした奇妙な盗難、そして殺人が描かれる。
読者の興を惹き易い「館もの」等でも書けそうなストーリー
(アーヤならそうしてしまうかも(w )ながら、
殊更に怪奇な設定はしないアガサは、ロンドンの大通り裏のハウスを舞台に巧みな
ストーリーテリングで事件に広がりも持たせた上で、それなりに満足がゆくミステリに
仕上げているのはさすがである。

253:名無しのオプ
07/01/02 22:43:45 YldQyTb1
快調なペースで読書してるね。
その調子その調子。

254:名無しのオプ
07/01/03 19:56:47 fZM/ErZo
「最上階の殺人」 アントニイ・バークリー
素人探偵ロジャー・シェリンガムのシリーズ作品。
簡素な問題編とそれに対する多重解決という、いかにもバークリーらしい内容。
全編に渡って炸裂するロジャーの推理(というか妄想)が楽しく、そこが一番の見所だろう。
ただ、セイヤーズ言うところの典型的なロジャー・シェリンガム式の作品なので、着地点が
マンネリ気味という気がしなくもない。
最後の一行で思わず吹いたし、十分に面白い作品だとは思うのだけど。

255:書斎魔神 ◆qGkOQLdVas
07/01/03 21:12:46 GYptbuIY
スティーブン・キング「ミザリー」を読んだ。
正式にはホラーはSF板の担当なのだが、本作は恐怖小説ではあるが超自然現象が
描かれた怪奇小説ではないため、作品全体に仕掛けられた趣向は勿論のこと、
アニーの犯罪工作など見ても、キング作品中でもSFやホラーの好き読者よりも、
ミステリファン好みの一編と言い得る。
ヒーローは交通事故で重傷を負った寝たきりの中年作家、
ヒロインは人三化七を絵に描いたようなナース上がりのキティなオバン、
メインキャラはこの2人のみであり、この設定で、一読巻を置かせぬ面白い長編を書いてしまうのは、さすがのスティーブンである。空想力が逞しいこと、極限状態でさえ創作意欲を抑えられないこと等、
主人公のキャラが説得力を持って十分に活きているのも本作に精彩を与えている因である。

256:名無しのオプ
07/01/03 22:03:03 E9YqkwBn
>>227
的確な批評だね。
いつもさんくすこです。

257:書斎魔神 ◆qGkOQLdVas
07/01/04 21:35:27 aui0jNTG
「ロリータ」の新訳(文庫版)を読んだ。
大久保康雄氏の訳書は、端整で読み易いものであったが、
(この点は、新訳を担当した若島正先生(京大院文学研究科教授)も認めている
ようである。
大久保先生の筆による(?)ロリータが主人公ハンバート・ハンバートが
評する「ニンフェット」そのものの印象なのに対して、若島先生描くところ(?)の
ロリータ像は、話し方ひとつにもフィッツ作品に描かれるフラッパーの後裔ていうか、
不良性を帯びて読めるのが面白い)
それゆえに、「言葉」に凝る傾向が強いウラジミールらしさが感じられないという評
もあった。
今回の若島版ロリータは、原文の雰囲気を重視したものとなっているため、
時には読者サイドにとっては多少の読み難さとなっている点は否めない。
内容的には、「ミステリとして読める作」ていうか、訳者あとがきに記されているとおり、
「ミステリそのもの」かもしれぬという作品全体に「謎」が仕掛けられている
やもしれぬ作なのである。
この辺の事情も十分に意識して新訳されている27章以降の展開は熟読吟味する必要が
あろう。特に普段から低俗な新書ミステリに耽溺しているミスヲタは、
この世紀の名作に取り組むに当たって、この点は十分に心しておけ。

258:名無しのオプ
07/01/05 00:21:49 pcDRbWp+
ナンシー・ピカード『恋人たちの小道』(ハヤカワ文庫)

市民財団長ジェニー・ケインシリーズの第1作。
財団のせいで息子が死んだ、とジェニーをなじった男が、港開発のセレモニーに車で突っ込んでくる。
自暴自棄の行動と思われたが、ブレーキに細工がされてたらしい……。
ユーモラスなタッチのライトなミステリ。婉曲的な表現が多いため慣れるまで読みづらいかも。
はた迷惑なジェニーの父親など、キャラがしっかり書き分けられており面白い。
ただしタイトルで損をしているような……。
ジェニー&ジェフの恋の行方と、作中の地名ラヴァーズ・リープに引っ掛けた邦題と思うのだが、全体の印象からすると微妙。

259:書斎魔神 ◆qGkOQLdVas
07/01/06 00:12:45 g68scssk
アガサ・クリスティ「蒼ざめた馬」を読んだ。
テレフォースによる連続遠隔殺人の謎に挑むひとりの青年学者、
古ぼけた館「蒼ざめた馬」に住むマクベスの魔女を想起させるような女たちの登場・・
アガサ長編には珍しい怪奇探偵小説風のノンキャラ作品であり、
J・Dならここぞとばかりに怪奇性を強調してゆき、登場人物たちもどっぷりと
このムードに呑み込まれてゆくところであろうが、
本作の登場人物たちは事件の怪奇性に途惑いながらも常に懐疑的であるのが
アガサ作品らしいものがある。
脇キャラながら作者本人の投影と思われるオリヴァ夫人が、
呪法による殺人を書くことを薦められた時の返答、
「わたしはごくありふれた殺人しか扱わないのです」という言葉に
アガサの基本的執筆姿勢が顕著に読み取れるやに思う。
(訳者も、あとがきで「ありふれた殺人を神秘化させるところにこの作家の才能がひそんでいるのだろう」と述べている)
本作はエスピオナージではないが(英国作家らしくアガサはこの手のものも書いている)殺人方法は、偶然にもタイムリーそのものであり、あらためてこの作家の着眼点の良さに
感心したが、ストーリーには御都合主義による偶然性の不自然さが目立ち過ぎ、
アガサ作品中でも、ミステリとしても中の下レベルの域を出ないものに止まっている
のは、いささか(注 伊佐坂先生ではない(w )残念な感はある。

260:読後感
07/01/06 18:33:39 IQZ8TVgG
「マイアミ弁護士ソロモン&ロード」ポール・ルバイン(講談社)

仕事を選ばないお陰で成功とは程遠い弁護士ソロモン。彼は今
若き新米検事ヴィクトリアに心を奪われていたが彼女はソロモンに
負けたせいでクビになってしまう。その後彼女は弁護士として
知り合いの富豪の怪死に関する裁判を担当しようとするが、
甥の親権を守るため金が必要なソロモンはそこに強引に割り込む。
果たして彼等は勝訴することが出来るのか?そして二人の関係は―。

シリアスなリーガル・サスペンスではなく、
ロマンティック・ユーモア・サスペンスといった感じ。笑える。
裁判よりもロマンスに力点が置かれているからその辺好みが別れるかも。
でも「弁護士は奇策で勝負する」とか好きなら大丈夫だと思う。
あと「アリー・my・ラブ」とか。

ロマンスに関して言えば引っ張り過ぎだし、障害児を餌にするのも
あざとくてマイナスかな。でも続編邦訳されたら読むと思うw

261:名無しのオプ
07/01/07 00:24:33 9lRLGMTe
R.D.ウィングフィールド
『クリスマスのフロスト』(創元文庫)【8.5点】

クリスマスの直前、町の幼女が行方不明になった。
指揮を執る警部フロストは多発する大小の事件に奔走するが・・・

世評高いがなぜか長期間積読状態だった本作に挑戦。
赤川次郎の大貫警部みたいなキャラかと思っていたが、
もっと親しみある人柄でしたね。事件は派手でないが、展開が上手く
あれよあれよという間に一気読み。ラストにもうひとひねり有るかな、
と思ったが、充分に面白かったです。

262:書斎魔神 ◆qGkOQLdVas
07/01/07 21:27:33 PPp8uhL+
ノーマン・ベロウ「魔王の足跡」を読んだ。
世界の不思議といった類の書籍に取り上げられることが多い実話「英国における
雪上の謎の足跡」をネタとし、
(有名どころではフランク・エドワーズの「世にも不思議な物語」に採録され、
同名のテレビ番組によりこのエピも映像化されオンエアされている)
ミステリ・サークル的な解決の呈示を試みた、まさにジョン張りのコテコテな
怪奇探偵小説である。
本格ミステリ倶楽部ではある程度の評価を受けた作とはいえ、結局、この程度の謎解き
を読んで喜んでいるのは、毎週お茶の間で欠かさず「名探偵コナン」を手に汗握って
鑑賞し、稲垣金田一シリーズのオンエアを心待ちにして、
「稲垣メンバーの金田一キター!」と正月早々から絶叫した末、御近所から不審者として
通報されてしまうようなレベルのミスヲタに過ぎないという感がある。
この奇想天外とは言わぬまでも奇抜なトリックを看破するのはそれこそ不可能事だと
しても、(先に翻訳されたタルボット作品を想起させる面があるのも気にかかる)
普通に読んでゆくと犯人の目星は割りと簡単に付くのも難、
とにかく本作の評価は、否定的な意味合いを強く込めた漫画ちっくの一言に尽きる。
森英俊氏のあとがきによると、本作と同じ主人公の警部が登場する作品が他にも
4作(未訳)あり、この作者の代表作とされているらしいが、
記されたあらすじを読む限りでは、いずれも本作より面白そうに見えるのは皮肉である。

263:名無しのオプ
07/01/08 19:13:16 n0hPrNC7
M.J.トロー『霧の殺人鬼』(ハヤカワ文庫)

切り裂きジャック事件後のロンドンで、レストレイド警部が、殺人を見立てた詩を送りつける無差別殺人鬼を追う。
彼を主役にしたパスティーシュのアイデアが面白い。
オスカー・ワイルドやデュー警部など、同時代の著名人が次々に現れるさまは、まるでキム・ニューマン『ドラキュラ崩御』のよう。
ただ作品としては微妙である。
連続無差別殺人なので、事件がブツブツ途切れてしまうし、謎解きの興味も薄い。
作者は、ホームズ作品中の警官が腰抜けに書かれてあるのに憤慨しこれを書いたそうだ。
なるほどホームズはコカイン狂、ワトスンは駄目医者として、チョイ役で登場する(ちなみに別にドイルも出る)。
だが、こんなホームズファンに喧嘩を売るような書き方より、「会話には出てくるけど登場はしない」というような演出の方が、スピンオフっぽくて面白かったのではないか。
(なお訳では、ホームズもワトスンも、自分のことを「わし」と言う……あかんやろ)

264:書斎魔神 ◆qGkOQLdVas
07/01/10 06:40:29 GcKz2KGv
マックス・アフォード「魔法人形」を読んだ。
おなじみ国書刊行会の世界探偵小説全集の1冊だが、なんとなく積ん読していた作。
呪いの人形の謎、いわく因縁付きの館、ここに集ういずれも一癖ある人物等、
森英俊氏はオージーのジョンと評しているが、むしろ前半部分は本邦の横溝作品を
想起させるような作品だが、警察が動き出し犯人探しが本格化する後半に入ると、
一転、怪奇性は影を潜め出し、緻密な捜査と論理的な推理が中心となる。
内容的には作者がラジオ作家ということもあってか、御都合主義な偶然性が目立ち過ぎるのが難、また、丁寧に読めば犯人を当てることは難しくはない。
あとがきでアウトラインが紹介されているこの作者の他の作品の方が面白く
感じられるのは、前述した「魔王の足跡」と同様であった。
(奇しくも、「魔王の…」の元ネタとなった英国における雪上の謎の足跡が本作の最後の方で簡単に紹介されている)

265:名無しのオプ
07/01/11 23:59:32 dVHYEg/4
エラリイ・クイーン『第八の日』(ハヤカワ文庫)

ハリウッドからの帰宅中、ネバダの砂漠で迷ってしまったエラリイは
ふとしたことでクイーナンという集落へ迷い込む。
彼を来るべき預言者のように扱う村人たち。
半世紀にわたって犯罪すら起きていなかった街に、恐ろしい犯罪が……。
何気なく読んだ後期クイーンの作品だが傑作。代筆らしいけど。
事件は大したことがないものの、宗教的価値観の前に敗れさるエラリイの苦悩が、
実に生々しく、ダイレクトに伝わってくる。
最後に明らかになる「失われた書」の真相(その皮肉!)、一文だけの第七章、
エピローグの高揚感もすばらしい。
『災厄の町』を読んだ時も思ったが、自分は後期クイーンの方が好きだな。

266:読後感
07/01/12 02:00:43 F26YwF0L
「ダーティ・トリック」マイケル・ディブディン(扶桑社)

この本は「私」の告白である。薄給の教職に甘んじている「私」は
とあるパーティーで知り合った裕福な人妻と不倫関係になる。
ズルズルと深入りしていく「私」に運命は味方し、やがて欲しいものを
全て手に入れ、「私」は成功者となった。しかし―。

思わせぶりなタイトルといい叙述スタイルといい何か
サプライズがあるのかと胸ワクワクで読んだのに報われず。
まあクライム・ノヴェルでした。一人称ならでは細かな特徴等に
リアリティは感じるもののだからどうしたってなわけで……。
ダグラス・ケネディの縮小版みたいな感じなのかな。

267:名無しのオプ
07/01/12 02:44:09 PBpP+ogE
「狂嵐の銃弾」 D・スカウ

バカミス。
作者が狙って書いたのかはたまたヤクをやりながら書いたのか?
おそらく後者ではないか

268:書斎魔神 ◆qGkOQLdVas
07/01/12 20:47:32 qS/qkU2l
アガサ・クリスティ「邪悪の家」を読んだ。
エルキュール・シリーズ第6作と初期作品だが、アガサファン以外には読まれることが
少ない作かと思う。
初期のエルキュールの自己顕示欲の強さをあらためて再確認させられるような作
であり、中期以降の落ち着いた雰囲気の彼氏を知る読者にはギャップも感じ得よう。
内容的には読者がエルキュールの推理の過程をトレースするのは無理があるとしても、
仰天の結末なのは間違い無く、館ものとしての怪奇性(あえて、何らいわく因縁も無い
平凡な屋敷をメーンな舞台としているようである)や観光小説的要素を強調することも
可能な設定だが、この方向性を取らず、会話文を多くし余計な描写を削った文体が
テンポの良さを出すことに成功しているのがアガサらしい。
ベロウやアフォードといったニ線級の作を読んだ後だと、
n非常にスマート、かつ、シャープに感じられる。

269:書斎魔神 ◆qGkOQLdVas
07/01/13 17:21:40 mNT8457w
アガサ・クリスティ「エッジウェア卿の死」を読んだ。
これもエルキュール・シリーズ初期作(第7作)。
創元推理文庫にも別題で収録されているとはいえ、
アガサファン以外は手に取ることが少ない作であろうかと思う。
結局、謎解きはアクロバティックなおなじみのパターン、
犯行の動機に宗教的知識が無いと(エゲレスでは常識)日本人にはぴんと来ない
部分があるのは難としても、語りと仕掛けの巧さで読まされてしまう感じである。
訳者は日本SFの父のひとりである福島正実氏だが、
その海外ミステリに関する読書量は別としても、
翻訳となった場合には、ミステリしかもアガサ作品の雰囲気に馴れないのか、
エルキュールと大佐コンビの会話が、他の訳者の作に比べて、
今ひとつよそよそしく、ぎこちない感があるのを否めないのが残念である。
ひろゆき氏なら「新訳キボーン!」とか言うのではなかろうか(w

270:名無しのオプ
07/01/13 17:35:23 7zDFsejh
書斎さんは2ちゃんがなくなっても全然困りそうにないなあ。
ネットストーカーどもが困惑しているwのを尻目に、
この悠々せまらざるレスのことよ。

271:名無しのオプ
07/01/13 23:32:23 1KZNdMxw
ピーター・ラヴゼイ
『最後の声』(ハヤカワ・ミステリ文庫)【8.5点】

中年女性の殺害現場に赴いたダイアモンド警視は、遺体が
妻のステフであることを知る。捜査から外され、剰さえ容疑者と
見なされた警視は、命令違反を覚悟に単独捜査に。シリーズ第7弾。

最後まで犯人像を絞らせない巧みなプロット、伏線の妙はさすが。
とくになぜ(メール①)という点は、レッドヘリングも効いていて
真相が分かった時には感心した。レギュラー・メンバーも元気そう。
また途中まで(②)か? と思った人物が最後にあんなことになって・・・

シリーズ読者のひいき目かもしれんが、高度安定のすばらしい小説。

272:名無しのオプ
07/01/14 00:25:12 hhgp6TWq
書斎が書いてるクリスティの「論考」、俺が高校くらいの頃に読んだものばっかりだなぁ。
しかし自称知識人のクセにこの程度の感想もどきしか書けないんだから笑えるw

273:読後感
07/01/15 03:45:50 lPyfNQ1m
「アララテのアプルビイ」マイクル・イネス(河出書房新社)

出張で海路オーストラリアへ向かっていたアプルビイは途中で
Uボートの襲撃を受けてしまう。船は沈没し、アプルビイら
生き残った乗客6人はどことも知れない島へ漂着する。
何とか生活していこうとする一行だったが、数日後彼等の一人が
海に浮かぶ死体となって発見される。犯人は残りの4人の中に
いるのか?

丁度「LOST」が始まった頃でタイムリー(?)に読殺。
これ予告であらすじ読んで楽しみにしてたんだが、途中いらん文言が
目に入って水を差された。曰く「謎解きを期待するな」「本格だ
と思ってはいけない」みたいな。何ですかその予防線は。
感想なんて所詮主観だってのに牽制してんじゃねーよボケ!!
本格であろうがなかろうが面白けりゃそう言うしつまらんなら
糞つまらんと言うわさ。ご心配なく!

と、やや気分を害しつつ手に取ったわけですが……あるじゃん謎解き。
あらすじから予測されるものとは違った形になっていくけれども。
ただ面白いかと言われると、う~ん、お モ し ロ い ?
本格一辺倒の人ではないのは知ってたけどこれはどうも
中途半端な印象が拭えなかった。ラストもかなりご都合主義だしなあ。

追伸 40年前の児童書みたいな表紙は嫌いじゃない。

274:書斎魔神 ◆qGkOQLdVas
07/01/15 21:25:03 m6XUafDV
デイヴィッド・マレル「廃墟ホテル」を読んだ。
このミスのランキング入りはしているものの、下位になるとこんな程度であろうかという
のが正直な感想である。
本邦でも最近は静かなる廃墟ブームであり、写真集やルポなども出版されているため、
この点ではタイムリーな翻訳とは言い得るが、
所変れば品変わるというか、どこかマターリ、のんびりした感が漂う日本の廃墟探訪
とは異なり、
本書で紹介されている諸外国の廃墟のスケール感やクリ―パーなる廃墟深訪者
(というか冒険者)たちの時には命がけの廃墟に注ぐ情熱には驚嘆すべきものを感じざる
を得ない。
作品としては、謎解き有りの、アクション有りなサイコホラー風の冒険小説の類だが、
内容的に盛り沢山過ぎて焦点が定まらず、ありがちなハリウッド製B級アクションの
「ホン」を読まされているような通俗性が作品全体を安っぽいものに見せてしまって
いるのが惜しい。(ヒロインの途中交代だけは意外性があったが)
冒険小説でおなじみの海洋・山岳・大氷原といった自然界がその舞台になり難くなり、
共産圏の解体、大都市の治安強化等、国際社会や大都会さえその舞台となり得なく
なって来た現代において、巨大な廃墟という舞台は冒険小説の舞台としては格好のもの
であっただけに残念である。
作中で著名な(欧米人にはと言える)な小説・映画、人物等について作者の薀蓄
や批評と思われるものが登場人物の口を通じて語られているが、
これは本筋を離れた読ませどころと言え、なかなか面白いものはあるが、
(例えば、「ティファニーで朝食を」のヒロインホリーに関する見解等)
果して、作者はこの饒舌が物語のスリルを殺ぐ結果になっているのにも気付いているで
あろうか。

275:名無しのオプ
07/01/15 23:02:41 WjWFiPhu
あのさ、臭い魔神さんよ。
インターネットがまだ電話回線でつながれていた頃…そうさなぁ~、
「ISDNの方がADSLより快適だよ。接続早いし」「俺、テレホーダイ使っているぜ」とか言われていた頃、
あの当時ならYahooの掲示板も楽しかったし、それなりの盛り上がりもステイタスもあったかも。
でもな、上の方で書いている人もいるけど、2ちゃんが出来てからこっち、
ネットユーザーは殆どこっちに流れちまったの。

だけどここしばらくは1日のアクセス数は、mixiが2ちゃんねるを追い越してしまった。
荒らしが野放しとか、犯罪がらみの報道をみて新規の住人がどんどん流れ込んできて、
数年前からいる人は、削除がなかなか追いつかない2ちゃんに愛想つかせて
個人で発信できるブログやmixiに足場を移しているんだよ。
BBSはどこもかしこも過疎化している。2ちゃん以外でもね。

そんな情勢の中で、今頃になって「Yahooのトピに行くつもりである」なんて宣言してるお前が
それほどインターネット時代に取り残された爺なのかよく考えろ。

276:名無しのオプ
07/01/15 23:36:23 RmGMZHtD
>>275は蟻板からのコピペ
スレリンク(mog2板:108番)

277:読後感
07/01/19 03:41:20 fTjU51X/
「裏切りのノストラダムス」ジョン・ガードナー(東京創元社)

時は1978年のロンドン。ロンドン塔にやって来たドイツ人女性が
衛兵に告げた。「私の夫はここで処刑された」と。事は英国海外
情報局に伝わり、興味を覚えた局員ハービーが調査を行うことになるが、
その先には戦時下のドイツで進められたという「ノストラダムス作戦」が
姿を現して来る。関係者から聴取を始めるハービー。そんな中、
例のドイツ人女性が狙撃される事件が発生した。一体誰が、
何のために?そして彼女は何者なのか?

530ページと分厚いのが英国スパイ小説らしい。但しル・カレみたいに
読みにくくはない。しかし面白くもない。ほとんどが回想シーン
なのだがここで語られる作戦にあまり現実味が感じられない。中世か!
更に回想の初めに意味もなく話が前後するのも?だった。
「意外な結末」もあるものの伏線が曖昧なので感心出来ない。
折角下地がこんだけあるのに勿体無い……。
発端の謎の解答にもがっくりきた。だったらこの段階で終わりじゃん!

他の作品や続編にもいくらか興味を残しつつ本を閉じた。

278:読後感
07/01/19 23:57:01 fTjU51X/
「証拠は語る」マイケル・イネス(長崎出版)

象牙の塔で起こった奇怪な殺人事件。被害者は頭を潰されており
側には隕石が落ちていた。アプルビイは
地元の警部補と共に捜査に当たるが謎は凶器だけに止まらず
人間関係に纏わる様々な謎が彼等の前に立ちはだかる。

もう名前統一しなよ。
いや、しかし面白かったでつよ。やっぱイネスはコーディネイト。
訳の分からん謎がわさわさ出て来るのもたまらんし、ラストの
パタパタ返しも「ある詩人への挽歌」を思わせてGood!
新本格派特有の長さも今回は気にならなかった。これは本ミスに
期待が出来るんじゃないか。

あと(メル欄)は(メル欄2)てことなのかな?

ところでウチの区「アララテ~」は4冊購入+予約1だったのに対し
本書は1冊購入+予約1。この差は出版社の知名度かしら?
中身は逆だと思うのにな。

279:名無しのオプ
07/01/20 00:24:10 3OxZZYUY
買えよ馬鹿

280:読後感
07/01/24 12:38:22 1wWG0FGu
「復讐」ティム・グリーン(二見書房)

前途有望なネイティブ・アメリカンの弁護士レイモンドはある日突然
地獄の底に叩き落とされる。殺人容疑、有罪、そして長い刑務所生活。
絶望していたレイモンドだったが、何度目かの移送先で巡り会った
老人に思わぬことを聴かされる……。果たしてレイモンドは
裟婆に戻って敵に報復することが出来るのか?

絶対無敵ガンクツオーキター!!!!!!!!!!!!!!
俺これ系の話マジ好きなんすよ。これはもう
病気かも分からんね。
ただ、模倣作には時折出会うんだけどキッチリ満足させてくれるものは
少ないんだよなあ。だから不安半分で読んだんだが、これは良い!
少なくともガッカリ来ることはないと思うのでオススメ。
ホニャララが何度もホニャララされるとこなんかGJ!
て感じだった。ラストも爽やかで実にスガスガしかった。

ただ短くするために急いでいる部分があり、シノプシスみたいに
感じてしまうことも。一人称が「~いる」連発なのも性急さを感じる。
今まで「復讐の時」「連城訣」「天国の階段」「白髪鬼」
「ヴェンデッタ」等読んで来たけどこれは今んとこ暫定一位かも。
キチガイ度は「白髪鬼」がダントツだけどw

281:あらすじごめん
07/01/25 16:16:46 yYGEvy6V
ジャック・カーリイ『百番目の男』(文春文庫)【7点】

市内で連続する男性殺人事件。遺体は頚部を切断され、肉体の一部に
謎のメッセージが刻まれていた。ある事件を過去に引きずる刑事カーソンは、
相棒ハリーとともに事件解明にいどむ。

前半の刑事同士のいがみあいや、検視医アヴァとの関係などまどろっこしくて
投げ出しそうになったが、後半の精神病院の辺りから面白くなり、例の「真相」に
唖然。同時に前半の伏線がなかなか巧みに張られていたことに気づき感心。
ただ、(メール)なので、動機はともかく真犯人がわかってもカタルシスはなかった。
小説としては【6点】、真相の突飛さに敬意を表して+1点。

282:読後感
07/01/27 13:30:52 KeQ1L4Hr
「サンキュー、ジーヴス」P・G・ウッドハウス(国書刊行会)

有閑青年バーディーは楽器好きが高じて田舎に引っ越す羽目になり、
頼りにしていた執事のジーヴスにも辞められてしまう。
親友チャッフィーに引っ越し先を世話してもらったバーディーだったが、
チャッフィーの家でかつての婚約者ポーリーンに再会してしまう。
気まずさを隠し切れないバーディー。しかしチャッフィーと
ポーリーンがお互いを憎からず思っていることを知り……。

シリーズ第6弾。何故これから読んだかは言わずもがな。
ファースというかユーモア小説としてはいい出来だと思うものの、
個人的にはかなりガッカリした。解説も何か釣ってるし。
あんな設定必要だったのかなあ……。

283:読後感
07/01/28 14:11:09 4cjcvT+u
「妖女ドレッテ」ワルター・ハーリヒ(東京創元社)

荘園管理人シュテーゲンは遠ざかる馬車を見つめながら
立ち尽くしていた。ドレッテ―彼が愛した女は行ってしまった。
彼女の夫である荘園主が閉めきった書斎で不可解な死を遂げ、
全ては変わってしまった。ドレッテ恋しさに都会へ来たシュテーゲンは
再会した彼女から事件が再調査されていると知らされる。
―彼女は俺がやったと思っている。確かに俺達は彼を目障りに感じ、
俺は殺人を計画した。しかし、俺はやっていないのだ……。

物語としてはまあ読めるが密室トリックはすぐに解明されてしまうし、
あまり魅力もない。発表時期や国を考えると仕方ないか。

284:読後感
07/01/30 02:48:23 E5Loq5jE
「聖アンセルム923号室」コーネル・ウールリッチ(早川書房)

ニューヨーク、聖アンセルムホテル。その一室で繰り広げられる
一夜のドラマ。宿泊客の様々な人間模様を描く短編集。

一作除いて情感だけのもの(by二階堂黎人)。
まあガチガチの本格に飽いてそういうの読みたくなったらどうぞ。

285:読後感
07/01/30 03:07:34 E5Loq5jE
「時計は十三を打つ」ハーバート・ブリーン(早川書房)

写真家レイノルズは最新の細菌研究所を取材するため大西洋に浮かぶ
キルゴア島へ向かう。所長のウェイランド博士はレイノルズに
新兵器の開発に成功したと告げるが、その直後何者かに殺されてしまう。
現場には寒天状のものが散らばっていた。細菌が流出してしまったのか!?
連絡船が来るのは数日後。孤島に閉じ込められたレイノルズ達に
襲い来る感染の恐怖そして飢餓。果たして犯人は―?

シリーズ3作目。でも奥さんが冒頭ちょこっとしか出て来なくてカナシス。
本格として見ると厳しいかな。トリックがあるわけでもないし
推理らしきものも最後に申し訳程度にしか出てこない。ちょっとした
スリラーか。やっぱブリーン「ワイルダー一家の失踪」に尽きるようで。
論創が中々手放さない「メリリーの痕跡」はどうなんでしょうか?

286:読後感
07/01/31 13:11:07 c1cWOk1U
「六つの奇妙なもの」クリストファー・セント・ジョン・スプリッグ(論創社)

伯父と共につましい生活をしていた女性マージョリーは
喫茶店で出会った霊媒師に雇われ住み込みで働くことになった。
霊媒師の人柄に感化され心霊現象を信じるようになった彼女。
やがて自身も霊媒をするようになるが、次第に心身が衰弱していく。
マージョリーの窮状を知った婚約者テッドは降霊会に潜入するが……。

「妖女のねむり」とかもそうだけど、本格らしいということは
わかっていてもどこで本格味が出てくるのかわからないものを読む時の
胸のときめきって素敵やん。↑のあらすじから話は更に膨張していく。

真相の大枠は前半で気づくけど細部の謎やトリックは驚きに足ると
思うし、フーダニット興味もがっちり確保している。それが
唯一残った謎と相まって事件のカラクリが鮮明になる様は見事。

スケールのでかさは「死の相続」に及ばないものの、完成度は高い
と思う。異色本格としてお薦め。ちなみに二階堂黎人の感想は
「奇妙な味が好きな人にはお薦め」。言わんとすることは分かる。

287:書斎魔神 ◆qGkOQLdVas
07/02/03 23:37:48 Z5KHaM9p
ローリー・リン・ドラモンド「あなたに不利な証拠として」を読んだ。
今更ながらではあるが、昨年度のこのミス、文春の両ランキングのベスト1、
ダブルクラウンに輝いた警察小説(というか実態は婦人警官小説とでも称すべき内容)
の佳作である。
深夜の屋外捜査の緊張感、単独で死体を目前とした際の恐怖感、
犯人と対峙した緊迫感等々、警察官という職業上、当然対面するであろう状況が
作者の実体験(5年の警察勤務)を活かし、ヒラリー、ニコラス、エド、
ペール&マイ夫妻といった過去の警察小説の名手たちも書き得なかったほど
ビビッドに息詰るような迫力で描かれ、読む者に強烈な印象を残す。
ただし、警察小説をミステリの1分野と把握する以上、本作をミステリと言えないことも
ないが、最終話「わたしがいた場所」はどう見てもミステリとは言い得ない領域の作と
なっており、MWA探偵作家クラブ賞最優秀短篇賞受賞作の「傷痕」にしても、
最終話への布石となる女性警官グループが遭遇するアクシデントの顛末を描いた
「生きている死者」にしても、収録作品中では比較的ミステリ色が濃いものさえ、
意外性と言えるほどの展開は無い。

288:書斎魔神 ◆qGkOQLdVas
07/02/03 23:39:13 Z5KHaM9p
むしろ「傷痕」などは、こういった作品にありがちな悪徳警官や無能な捜査官ではなく、
むしろ腕利きゆえの捜査の誤びょうの可能性を抉ったものとして、
ひとつの小説として読んだ場合は非常に面白いものがあるのだ。
こういった点で言えば、本作はネタばれを恐れさせない、ネタばれされても十分に
読み応えがある(反面、ミステリとしては、ばらすほどのネタが無いとも言えるのだが)
単なる読み捨てミステリを越えた「ホンモノの小説」だとも言い得るのだ。
ただし、一点だけ不満点を挙げれば、まえがきを部分成す作者の謝辞にもあるとおり、
12年のにわたって書かれた作品を集成したもののためか、前半の作と後半の作では
作風の変遷が際立っており、やや調和を欠く感があることである。
3つの短篇連作により敏腕女性警官の波瀾の一代記をクールに描き切った
キャサリン・シリーズと比較した場合、
前述した最終話「わたしがいた場所」は心の癒しの世界を描いたヒーリング小説
とでも称すべきものへと転じているのである。
各個別の作品の出来は悪くないだけに、編集にもう一工夫が欲しかったところである。
本作を読むことにより、ミスヲタが安手の謎解きに傾斜したミステリを焚書するだけの
良識を持ち得るか否か、これはひとつ試金石ともなる作である。
各人、心して読め!

289:名無しのオプ
07/02/03 23:59:42 v+zAFw23
>>287
ニコラスってえ~と
ぶれいくじゃなくてフリーリングだろな
一応ニコラス・フリーリングは知っているのか
でもジェイムズ・マクルーアの名前は出てこなかったようだな
あと名手と言えるかは分らんがローレンス・トリートも入れて欲しかったな

290:名無しのオプ
07/02/04 09:00:21 CZxuW/2+
>>287-288
長々と回りくどいが上っ面をなでただけの感想だな。

291:書斎魔神 ◆qGkOQLdVas
07/02/04 15:48:21 23atjR7V
>>289
どうせ突っ込み入れるのであれば、まずジョゼフの名を挙げたまえ。
ローリー(注 寺西ではない)の作風から見て、彼氏の作がテースト的には
一番近いかと思う。

292:名無しのオプ
07/02/04 18:08:42 gcEQeQsJ
いつもよきアドバイスさんくすこです。
>>287も礼を言っておけ。

293:名無しのオプ
07/02/04 18:44:53 s0rnKQki
>>292
馬が他人に礼を言うわけないだろ


294:名無しのオプ
07/02/04 20:55:18 gcEQeQsJ
しかし読後感はウザイね。

295:名無しのオプ
07/02/04 23:16:30 dcBYAfOT
全くだw

296:読後感
07/02/05 00:33:02 aGMsiqhI
「潜航ノーススター十字軍」ウィリアム・カッツ(角川書店)

アメリカの原子力潜水艦が乗っ取られた!?
「ノーススター・クルセード」と称する犯人達の目的は米ソ両国に
戦端を開かせ第3次世界大戦を引き起こすことであった。
彼等の謀略にのせられ米ソ間の緊張は高まり一触即発の危機に陥る。
果たして世界の行方は―?

カッツって心理サスペンスの書き手かと思ってたらこれが
デビュー作だそうで。
冒険小説の中でも軍事謀略小説といった感じで、アメリカ首脳、
ソ連首脳、そしてテロリストの動静が並行して語られていく。

キャラクター個人のストーリーはなく、全体のプロットで読ませる
性質のものなのでその辺好みが別れるかも。読み慣れぬせいか
最初は退屈だったが後半に行くに従って容赦のない展開がスリリングに
感じられてきた。結果的に主人公の意向がばかりが通るのが
少し気になったがそれも性質上仕方のないことなのかも知れない。

297:名無しのオプ
07/02/05 05:55:12 sw9Y8q8h
>>294-295
書斎のウザさに比べりゃ遙かにマシw

298:名無しのオプ
07/02/05 12:03:26 /8wY2hPW
J・ボール「夜の熱気の中で」(ハヤカワ・ポケミス)
1965年、あのオスカー受賞の名画「夜の大捜査線」の原作。
8月のうだるような暑さの深夜、ある南部の町で、音楽祭に招待されていた指揮者の男が殺されているのが
発見される。地元警官のサムは駅で列車を待っていた黒人を強引に連行するが、彼こそはカリフォルニア・
パサディナの優秀な警官にして誇り高き男、ヴァージル・ティッブスだった。黒人差別の嵐の中、ヴァージル
は徒手空拳で捜査を続けるうち、地元警察の連中も心を開いてくる。そしてたどり着いた真相とは・・・。
これは傑作。印象的なヴァージルの初登場シーン、南部の閉鎖的な町の描き方、地元警察の態度が徐々に変化
してゆく過程や、プア・ホワイトの状況、そして登場人物を一同に会しての本格風の謎解き、名場面とも言え
るラストシーンなど、どれを取っても満点に近い出来。惜しむらくは、トリッキーな仕掛けに乏しく伏線も
やや不足なため、古典的ともいえるティッブスの謎解きシーンがちょっと盛り上がりに欠ける点でしょうか。
しかし、名作中の名作。

299:名無しのオプ
07/02/05 15:30:48 wpiRCdEl
読後感もいい加減に人の意見を聞くべきだな。

300:名無しのオプ
07/02/05 16:37:49 TiXBCzCQ
名古屋の竹石圭すけって小学生を強姦して捕まったクズ野郎だろ?

301:名無しのオプ
07/02/05 19:41:32 zI0QtcVY
デイヴィッド・リンジー『沈黙のルール』(柏艪舎)
刊行は去年だったけど、ようやく読了。
新潮社から柏艪舎に移行して、地味に刊行されているリンジー作品。
こういう身代金の取り方もあるか、と思いながら読み始めたものの、
ジワジワと主人公を追いつめる敵役の存在も不気味でしたが、
いざストーリーが展開していくと、普通の謀略小説っぽくなってしまいました。
それでも主人公の妻の存在が、いわゆる巻き込まれ一般人の心情を表していて意外に良かった。
読後爽快!みたいな作品ではないけど、地味だけど、これからもリンジー作品を刊行し続けてほしいです。

ただ翻訳文中に妙に小難しい熟語を使っていることが多く、ルビをふってあるものの、
いちいち辞書を引きたくなってしまいました、で高校生向きの辞書には載っていない言葉もありましたよ。

302:名無しのオプ
07/02/06 07:44:18 zZ59Zpd0
このスレ住人の民度の差が垣間見れて面白いな。
荒らす奴、それに釣られて雷同しちゃう奴、雷同しないけど
釣られちゃう奴、徹底スルーしてる奴、様々見れて飽きない。

303:名無しのオプ
07/02/06 21:10:05 ubQ81qcf
エド・マクベイン『われらがボス』(ハヤカワ文庫)

 87分署シリーズ26作目。
 管轄区の溝の中で、6体もの全裸死体が発見された。
 調査を始めたキャレラたちは、三つのギャング団の抗争劇に行き当たる……。

 ギャングのボスの供述が本編と並行して進み、謎解きの要素はほとんどない。
 70年代初頭の、ニューヨークの荒廃ぶりをテーマにしたもののようである。
 作者の意図は理解できるが、ミステリとして今読むと辛いかな。
 主要キャラクターに何か変化があるわけじゃないし。

304:読後感
07/02/12 13:07:03 UlTCIwqz
「結末のない事件」レオ・ブルース(新樹社)

警官を辞め探偵業を始めたビーフの所へ舞い込んだ依頼、
それは殺人容疑で拘留されている兄の無実を証明して欲しい
というものだった。張り切って調査を開始するビーフだったが、
事態は好転の兆しを見せないままタイムリミットが近づいてくる。

レオ・ブルースの良い所は陸橋みたくパロディに終始しない点だね。
だからこそそれを楽しむ余裕も生まれるわけで。
本書は前作を凌ぎ前々作と並ぶ面白さだと思う。ちょっと
じれったくなるかも知れんけど。
ビーフのどこか捉え所のないキャラクターは惹かれるものがある。

305:読後感
07/02/12 14:30:57 UlTCIwqz
「風の影」カルロス・ルイス・サフォン(集英社)

内戦後のスペイン、バルセロナ。10歳の少年ダニエルは父親に
連れられて行った本の墓場で1冊の本に巡り会う。「風の影」という
タイトルのその本に魅せられたダニエルはやがて作者フリアンの
数奇な人生の軌跡を辿ることになる……。

「ジョン・ランプリエールの辞書」や「形見函と王妃の時計」みたく
本を巡るミステリーといった趣き。でもその2冊よりも読みやすかった。
プロットだけ抽出すれば別に大したことない話なんだけど、
そこを上下2巻という長さも感じさせずに読ませるのが
作者の力量でしょうね。ただ著者近影は要らないと思った。

追伸:諸○玲子ってそそる女だなぁ。

306:名無しのオプ
07/02/12 20:21:12 EapZ9uul
「三人の名探偵のための事件」 レオ・ブルース
タイトルどおり名探偵のパロディ作品。
パロディ面は秀逸で、オリジナルを知っていると結構笑えると思う(特にスミス師の
セリフとか、「オリエント急行」のネタとか)。
ただ、本編は密室殺人の多重解決という凄いことをやっているわりに、何かもう一つ
欲しかったという気も。淡々と話が進むせいか、ちょっと物足りない感じ。

307:読後感
07/02/14 13:52:00 gWNZjAWG
「震える熱帯」ボブ・モリス(講談社)

あらぬ罪を着せられ2年の服役を強いられたザック。待望の出所日、
出迎えに来るはずの恋人の姿はなく代わりにいたのは謎の男二人。
ザックは彼等を交わし恋人の代理で来たという男の車に乗り込むが
何故か置き去りにされてしまう。その後以前の住所地に向かったものの
再び先程の男達に捕まってしまい―。

以前書いた「復讐」のように報復が主の話ではなく、恋人に会いたい
一心の主人公が訳も分からず騒動に巻き込まれていくというサスペンス。
個人的に巻き込まれ型っていうのが一番のめり込めるジャンルだ。
古典的な道具立て等ちょっと本格風味もありつつ話は展開していく。
もっとも難易度はさして高くなく終盤の決めゼリフもニヤニヤするだけ。
頭を使わず力を脱いてひつまぶしするには最適かな。
続編も訳されたら読みたい。

308:書斎魔神 ◆qGkOQLdVas
07/02/17 20:58:34 fqxiO94r
ジョゼフ・ウォンボー「センチュリアン」を読んだ。
返す返すも絶版が惜しまれる警察小説の傑作中の傑作である。
舞台は60年代前半、60年の夏にLA市警の警官となった3人の若者の成長と堕落(?)、苦難等々が、65年までの6年間、各年の夏を舞台に警察官出身の作者らしく
ドキュメンタルに活写されてゆく。
クライマックスは、最終章におけるLAの黒人暴動であり、
まさに公民権運動がピークに達した60年代の空気がビビッドに伝わって来る
戦場ルポを読むかのような迫力に富むものとなっているが、
ここに至るまでの、短篇の如き日々の警察活動のエピを積み重ねた構成も
巧みであり、全体を通じて読み応えがある作品となっている
次々と登場しては退場してゆく
メーンとなる3人の若手警察官の相棒や上司が揃いも揃って個性派であり、
特に、3人のうちのひとりガスに対してその人生観にまで影響を及ぼす
ベテラン警察官キルヴィンスキーの最前線警察現場の哲学者的存在感は強い印象を
残すものがある。
(余談ながら、本書の映画化作品では、「パットン大戦車軍団」のジョージ・C・スコット
がキルヴィンスキーに扮し、原作以上にメーンなキャラとなっている。
だが、その行く末は原作同様に…悲しく酷い)

309:書斎魔神 ◆qGkOQLdVas
07/02/17 20:59:35 fqxiO94r
また、インテリ警官ロイと組むアル中警官ホワイティもその後のロイの行く末を思うと、
忘れ難いキャラである。
当時の警察組織の問題点は勿論のこと、
職業人として、あるいは人間としてもどうかと思われるキャラも多出するが、
読んでいて反感や嫌悪感は感じさせないのは、
作品の根底に、現場の警察官たちに対する作者の愛情と共感の眼差しがあるゆえであろう。
これが、「…ショッキングな内容にもかかわらず、内幕暴露の意図が表立っていないのも、
この作品を成功させている理由の一つである」と訳者あとがきにも記されることとなった
因かと思う。

310:読後感
07/02/22 13:13:01 NKeVUxuk
「閘門の足跡」ロナルド・A・ノックス(新樹社)

テムズ川を下っていた男が行方不明になり、乗っていたボートが
川底から発見される。男は直前まで従兄弟と一緒であり二人は
以前から不仲で叔父の遺産に関する問題も存在していた。
保険会社の嘱託探偵であるブリードンは消えた男の生死を
突き止めるべく調査を開始する―。

ノックスを読むのは3作目だが相変わらず捻りに捻ったプロットで
読み難かった。ホワイダニットが次から次へと提示され、やがて
悉く解き明かされるのだがその経緯がまたややこしい。
その陰に隠れてあまり目立たない小さなトリックには不自然さが
目立った。

別に複雑なのが悪いとは思わないが、読んでてイマイチ楽しくない。
エンターテイメント性が薄いように感じた。
サプライズも仕掛けられているんだけどね。
とりあえず「サイロの死体」はいずれ読もう。

311:名無しのオプ
07/02/26 00:26:09 rmJJvlM1
「目くらましの道 上・下」へニング・マンケル(東京創元社:創元推理文庫)

斧などで殺し、死体の頭皮をはぐという、猟奇的な連続殺人犯を
お馴染みのイースタ署の刑事たちが、試行錯誤しながら追い詰めて
ゆく。
構成がうまい。
冒頭で起こる少女の焼身自殺事件が、いつ頃、メインの事件に
かかわってくるのか、連続して殺される人々のつながりは何か、
そもそも犯人の動機は一体?・・・様々な謎が、ちょっとした
きっかけから解明されていくところは、まさにミステリーの
醍醐味で、最後までまったく飽きさせない。
2分冊で分厚いが、一気に読めた。
個人的には、シリーズ中、一番読みやすかった。
スウェーデンの季節描写もよい。夏から秋への季節の移り変わり
と、主人公のクルト警部の心情が重ね合わされていて、ぐっと
きた。

312:名無しのオプ
07/02/26 00:53:15 4OTrdpYc
>>311
それ面白そうだね。
シリーズ物らしいけど、そこから読んでも大丈夫なのかな?


313:名無しのオプ
07/02/26 23:09:42 rmJJvlM1
>>312
シリーズの過去の作品を読んでなくても、
大丈夫です。
おもしろかったら、他の作品も読んでください。

314:名無しのオプ
07/02/26 23:52:31 4OTrdpYc
>>313
レスありがとう。早速買ってくる。

315:名無しのオプ
07/03/03 16:50:19 KCWAlObR
遅ればせながら、リチャード・マシスン「奇術師の密室」を読んでいる。
枯れた雰囲気が、全体に漂い、なかなかと読み進んでいるが、…
P158の誤訳か印刷ミスには笑ってしまった。
「とにかく、夫人をマネージャー殺しの罪で逮捕して」
おいおい、夫人はお前本人だよ!主人だローが!!

316:書斎魔神 ◆qGkOQLdVas
07/03/04 11:47:12 Y45gpi8H
ジョン・ブラックバーン「闇に葬れ」を読んだ。
あとがきにもあるとおり、70年代の創元推理文庫以来、
久々の変化球(?)得意なブラックバーン登場である。
後半の展開は、ミステリではないどころかB級SF映画
(人喰いアミーバシリーズあたりのテーストを想起されたい)の世界そのもの、
この辺を面白がれるか否かで、本作に限らずブラックバーン作品の良き読者(?)に
なれるかが決するかと思う。
最近のDQNが多いこの板の住人には、むしろ最適な読物として一読を薦めておきたい(w
しかし、文庫刊行時にも思うたのだが、結構、通俗的なメーンストーリーであるのに
読み難い文章なのは、やはり原文に問題があるのであろうか。
(時代も訳者も変ったというのにである)

317:名無しのオプ
07/03/04 16:29:23 1rWPTv+j
>>316
自分の文章を「論考」だと言い張るのなら、
原本取り寄せて自分で検討してみるのが最低限の義務だな。
それもせんとただの印象で語るのならばそれこそ
「幼稚園年長組でも書けるということである」w

318:名無しのオプ
07/03/06 18:54:54 T+ncwWDi
>>288
誤びょうとは誤謬(ごびゅう)のことですか?


319:読後感
07/03/07 00:59:15 cjcPi1n7
「五時の稲妻」ウィリアム・L・デアンドリア(早川書房)

計画は練った。後は実行に移すだけ。少し不安だがきっと巧くいく……。
白昼堂々大入りの野球場の客席で殺された下院議員。彼は赤狩りの
急先鋒で多くの人から恨みを買っていた。
偶然にも死体の発見者となった元野球選手のギャレットは刑事に
協力を要請され事件に巻き込まれていくが……。

であんどりゃあ。大して面白くなし。
本格でも倒叙でもない宙ぶらりんの状態が延々続いて最後にチロっと
サプライズのつもりのものがあるだけというショボい代物。
登場人物の結びつきも不自然。作者は髭剃れ。

320:読後感
07/03/07 01:21:23 cjcPi1n7
「幻を追う男」ジョン・ディクスン・カー(論創社)

ラジオ・ドラマの台本3編収録。
「誰がマシュー・コービンを殺したか?」
婚約者を連れて10年ぶりに帰郷した男が兄が射殺される所を
目撃すると言う話。手掛りが明瞭で良いがサプライズ先行の
不自然な仕掛けが幾分話を白けさせている。
「あずまやの悪魔」
旧友に夫の不倫を相談する妻。しかしその間に当の夫が射殺される
という話。手堅くまとめた佳作。
「幻を追う男」
一年前舞踏会の夜で暗がりで出会った謎の女性を捜し求める男。
彼はそれが故に笑い者にされ危険な気球旅行に参加する羽目になる……。
引き込まれた。前半の不可思議性がピカイチで飽きない。
ただ大きな偶然の存在が気になるところ。
伏線の提示も少し不自然かな。
でも全体としてのストーリーテリングは巧いと思う。

321:読後感
07/03/08 17:14:35 OfT1Ze8y
「南海のトレジャーハント」パトリック・ウッドロウ(早川書房)

水中カメラマンのエドは仕事先で殺人容疑をかけられしまう。
どうやらこの騒動は彼の持つカフスボタンに端を発しているらしい。
このカフスボタンは祖父が彼に残したもので当初は2つあったが
1つは以前に盗まれていた。エドは祖父が隠された財宝の在りかを
伝えているとの思いからカフスボタンが示す場所を探し求める。

面白かった。500ページ以上あるが苦痛じゃなかった。
主人公の他にも意地の悪いICPO捜査官やら元特殊部隊員やら
日本人の麻薬ヤクザやら冒険に憧れる女優やら多彩な登場人物が
動き回って飽きさせない。
解説にもあるようにプロじゃない所がいいというかね。
恋あり乱闘あり暗号あり猛獣ありの宝探し小説。

ただ主人公の抱える大きな問題が解決してないのが気にかかるが……。

322:読後感
07/03/10 02:57:42 igxoBoW7
「怒りの山」ハモンド・イネス(早川書房)

大戦中ナチの拷問で片足を失った元情報部員のディックはチェコで
再会した戦友から伝言を頼まれる。その後彼は亡命を図るが
謎の失踪を遂げた。要請を受け彼の亡命先に向かったディックは
思わぬ人々と出会い、否応なく事件の渦中に巻き込まれていく。

前半はハードボイルド的で飽きずに読めるけど後半大噴火中の
火山の麓で何やかやの展開になるとイマイチノれなかった。
クローズドサークルは本格だとテンション上がるのに冒険小説だと
どうも勝手が違ってくるようで……。

破壊から回復へとのストーリーは好み。覆水盆に還らずなのもマル。

323:書斎魔神 ◆qGkOQLdVas
07/03/10 16:48:18 qVBKgUKO
セオドア・ロスコー「死の相続」を読んだ。
遺産相続のため『嵐の山荘』に集まった一癖も二癖もあるメンツを巡り、
ジョン風のコテコテな連続不可能犯罪が、往年のパルプマガジンの作家らしい
血と暴力に彩られたハードボイルドタッチで語られてゆくという異色作、
舞台は暴動の気配濃厚なハイチ、ゾンビー伝説の影もちらつくという冒険色、
ホラー色も散りばめられた、これもまたパルプマガジン作家らしいサービス満点とも
言えるが、過剰とも言い得る舞台設定である。
ミステリの禁じ手の堂々たる使用は感心しないものの、棺のトリックや不可能犯罪(脳天に銃弾)の合理的説明等は、なかなか面白いので、このネタでこの手の作品のマエストロジョンにきちんと書いて欲しかったような気がする。
特別悪い作ではないが、あとがきの森英俊のオーバーな賛辞は逝ってよしレベル、
作家も作品もペーパーバック相当なレベルであり、
扶桑社ミステリ文庫や二見文庫あたりで気軽に読めば案外楽しめる作だったかとおもう。

324:名無しのオプ
07/03/10 18:28:19 8OCd/3On
逝ってよしwww

久しぶりにみた

325:名無しのオプ
07/03/10 18:28:45 S4rQmA9I
>>323
>ミステリの禁じ手の堂々たる使用は感心しないものの、棺のトリックや不可能犯罪(脳天に銃弾)の合理的説明等は、なかなか面白いので、このネタでこの手の作品のマエストロジョンにきちんと書いて欲しかったような気がする。

ここの文章、何故かやたら長い行ですよね。
どこかのサイトからコピペした文によく見られる現象ですけど、どうなんですか?

326:名無しのオプ
07/03/10 19:10:56 MPSaqGjH
>>323
ここのパクリじゃないの?
URLリンク(www.so-net.ne.jp)

327:名無しのオプ
07/03/10 19:27:13 ZmC1Dqws
ほとんど同一の文があるなw
こりゃ偶然だでは言い逃れ出来んぜ
パクリ論考野郎でエセ読書人の書斎はこの板から消えろや

328:名無しのオプ
07/03/10 19:29:18 kI8QQz6l
これはパクリやない。盗作や

329:書斎魔神 ◆qGkOQLdVas
07/03/11 10:29:26 jiQKmVCt
>>326-328
妄言を書き散らさず、きちんと引用を行ない自己の主張を論証してみろ。
各人、心して書け!

ジョゼフ・ウォンボー「オニオン・フィールドの殺人」を読んだ。
あのカポーティも激賞したという作、60年代前半に現実にLAで発生した
警察官拉致・殺傷事件の終局判決までの経緯を小説仕立てで綴ったハードタッチな作で
あり、ボリューム感もあり読み応えは十分ながら、(ただし、会話体が多いため、
意外にスムースに読み進められる)
その素材の地味さゆえ現在なら翻訳刊行も困難な系統の作かと思う。
近年では、本邦では公判開始前の争点整理手続導入等裁判のスピードアップ化が
図られており、多少は裁判の長期化という問題に改善の兆しは見えつつあるものの、
本作で描かれた裁判関係者の疲弊、事件の風化等長期化により生じる問題は
一連の司法改革が進行中の日本でも参考にすべきものが多いやに思われる。
「語り」という面で見ると、タイトルに冠されたタマネギ畑のシーン及びこれに続く
追跡等の臨場感は、警察官ウォンボーの経験が活かされ、相変わらず抜群な描写力の
冴えである。

330:名無しのオプ
07/03/11 10:40:46 1D8h+kMH
書斎さんはちょっと引用しただけだろ
言いがかりはやめろや

331:名無しのオプ
07/03/12 17:11:13 yJosB5ng
>>327
>>326のリンク先を読んでみたけど、
同一の文に該当する部分がわからない。
俺の読解不足?
無断引用や盗作があるなら椰子に打つべき手があるから教えてちょ。

332:読後感
07/03/15 17:40:30 vHBsHjEw
「クレムリンの密書」ノエル・ベーン(早川書房)

突然軍を解雇されたローン少佐は直ぐ様特殊機関にスカウトされる。
やがて伝えられた彼の任務はソ連高官に送られた文書の回収であった。
ローンは伝説のスパイを始めとする腕利き達と共にソ連潜入を目指す!

なかなか面白かった。冒頭にスタートラインが明示されているし、
目的・手段も明確で英国の巨匠達の様に韜晦趣味に走ることもないから
順調に読み進んでいける。プロットも単調でなく過程で読ませる感じ。
ただ、特殊技能の持ち主達を集めるというコンセプトの割りに
キャラ立ちが今一つなのが残念かも。

333:書斎魔神 ◆qGkOQLdVas
07/03/17 11:36:53 sE0/zsCu
荒らし目的のアホ連中がはしゃぎ過ぎたようだな(w
>>327のアホが>>331のアホにどんなレスを返すのか、果して返せるのかが問題だが(w 
見物である。

講義を続けましょう。
ライオネル・デヴィッドスン「チベットの薔薇」を読んだ。
扶桑社ミステリーからの刊行物ではあるが、ミステリというよりは、
1950年代初頭、まだ神秘の国であり政情不安でもあったチベットを舞台
にした冒険色・伝奇色が濃い作である。
主人公が元女子高の美術教師という冒険小説には珍しい設定、
ガイド(少年)の案内が無ければ山越えも不可能な程の優男なのである。
以上、それなりにエンタメ好きをそそる内容なのであるが、正直言うて期待外れ、
チベットでの冒険談が始まるまでの前置きが長過ぎるうえに、
最大の見せ場である中国軍からの逃避行が後半の一部分に過ぎないのは物足りない
ものがあり、その顛末も拙速な感がある。
また、物語のコンストラクションとして、冒頭から主人公の生還を記し、
現況まで語ってしまうのは、どんなものであろうか。
発見された手記の紹介という形で、最終的な顛末は伏せて綴っていった方が、
少しはスリリングな物語足り得たのではないだろうか。
私なら、この点でライオネルに文句無しの駄目出しをしていたかと思う。

334:名無しのオプ
07/03/17 15:55:54 V8mZ+Dai
アンチ書斎の捏造かよ。とんでもないな。

335:名無しのオプ
07/03/17 16:42:39 qQsGdanZ
>>333
「荒らし目的」と断言するのなら、それにいちいち反応している自分は
荒らしもスルーできない便乗荒らしであると認めていることになるね。
こういう煽りをすること自体が自分の小者っぷりを曝け出していることに気付かないとは、
いったいどこまで厨房なんだろう。

336:名無しのオプ
07/03/18 10:37:56 vNlYcaxG
自治スレで、最近多発している、書斎に対して最悪板、あり板からコピペしてレスする荒らしを、
運営側に報告することを検討しています
コピペを迷惑だと思う人は参加してください

337:書斎魔神 ◆qGkOQLdVas
07/03/18 15:58:31 iVydEkMO
>>335はギブアップレス。お粗末なものである(w

デイヴィッド・J・スカウ「狂嵐の銃弾」を読んだ。
本作に関しては、このスレに「ラリって書いたのではないか」という評が前に
あったが、やや同感する面がある。
途中でどんでん返しはあるものの、解説でも指摘されているとおりミステリでは
ありがちな趣向、最後の最後にもう一捻りがあるかと期待したのだが…
あえてミステリのジャンルの中で位置付ければ、サイコ・ミステリということになるが、
作品のタッチは、序盤はヘミングウェイ、中盤は大藪春彦のハードボイルドな世界を
想起させるうえに、ホラーの書き手によるものらしく嵐の夜が無気味な舞台背景として
設定されている(ただし、超常現象はない。それ以上に恐ろしい内容でもあるとは
言えるが)つまり、最近多いクロスオーバーな作であって、登場人物が妙に哲学的な
人生観を語るような現代文学を意識したような面があるかと思えば、
濃厚なSEXシーンにもかなりの筆を割いており、この辺はいかにも大衆を当て込んだ
ぺ―パーバック向きであったりもする。
以上ゆえに、評価が難しい作だが、「ストレンジなもの」に興を惹かれる向きは
一読してみてもよかろうかと思う。

338:名無しのオプ
07/03/19 06:34:31 QBdk9A4e
>>337
ほうらいちいち反応している。だからお前は厨房だというんだよw
だいたい俺はそっちのスレの327ではないぞw

ああそれからお前こそ
  330 名前:名無しのオプ 投稿日:2007/03/11(日) 10:40:46 ID:1D8h+kMH
  書斎さんはちょっと引用しただけだろ
  言いがかりはやめろや

にはどのようなレスを返したんだ?
こいつこそお前が「剽窃」したことを明白に認めているのだが、
こいつをアホ扱いしないのも不思議だなあw

339:名無しのオプ
07/03/19 12:43:34 QRYZu1xT
めんどいから基本に戻ってスルーしてよ。

340:名無しのオプ
07/03/19 12:51:17 izK2kptN
>>339
自治スレ見ればわかるけど、全て狂馬のコピペによる自演。


341:名無しのオプ
07/03/19 23:53:20 0r/tts9n
必ず前後のレスだしなw

342:読後感
07/03/21 16:06:35 HY2UkYgO
「緑の地に眠れ」ダンカン・カイル(早川書房)

銀行員のトゥニクリフは偶然のタイミングで強盗を撃退し、
一躍時の人となった。そんな彼の元にかつて戦場で父の死を
看取ったという女性が現れる。彼女から父の手紙を渡された
トゥニクリフ。時を同じくして父の戦友を名乗る老人からも
連絡が届き、父が終戦のどさくさに紛れて財宝を運んでいたと
知らされる。トゥニクリフは一獲千金を夢見て東南アジアへと向かった。

カイルは2冊目だけど文体がゴキゲンな一人称でスラスラ読めた。
主人公よりも彼のパートナーであるおばさんが印象的。彼女の
一見矛盾しているような信念にストイックなキャラクターが
話を盛り上げていると思った。英国冒険小説にしては(?)
軽く読めてお薦め。

343:読後感
07/03/21 16:24:54 HY2UkYgO
「死のチェックメイト」E・C・R・ロラック(長崎出版)

灯下管制が敷かれている戦時下のロンドン。
貧相なアトリエに集まっている5人の男女の所へ訪れた2人の男。
1人は警官でもう1人は隣家の男を殺した犯人だという。
やがて捜査に着手したマクドナルド警部は彼等を皆容疑者として
活動していくが―。

地味な話ですわ。あとがきにあるように読み易いし短いのも良いんです
がちと物足りなさを感じてしまいました。最初は謎をフューチャー
してないからだと思いましたが、種明かしを読んでそれをすると
バレるからわざと曖昧にしたんだなと納得しました。つまり
トリックが弱いです。あと女流作家にしてはドラマ性が薄かったですね。

植草甚一や森英俊曰くロラックは当たりが多いとのことですが
これはどっちなんでしょうか?

344:あらすじごめん
07/03/22 16:21:54 JgDjLJ+0
ジェフリー・ディーヴァー『獣たちの庭園』(文春文庫、2005)【7.5点】

アメリカ海軍情報部の密命によって、オリンピック直前のベルリンに
送り込まれた犯罪者ポール。あるナチス高官の暗殺を依頼された彼だが、
ベルリン到着直後に殺人事件に巻き込まれ、当局の執拗な追跡を受け・・

ノン・シリーズの歴史サスペンス。SS、ゲシュタポ、クリポの追跡を
かわしながら、ターゲットのナチス高官にせまる。ひと癖ありそうな
裏町の顔役とのやりとりや、元国語教師とのロマンスなど、密度は濃い。
当局の動きについて軽い疑問をいだきながら読みすすめ、ある時点で
「ディーバーだなあ」と思い知るものの、ツイストはやや控えめか。
それでも詳細な時代背景といい、印象深い人物像といい、高度安定の良作。



345:名無しのオプ
07/03/22 20:19:42 O/u/4QJB
>>344
サンクス。次に読むものを探しているところだが、かなり
その気にさせられた。

346:読後感
07/03/24 00:50:33 96ALKh8T
「停まった足音」A・フィールディング(論創社)

資産家の女性が自宅で死んでいるのを来客を告げに来たメイドが
発見した。状況は明らかに事故又は自殺を示していた。しかし
ヤードの腕利きポインター警部は、同居人の不自然な反応や
来客が消え失せたことなどから事件性があると感じ、
地方警察や記者と共に捜査を始める。
果たして犯行は如何にして為されたのか? そしてメイドが
聞いたという被害者の後ろを尾けていた足音の正体とは―?

幻の作品がついに刊行! てなノリで。全うな本格でござんしたよ。
細かな謎が提示されて話を引っ張って行き、後半は容疑者を巡る
ドラマも展開したりして長い割に中だるみ感は薄いと思う。
幻の傑作かは分からないがつまらなくはない。

ただ殺人のトリックがちょっと確定してない気がした。あと大きな
偶然があってそれがちょっと加工不足というか……。それからこれは
唯の推測だが第一作から読んだ方が本作をより楽しめたのかも知れない。

347:読後感
07/03/24 23:48:31 96ALKh8T
「永遠の沈黙」マイクル・ベイデン&リンダ・ケニー(早川書房)

弱者の味方を自任する女弁護士マニーは検屍官ジェイクの頼みで
ショッピングセンター建設予定地から発見された複数の人骨を
巡る訴訟を引き受ける。ジェイクの能力を認めながらも過去の
訴訟で彼に反感を持つマニーだったが一緒に捜査を続ける内に……。

下半身がウズいちゃ~う。
コホン。作者も主人公達と同じ職業の夫婦合作ということで、
検屍に関する知識は中々のもの。プロットもミステリーしていると
思います。ただ、ロマンスに関してはまだまだ書き慣れてないですね。
流石にそこは身上を切り売りするのに抵抗があったのかな。

348:読後感
07/03/27 16:52:19 Oqjqq/8O
「殺戮の<野獣館>」リチャード・レイモン(扶桑社)

百年近くの間断続的に残虐な殺人が起きるという館。事件の生存者に
よればそれは謎の野獣の仕業だという。未だ少年時代の経験に
脅え続ける男から野獣館の話を聞いた元兵士のライカーは野獣退治に
乗り出すが……。

某スレからのセレクト。これぞB級ホラーと言うべき作品。
タフなランボーとキチガイ夫から逃げる美貌の人妻とその娘が
野獣館で見たものとは…そこにキチガイ夫の正に野獣的な追跡行が
プラスされとるわけ。とにかく流れに任せて読んでいきゃいいってな
感じで。そんでラストはぽかーんな展開。ここはちょっと
文章不足だと思う。まあ車中のお供にうってつけかな。
吐くかも知れんけど。

しかもこれ続編があるんだって。読みてえええええ!!!!
しかし80年でこれならまず間違いなく映画化されそうなもんだがなぁ。

349:読後感
07/03/27 17:15:47 Oqjqq/8O
「証拠は眠る」オースティン・フリーマン(原書房)

弁護士のルパートは幼馴染みの女性の夫が急死した事件において
彼が毒殺されたと判明したことを受け旧知のソーンダイク博士に
事件の解明を依頼した。ソーンダイクの徹底した調査姿勢に不安を
抱きながらも趨勢を見守るルパートだったが、偶然にも思わぬ証拠を
目撃してしまう……。

「ダーブレイ事件」を読んだ時は発表当時においてはもう過去の人
なんだなと痛感したけれど、本作でも矢張り同じ思いを抱いた。
黄金時代の本格ものがオリエンテーションだとすれば本作は
チェックポイントもなくただ道なりに歩くだけ。それがラストまで続く。
トリックと解明の過程は短編集の輝きが見えて面白かったけど……。

長編は今まで3作読んだが本領は短編にあると感じた。
長編だと時代の差が露骨に出てしまうようで。

350:名無しのオプ
07/03/27 21:32:18 ruGZhO5y
「ギデオンと放火魔」を古本でゲットしましたので、ご報告。
いきなりの放火事件と共に、警察小説の常として、
複数の犯罪が並行して起きる。

「放火魔」のキャラクターはローンズの「下宿人」を思わせる点もあるが、
「下宿人」よりは感情移入できないのが難点。

夫の詐欺行為を救おうとする妻の夫婦愛は良かった。
ギデオンは他にも出ていると思うので、さがしてみようと思う。

351:読後感
07/04/03 15:13:49 WXo+Zn64
「物しか書けなかった物書き」ロバート・トゥーイ(河出書房新社)

のりりん編奇妙な味の短編集。期待して読んだがかなりイマイチ。
まず最初の「おきまりの捜査」。これは良い掴みで一気にテンション
赤マル急上昇なんだけどそこから続かなかった。この人は短編の
作り方がいい加減な気がする。大したことのないアイデアでだらだら
書いたり無意味に幻想的な雰囲気に逃げたりベルトコンベアー式に
なったり。まあそんな中でも良いと思えたのは先の一編と
不気味さが言外に漂うラストの「そこは空気も澄んで」、
そしてハードボイルドのパロディ「いやしい街を……」ぐらいかな。

352:名無しのオプ
07/04/03 15:18:54 W630z+kw
読後感をNGワードに登録

353:名無しのオプ
07/04/05 00:01:48 eE/IEkEa
ジョン・グリシャム『大統領特赦』(新潮文庫)
超訳作品は読んでいなかったので、久々のスリルを感じるグリシャム作品でした。
ハードカバーで出版されなかったのが納得の上下本。
それも無理やりの上下本で、通常の行数と文字数を使えば1冊でまとまったのではないかと。

とはいえ、不満や煮え切れなさみたいなものを感じつつも、結構楽しく読みました。
主人公が無理やり連れて行かれるイタリアでの生活は、なかなか読んでいて楽しく、
もっと食事シーンを詳細に描いて欲しかったなぁ、とか本編と関係ないとこが面白かったです。

残念ながらメインストーリーは、緊迫していると思ったらスカッと肩すかしをくらうの繰り返しで、
せっかくの恐い暗殺者キャラも、登場したものの活かされず勿体ない扱いでした。
結局の味付けがあっさり目になってしまうのが、グリシャムなのかな。

354:名無しのオプ
07/04/05 00:17:32 fmLPzK7W
G.M.フォード『毒魔』(新潮文庫)
コーソもの3冊目、だと思うんですが、訳者あとがきを読むと「4作目」と‥。
未訳の作品があるのかもしれないけど、amazonで検索したらワラワラ引っかかったので確認するのは止めました。

前二作は、雰囲気が全く異なる作品だったけど、どこかしょっぱさを感じる作品だった様な記憶がありますが、今作も同様。
よくある主張ではあるけど、アメリカがテロを受けるには受けるだけの理由と原因があるってことを一応描いてます、終わりの方で。
でもそういうことより、何だか報道業界の下品なスッパ抜き合戦を描くことに力が入っていた気がしちゃいました。

二年に一冊しか出ないシリーズ作品で、ハッキリ言って主人公のキャラクターは?状態で、
かなり強烈な過去を持つヒロインのメグのことしか覚えていませんでした。
その印象的なヒロイン、メグ・ドアティが今作ラストで取った行動にビックリ。
ただメグの敵役を、あまりにも簡単に片づけてしまったは勿体なかった。
そのせいで、彼女の扱いも変わってしまったのだろうかと。
ピータースンのウェルズとランシングのような関係を想像していたので、あっさり裏切られました。
次作の邦訳はきっと二年後。
どれだけ覚えていられるかなぁ。

355:読後感
07/04/05 15:35:57 QfjN/fEG
「密偵ファルコ 白銀の誓い」リンゼイ・デイヴィス(光文社)

時は古代ローマ。しがない密偵のおれ、ファルコはとある少女と
知り合ったのが縁で大量に横流しされた銀塊の行方を追うことになる。
その最中大切な人が殺され、失意に呑まれながら捜査を続けるおれは
ある女と巡り逢うことになる……。

皆さんの後押しで読むことに。一番はツンデレの4文字ですがw
この世界観いいですね。歴史ハードボイルド。身分制度緩すぎな
気もしますが。

ミステリーとしては特に新しいものはなく1作目としては
やや弱い感じがしました。ま、主人公のロマンスこそ最大の引きと
言うところでしょうか。解説に釣られて次も読むつもりです。

356:読後感
07/04/12 01:50:35 gIbjezPp
「汚れた街のシンデレラ」ジェフリー・ディーヴァー(早川書房)

レンタルビデオ店で働くルーンは得意客の老人ケリーの元へテープを
回収に向かう。彼は同じ作品を何度も借りる変わった客だった。
アパートの彼の部屋に着いたルーンが目にしたのは忙しく動き回る
警官達と血にまみれたケリーの死体だった……。事件には大金が
絡んでいると睨んだルーンは独り占めにするべく行動を開始する。

骸骨みたいな顔してやがる。
レンタル店で働くヒロインというのは珍しいけど後は可もなく
不可もなく……。ちょっとした叙述トリックがあったのにはやや驚き。
総じて悪い出来ではないものの特に次が読みたいとは思わず。
ロマンスは雰囲気で誤魔化してるけど雑だった。

ま、この作家はすぐに埋もれてしまっていることだろうな、ウム。

357:名無しのオプ
07/04/13 01:07:12 UvTYyqmB
平和憲法にYES 戦争憲法にNO

憲法9条は改憲してはならない。日本の為にならない。
日本人ではない朝鮮総連や民団でさえ、日本を心配して改憲への反対運動を行ってくれている。
私は日本人だが、「改憲すべき」などという者は、日本人として彼らに恥ずかしいと思います。

Q.中国から身を守る為、戦争に対する抑止力が必要では?
A.前提から間違っています。そもそも、中国は日本に派兵しようと思えばいつでもできました。
  なぜなら、日本は9条があるため、空母や長距離ミサイル等「他国を攻撃する手段」がない。
  つまり、日本に戦争を仕掛けても、命令をだした幹部の命や本国の資産は絶対に安全なのです。
  にも関わらず、中国は、今まで攻めずにいてくれたのです。

Q.日米安保も絶対ではないのでは?
A.いえ、絶対です。
  知り合いの韓国人の評論家もそう言っていますし、私も同じ考えです。
  そして日米安保が絶対なら、日本を攻める国はなく、改憲の必要はありません。
  米国と戦争をしたい国はないからです。

Q.9条が本当に平和憲法なら、世界中で(日本以外に)1国も持とうとしないのはなぜか
A.誤解を恐れずに言うなら、日本以外のすべての国が誤っているとも言えます。
  「敵国に反撃できる手段を持つ国は攻められづらい」というのは、誤った負の考え方です。
  (もっとも韓国や中国の軍に関しては、日本の右傾化阻止の為でもあるので例外ですが)
  さらに日本の場合、隣国が韓国・中国・ロシアと、GDP上位の安定した国ばかりです。

【改憲】ゼンガクレン老闘士、国民投票法案廃案訴え 国会前集結 「ゲバ棒が杖になっても」
スレリンク(dqnplus板)l50
【広島】憲法9条遵守を訴え 武器を持たない妖怪「ねずみ男」に扮した男が全国行脚
スレリンク(newsplus板)l50


358:読後感
07/04/13 04:07:01 LFzV5NVq
「猫の手」ロジャー・スカーレット(新樹社)

資産家の老人が自宅で射殺された。彼は養子にしていた甥や姪を招き、
自らの結婚を宣言した直後に殺されたのだ。弁護士の「わたし」は
事件の顛末を事細かく友人のケイン警部に語り、彼の捜査に
同行するが……。

特に目立ったトリックやロジックやプロットがあるでもなく、
まあ古典の雰囲気を味わうという用途以外に読む程ではない。
解説にもあるが重要な手掛りが解決時に初出なのは×だし、
また終盤に同じく重要な手掛りを中途半端に処理するため犯人の
見当がついてしまう。
ロマンス部分も書き込みが足りず展開がやや強引に映る。

論創のはもっといい出来だと良いが。

359:読後感
07/04/13 04:17:58 LFzV5NVq
「グランダンの怪奇事件簿」シーバリー・クイン(論創社)

「オカルト界のホームズ」ことジュール・ド・グランダン教授の
活躍を描く短編集。

面白かった。常識を超えた怪異に対して霊能者というわけでもない
探偵が冷静に対処していく展開に萌える。本来底が抜けているはず
なんだけどしっかり地に足がついているようなこの一種独特な
奇妙な味がたまらん。以前読んだ「タラント氏の事件簿」とも違う感じ。
あれも好きだけど。ちなみにイチオシは悲しくも爽やかなラストが
印象的な「眠れぬ魂」。

中断しているカーナッキや積んでる雪崩連太郎や名のみ知ってる
タイタス・クロウも気になって来たぞこりゃ。

それにしてもこのダーク・ファンタジーはいいシリーズだと思う。
編者は人気ないけど。

360:名無しのオプ
07/04/13 04:23:30 TQ3V2lSm
>>356
>ま、この作家はすぐに埋もれてしまっていることだろうな、ウム。

(ギャグで言っているのだろうか……)

361:読後感
07/04/16 18:47:47 8xl7VcjF
「狼の一族」(早川書房)

異色作家短篇集アンソロジーアメリカ篇。
編者を見た時一抹の不安がよぎったが、矢張りSF作家が多かったり、
大した落ちのない雰囲気小説が多かったり……。
「奇妙な味」ってのはミステリーとSFの中間よりもややミステリー
寄りの辺りに漂っているものだと思うんだ。だからミステリー畑の
人に選んでもらいたかった。

一番はジャック・リッチー「貯金箱の殺人」。
この予定調和やシラケを感じさせない構成の巧さは異常。
あとは「ジェフを探して」を日本的だなと思ったり、「浜辺にて」を
アンソロジーの中の変化球としては有りかもと思ったりした。
ワーストは「ベビーシッター」。ウチの田舎じゃこういうの
チンカス小細工って言うんだ。


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