『読みました』報告・海外編Part.3at MYSTERY
『読みました』報告・海外編Part.3 - 暇つぶし2ch1:名無しのオプ
06/03/09 22:24:25 IFqa0XXm
海外ミステリーの読了報告、感想などお寄せ下さい。
基本的にsage進行で。
なお国内作品は、国内編のスレッドにお願いします。

【前スレ】
『読みました』報告・海外編Part.2
スレリンク(mystery板)l50

【前々スレ】
『読みました』報告・海外編
スレリンク(mystery板)l50



【関連スレ】
『読みました』報告・国内編Part.3
スレリンク(mystery板)l50

2:名無しのオプ
06/03/09 22:27:06 IFqa0XXm
☆★重要なお知らせ★☆

当スレにはネタバレ及び間違いだらけの「論考」、
ミステリ以外の作品をミステリとして読むと称して行なう嫌がらせ、
及びスレ住人を見下し嘲笑行為を繰り返すコテハンが居ついています。
ネタバレの危険が高い彼のレスを目にしたくないという方には、
2ちゃんねる専用ブラウザの導入をオススメします。
そしてブラウザのあぼ~ん機能・NGワード機能を使い、

  書斎魔神

をNGワードに設定しましょう。
なお該当コテハンは、誹謗中傷は元より、
名無しによる自作自演、騙り、詐称行為等の常習者ですので注意してください。
また最悪板等、他板のレスを改竄してコピペし、それに反論するという
自作自演を懲りずに繰り返します。
該当コテハンと思われる書き込みにアンカー(>>)を付けたレスは、
本人による自演と判断して問題ありません。

2ちゃんねる専用ブラウザに関するサイト monazilla.org(w
URLリンク(www.monazilla.org)


3:名無しのオプ
06/03/09 22:27:28 IFqa0XXm
 || ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄||
 || ○荒らしは放置が一番キライ。荒らしは常に誰かの反応を待っています。
 || ○放置された荒らしは煽りや自作自演であなたのレスを誘います。
 ||  ノセられてレスしたらその時点であなたの負け。
 || ○反撃は荒らしの滋養にして栄養であり最も喜ぶことです。荒らしにエサを
 ||  与えないで下さい。                  Λ_Λ
 || ○枯死するまで孤独に暴れさせておいて   \ (゚ー゚*) キホン。
 ||  ゴミが溜まったら削除が一番です。       ⊂⊂ |
 ||___ ∧ ∧__∧ ∧__ ∧ ∧_      | ̄ ̄ ̄ ̄|
      (  ∧ ∧__ (   ∧ ∧__(   ∧ ∧     ̄ ̄ ̄
    ~(_(  ∧ ∧_ (  ∧ ∧_ (  ∧ ∧  は~い、先生。
      ~(_(   ,,)~(_(   ,,)~(_(   ,,)
        ~(___ノ  ~(___ノ   ~(___ノ


4:名無しのオプ
06/03/09 22:37:22 qHk8QOWO
国内で依頼したものです
乙カレー

5:名無しのオプ
06/03/09 22:52:25 O2FwsJNI


6:名無しのオプ
06/03/10 10:05:20 9dBsoMrf
>>1さん、乙です。
僭越ながら、早速、感想を。

J・D・カー「ブードゥーの悪魔」

南北戦争直前の米国南部の雰囲気って、こんな感じだったのかなあ?
「風とともに去りぬ」などと比べて、何となく、イメージが違うような・・・・。
使われているトリックもショボいし、バレバレの伏線も興ざめ。
作者は面白がって書いているのかも知れませんが、読者をも面白がらせようと
する努力が足りないのではないかと。
駄作、としか評価できませんでした。

7:名無しのオプ
06/03/10 16:06:17 Scwsyxee
久々に海外オフやるらしいよ

8:書斎魔神 ◆qGkOQLdVas
06/03/11 15:26:09 JF5+/AIt
ジム・トンプスン「鬼警部アイアンサイド」を読んだ。
日本でも70年代に人気を博した車椅子に乗った警部が活躍するテレビドラマを
元ネタにしたオリジナル作品である。
退廃感漂う逝っちゃてるノワール得意のトンプスンが、典型的な正義の味方を
書いたという点では、彼氏にとっては異色作ということになろうが、
ストーリーがたいしたことない上に、主人公のアイアンサイドをはじめ、
テレビシリーズのキャラ像とのギャップが大き過ぎるという感がある。
本書におけるアイアンサイドのプロファイル「逞しいハンサムな巨漢の男」
レイモンド・バーを知る者にはハンサムという形容には思わず「?」に
なるし、アイアンサイドと部下である女性刑事イヴがほのかな恋愛関係にあるのも
「?」である。
助手の黒人マークもカムイで有名な中田浩二氏がアテていたこともあって、
もっと落ち着いた雰囲気のイメージがあり、本書の血の気が多いマーク
(彼自身が事件に巻き込まれ拘置されてしまうため、ほとんど活躍しない)
には違和感があり、また、ハンサムな部長刑事エドもテレビよりも飄逸過ぎる感がある。
人間の善性を示唆したかのようなエピローグは、徹底して「悪」を
描いて間断するところがなかったトンプスンらしからぬ虫酸が走るようなヘタレぶり、
テレビシリーズオンエア時ならともかく、トンプスンを中心としたノワールブームも
一息ついた感がある現在に、古本を引っ張り出して来てまで、こんな作を
わざわざ翻訳する必要があったのか疑問を感じざるを得ない。

>>7
いつ頃?


9:名無しのオプ
06/03/11 17:00:18 VScE5Zop
トンプスンなら「死ぬほどいい女」が一番

10:名無しのオプ
06/03/11 17:12:56 uUAXsPry
>>8
どの文庫で読めるの?
バーローの名探偵図鑑にのっててきになってるんだが、
何処にも売ってない

11:名無しのオプ
06/03/11 17:27:04 zGV1vxR5
>>4

12:名無しのオプ
06/03/11 17:34:57 vGs1NOy6
>>10
ポケミスじゃなかったっけ?

13:名無しのオプ
06/03/11 22:17:09 9Z1kHEt6
>>10,12
ポケミス名画座シリーズで出てる。

>>8
アイアンサイドはトンプスンの中では最低ランクなのは認める。
晩年のトンプスンが書き飛ばしたような作品だから。
それでも俺みたいなトンプスンマニアには、たまらない一冊になってるわけだが。

14:名無しのオプ
06/03/11 22:36:16 eWqNL1O9
本も読まずに論考とやらをしている奴は相手にするなよw
その証拠。
 ↓
スレリンク(mystery板:95番)

15:名無しのオプ
06/03/13 21:00:40 tflNOLbX
ややっ新スレ立ってんじゃン!知らなかった。

「フィッツジェラルドをめざした男」デイヴィット・ハンドラー 講談社
ユーモアミステリーとして薦められた本。
感想としては、なんというか淡々と読める作品・・・かな。スピード感もない。
話としては面白いと思うし、シリーズの殆どを積んであるんで、あとも読む


16:名無しのオプ
06/03/20 13:32:14 o/980psv
ボアロー、ナルスジャック「大密室」(晶文社)

ブクオフにて1,000円だったので購入。
各作家1つづつの長編(中編?)だが、どちらも凄い。
ボアロー「三つの消失」は、密室から絵画が消失し、塀から人が消失し、
更には囚人護送車が車ごと消失、と派手に消えまくる。
はっきり言って囚人護送車消失の真相はバカバカしく落第だが、前の二つ、
特に絵画消失の謎だけは唖然とした。
ミステリを読んでいる者ほど見破れない真相、というか、却って子供の方が
簡単に答えられるかも。それほど単純だが、普通は思いつかない。

ナルスジャック「死者は旅行中」は、船内の密室連続殺人。こちらも、密室
自体には面白さはないが、全体に渡る或る仕掛けと、主人公の立場そのもの
に関わる真相が非常に秀逸。

17:名無しのオプ
06/03/21 11:08:45 lqcIhttq
故・都筑道夫氏の選んだ奇妙な味短編ベスト5から、2編ほど。

J・スタインベック『蛇』
これは問題なく怖い。雄のガラガラ蛇に執着する女が怖い。
どうしてああも執拗に蛇がネズミを食べるところを見たがったのか。
なぜそれほど執着した蛇を(ry

A・シュニッツラー『死んだガブリエル』
これは一読したときには意味がよく分からなかったが、再読してみて初めて話が分かってきた。
これも登場する女の心理が怖い小説だ。
それも男を自殺に追い込んだ女よりも、もう一人の、男に思いを寄せていた女の心理のほうが。



ついでに同じシュニッツラーの『レデゴンダの日記』も読んだ。
面白いけど、こちらはまさに典型的なドイツ幻想小説。
奇妙な味と呼べないこともないけど、ミステリーとは言えないと思う。
(まあ都筑先生自身は「一種の怪談」と言っているけど)

18:名無しのオプ
06/03/21 15:20:32 r9IMTA7i
アンドリュー・クラヴァン『秘密の友人』(角川文庫)【8点】

精神科医のコンラッドは、殺人事件の犯人とされるエリザベスの診断を
行う。彼女はピンチになるとあらわれる「秘密の友人」が殺人を犯したと
主張するが……。同じ頃コンラッドの娘が誘拐され、ある要求を行う。
展開がうまく、ぐいぐい引き込まれる。新本格ファンなら気に入りそうな
真相もグッド。逢坂剛ならもうひとひねりするかも。

19:名無しのオプ
06/03/23 12:09:41 XweMfoRc
ロイ・ウィンザー「死体が動いた」(ポケミス)、「息子殺し」「寝室に鍵を」(カッパノベルス)

・・・アイラ・コッブ物の「本格」ミステリ3作をまとめて読了。
まあ、このレベルの謎解きを「本格」というのはどうかな、と。
舞台となるナンタケット島の風物描写を楽しんでおけば良し。
但し「息子殺し」のタイトルだけは秀逸。読み終わって、
「そうか、だからこのタイトルだったのか!」と感心した。

20:名無しのオプ
06/03/23 16:52:31 HsW9h9FL
ジャック・ケッチャム「隣の家の少女」

読んでる最中、昔の女子高生コンクリ詰め事件が頭にちらついてどうしようもなかった。
とりあえず、今年読んだ中で最低最悪(つまらんという意味じゃなく)の作品でした。

21:名無しのオプ
06/03/28 17:46:40 xfK+IlWb
迷宮の暗殺者 デイヴィッド・アンブローズ。
期待以上に面白かったけど、読了後にはたして現実はどちらなのか考えこんでしまった。

22:読後感
06/03/29 18:33:03 9fqDsJ8J
「壜づめの女房」(早川書房)

旧・異色作家短編集シリーズに入っていたアンソロジー。
どれも水準作ではあると思うものの余り心に残らず。
「めったにいない女」ぐらいか。

23:読後感
06/03/29 23:04:39 9fqDsJ8J
「大統領候補の犯罪」ダグラス・カイカー(新潮社)

フリーの新聞記者マックは車が水に沈むのを目撃した。
車内には女性の死体があり、その女はマックが取材する予定の
大統領候補と何らかの繋がりがあるようなのだが…

前作「クラム・ポンドの殺人」を読んだときにも思ったが、
この人はミステリー書くのは向いてないね。文章が淡白だし、プロットの組み立て方もズレてる。
まあ無駄に近い読書であった。

24:書斎魔神 ◆qGkOQLdVas
06/03/32 13:29:34 i5d11dC8
J・D・カー「ヴードゥーの悪魔」を読んだ。
ジョンの力量が劣化した最後期の長編とはいえ、一言で評すれば、
たわいない凡作であった。
本格ミステリを読み慣れた私などには犯人は早期にわかってしまうし、
ミステリとしては、密室ネタと並んでジョン十八番の人間消失ねたと人間転落ねた
のトリック解明が中心となるが、前者(馬車ねた)は、「漫画を活字で書くな!」
と言うた感じの手品まがいのトリックに過ぎず、後者は歴史ミステリ以外の過去作品
(ヘンリーもの)のトリック使い回しに過ぎない。
探偵役を務めるベンジャミン上院議員(実在の人物)の推理も、「そんなのは作中人物で
あるお前にしかわからんわ」という強引な展開であり、初期エル作品あたりが好きな
ミスヲタは非常に萎えるものがあるであろう。
ストーリー的にも全体的に描写が薄く、特に仮面舞踏会、深夜の幽霊屋敷の冒険
ヴードゥー教の教祖宅への侵入等のシーンは、いかにもジョンらしいお膳立てにも
かかわらず、あっさり流されている感が強いのは残念である。
解説(森英俊)では、ニュー・オーリンズ三部作中では、最もミステリとしての
興趣に富むかの如く書かれているが、セールストークとしか思えないものがある。
トリックの面白さと犯人の意外性では「亡霊たちの真昼」、
ロマン性溢れるニュー・オーリンズ風俗小説としては「死の館の謎」をそれぞれ推す。

25:読後感
06/03/32 16:37:51 1/goQN5y
「溶ける男」ヴィクター・カニング(論創社)

私立探偵カーヴァーはさる大富豪から盗難車の捜索を依頼される。
どうやら車内にある機密書類が隠されているらしいのだ。
秘書の反対を押し切って依頼を受けたカーヴァーだったが
その直後に命を狙われ、謎のアフリカ人からは手を引けと脅される。
果たして機密書類の正体とは?

時々オーソドックスなハードボイルドを読みたいときがある。
裏ぶれた事務所に佇む探偵と女秘書。大金持ちの依頼人。
そしてその娘姉妹―姉はしっかり者だが妹は身持ちが悪い―。
そんな道具立てを味わいたくて読んだ。だから最低限の満足感は
味わえたのだが、それ以上となると聊か心許ない。

主役や敵役の一瞬のアクションに場の転換を任せるという展開が
多い気がするのだ。殊に素人に過ぎない登場人物が主役顔負けの
早業を披露したりする。そんな時主役は止まっているかのように
感じられてしまう。
さらに敵役の有り得ない(主役に都合の良い)行動も腑に落ちない。
サイヤ人じゃあるまいし圧倒的有利な状況にあるのに
わざわざ相手に塩を送るような真似をするわけがない。

これが映画ならあまり気にならなかったかも知れないが…。

26:名無しのオプ
06/04/02 10:45:01 Z29dFRNh
『悪党どものお楽しみ』 パーシヴァル・ワイルド

プロの賭博師ビル・パームリーは引退後、
その知識と経験をいかしていかさま師の巧妙なトリックをあばく、
ユニークな名探偵として引っ張りだこになる。
「ポーカードッグ」他、豊富なアイデアとユーモアに彩られた全8篇。

面白かった。『良心の問題』と『火の柱』が特に。
トリックは単純で見抜けてしまうものや
感心しないものもあるんだけど
その奥にもう一つ仕掛けがあるのが嬉しい。

読んでる最中に「これは漫画にしたらいいだろうなぁ」
と思いました、絵なら解りやすだろうし。


余談だがトランプのカシーノって面白そうだ。

27:名無しのオプ
06/04/03 22:30:03 2Ib8xjfK
「空のオベリスト」 デイリー・キング 国書刊行会

暗殺の脅迫を受けたエイモス・カッター医学博士、しかし兄の国務長官の
手術に向かわなければならない。
そこで警察に身辺警護の依頼をし、ニューヨーク市警きっての名警部
マイケル・ロードが乗り出すことに。
十分計画を練り、航空機にのり出発するが、空上で当のカッター博士が倒れてしまう・・

凝った趣向のミステリで評判のようだがいまいち楽しめなかった。
事件自体シンプルなフーダニットだし、何より分刻みの細かいアリバイ崩しがあまり好きではない
のが大きい(何分にどこを出て、どこにいたとか)
探偵のロード警部もいまいち魅力にかける、いわゆる恋に狂う操作に偏見をまじらせるキャラクターはうざったい。
ラストのどんでん返しはなるほどとは思うが、前段でいまいち話に乗れなかったので
フーンとしかならなかった。

評価が高いのは理解できるが、自分には合わなかった。

28:名無しのオプ
06/04/05 09:46:25 f8ygnUX2
L・L・ドラモンド「あなたに不利な証拠として」(ポケミス)

何やら、あちこちの書評で絶賛だそうだが・・・。
まあ、女性警察官をかなりハードに描いた警察小説として、更に米国の地方都市の
状況を上手く描いている点など評価できるけど、読み終わっても、だから何?という
感想しかなかった。
国も違うし、警察を取り巻く状況も違うけど、これなら、横山秀夫の方が面白い。

29:名無しのオプ
06/04/05 14:27:48 6m6YU3nK
プロンジーニ&マルツバーグ「裁くのは誰か?」
フィニッシングストロークで有名な(?)作品だけど、あまりやられた感はなかった。
メル欄1を先に読んじゃってたせいもあるだろうけど、伏線が少なすぎたから。
穴も結構多い。メル欄2が普通に街中を歩いてたり。ありえないでしょう。

30:名無しのオプ
06/04/07 20:27:16 CU+leeGk
>>18
>新本格ファンなら気に入りそうな真相

そんなのあったっけ?ぜんぜん覚えてないや。
自分は映画化作を先に観てから読んだ口だけど、なんだか全く面白く思えなかった記憶だけある。
たしか登場人物がみんな紋切り型で詰まらなく感じたような気がする。
同じ作者の「真夜中の死線」が抜群に面白かった(こちらも映画が先)せいで、
同じ作者なのにどうしてこうも違うのか!?と驚いたもんだ。

31:名無しのオプ
06/04/09 01:11:24 bfvwT/xM
「復讐は俺の手に」ミッキー・スピレイン

正統派ハードボイルド愛読者からはキワモノ扱いされているマイク・ハマーものの一作。
即物的な暴力とエロが満載だが、「人殺しを撃って血を流してのたうち回るのを
見るのが何より好き」とうそぶくマイク・ハマーの狂気すれすれの個性が、
単なる扇情的なだけのエログロ小説とは一線を画しているものにしている。
クライマックスには、「この時代にこのネタ?」とちょっと驚くようなツイストも
効かせてある。
ただ、ネタバレになるから詳しく書けないが、作者が嫌悪(と、いくばくかの嘲笑)
を持って描いているはずの犯人を、物凄く魅力的に感じてしまうのは、
おそらく自分が特殊な嗜好を持っているせいだろう。
(普通の人が同じように感じるとは到底思えない)
何人もの人間を非情に殺したことを別にすれば、自分はこの犯人に
強い憧れと羨望を抱かざるを得ない。
強烈な個性の探偵と魅力的な犯人、この二つが揃ったミステリが
つまらないわけがない。
重ね重ね言うけど、他の人がどう思うかは知らない。

32:名無しのオプ
06/04/09 10:58:41 oA3twDEk
スピレインは、90年頃に久々に出た作品で、犯人パターンを変えたんですよね。
年齢を重ねて彼も変わったのか、と読んだ当時は感じました。
インパクトもちょっと減っちゃったし。

女子中学生の頃に読んだスピレインは、カッコ良かったです、ヴェルダにも憧れたしw。

33:読後感
06/04/10 00:18:12 vj/CIYf0
「あなたに不利な証拠として」ローリー・リン・ドラモンド(早川書房)

5人の女性警官の物語を集めた短編集。池上冬樹が火付け役で
話題になってるとか。図書館の予約者20人で驚いた。だからジュン(ry

うーん…わざわざ読まなくても良かったな。
元々守備範囲外でもあるけど、なんつーか目新しさがない。
警察に対してマイナスなイメージしか感じられないし。
一番は…わからん!

34:読後感
06/04/12 16:02:02 n2lDz2C2
「バトラー弁護に立つ」ジョン・ディクスン・カー(早川書房)

若手弁護士ヒューの所にやって来たトルコ人は彼に
「貴方の手套のせいで魔術師の兄弟が殺される」と告げた。
訳の解らないまま他用で席を外したヒュー。しかしそのわずかな間に
トルコ人は謎の死を遂げてしまう。殺人だと直感したヒューは
警察よりも先にパトリック・バトラーに助けを求めようとするが…。

「疑惑の影」の弁護士バトラー再登場。
今回はフェル博士抜き、ピンの探偵役です。
私実は前々からカーはストーリーテリングが弱いなと
思い始めていたのですが、今回は面白かったです。
嫌疑をかけられ逃げ惑う主人公と彼に関わる二人の美女との
恋の行方やいかに…みたいな感じで。
外郭だけでなく中身もちゃんと詰められていて、
ドラマ部分の作風はディヴァインを想起させました。
ただ密室の謎はかなりしょぼいのが残念。

それにしても(メル欄)はミスリードだと思ったのになあ。
バトラーってつくづく不運なんですね。多分これからもw

35:名無しのオプ
06/04/12 23:41:15 q0MQrArZ
「悪魔の報復」エラリー・クイーン(創元推理文庫)

「エラリー・クイーン、ハリウッドへ行」く第一弾。
発電会社社長ソロモン・スペイスは、災害による倒産の際、
不正な手段で利益を着服していた。
共同経営者リース・ジャーディンはじめ株主は破産の憂き目あうことに。
ソロモンの息子ウォルターは父親に説得を促すがいがみ合いの平行線だった。
そんな中でソロモンが自宅で死んでいるのが発見された。
死亡時彼に会いに行っていたのはウォルター。
しかし彼は間違えてリースのコートを着ていったがために、リースに嫌疑がかかってしまう。
しかもあろうことかウォルターはそのことを警察に黙っているのだ・・・
真相を究明すべく、リ-スの娘ヴァレリーがにわか記者となって捜査に当たることに、
その助手としてキザなやり手記者ヒラリー・キング氏あらためエラリー・クイーン氏が登場と相成ったのである。

クイーンの作品には珍しくコメディー色が強い一品。
ハリウッドを舞台にウォルターとヴァレリーのツンデレな恋愛模様や、
映画プロデューサー、ブッチャーに待ちぼうけを食わされ、無精ひげまみれのエラリーと
その変装など、全編に陽性のはっちゃけた道具立てとなっている。
ミステリーとしてはクイーンらしいロジックの妙も殺害トリックについてもさほど見るべきものはない。
楽しむべきは登場人物たちのラブコメやドバタなのだろう。
ハリウッド映画のように、ただ楽しい時間を過ごすにはもってこいだと思われる。

ちなみに創元の青田訳(このひとはハヤカワ版のクイーンの印象が強い)は「悪魔の報復」で、
ハヤカワの尾坂訳では「悪魔の報酬」となっていてどちらが正しいのか迷うが、
原題のDevil to PAYは「後の祟り」意味もあるらようだ。


36:名無しのオプ
06/04/14 16:50:41 qLtgP8rg
「エンジェルズ フライト」マイクル・コナリー(扶桑社ミステリー文庫)

面白かった。この作者は、この頃が書き盛りだったのだね。

37:読後感
06/04/20 21:54:21 AygyLG1g
「消えたエリザベス」リリアン・デ・ラ・トア(東京創元社)

若い女中エリザベスが休暇中に姿を消した。
家族や知り合いは必死に捜索するが行方は杳として知れない。
そして4週間後、見るからに憔悴したエリザベスが実家に現れた。
身を案じていた一同は彼女から見知らぬ家に
監禁されていたことを聴き出し、場所を突き止め、
エリザベスも確認するが、その家は何故かエリザベスの話とは
微妙に食い違っていた。 果たして真実は?

18世紀半ばロンドンで実際に起こった失踪事件を基にした
実録ミステリー。カーの「エドマンド・ゴドフリー卿殺人事件」に
触発されて書いたらしい。何箇所も引用されている。

構成は半分以上を事件の発生と捜査、裁判の顛末と
エリザベスのその後に費やし、その後著者の推理を披露する
といったものだが、正直面白くない。退屈。
ハラハラドキドキの法廷劇もないし。

カーのは違うと思いたいが如何に…。

38:読後感
06/04/23 14:05:25 O9S4AYjB
「九死に一生ハンター稼業」ジャネット・イヴァノヴィッチ(扶桑社)

ステファニー・プラムの今回の仕事は失踪した黒人青年の捜索。
彼の勤務先の経営者3兄弟に疑惑を向けた矢先、
ステフの部屋に花束とグロ写真と不気味なメッセージが届く。
その後関係者が次々と殺されその度にメッセージがステフに付き纏う。
恋人モレリの家に移ったステフはビビりながらも仕事を続けるが…。

最初に言っとくと僕はこのシリーズのファンではありません。
5作目以降のステフにはイライラし続けて
前作ではその言行不一致ぶりに嫌悪感が芽生えました。
要らないと思うキャラもいますし。

しかしそれらを度外視してもこれは凡作だと思います。
テーマに新鮮味がないしプロットに捻りもない。

3年ぶりの邦訳ということもあって喝えた喉にはそれなりに
気持良いでしょうがやはり質が低下して来ている気がします。
単にテーマ選びの失敗のせいであると思いたいところですが…
(と一応言っとく)。

39:読後感
06/04/29 01:47:22 XgF3dqno
「情況証拠」スティーヴ・マルティニ(角川書店)

弁護士ポールはかつての上司ベンの殺人事件に際し、
被告となった未亡人タリアの依頼を受けて
彼女の弁護を担当することになった。しかしポールには
かつてタリアと関係していたという過去があり、その事実が
公私に渡り彼を追い詰めていく…。

以前誰かがフィリップ・マーゴリンとスティーヴ・マルティニは
新本格好きにも受ける!と断言していてあまり法廷物に食指の
動かない自分は刺激されマルティニの「沈黙の扉」を読んでみた。
法廷物ではなかったが真相には驚き、思わぬ収穫に喜んだ。
その後マーゴリンも2作程読んだのだがこちらは今一つだった。

で、本作。
法廷物は大概が味気無い4字熟語タイトルで上下二分冊なのが
まず手に取りづらいね。閑話休題。あとがきにもあるように
丁寧に手順を追って書き、その都度テクニックや各々の思惑を
絡ませていき読み手を飽きさせない。そして
真相をきちんと提示し、伏線も用意しておく、と。見事な流れだね。
ただ中盤で真相は見当ついてしまうけど。捻りは「沈黙の扉」が上か。

とりあえず「重要証人」は読むつもり。

40:読後感
06/04/29 02:15:35 XgF3dqno
「ハニーは闘牛がお好き」G・G・フィックリング(早川書房)

幼馴染みの元恋人から連絡を受けてメキシコへやって来たハニー。
彼は闘牛士になっていたのだが、闘牛場で命を落としてしまう。
惨劇を目撃したハニーは控室に走るが死体は持ち去られた後だった。
単身真実を追うハニーだったが…。

久々フォー。
色っぽい美人探偵ハニー・ウェストの活躍を描くシリーズ第7作。
今回もハニーは冒頭から泥レスしたりマッパで逆さ吊りにされたり
酔いどれ船長にペッティングされたり人違いでストリップさせられて
淫らな悦びに目覚めたりエロ警官にブラジャーに手を入れられたりと
散々エッチな目に遭ってくれます。しかしそれだけじゃなく
このシリーズはフーダニットにも割と力を入れており
一筋縄では行きません。
未訳の2冊(?)の翻訳が待たれます…頼むぞ論創!

ドラマも観たいなあ。アン・フランシスって
「暴力教室」で観たときはパッとしなかったけど裏表紙の写真は
なかなかセクシーでいいじゃないか。テレ東の昼にピッタリだ。

41:名無しのオプ
06/04/29 19:43:21 n0Blxpnz
エドワード・D・ホック
『サム・ホーソーンの事件簿Ⅰ』(創元文庫)【7点】

医師ホーソーン氏が出会った不可能犯罪の数々。
密室もの多し。「水車小屋の謎」にものすごく感心した。
あとはまあ、ふつうかな。それでも読ませるけど。

42:名無しのオプ
06/04/29 19:52:44 n0Blxpnz
>>39
あー、マーゴリンとマルティニ勧めたの自分です。
『状況証拠』が楽しめたなら『重要証人』もいけると思いますよ。

マーゴリン、駄目でしたかあ。(・c_・`)ソッカー


43:名無しのオプ
06/04/30 01:34:44 NYAR2ysE
>>42
マーゴリンも作品によって、やや出来にムラがある気が。
力作王道!ってのゆーのと、B感溢れるのと。

44:書斎魔神 ◆qGkOQLdVas
06/04/30 16:03:05 g2knthzH
ダシール・ハメット「ガラスの鍵」を久々に再読した。
ハメット自身が最も気に入っていた長編とのことだが、確かに著名な「マルタの鷹」
「赤い収穫」よりも、ハードボイルド・ミステリとしてのまとまってが良いと
思われる作である。
市会議員の息子殺しに他の殺しも絡み、物語はスピーディに二転三転し、
解説の中島河太郎氏は、ハードボイルド作品の謎解きの興趣の薄さを指摘しているが、
本作に関しては、本格としてはともかく、サスペンス・ミステリとしては十分に面白い
物語足り得るものとなっている。
また、既に元祖ハメットの段階にして、
ハードボイルド・ミステリ=私立探偵小説という固定観念を打ち破る作でもある点も
指摘しておきたい。
(主人公はギャンブラーだが、実態はヤーさんである。選挙を巡る裏社会の攻防は
時代性を感じさせる部分はあるが、かなりリアルな感がある)
文豪ジードは、ハメットはミステリに自己の才能を浪費していると見ていたらしいが、
同時代のアーネスト、ウィリアム、ジョン等(全てノーベル賞作家)と比較して
その評価を鑑みると、この評は正鵠を射ていると言わざるを得ないものがある。
ダシールが、ハードボイルド・ミステリの祖となり、金銭的な成功を得るのとは
引き換えに大きなものを失う結果となったように思うのは、果してジードと私のみ
であろうか?

45:名無しのオプ
06/05/02 19:57:27 NVXYLhdt
『殺しの儀式』ヴァル・マクダーミド(集英社文庫)【8点】

地方都市で発生する男性の連続殺人事件。
遺体には凄惨な拷問の痕が。犯人はゲイの男か?
心理分析官トニー・ヒルと女捜査官キャロルが犯人に挑む。
1995年のゴールド・ダガー賞受賞作。

ベスト・オブ・GD賞の候補作5本のひとつ。
凄惨な犯行シーンとゲイの生態などちょっと引くが、読ませる。
ただ、犠牲者の共通点とか犯人とかの真相がちょっと浅い。
おもしろかったが、伝統あるGD賞の五指に入るかは疑問。

46:読後感
06/05/03 13:30:13 FQNH0cCa
「パコを憶えているか」シャルル・エクスブライヤ(早川書房)

父の仇のマフィアを激しく憎む刑事は知り合った不良青年を
囮として仇の店へ送り込む。しかしその後しばらくして
青年は消息を絶った。自責の念に苛まれる刑事。
そんなとき、マフィアの許に送られてきた手紙。そこには
「パコを憶えているか」と書かれていた。そして連続殺人の幕が―。

エクスブライヤのデビュー作で冒険小説大賞受賞作。
フランス・ミステリにしてはよく出来ているが、
少々過剰な演出のせいで今の読者には
途中で真相がわかってしまうだろう。
シリーズもののようなユーモア性は欠片もないので注意。

47:書斎魔神 ◆qGkOQLdVas
06/05/03 16:06:42 YwV+eXRv
ジェフリイ・ハドスンことマイクル・クライトン「緊急の場合は」を読んだ。
才人クライトンのデビュー作にして、68年のアメリカ探偵作家クラブ賞を受賞した
医学ミステリだが、偶然をきっかけに解決してゆく展開で、真相にもさしたる意外性も
無いため、謎解きミステリとして読むと期待を裏切られるものがある。
賞を獲得したとはいえ、本作後にはクライトンがミステリと言える作を書いていない
のは、やはり適性の無さを自身で感じ取ったゆえであろう。
むしろ、附記の医学関連薀蓄(現代にも通じるネタも多い)の方が本編よりも
面白いくらいである。
従って、クライトンがデビュー作で医者を主人公(臨床医ではなく病理医というのが
この作者らしい設定ではある。従って主人公のキャラは、後年のSF作品等に登場する
科学者キャラとも一脈通じるものがあり、探究心旺盛という特質が探偵役向きではある)にして、ロスマク風のハードボイルド・ミステリを書いていたという物珍しさのみが
現時点における存在価値とも言い得る作かと思う。
本書中にある医学知識は現在では古くなっているものもあり得るので、
2ちゃんねらー中に医学博士号等を有する者(いないとは思うが(w )がいれば、
ざっと検証して欲しいものではある。(熟読し、心して書け!)

48:読後感
06/05/03 18:25:21 FQNH0cCa
「ハニーに死の接吻」G・G・フィックリング(早川書房)

ハニーが交際していたフットボール選手が殺された。
彼が生前ヌーディスト・クラブに関わっていたことを知ったハニーは
友人の新聞記者フレッドと共にクラブの総本山に乗り込むが…。

シリーズ第6作。今回はお色気は割と抑えめ。
催眠ストリップ未遂と強制ストリップ未遂が一度ずつと
ペッティングが少々といった感じ。

フーダニット部分は不可能状況が明確に提示されるため
見当がつくし、トリックもポピュラーなものだった。

これで邦訳があるものは全て読んだぽい。
このシリーズは基本的に一話完結だが父親の死という
シリーズ通しての謎があるから
残りも是非翻訳してもらわなければ困る。

それまでは和製ハニーってことで
女囮捜査官シリーズを読書再開しようかなぁ。

49:名無しのオプ
06/05/04 19:31:57 z6uakAC4
「ハートの4」エラリー・クイーン(創元推理文庫)
「エラリー・クイーン、ハリウッドへ行く」第2弾。
前回「悪魔の報復」で図らずも謎解きに遭遇したエラリーだが、
相変わらず映画プロデューサー、ブッチャーにアポイントがとれずついにキレて
帰ろうとしたところでようやく会えることに。
しかも想像とは裏腹にブッチャー氏は快活な好青年で、あッというまに
エラリーはほれ込んで契約を結ぶ。

脚本家エラリーの仕事はハリウッドきっての名優であり、元恋人であったはずなのに
今は強烈なほど犬猿の仲であるジョン・ロイルとブライズ・スチュワートの伝記映画の作成だった。
しかもまた彼らの子供で、親にも負けないほど仲の悪いタイラー・ロイル、トーランド・スチュワート
も出演させるという。
一筋縄では行かない仕事になりそうだと思った矢先、ジョンとブライズの電撃結婚のニュースが舞い込む。
あれよあれよという間に飛行機での新婚旅行が始まる始末。
ところが、パイロット役のタイラーに成りすました何者かによって新婚の二人は殺されてしまうのだった。

前作同様ドタバタとラブコメがこれでもかと出てくる作品。
カーの作品にも引けをとらない強烈な個性を持つ恋人たちがしっちゃかめっちゃかやってくれます。
しかも今度はエラリーまでハリウッドの陽気にやられたのか、引きこもりの敏腕芸能記者、
ポーラ・バリスのミリキにコロリと参っちゃってしまうという何でもありの展開。
ロジックとかラブコメ禁止とか鹿つめらしい意見は抜きにしてリラックスして読むのがいいです。
腹が立ってしまう人もいるかもしれないけど・・・
後年の悩みに悩むエラリーもいいけど、こういう陽気なエラリーもいいものですな。

50:読後感
06/05/06 01:36:23 XrXNl3U5
「バビロン行き一番列車」日本リーダーズ ダイジェスト社

中編アンソロジー。
「バビロン行き一番列車」マックス・アーリック
一人の男が止むに止まれぬ事情で犯した犯罪が10年後
全く無関係な夫婦を苦しめるという心理サスペンス。
感動的だった。是非ドラマ化してほしい。
「ねらわれた男」マイケル・ケニアン
結婚したくて悩んでいる太り気味の中年男が旅行先で
スパイの暗闘に巻き込まれるというサスペンス。ヒッチコック風?
まあまあおもろい。
「裏切り」マージャリー・アリンガム
『金貸しが殺された。犯人はバスを運転していたらしい。
しかも車内には二人の乗客が平然と座っていたという』事件を
探偵が解決しようとする本格ミステリー…なんだが、
中途半端で尻すぼみの見本みたいな作品。
探偵が活躍しないし驚きもない。

こういう知られざるアンソロジーに関する情報をお待ちしています。

51:書斎魔神 ◆qGkOQLdVas
06/05/06 16:45:56 RcvGw3zp
ロビン・クック「コーマ 昏睡」を読んだ。
今は映画「アウトブレイク」の原作者と言うた方が通りがいいかもしれぬ、
この作者(コロンビア卒の眼科医)が十八番とする医学ミステリ第一弾である。
現代よりも医学や医師に対し神聖視されていた刊行当時には、まさに衝撃の展開
と言い得る内容を持っていた本書だが、法や医学の時代の変遷によりインパクトは
やや弱まった感はある。(今でも根深い問題は残存しているが)
また、ヒロインである女性研修医の傍若無人とでも形容したくなるような暴走ぶりは
あまりに現実離れしており、シリアスなテーマに反して、創りものめいた感を強く抱かせてしまったのは残念であり、特にハリウッド製2流アクション映画のような後半の展開は、作品全体を安っぽいものにしており、はなはだ頂けないものがある。
この辺は、同じ医学出身の作家ながら、優れたストーリーテリングでトンデモな物語も
自然に読ませてしまうクライトンとの力量差であろうか。

52:名無しのオプ
06/05/10 02:45:54 TBTPR6BA
ロビン・クックってイギリス人かと思ってましたが、コロンビア卒だったのですね。
同じ医師作家なら、キース・アブロウやポール・ウィルソンが好きですが。

マイケル・マーシャルの「the straw men」読みました。
鋭敏な知性と文学的スキルに魅了されて楽しむのが好きな方には、まさにうってつけ
と言える傑作です。日本のアマゾンではまだ読者評もない、隠れた名作ではないでしょうか。
文学的スキル、と書きましたが古典的な筆致ではなく、シャープな感性で語られる俗な会話も
快感、という現代的な書きっぷりです。レハインなどが好きな方は、はまるのでは。
翻訳も出ていると思うので、このテの好きな方、ぜひぜひ試してください。
私はこの一作にノックダウンされ、続編をすぐさま注文しひたっているところです。



53:名無しのオプ
06/05/17 17:58:18 FI05+d19
メリー・ディア号の遭難…3/10点
船のシーンがうざい。言葉を尽くして船の状態を語られても、
「それはもうわかったから話を進めてくれよ」という感じしか受けない。
余計なシーンを取っ払ったら中身がスカスカ。
時間のムダだった。

54:書斎魔神 ◆qGkOQLdVas
06/05/20 16:33:09 x29ilf3+
>>53
今、イネスを読んでもねぇ…マクリーンやバグリイならまだしも読めるが。

ネルソン・デミル&トマス・ブロック「超音速漂流」を読んだ。
トマス単独名義の旧版を面白く読んだ記憶があるが、
共著となった改訂版を現時点で読むと、70年代の作らしい設定の粗さ、
古さが目立つ印象が強い。
超音速機誤射に到るプロセス、素人パイロットの強行ランディング、
終盤の機内の対決場面等、雑で強引な展開は、一時期流行した2流の航空パニック映画を
見せられた気分である。
そもそも携帯電話やPCが普及した現代では、展開が180度変わる可能性がある
パニック小説が、どこまで読者の支持を得られるか疑問である。
主人公の家庭生活に厭いた孤独な中年男(セールスマン)が、直面した航空事故を
きっかけに精神的に再起してゆくという冒険小説の基本線に忠実であること、
(守るべき対象は、同じく生き残った美人スッチーと乗客の美少女であり、
この辺は古来の英雄物語さながらである)
酸素不足で発狂した乗客・クルーたちの描写が凄惨であり、ゾンビー映画まがいの展開
を示すところ等に、いかにも70年代の作らしいものが感じられる。

55:名無しのオプ
06/05/20 16:50:44 nGI9V9q1
ポケットにライ麦を

激怒するマープルおばさん初めて見た…
さすがに何冊も読むと、クリスティの犯人の傾向が見えてくる

56:名無しのオプ
06/05/20 20:21:19 aqCiNPbP
書斎に同意。

57:名無しのオプ
06/05/20 20:30:36 p0KaAF12
>>55
クリスティは、キャラ立てとストーリーの構築がしっかりしてるから
(トリックがわからなくても)なんとなく犯人がわかったりするよねえ。
(フェアだからだけれども)。

58:読後感
06/05/22 02:05:41 75kgyS3q
「思考機械の事件簿Ⅲ」ジャック・フットレル(東京創元社)

久々ライヴァルたちに回帰。
唯一の長編含めて特に印象に残る話はなかった。
敢えて言うなら「緑の目の怪物」がちょっと面白かったかな。

59:名無しのオプ
06/05/24 21:12:13 Ri+9jc6Y
「社交好きの女」レジナルド・ヒル(ハヤカワミステリ)

 ラグビーの試合中、頭部を強打し一時は意識を失ったサム・コナン。彼が我が家に帰ると、妻はサムに口を聞こうとしない。
痛む頭をこらえつつ夕食の支度をするが、急に気分が悪くなり二階の部屋で気絶してしまう。
数時間後、地区警察に通報が入る。通報者はサムで、なんと彼の妻が頭をカチ割られて死んでいるというのだ。

サムと同じラグビークラブに所属している、アンドルー・ダルジール警視とその部下ピーター・パスコー部長刑事が
事件に乗り出すが、ラグビークラブ内の嫉妬と疑惑渦巻く人間関係に苦労することになる・・・

現代英国本格の雄、レジナルド・ヒルのデビュー作にしてダルジール警視初登場作。
さまざまな人物描写や絡み合った人間関係が次々に明らかになる過程は、処女作とは思えないほどこなれている。
大きな謎やトリックがないのでそこいら辺がミステリとして弱いととられる可能性もあるが、
それが作品の質を貶める要因にはなっていない。なかなかの佳作だろう。

ダルジール警視は下品でえげつない性格だが、破天荒な行動が解決を呼びよせるドーヴァーやフロストのような凡人型というよりは、
モースのような天才肌の印象を受けた。
「骨と沈黙」などヒルの名を不動にした作品群も読んでみたいところだ。

とりあえずこの作品に出てくる男たちはスケベだ、しかもおっぱい大好きだ。
パスコーは若いといっても三十路近いんだから出てくる美女によだれをたらしてばっかいないでもっと欲望を抑えなさい。

60:読後感
06/05/29 02:00:28 YUArfPdE
「マックス・カラドスの事件簿」アーネスト・ブラマ(東京創元社)

また「ライヴァルたち」。めくら探偵の活躍を描いた短編集。

「フラットの惨劇」は消防の頃漫画版を読んでいたが、
改めて原作を読み選ばれたのも頷ける一編だと思った。
他には「マッシンガム荘の幽霊」にトリックらしいトリックが
用いられていて印象に残ったくらい。

あとがきの中国を舞台にした怪奇小説読みたいなあ。
論創辺りが訳してくれんものか。

61:53
06/06/02 20:36:23 FnenJBjo
「偽のデュー警部」3/10
うーん……おもしろくなかった。
緊迫感も意外性も何もない、非常に淡々とした話だった。
主人公が「偽のデュー警部」を演じることによってなにがしかの障害、
葛藤が生じて然るべきところなのに、この話にはそれがない。
主人公の愛人アルマも、物語後半でほとんど意味のないキャラに
成り下がってるし。
なんでこれだけ評価されてるのか理解に苦しむ。

62:名無しのオプ
06/06/02 21:19:50 WKTNmRoh
>>61
ちなみに普段の好みは?

63:53
06/06/02 21:46:15 FnenJBjo
>>62
ディーヴァーが好きかな。
最近はロバート・V・ヒューリックを読んでる。


64:名無しのオプ
06/06/02 22:13:54 6IAW91gH
>>61
自分はディーヴァーもラヴゼイも好きだけど確かに
「偽のデュー警部」はそれほどおもしろくなかった。
ダイヤモンド警視シリーズは好きだけど。
マクダーミドの「殺しの儀式」もそうだけど、なんで
これが「Gダガー賞中のGダガー賞候補作」になったんだろう?

65:読後感
06/06/03 20:03:20 2YQjnQLO
「イノセント 上・下」ハーラン・コーベン(講談社)

過去に犯した殺人に苦しみながらも服役も終え、美しい妻を得て
幸せを取り戻しつつあったマット。しかし、出張中の妻から
携帯に送られてきた映像―それは妻と見知らぬ男とのホテルでの
密会現場を映したものだった。ショックを受けるマットだが、
妻は何事もなかったかのように電話をして来るのだった。
そしてマットに迫る尾行者と不気味な電話。
妻の身に何が起こっているのか?
マットは知り合いの私立探偵の力を借りて
真実を突き止めようとするが遂には殺人の容疑者として
指名手配されてしまう!

読み出したら止まらない面白さ。秀逸なプロットに唸った。
不純な動機なんてすぐ吹っ飛んでしまったよ。
久々読み応えのある海外ものに巡り会えたって感じ。
フーダニットも意外な真相も盛り沢山で楽しい。

ただ一つわからなかったのだが(メル欄1)は何をしたんだろう?
(メル欄2)とか?

66:53
06/06/04 00:27:45 iduCJon2
「雷鳴の夜」ロバート・V・ヒューリック
(4/10点)
3つの事件が絡みあう公案(←字はこれで合ってたかな?)小説。
しかし、どうしても前作「真珠の首飾り」(8/10点)より見劣りする。
隠し部屋ギミックが今ひとつ読者側としてディー判事と同化して驚けない。
なんというか、犯人側の動機が薄すぎて、話の内容までもが薄く感じてしまう。
それでも段階的なミスリードのやり方といい、伏線を余さず消化しきっている点といい、
凡百なミステリ小説とは一線を画してる。
……ちなみに「凡百なミステリ小説」は当方基準で3点以下の作品。


67:北千束
06/06/04 18:00:28 IPuGHYqH
「灰色の栄光」ジョン・エヴァンズを読みました。
論創社からシリーズ第2作「悪魔の栄光」が出たばかりですが、
依然ポケミスの「血の-」「真鍮の-」を読んで私立探偵小説+サプライズ
エンディングの連続でこのシリーズにはまりました。
幻の第5作はどうなったのでしょうか?

68:書斎魔神 ◆qGkOQLdVas
06/06/04 20:07:19 sSDkSEch
今さらながら、トマス・H・クック「緋色の記憶」を読んだ。
エドガー賞受賞作にして、日本でも刊行当時は好評、テレビドラマ化までされた作で
はあるが、カバー(裏)の紹介文を読んだだけで「先が読める」感があり、
長く積読にしていた一冊。
今回、一読したが、やはりミステリとしては予想どおりの展開であった。
主人公の少年(語り部たる老弁護士の少年時代)の事件への絡み方を注視してゆけば、
おのずから「展開」は見えて来るのである。
また、水圧に関して無視又は無知な部分があるが、これは本筋に絡む部分だけに
頂けないものがある。
ただし、後に新潮文庫版「嵐ヶ丘」の新訳を担当(作品中には「嵐ヶ丘」への言及もある)する鴻巣友季子嬢の起用は、この暗く重い運命的な「小説」の雰囲気にはマッチしており、
適役であった。ミステリとしては、ニ級品以下の作と評せざるを得ないものの、
雰囲気とテーマに着目すれば、十分に再読に堪え得る作とも言える。
人間を描くこと、本作では人間の心の暗い奥底に迫ること、このような文学的試みが
ミステリでなされるのは決して悪いことではない、かと思う。

69:名無しのオプ
06/06/06 18:40:52 zcMf7/qd
書斎さんの評論はいつもためになりますね。
これからも、良書紹介、悪書批判、どしどしお願いします。

70:名無しのオプ
06/06/06 21:42:14 myQoMpCv
書斎あぼんしてるからわかんない

71:53
06/06/07 23:30:23 2DsCyXZ5
「少女探偵ナンシー」キャロリン・キーン
3/10点
ありえない偶然の連続にめまいが。
結びついているようでてんで結びついていないふたつの事件。
散漫な要素だらけ。
当方、ナンシーよりはジュディのほうが肌に合うタイプの人間のため、
評価は低め。

72:名無しのオプ
06/06/08 17:04:54 twftrsrf
「星を継ぐもの」 ジェイムズ・P・ホーガン

SFらしいんですが、すげー面白かったです。
帯に
  SFにして本格ミステリ。
  謎は大きいほど面白いに決まっている。
とあるのですが、確かにミステリみたいな感覚で読めました。特に後半。
中盤のあっちとこっちが繋がって前へ前へ進んでいく感じは気持ちよいです。
300頁にまとまってるのも凄い。ミステリ好きでもきっと楽しめるはず。

73:53
06/06/10 23:33:49 YyTUSjKr
「ルパン対ホームズ」【3点】
人物多すぎ・要素多すぎ・飽和状態。
与えられた情報を吟味するだけで手一杯。
真相にもさして意外性もないし。
タイトルから想像できるような痛快な話でもなんでもなく、
ひたすら地味な話だった。

74:名無しのオプ
06/06/11 22:33:42 BL142QWQ
「切断」ジョイス・ポーター
よくこのネタの話を聞きますが不意打ちで来られると想像してグロい…
折込部分の著者近影に騙されましたorz

75:読後感
06/06/14 02:51:13 ZVNkJatN
「シャーロック・ホームズのライヴァルたち③」(早川書房)

アンソロジー。この頃の話はプロットがずば抜けて良いというのは
なかなかないわけで、そうなるとキャラクター勝負になって来る。
そういう意味で最も印象に残ったのは<神秘博士アストロ>だった。
これは是非論創から短編集を出して欲しいね。
後は乱歩の「心理試験」そのままの連想テストを用いて
事件を解決する<ルーサー・トラント>や、
科学の見地から捜査する<クレイグ・ケネディ>、
<科学者探偵スプレイグ>等が印象に残る。
殊にスプレイグの登場する「黒枯れ病の謎」は事故が頻発する
鉄道会社の内情を調べるという少し変わったアプローチをしていて
興味深い。他に<ヴァイオレット・ストレンジ>も
レディ・モリーとの比較を楽しむために論創アリかも。

更にライヴァルものではない怪奇短編「謎のカード」がまた凄い引き。
謎の美女から渡された読めないフランス語のカードを見せると
皆主人公を憎み、嫌い、去って行くという…。

思ったより楽しめたが読むの疲れたなぁ…。

76:名無しのオプ
06/06/15 12:08:00 BdBVpFza
「謎のカード」は、何故この本に収録されたのかは知らないけど、
ストックトン「女か虎か」トウェイン「恐ろしい中世のロマンス」
と並ぶ、世界三大リドルストーリーだからねえ。
俺は初めて読んだとき、結末で身震いがしたよ。

77:53
06/06/15 22:34:14 7M++2+ER
「まるで天使のような」マーガレット・ミラー
【3点】

雰囲気重視の人には良。そうでない人には×。
当方にはひたすら退屈なだけの作品だった。
この人の著作、ブックオフの100円コーナーであらかた揃えたんだけど…
他に見るべき作品はあるの?
まあ、名作の誉れ高い「まるで天使の~」が合わない自分に、他の著作が合うとは思えんけど。

78:名無しのオプ
06/06/15 22:51:27 wfX/25Ip
>>77
いや、ファンの中でよくマーガレット・ミラーの特徴が出てて好まれてるのは
「これよりさき怪物領域」
いずれにしてもP・D・ジェイムズとかレンデルとかの路線が駄目なら
合わないと思う

79:53
06/06/16 23:46:59 tPBB15Qi
「殺意」フランシス・アイルズ
【4点】
つまらん……ただ冗長なだけ。
中盤で殺人が起きてからはそこそこ読めるようになるが、
いかんせんそこまでがキツすぎる。
バークリーは初めて読んだけど、早くも失望してしまった…。

80:53
06/06/18 00:03:49 HhL8z+hV
「ウッドストック行最終バス」コリン・デクスター
【5点】
ロジックに次ぐロジック。脳味噌がうねくり返る。
これでもデクスター作では最も分かりやすい作品らしいが、
当方にはこれが精一杯かも。
爽快感よりは疲労感が残り、どこか腑に落ちないものを感じてしまう。

81:名無しのオプ
06/06/18 00:19:34 ZW65W0LC
アイルズとバークリーを同じように考えない方がいいと思う。
アイルズ名義はバークリー名義と違って心理ものに偏ってるから

ミラーが苦手だったということはレンデルやハイスミスも駄目かと

82:53
06/06/18 02:32:32 HhL8z+hV
>81
へえ、そうなのか……ご親切にどうも。
次はどの作家を攻めたものか……お薦めとかある?
いまはわりあい読書に時間を割ける環境なんで、
薦められたものはとりあえず読んでみようかな~と思えたりする。
今日明日はちょっと忙しいけど。

83:名無しのオプ
06/06/18 12:05:18 Ka6yS0Lg
>>82
察するに多少文章が上手くなくても
一気読みできてハラハラできる作品がお好みなのでは?

ジェフリー・ディーヴァー『静寂の叫び』『ボーン・コレクター』
フィリップ・マーゴリン『暗闇の薔薇』『炎の裁き』
アンドリュー・クラヴァン『秘密の友人』
マイクル・コナリー『ザ・ポエット』

あたりはどうでしょう。
(マーゴリンは勧めて喜ばれたためしはないですが……)

84:名無しのオプ
06/06/19 19:51:58 GPz4AEF5
>>83
マーゴリンの作品、
『暗闇の囚人』『黒い薔薇』が混ざっちゃっているようですw。
マーゴリン作品の中ではOKな選択だと思いますよ、私は。
『葬儀屋の未亡人』とか『野生の正義』で×な評価は理解できるけど。

85:名無しのオプ
06/06/21 01:13:13 MKBmpN62
>>84
ありゃ、すいません。
『野生の正義』は未読なんです、文庫落ち待ちなので。

86:53
06/06/21 22:28:37 qTmn1rTV
>83
ありがとう。
そちらさんの推察どおり、ジェットコースター型小説が大好きなんだ。

とりあえず、「秘密の友人」をブックオフで買ってきた。
いま読んでる山田正紀の「女囮捜査官」を読了後に読みはじめることにするよ。

87:名無しのオプ
06/06/24 00:27:31 yBm+iJaV
「オランダ靴の謎」クイーン

いっちょ気合入れて読んでみようと、克明にメモを取りつつ熟読してみた。
そしたらちゃんとトリックも犯人もわかったよ!
(ちょっと間違いがあって悔しい)
この快感は凄かったわ。クイーンの凄味を体感。



舞い上がって国内スレに誤爆してしまいました(恥

88:名無しのオプ
06/06/24 00:52:28 UwnWqFTV
>>87
引き続き「ギリシア~」と「エジプト~」でもガンガレ。

89:名無しのオプ
06/06/24 00:56:03 wmGmY0Ka
>>87
「スペイン」もわかり易いぞよ。

90:名無しのオプ
06/06/25 01:29:20 aLTXLE1I
>>88

「エジプト~」は俺的に国名シリーズ最高傑作。読者の目にもさらされる、
たったひとつの何気ない証拠から犯人が明かされる圧巻のクライマックス!
堪能してね。次点は「シャム双子」かな。

91:名無しのオプ
06/06/25 02:11:30 2WthnBT+
87>>88-90ありがとう
実はクイーンはちょっと苦手だったんだけど
今回丁寧に読んでみて、本格ミステリという物の醍醐味に触れた思いです。
理詰めの謎解きの迫力と言うかめくるめく感覚と言うか
今さら改めて言うのもなんだけど、クイーンは本当に凄い‥

92:名無しのオプ
06/06/25 23:08:26 xruWxUNP
葬儀を終えて

犯人こえぇ…この手のタイプが一番苦手

93:名無しのオプ
06/06/28 01:04:56 8Gt6+AG5
フィリップ・マーゴリン『氷の男』(ハヤカワ文庫)【7.5点】

百戦錬磨の刑事弁護士“氷の男”ことナッシュ。
有能であるがゆえに「有罪者」を世間に解き放ってしまう
矛盾に悩んでいた。ある日婦人警官殺しの容疑者の弁護士を
弁護することになるが、果たしてその弁護士は真犯人なのか?

パタースンやトゥローに較べれば人物造形も浅いし法廷シーンも
物足りないけど、展開の速さとリーダビリティの高さは文句なし。
折原一の解説がマーゴリンの魅力を過不足なく書いている。
「人間ドラマ」より、ハラハラドキドキしたい人向け。
ブッコフ100円コーナーでよく見かける。

94:名無しのオプ
06/06/28 16:34:17 oexovSge
A・サマラキス「きず」(創元推理文庫)

珍しいギリシャのミステリというか、現代文学?
感触としては、やはりラテンアメリカ文学やカフカを思わせるものがあります。
が、同じ警察国家や迷宮のような官僚制を描いても、カフカほど深遠で難解では
ないし、ラテンアメリカ文学ほど混沌としてもいない、というか、やはりそこが
現代ヨーロッパ風なのでしょうか。
ドンデン返しがあるように書いてありましたが、さほどのものではありません
でした。ただ独特の熱気に満ちた雰囲気は、ミステリ・プロパーとは一味違う
ものがありました。

95:名無しのオプ
06/06/29 08:25:15 znkitZYQ
某スレで誘導されたんでこっちで聞きます。

コリン・デクスターよりやや易しめぐらいの
パズラー式小説ってなにかないですか?
「ウッドストック行最終バス」は面白かったんですが、
脳を酷使しすぎてしまったので。

96:名無しのオプ
06/06/30 16:08:31 oXG5CiDX
デクスターよりやや易しめというのが難しいけど
いわゆる黄金期の作家はどうですか?
このスレでちょっと前話題になっていたクイーンやヴァン・ダイン、クリスティー
読みやすさならクリスティーかな。有名なのは多数あるけど
知名度では中位の「シタフォード」や「鏡は横にひび割れて」なんかも
読んでいる内自然に謎が解けてきてすっきりしました。
密室講義でよく引き合いに出されるJ・D・カーも面白いけど
オカルト要素あり。これから自分も読もうかと思っているクリスチアナ・ブランドは
質問と逆の高難度パズラーらしいけど、気が向いたら挑戦しては如何でしょうか?
有名作家ばかりなので既読だったらスマソ。

97:95
06/06/30 20:27:27 2jbKbCOv
>96
どうもありがとうございます。
当方も偶然、クリスチアナ・ブランドの「緑は危険」を読みはじめたところです。
ですが、展開の遅いこと遅いこと…最初の事件が起きるまでが冗長すぎる。
挫折しそうですが、もうちょっとがんばって読んでみるつもりです。



98:名無しのオプ
06/07/01 11:34:29 e9a3hgSd
ブランドはそれに加えて訳の古さも問題だけど、ガンガレ

どちらかというとパズラーというより毒のある展開の方が色んな意味でメインかも
ちなみに一番人気なのは「ジェゼベルの死」

99:名無しのオプ
06/07/01 22:47:10 GgweOFZW
洩れも某スレでこっちを紹介されたんで質問します。

パトリシア・モイーズ作品で面白いの・お薦めのってありますか?
教えてくらはい。

100:名無しのオプ
06/07/02 02:00:44 1TMpECfH
総合的な人気では
招かれざる客たちのビュッフェ>はなれわざ>ジェゼベルの死=緑は危険じゃないのかえ

初めに読むなら招かれざる客たちのビュッフェがいいんじゃないか。なぜなら短編集だから
ジェミニークリケットと結婚飛翔読んでダメだったらブランドは合わないだろう

101:名無しのオプ
06/07/02 02:16:11 rGen+RCD
物凄く既出だとは思いますが、ジェミニーは北村薫のアンソロジーの方が
良いのでしょうか?
そちらははっきりと(招かれざる~と異なり)真相を断定していると聞いたので

102:名無しのオプ
06/07/02 06:28:12 FCOaTIXC
スレの内容が変わって来た

103:名無しのオプ
06/07/02 09:59:44 mIqVFPDA
>>99
「死人はスキーをしない」「流れる星」
「殺人ファンタスティック」←名作だけどモイーズ入門には向かない
「死の贈物」「雪と罪の季節」「サイモンは誰か?」「死のクロスワード」

>>100
人気度と入門向きかだけで言うなら、その図式で同意。
ただし内容で順位を付けると

ジェゼベルの死=緑は危険≧自宅にて急逝=疑惑の霧>はなれわざ

と思う。ビュッフェは短編集だから比較から外した。



104:名無しのオプ
06/07/02 12:03:38 //WlTIqa
『ゴーストなんかこわくない』 R・グーラート 扶桑社ミステリ文庫
浅倉久志が好きな作家だということで喜んで訳したと聞いたので読んでみたのだが…
面白い謎解きがあるわけでもなく、怖い幽霊話でもなく、かといってユーモア部分が素晴らしいわけでもなく、
正直どこが面白いのかわからなかった。凡作。
古本で買ってなかったら金返せ!って思ったかも。

105:名無しのオプ
06/07/02 16:09:21 0nKgHElt
>>100
人気というか、単に読まれている数的度合いの順序だね。
昔ブランド作品が軒並み絶版だった頃、長編では「はなれわざ」だけが
ポケミス新刊で比較的に入手容易だったという事情もあると思う。
後に文庫化されたけど。

106:名無しのオプ
06/07/02 20:46:22 ZQxfHT0Z
えー、「はなれわざ」が一番おもしろいじゃん。
トリックに無理があるとか、置いといてさ。

107:名無しのオプ
06/07/03 02:23:08 wTSjsB7k
ルイス・パーデュー、『ダ・ヴィンチ・レガシー』(集英社文庫)

図書館で借りた本なのですが、本文中の「屠殺工場」という訳語が
まずかったらしくて、本の裏表紙におわびの文章が貼り付けてありました。

1980年代にいちど出版された本に手を入れ直して
2004年に再出版したとのことです。
「ダ・ヴィンチ・コード」のヒットで、作者も思うところがあったようですね。
感想はとくになし。

108:名無しのオプ
06/07/03 02:39:23 JMx8/uIz
とりあえず
ジェゼベルの死=緑は危険
これはない

109:名無しのオプ
06/07/05 14:29:15 MvjwKyWW
age

110:95
06/07/07 19:27:52 lZOMWTpq
「緑は危険」読んだよ。
うーん……はっきりいって面白くなかった。
前にも書いたけど、話の立ちあがりが遅すぎるし、
キャラクターものっけから多すぎる。
展開も地味で、人を惹きつける魅力に欠けている。
10点満点だったら3点。

111:名無しのオプ
06/07/12 03:50:18 ziaGvczH
ロス・トーマス『女刑事の死』(ハヤカワ文庫)【6.5点】

故郷で刑事をやっていた妹の自動車に爆弾が仕掛けられ、妹は爆死。
アメリカ中西部の故郷に久しぶりに帰郷したディルは、仕事のかたわら
妹の死の真相を探ろうとする。

アメリカで賞もとった世評高い作品ということで苦手なハードボイルドに
挑戦してみた。なるほどたしかに魅力的かつ一筋縄でいかない登場人物が
次々に現れ怪しい行動をとるが、サスペンスやヒネリという点では若干
物足りない。「そーいう読み方する小説じゃねーよ!」という非難は
重々承知だが、こういったケレンのない淡々としたストーリーは苦手。

112:名無しのオプ
06/07/18 21:13:57 XCiAprwy
ロバート・ゴダード『石に刻まれた時間』(創元文庫)【7.5】

愛妻を不慮の事故で亡くした主人公は、義妹夫婦の新居「アザウェイ」に
身を寄せる。その家は不吉な歴史に彩られた家であり、親友である義妹の
夫は主人公に不安を漏らす。数代前の主人も妻の不貞を疑って殺人を犯し、
その弟はソ連のスパイとして亡命していたという。
そしてついに主人公の周辺にも不可解な現象が。
果たして愛妻は事故死だったのか。家に隠された秘密とは?

久しぶりに読んだゴダード。評判はあまりよくないけど、十分におもしろかった。
(メール)は賛否あるだろうけど。ラストもよく飲みこめなかった。

113:名無しのオプ
06/07/23 21:59:30 5bmCr1m2
ブリジット・オベール「死の仕立屋」「神のはらわた」の2冊を一気読みしました
「死の仕立屋」のオチにあんぐり
フランス産のバカミスに感動いたしました
シリーズ第3作はどうなってるの?

114:書斎魔神 ◆qGkOQLdVas
06/08/05 22:52:46 PYhmZP7r
ミッキー・スピレイン「ねじれた奴」
著名な科学者と天才的な頭脳を持つそのひとり息子、
彼らが住む邸宅をメインな舞台に、そこに集まった遺産目当ての一癖ある親戚連中等が
魑魅魍魎が如く絡み、誘拐、殺人、襲撃…等の事件が連続する。
悪徳警官や好色な美女が登場する等、スピレインらしいエロとバイオレンスの要素も
盛り込まれているが、基本線はハマーの事件としては異色な「館もの」であり、
物語設定の仕方によっては、探偵はエルやエルキュールでもいいような作だが、
ストーリー的には、作家エルの不朽の名作を想起させるような展開が印象的である。
また、知らぬ者はいないあのホラーの古典を思い浮かべることもあろう。

115:名無しのオプ
06/08/05 22:54:50 lM1keQfX
>>114
土日も激務の中、論考ご苦労様です。

116:名無しのオプ
06/08/06 22:06:41 WyfStGC4
『午後の死』今さらながら読了。
あぜんのラスト・・・・・・これって新本格じゃんよー

117:名無しのオプ
06/08/09 21:07:15 M/5DHxew
「シンデレラの罠」一人四役が売りらしいが何が凄いのか
さっぱりわからず。それにしてもフランス文学は読みづらい。

118:名無しのオプ
06/08/09 21:28:15 o4JggxMO
ネタバレ?

119:名無しのオプ
06/08/09 22:13:35 +otLan10
>>117
ツンデレラに見えたー・・・

120:名無しのオプ
06/08/09 23:46:23 TwRRxET3
>>118
違ったはず。

121:名無しのオプ
06/08/10 08:56:34 EBw7jNtx
>>118
冒頭にも出てくるので、ネタバレでも何でもない。

>>117
確かにどこが凄いのか、さっぱりわからない。
ついでに、どこが面白いのかもわからない。
出版当時に読めば、驚いたかも知れない。

122:読後感
06/08/12 10:07:18 uz1vhsva
「5枚のカード」レイ・ゴールデン(早川書房)

流れのギャンブラー、ヴァン・ナイトヒートは連続殺人が
起きているとの便りを受け、故郷の町に戻ってきた。
原因は数ヶ月前のリンチ事件にあるらしい。事件に関わりがあった
ヴァンはチャレンジ魂を燃やして犯人探しを始めた―。

つまんねえ西部劇小説。犯人は早い段階で読者に知らされ
その後何一つ謎もないまま意外性ゼロの結末を迎える。
こんなの何でポケミスで出したんだろう。嗚呼、時間の無駄。

123:名無しのオプ
06/08/17 21:45:16 szXRgQ+R
「風の影」カルロス・ルス・サフォン 上・下 集英社文庫

1945年のバルセロナ。
霧深い夏の朝、ダニエル少年は父親に連れて行かれた
「忘れられた本の墓場」で出遭った『風の影』に深く感動する。
謎の作家フリアン・カラックスの隠された過去の探求は、
内戦に傷ついた都市の記憶を甦らせるとともに、
愛と憎悪に満ちた物語の中で少年の精神を成長させる…。


すっげえ面白え。ここ2,3年読んだなかでもダントツでした。
上・下でボリュームあるけど2日で読んじゃったよ…。

124:名無しのオプ
06/08/17 22:57:23 hBcpp8mX
表紙見て気になってたが↑見て買ってみる気になった。
けど同じ板でマルチしなくても...
感じワルス(´・ω・`)

125:名無しのオプ
06/08/19 20:42:04 3JZw1HZF
ダン・ブラウン『ダヴィンチ・コード』(上中下、角川文庫)【7.5点】

いまさらながらの有名作。
場面展開も速く、次々に登場人物が入れ替わり、
まるで映画を見ているようだ。薀蓄も適度でミステリー的仕掛けも
あるが、どうにも軽めで最後まで乗り切れなかった。
おもしろくないわけではないのに、実に不思議だ。
図版や写真が収録されているのは親切だが、「ああ、次の舞台はココね」と
先が読めてしまうのがちと残念。巻頭ではなく文中に収録したほうがよかった。

126:名無しのオプ
06/08/19 23:00:08 1TSKFWLf
「はなれわざ」ミステリ史上に輝く大胆なトリックっていうから
期待したんだけどこんなものとは。技術的には凄いのかもしれないけど
期待とのギャップNO.1作品になりました。どうもこの人の長編は
合わない。

127:名無しのオプ
06/08/19 23:58:11 zb8Esb/O
ブランドってトリックで読ませるタイプの作家じゃないからな…
「ああ、こういうところに伏線があったんだ」って驚きたいときに
読んでる。

128:どくごかんっ!
06/09/10 01:17:56 9xEGqH0U
「悪党どものお楽しみ」パーシウ゛ァル・ワイルド(国書刊行会)

引退した若き元イカサマギャンブラーがマヌケな友達を助けて
イカサマの手口を暴いてゆく連作短編集。
面白かった。一つ一つつのネタは小粒かも知れんが、
キャラクターになかなか魅力があって楽しく読める。
お気に入りは「ポーカー・ドッグ」と「ビギナーズ・ラック」。
プロローグ的な「シンボル」も好印象。

129:書斎魔神 ◆qGkOQLdVas
06/09/16 10:44:58 /TZZfxh1
「モーパッサン短篇選」を読んだ。
その総数300篇あまりとも言われる文豪の手になる短篇からのセレクション。
当然、なぜあの作がなぜ無いのかという意見もあろうが、
(自分としては「オルラ」がセレクトされていないのが不満)
モーパッサンの多彩な作品を味合うための入門書としては適していると言い得る。
ホラータッチの「水の上」と「山の宿」の鬼気迫る描写は正に圧巻。
ただし、結末の意外性(オチ)が特色のひとつとされるモーパッサン作品ではあるが、
ミステリに耽溺したヲタ(この事は決して誉められたものではない)には、
物足りない面もあるやもしれぬ。
人生における様々な断面を短い頁数の中に活写したモーパッサン短篇作品の妙味を
理解出来ないアホなミスヲタに対して私は声を大にして言いたい、
「オチばかり求めるのであれば、1日中寄席でも逝ってろや(w 」と。

130:名無しのオプ
06/09/16 11:20:02 j30zmPRS
>>111
遅レス申し訳ないけど、ロス・トーマス、他のも読んで!!
ミステリあれこれ読んできたけど、この作家ほどプロットが複雑で、
かつ登場人物に魅力がある作家はいないよ。
古本探してでも、ぜひ!

131:111
06/09/16 14:29:34 YAH059XR
>>130
そう?
じゃあ見かけたら再チャレンジしてみるよ。

132:名無しのオプ
06/09/18 23:37:37 W6VcB2Qr
マックス・マーロウ「レッド・デス」を読んだ。

ウィルスパニックものなんだけど、どうも主人公とヒロインのロマンスが中心になっていて、ウィルスは
その盛り立て役に過ぎない感じがした。前半の島が滅びるエピソードはスリルがあって怖いんだけど、
後半は緊迫感ほとんど無し。「インドも滅びそうです」なんていわれてもよくわかんねーよw
世界が滅びていく描写という点ではキングの「ザ・スタンド」にとうていかないません。

133:どくごかんっ!
06/09/26 14:52:09 RLq7100r
「カブト虫殺人事件」ヴァン・ダイン(東京創元社)

博物館で美術愛好家が殺された。凶器はエジプトの女神を象った彫像。
あたかも神の呪いのような死様だったが、現場に残された痕跡は
全てただ一人の人物を指し示していた。
それ故にヴァンスは不審なものを感じる…。

第5長編。久々ヴァン・ダイン。
プロットがはっきりしていて理解しやすかった。
ただ「僧正」に続いてまたファム・ファタルネタというのはアレだが。
それと結末ね。ヴァンスはクイーンやH・Mよりも「天才」だなと。
これで前期6作は読んでしまっていよいよ後期か…。

134:どくごかんっ!
06/09/26 15:19:00 RLq7100r
「同窓会にて死す」クリフォード・ウィッティング(論創社)

パブリック・スクールの同窓会に出かけたチャールトン警部は
そこで同級生ライノ大佐と出会う。大佐は暴君として
知られている人物で、彼を巡る人間関係はただならぬものがあった。
パーティーが終わり、在校生に招待された大佐は喜んで向かうが、
間もなくお開きという時、一発の銃声が轟いた―。

割と評判が良さそうなので読んでみた。
探偵が事件捜査のために来るのではなかったり、
二組の難あるロマンスを絡ませたりして掴みはOKと言える。
ただある誤解が中盤に何のドラマ性もなく解けてしまうのは?か。
プロットは水準に達していると思う。


ところでこのチャールトン警部、奥さんと20歳差だそうで。
二人の馴れ初めの話も読みたい(アレン夫妻も早くやってくれ)。

PS.ダイアンの境遇にはかなりの同情と少しのザマミロを感じた。

135:どくごかんっ!
06/09/30 18:36:07 jA2nNqwz
「赤髭王の呪い」ポール・アルテ(早川書房)

表題作の中編と3つの短編を収録。
「赤い霧」までは邦訳順につまらなくなるなと思っていたが、
次の「カーテンの陰の死」でやや持ち直した印象。

表題作は「ワイルダー一家の失踪」の様に過去に同じ条件の元で
殺人が発生するというものだが、このパターンで大事なのは
過去の事件がきちんと解明されるかということ。
本作ではどうかと言うと―放置してはいないがあまりよろしくない。
あとメインの事件のトリック・犯人共に真新しさもないし、苦しい。
ま、デビュー作だから…。

短編3つは短い割りにネタもそう小粒ではなく面白かった。

136:どくごかんっ!
06/10/05 03:20:33 743ge/qf
「猫と鼠の殺人」ディクスン・カー(東京創元社)

冷徹なことで有名な判事が殺人の容疑をかけられた。
被害者は一人娘の婚約者で判事の家の居間で射殺されていたのだ。
判事と親交のあったフェル博士は警察と共に事件の謎に取り掛かる。

久々にカーの名作を読んだ。
密室じゃないけど内容濃くて面白かった。
トリックもまあまあだし真相にも驚く。

あのラストについては良い悪い以前に蛇足だと思った。
決着というかちゃんと“落ちて”いるのになぜ?という印象。

137:どくごかんっ!
06/10/07 14:16:25 KrCpVNMy
「殺人鬼オーストゥンに帰る」リック・リオーダン(小学館)

故郷に戻り教鞭を取りながら農場を管理していたトレスは
兄の会社が倒産の危機に瀕しており農場が抵当に入っている事を知る。
兄に会って事情を聞いた直後、共同経営者の一人が射殺され
兄に容疑がかけられてしまう。
トレスはかつて恋人であった弁護士マイアと共に
兄を救うため奔走する。

青春ハードボイルド第4作。
これ1作目だけ文庫じゃなかったり2作目だけカバー色が違ったり
3作目だけ訳者が違ったりとどうも落ち着かないシリーズだが、
内容は保証する。個人的には、1冊しか読んでないけど
ウィンズロウより上だと思ってる。

読書意欲を持続させるストーリーテリング、洒落た言い回し、
最後の最後まで目が離せないプロットと内容が濃い。
あと主人公が事件に対して客観的たりえないのが
このシリーズの特徴かな。1作目以来の登場となるマイアの存在も
見逃せません。買って損はないと思う。買ってないけど。

138:どくごかんっ!
06/10/07 14:56:49 KrCpVNMy
「重要証人」スティーヴ・マルティニ(集英社)

友人の頼みで検事を務めることになった弁護士マドリアニは
地元ダヴェンポートを慄え上がらせている連続殺人を
担当することになる。やがて捜査線上に浮かび上がった容疑者。
しかし、検死等の結果、内一件は模倣犯である可能性が高くなる。
マドリアニは四面楚歌の中、二つの事件を解決しようと奮闘する。

とにかく被告側弁護士以外もあっちもこっちも潜在的な敵だらけ。
様々なアクシデントに加え家族にまで魔の手が伸びてくる。
その中で悪戦苦闘しながら諸問題を処理していく主人公たちを
プロパーらしく描写しているわけで、
法廷劇がメインというわけではないが、まあ面白かった。

意外な犯人もありラストはリーガルらしからぬ展開になる。
ただショッカー的には処女作「沈黙の扉」の切れ味に
及ぶものではない。というかこういうの書ける能力があるんだから
リーガルに囚われることないと思うんだがなあ。もったいない。

※「情況証拠」に触れないのは内容を忘れたからです。

139:どくごかんっ!
06/10/11 06:32:26 cIxOBdY8
「秘密国家ICE」フレッド・ボイル(早川書房)

アイルランドの南部に建設された謎に包まれた工業連合ICE。
若き科学者トーマスは英国政府の密命を受け、内部に潜入を試みる。
信じがたいような技術を次々と産み出すICEには
果たして如何なる秘密が隠されているのか?

ジョン・バカン風の伝統的冒険小説にSF要素を加えたシロモノ。
主人公が掌上の孫悟空状態であるという描写が
終始繰り返されててうざかった。これも伝統なんだろうけど。

つか、某スレで誰かが言ってたツンデレヒロインなんて
どこにもいねーじゃん!!…嘘吐き(ぼそっ

140:どくごかんっ!
06/10/13 18:36:11 7JzT0YDx
「抹殺部隊インクレメント」クリス・ライアン(早川書房)

元SAS隊員マット・ブラウニングは、SISから貯金を凍結され、
止むなく仕事を引き受けることになる。
それはベラルーシにある薬品の密造工場を破壊せよというものであった。
婚約者との仲や旧友が起こした乱射事件などのせいで
胸中穏やかならぬまま任務についたマットだったが、
その裏には英国を揺るがしかねない秘密が隠されていた―。

元SAS隊員が元SAS隊員を描くシリーズ二作目。
前作「テロ資金根絶作戦」の、偉大なる先達のような韜晦趣味に
走ることのない写実的な描写と整然としたプロットに
好感を抱いたので読み続けることにした。

今回も変わらずわかりやすくて読みやすい。
前作はプリンス・マルコみたいだと思ったが本作は24ぽい。
冒険小説はスピード感が大事だと思った。意外性もあり。

ただミスマガの10月号で乙姫家がネタバレかましててビックリ!
あんな少ないスペースでよくもまあ…。
プロ意識に欠けるとは思いませんか?

141:どくごかんっ!
06/10/13 19:16:38 7JzT0YDx
「死のバースデイ」ラング・ルイス(論創社)

ハリウッドの映画プロデューサーが自宅で毒殺された。
その日は小説家である妻の誕生日で、毒は殺虫剤によるものだった。
それは、先頃映画化が決まった妻の小説通りであったのだ…。

「あ、そっか!」てな感じのミステリ。
ハードカバーだけど薄いから携行しても良いかも。
訳文に何ヶ所かおかしな所があったけど
キニシナイ。

142:名無しのオプ
06/10/15 21:29:46 3i0szzPy
 「殺人者の放物線」アンドレア・H・ジャップ 東京創元社

 MITの天才的な女性数学者が、FBIの依頼を受けて、猟奇連続殺人事件
 の謎を解く。
 FBIの専門家がミスを繰り返し、犯人を追い詰められないのに、
 主人公のグロリアは、PCの前に座って、データを分析し熟考す
 るだけで、犯人の目星をつけてしまう。

 久しぶりに、胸のすく名探偵レディ。
 ミス・マープルの再来、は言いすぎか。
 サイコサスペンスの装いはしているけれど、安楽椅子探偵
 の正統派。
 シリーズで出ているらしいので、早く次の作品を訳してほ
 しい。
 (検屍官のように妙な方向に行ったら困るが)
 

143:名無しのオプ
06/10/22 00:39:28 MWy4au6/
「闇に浮かぶ絵」 R.ゴダードを古本屋で購入。
読み出して気づいた・・・・・
前に読んでいたものだった。がくっ。

144:名無しのオプ
06/10/22 00:47:51 VPDoHMES
初期のゴダードって、再読してもおもしろいんじゃない?

145:名無しのオプ
06/10/24 00:01:25 qDzgsREz
ネルソン・デミル『ナイトフォール』読了。
少し前に「まどろっこしい」って書かれてて、確かにそれは否定できないけど。
でもコーリーの軽口は、やっぱり楽しい。
ウィンズロウが好きな人なら楽しめるんじゃないかな。
上巻は気分がのるまでは、なかなか進まなかったけど、下巻に入ったら一気読みで読了。
敢えて日付を明記することなく、書き進められる内容に、
自分の記憶に「何曜日だったっけ?」と問いかけながら読み進め。
肝心のラスト。
うーん、あそこで終わって、次回作の翻訳刊行まで1~2年待つかと思うと‥。
覚えているかしらーって、自分の記憶が心配。
あぁでも忘れるわけないか。

それにしても十年も経っていないこれだけの事件二つをフィクションに盛り込む、
作者の気力とゆーか胆力みたいなものにちょっと驚きました。

146:名無しのオプ
06/10/24 09:38:53 XDgPYctQ
「神の狩人」上下 グレッグ・アイルズ 講談社文庫

カリン・ホウィートという作家が殺害された。彼女は「EROS」という性をテーマにした高級ネットの会員だった。
有名な会員が殺害されたことで「EROS」のシステム・オペレーターのハーパー・コールは「EROS」会員と殺人事件の
結びつきに確信を持った。警察に告げた彼の最悪の予想は正解だった。次第に一連の猟奇的連続殺人事件が浮かび上がる。
FBIの犯罪分析官レンズ博士が架空の女性を囮にして<ブラフマン>という謎の人物に接近するが…。
相 手の姿が見えない、正体が分からない、誰が見ているかわからない。ネットの危険と殺人事件を結びつけた現代的な恐怖。


五つ星中、星3つって所かな。ハンニバル・レクターの好敵手なんてキャッチコピーまでついてる
けど、今一犯人の凄さが伝わってこない。翻訳もあまりよくないんだろう
まぁ読みやすかった。

147:どくごかんっ!
06/10/24 18:25:59 dfbx2cli
「悪魔の栄光」ジョン・エヴァンズ(論創社)

私立探偵ポール・パインの今回の依頼は
キリストが書いたという古文書に関するものだった。
古文書を持っているという男の所へ向かったポールだが、
そこには一人の美女が銃を持って立っており、
クローゼットには何者かの刺殺体が押し込まれていた。
その後もポールの行く先々で殺人が巻き起こる。
果たして古文書につきまとう謎の怪人の正体とは?

栄光シリーズ2作目。今回も二段構えのサプライズは健在。
ただし前作よりは難易度が下がった模様。
というより免疫がついたのかも。
でも本格ばりの伏線はやっぱり見逃してしまいます。
あと前作同様、悪女とガツンというお約束を遵守してます。流石正統。

正統と通俗の違いはサプライズ要素に関わりがあるのかも?
だとしたらハニーは…。

148:どくごかんっ!
06/10/27 02:11:24 NIwVAil6
「豊饒の地」フェイ・ケラーマン(東京創元社)

夜間パトロール中のデッカーは夜の公園で一人で遊ぶ幼女を発見し、
保護する。付近の住民は誰も彼女に見覚えがない。
そしてデッカーにはこれが只の迷子ではないとわかっていた。
何故なら彼女の服には血が付いていたから―。

バツイチの中年刑事と若いユダヤ教徒のカップル探偵(?)
シリーズ第3作。
不気味な発端から凄惨な殺人に到達する件はなかなかだと思う。
警察小説らしく他の事件の捜査も並行して描かれていて、
さらにデッカーとリナの関係も、レイプの容疑者にされた
デッカーの戦友の存在等から変化を見せる。
特に衝撃を覚えるような箇所はないが読み応えはあったかな。

ただ、アメリカの平和のかほりがちらほらしたのが気になったけど…。

あと、作者は男性的だと感じた。
本作でリナはファム・ファタル属性を付加され、
さらに一流の売春婦ともタメ張れるほどの床上手に
「昇格」させられるし、事件の真相も鬼畜的に「エロい」
(両面の描写をしている所が重要)。
こんなの書く女流作家は読んだことなかった。

149:名無しのオプ
06/10/27 18:55:05 f6G6sslg
スタンリイ・エリン『闇に踊れ!』(創元推理文庫)

ガンに侵された元歴史学教授が、黒人の住むアパートの爆破計画を練る。
探偵ジョン・ミラノは、盗まれた絵画の行方を追う。
2つの犯罪は、いつかひとつの流れに繋がって……という話。
「出版を拒絶されたいわくつきの長編!」とのことだが、黒人への忌憚ない描写が原因のようだ。
『鏡よ、鏡』の作者でもあるし、アクロバティックな解決を期待したが、肩透かしだった。
登場人物同士のウィットに富んだ会話は面白いものの、この内容で500P超はきつい。

150:どくごかんっ!
06/10/27 21:07:09 NIwVAil6
「奇術師の密室」リチャード・マシスン(扶桑社)

卒中で植物人間同然になってしまった往年の大奇術師。
意識ははっきりしているものの、動かせるのは視線だけで、
普段はかつて自分の書斎であった「マジックルーム」に座っている。
そんないつもと変わらぬある日、悲劇の幕は上がった―。
二人になった息子の妻が入って来て何やら悪巧みを始め、
次いでやって来た息子のマネージャーは義理の娘と濃厚なキスを交わし、
次の瞬間息子は回転椅子に座って紫煙をくゆらしていた。
動けないただ一人の観客の前でくるくると変わる奇妙な芝居の結末は?

これ破綻してない?
(メル欄)は無理だと思うんだけど…。

とりあえずそれを度外視して言うと、
まあ、ぐいぐい読み引かれてそれなりに堪能できた。
「探偵スルース」や「デストラップ」はあまり好きじゃないけど、
こうして字面を追ってみると展開が早く感じられて苦にならない。

「どんでん返し」についても、「銅婚式」に代表されるような
口先だけで嘘だ本当だと繰り返す伏線もへったくれもない代物を
どんでん返しと呼ぶのは虫酢が走るけど、本作は明確な伏線はないが
既存の筋立てかちっと嵌るものなので(最初に挙げた点を除けば)、
抵抗なく許容できた。

後半に入って(メル欄2)かと思ったが違ってた。
つかこの本格ファンに阿った放題は軽くイラっと来るわ。

151:書斎魔神 ◆qGkOQLdVas
06/10/28 20:26:52 RlFghPZq
ジェームズ・アンダースン「血染めのエッグ・コージイ事件」を読んだ。
俺が敬愛する宇野利泰氏(以下「うの」と略す)の訳書ではあるが、
初刊の時はノーマークでスルーしてしまった作。
(解説でも指摘されているが、ミステリ界でも全くと言うてよいほど話題に
ならなかった)
タイトルだけ見ると、まがまがしい感さえ受けるが、
内容的には、館ものの一類型であるカントリー・ハウスもの、
時代は第2次大戦勃発直前、英国の伯爵が所有するカントリーハウスに集う
多彩な人物たち(英国外交官、諜報員、欧州小国の外交官、ガンマニアの米国の富豪、
遊び人の貴族、謎めいた男爵夫人等々)、これにルパンまがいの怪盗が絡み、
殺人事件が発生、コロンボ風の飄々とした名探偵(警部)の登場と相成る。
こう俺が書くと面白そうだが、
ジョン作品を想起させるトンデモなトリックはまずまずながら、
事件発生までの筆の運びが遅い感があるうえに、
極端な偶然性と御都合主義に頼った後半の展開は頂けないものがあり、
なぜ、今頃になって復刊されたのか理解に苦しむ出来と言わざるを得ないものがある。
宝石を狙う怪盗のエピは蛇足であるし、カントリーハウスを舞台にしながら、
本格ミステリの禁じ手とも言われる抜け穴は登場するにもかかわらず、
怪奇も密室等の不可能犯罪が登場しないのも寂しい限り、
せっかくの舞台が効果的に活かされていないのである。

152:名無しのオプ
06/10/28 22:51:38 //m2eQWN
>>151
ジョンって誰でしょうか?不勉強かもしれないがご教示を。

153:名無しのオプ
06/10/29 11:01:26 6AOjDVSv
>>151
> 俺が敬愛する宇野利泰氏(以下「うの」と略す)

敬愛する相手を「うの」なんて略し方するとは常識を知らぬ奴。
しかも何度目だよこの言葉。その後一度たりとも実行したことないじゃねえか。
というよりも、その後一度も「宇野利泰」の名を挙げることがない文章で
(以下「うの」と略す)
なんて書いても意味ないだろw
ミス住も少しは推敲というものをしてみたらどうだ?

154:どくごかんっ!
06/10/29 12:05:15 oUHqE6UG
「雲をつかむ死」アガサ・クリスティ(早川書房)

パリからロンドンへと向かう旅客機内で一人の老婦人が殺された。
首筋には小さな穴がうがたれており、
先刻飛び回っていた蜂によるものかと思われ始めた頃、
乗客の一人である口髭を生やした小男が
床に落ちている毒針を発見する。
果たして彼女は誰に如何にして殺されたのか?

クリスチーは意識的に避けてきました。理由は2つあって、
この先まず読みはぐれることはないのと、
ドラマで観たいと思っていたからです(12月に新作放送予定)。
ただあまり避けるのもあれかなと思って手に取ってみました。
どうせならクリスマスに読むべきなのでしょうが
廃止されて久しいので仕方なく今読むに至った次第。

読む前はてっきり終始機内で展開する密室劇かと思いきや、
死体発見は着陸間際で後はお馴染みの地上戦。
旅客機は単に容疑者を限定させるための装置かと少しがっかりしました。

その後は流石は探偵小説の女王と言った感じで、
各種のリストアップや気を引くワード等で読書意欲を保たせてくれます。
しかしながら本作では(メル欄)配置の不自然さが
ネタバレを誘っており、(メル欄2)と相まって大きなダメージに
なってしまっているのは残念です。
トリックもシンプルなのはいいのですがかなりの綱渡りで、
あまり感心はできませんでした。
個人的には解説者が言うような「中期の傑作」とは言い難いです。

155:名無しのオプ
06/10/30 01:31:07 D4XMDRND
>>151
ジョン作品て、ひょっとして、ジョン・ディクスン・カー?

156:名無しのオプ
06/10/30 13:03:07 LFfBuK9x
>>153
ワロスww
至極まっとうな突っ込み

だいたい「僕」なんて書いたかと思えば、次は「こう俺が書くと面白そうだが」なんて尊大なことを書くし。これはちょっとひどいね。だいたい「面白そう」に読めないんだけどなぁ…。そう言うならもう少しうまく紹介してほしかったです。

3点

157:名無しのオプ
06/10/31 17:27:39 AyWw1yIj
「震えない男」 ジョン・ディクスン・カー
フェル博士もの。
翻訳の問題か、やけに読みにくいものの、出だしは好調で雰囲気作りも申し分なし。
が、トリックがこの上なく腰砕け。人によっては激怒するんじゃないかと思う。
無茶しすぎの決着のつけ方が面白いので、それで救われてる感じか。

158:あぼーん
あぼーん
あぼーん

159:どくごかんっ!
06/11/01 18:25:57 1wCoNknT
「怪盗ゴダールの冒険」フレデリック・アーヴィング・アンダースン(国書刊行会)

連作短編集。
前半はいいんだがいざ真相を語る段になるとやや腰砕けの感も。
最初の「百発百中のゴダール」と最後の「スター総出演」がマシかな。

解説で紹介されてるライヴァルたちの物語は読んでみたい。

160:名無しのオプ
06/11/01 18:33:28 yaCX/+Cy
「青銅ランプの呪」 カーター・ディクスン
H・M卿もの。
二階堂センセが最低ランクのD級としていたので期待せずに読んだら、意外と面白かった。
やや冗長という感想は分からないでもないが、足音の謎の解法などは評価していいと思う。
少なくとも、あそこまで酷評するほどの駄作とは思えないのだが・・・。

161:名無しのオプ
06/11/01 18:34:53 PpXwzLvF
「深夜プラス1」 ギャビン・ライアル
30年も前の作品。
スマートで洗練された作品だ、ハードボイルドの先駆者的存在ってところでしょうか?

162:名無しのオプ
06/11/02 11:22:05 53dRYVXm
ウィリアム・カッツ『恐怖の誕生パーティー』(新潮文庫)

確か前々スレあたりでもいくつか書評が出てたように思う。
妻が夫の40歳の誕生日に向け、サプライズパーティを企画する。
だが、過去の大学や会社、所属していたはずの軍にさえ彼の記録はない。
一方警察は、毎年12月5日に女性を殺す殺人鬼の正体を追っていた。
12月5日は夫の誕生日だったのだ……。
ミステリーにすれていれば、ラストのオチは想像がつくと思うが、
演出は冴えに冴えており、サスペンスとはこうやって組み立てるのだ、といわんばかり。
ただ、夫へ匿名で手紙を送ってきたのは誰なのかがわからんのだが……。

163:名無しのオプ
06/11/02 18:54:46 AfAmuV9m
「ウサギ料理は殺しの味」 P・シニアック
かなり狂った作品。
序盤~中盤にかけてが冗漫で、噂ほど面白くもなさそうだと読み進めていったら終盤でひっくり返った。
もう、バカという言うしかない結末。こんなこと、よくぞ考え付いたものだと感心する。
しかしこれ、ミステリに分類していいのかな。

164:どくごかんっ!
06/11/02 20:34:34 1P1nbpcr
「絞首人の一ダース」デイヴィッド・アリグザンダー(論創社)

「掃き溜に鶴」と評判の短編集。
読んで思ったのは、この人はミステリー的な技巧の妙手というよりも
ストーリーテリングの名手なんだなということ。

最初の数編は正直イマイチだったが、「アンクル・トム」辺りから
面白くなってきて残りはほとんど外れがなかった。
トリックや意外な真相というよりサスペンスを演出するのが巧く
最後まで、というか最後になってもダレない。

ベスト3を挙げるなら、
「アンクル・トム」「見知らぬ男」「蛇どもがやってくる」。
次点は「デビュー戦」

165:名無しのオプ
06/11/04 15:37:17 pnNbBDgM
「魔術師が多すぎる」 ランドル・ギャレット
ダーシー卿シリーズの、たぶん唯一の長編。
魔法が出てくる設定だが、中身はハードなパズラー。例えるなら西澤保彦作品みたいなものか。
密室殺人も出てきてサービス精神は旺盛なれど、なんだか色々と物足りない感じがする。
長編ゆえか、短編集の「魔術師を探せ!」に比べて切れ味が落ちるのも欠点か。

166:書斎魔神 ◆qGkOQLdVas
06/11/04 20:42:56 TVo8a471
久々にアーサー・ミラー「セールスマンの死」を再読した。
初読の際は、先が読めない展開をサスペンスものとして楽しむことも可能な作品だが、
リストラ流行り、ニート・フリーターが増加する現代日本では、
ローマン家の状況はある意味、もう他人事ではなかろう。
戯曲を読む習慣が無い日本でも、今こそ広く手に取って欲しい1冊である。
同時代のテネシー・ウィリアムスほどの人物造詣の深さは感じさせないものの、
簡潔な台詞の積み重ねにより、登場人物たちが置かれた緊迫した状況を描写し切って
しまうミラーの才は、あらためて並々ならぬものがあるのがわかる。
ライターとしての私にとって、長年の座右の書のひとつである。

167:名無しのオプ
06/11/04 23:06:10 OEC6761K
>>166
またまた「サスペンス」w 救いようのない単細胞のミスヲタだなあ。
そして通り一遍の感想、いや「乾燥文」。
この程度のどこにでもある駄文書いて喜んでいるようじゃ、到底プロにはなれませんぜ。
お前はバカでもなれる「カキコライター」が精々だなw

168:名無しのオプ
06/11/05 16:37:35 2umI6WyY
167は他板からの改竄&コピペ
もとのレスはこちら↓

書斎魔神・アホアホ語録格納庫 その11
スレリンク(mog2板:776番)

読んで分かるように167( ID:OEC6761K )は
「このスレに書くべき話題だから」ではなく
このスレを荒らすのが目的で改竄&コピペしている

2ちゃんねるガイドの「荒らしに反応したらあなたも荒らしかも。。。」を
お忘れなく!

169:名無しのオプ
06/11/06 18:15:41 CZ7KaSzX
T・ロスコー「死の相続」(原書房)

「黄金時代の密室物の怪作」という評判どおりの凄まじいパルプ作品。
ハイチの奥地にある屋敷、ブードゥー教の奇怪な儀式、俗悪きわまる登場人物たち、密室の連続殺人、
これでもか、という怒涛のサスペンスあふれる展開。トリック自体はバカバカしいが、力技で無理やり
納得させられてしまった。ハイチ憲兵隊の隊長が存在感あって、結構カッコイイ。

170:名無しのオプ
06/11/06 23:46:03 qMyDWddR
エドマンド・クリスピン「愛は血を流して横たわる」
学園での先生達や生徒のキャラはいいのだけれど
中盤中弛み気味かも…
ラストの真相解明部分もクリスピンにしては理屈っぽいくだりが
長いのとちょっと推測が多いところが(´・ω・`)

171:名無しのオプ
06/11/07 01:13:50 iqM6AH+B
「魔性の森」 ハーバート・リーバーマン(角川文庫)

土地所有者男女数人が土地の境界線を調べるために
広大な森の中へ入っていくんだけど途中で測量人が
意識不明になっちゃう。
極限の中、それぞれの人間性が暴露されるんだろうなと
思ったら大間違い(多少あるにはあるが)
ただひたすら森の中を迷ってるだけの話
でも読むのこれで3回目なんだな
これほどラストが素敵で不思議な作品も無い。


172:読後感
06/11/08 15:14:08 oEF56G24
「剣の八」ジョン・ディクスン・カー(早川書房)

自宅の書斎から射殺体で見つかった男。
死体の側にはタロットカードが置かれていた。 折しも町の主教は兼ねてから奇行を繰り返しており、
ただならぬ犯罪の予兆を宣言していたのだったが―。

カーの凡作。密室も怪奇趣味もファースもなし。
解説はフーダニットを強調しているがそれほどとは思えず。
犯人外れたけど(気付いたけど捨てちゃった)。

あと8章冒頭で語られるヒロイン観は、
個人的には物語を詰まらなくする一因だと思うのだが…。

173:名無しのオプ
06/11/08 19:06:34 03MJQeHK
「殺人者と恐喝者」 カーター・ディクスン
H・M卿もの。
H・M卿の語る自伝は非常に愉快で、これについては文句なしに楽しめた。
が、問題となっているトリックは、いささかやりすぎな気がしなくもない。
似たようなことをカー自身がやっていたが、それに比べるとちょっと悪どいのではないか?
それと密室事件の解法だが、こちらはかなりの腰砕け。「死時計」や「震えない男」あたりも
どうかと思ったが、これもまた相当に厳しい。一応伏線はあるし、カーらしいと言えばらしい
仕掛けだけど・・・。

174:名無しのオプ
06/11/08 19:13:06 k9nTeoc7
カーの株下落中

175:名無しのオプ
06/11/09 19:52:59 14GTHjSV
「尼僧のようにひそやかに」 アントニア・フレイザー
フレイザー女史の処女作。
帯に「ゴシック・ロマンとパズラーを融合」とあるので初期カー風の内容を期待したが、
パズラーとしては平凡。むしろスリラー小説といったほうが適当か。
不倫ありサスペンスありと盛りだくさんの内容ながら、やや平板な展開なのが残念。
セイヤーズ作品ばりに頻出する薀蓄に面白さを感じられるなら、より楽しめると思う。

176:書斎魔神 ◆qGkOQLdVas
06/11/12 00:43:11 doBvr4UC
リチャード・マシスン「奇術師の密室」を読んだ。
SF・ホラーにおける手腕は定評がある作者、
本格的ゴシックホラー(幽霊屋敷もの)に現代的なテースト(科学による究明)を
加味した読み応え十分な「地獄の家」、一転、超常現象を排したリアルな恐怖感
(迫り来るトラック)に富むモダンホラーの教科書的短編「激突」、
前進的なオチが深い感動を喚起する「縮みゆく人間」、シニカルなオチが印象深い
「地球最後の男」…
どれも抜群の面白さであり、本書も期待して読んだのだが…
ストーリーは逆転に次ぐ逆転ではあるが、創り過ぎた感が強い作に終わっている。
常人以上の観察力・注意力を有するはずのマジシャン(しかも天才的という設定)という
ことを考慮すれば、「見ればわかるだろう」の突っ込みでトリックそのものが崩壊する
やにも思える。
ただし、現代ミステリを読み慣れた者から見れば、さしたる驚きは無いものの、
60年代から70年代初めが全盛期であったマシスンにとって、
犯人の倫理観は相当ショッキングなものということなのかもしれぬ。

177:名無しのオプ
06/11/13 00:07:45 wN+LY38y
ウィリアム・L・デアンドリア『ホッグ連続殺人』(ハヤカワ文庫)

被害者も手段も選ばない無差別連続殺人鬼「ホッグ」。
その犯人に、天才犯罪研究家ベネディッティ教授が迫る。
79年の作とはとても思えないような古い作風。
作品を支えるひとつの大きなアイデアと、最後にきかせる小技で、
かろうじて体裁を保っているものの、それ以外ではほとんど見るべきところがないと思う。
ビューアルという男とディードルという女が主要人物で、しかもカップルとして出てくるのだが、
わざわざそんな紛らわしい、変な名前にする意味がさっぱりわからん。

178:読後感
06/11/13 18:59:53 O4u2GXpu
「ねじれた奴」ミッキー・スピレイン(早川書房)

富豪の科学者の息子の誘拐事件に巻き込まれた依頼人のため
現地に乗り込んだマイク・ハマー。
手掛りを元に見事少年を救出したハマーだったが、
その後間もなく富豪が殺される。果たして事件の陰には何が?

別に追悼記念てわけじゃないけどハマーを読むのは初めて。
主人公がケンカが強かったり
出てくる美女が皆色情狂で秋波を送って来たりするのが
低俗と言われる所以なのかも知れんけど、そういうのも
アリっちゃアリだと思うのよね。古いとか新しいとかじゃなく。

筋立ては中々混み入っており読み応えはあると思われる。
犯人も割りかし意外だったかな。あと社会派的な側面もある。
ただ本作で暗示されている問題が顕在化するのは10年以上後だったはず。
その辺先見性があったのかも知れない。

疑問:(メル欄)は何故その場所をまず探さなかったのか?

179:名無しのオプ
06/11/14 21:01:28 ATLYF5JN
「読者よ欺かるるなかれ」 カーター・ディクスン
H・M卿もの。
とにかくミスディレクションが抜群に上手く、その点では大いに感心させられた。
だが、メインのトリック自体は類例があるものの、なんとも困った代物。読者受けを狙ってか、
あまりに派手な提示をしているのが逆効果で、解決の部分が言い訳じみて見えてしまう。
どうでもいいことだが、挑戦的な邦題は見事な翻訳だと思う。

180:名無しのオプ
06/11/15 00:07:04 Nu9l6f6G
「クリスマスに少女は還る」 キャロル ・オコンネル

過去ログ見てて面白そうだったんで読んだ。
確かによかった。
最後まで読むと中盤あたりでの微妙な違和感というか
伏線を感じさせる会話の間というか表情のニュアンスなんかが
ピタッピタッと解けていく感じで「あ~!成る程ね。あ~それでか…」みたいな感覚が気持ち良かった。
ラストは片方の主人公格の終わり方に安堵、もう片方の組には残酷さを感じた。
と、思ったらエピローグでもう一揺さぶり。って感じで最後まで満足。



181:名無しのオプ
06/11/15 20:19:44 024tOAxp
「迷路」 フィリップ・マクドナルド
ゲスリン大佐もの。
裁判記録と書簡のみで構成された珍しい形式の作品。翻訳がいいのか非常に読みやすい。
裏面の紹介文に「真っ向からフェアプレイの勝負を挑む」とあるようにストレートなパズラーで、
たしかに判断材料は全て文中に明示されていた。だが、解決までの道のりが矛盾の一点突破型で
ロジックの飛躍に乏しく、その点でやや物足りなさを感じる。
ついでに解決編の冒頭であまりに恣意的な判断があったり、動機の面で極端な想像があったりと、
ちょっと首をひねりたくなる部分が存在することも残念だった。

182:名無しのオプ
06/11/16 00:18:20 55cKpBZa
「氷の男」 フィリップ・マーゴリン
つまらん。
法廷もの(なのか?)として読み始めたせいか
肝心の弁護内容や証拠集め、検察のぐだぐださ全てがイライラした。
全体通して全てが浅すぎる。その分テンポは非常に速く一気に読めるが。
何より女の魅力がまったくない(男も脇キャラもないが)。というかこれは恋愛小説か?
勝手にメロドラマしてろ!って感じでした。

この著者の本読んだの初めてなんだけど
名前はよく聞くから期待してたんだけどな~。

183:名無しのオプ
06/11/16 01:29:43 OkOQyNgR
>>182
マーゴリンなら『黒い薔薇』『暗闇の囚人』から始めた方が良かったのでは。
名前をよく聞くのも、最初に翻訳されたこの二作は面白かったのに、
なぜか最近作になるほど????な感じになってしまった辺りが、
つい愚痴ってみたくなる作家ともいえ。
久々に講談社文庫から出た『女神の天秤』は、少し持ち直した感じだったけど。

184:名無しのオプ
06/11/16 20:34:57 mL6fN7jW
「ユダの窓」 カーター・ディクスン
H・M卿もの。
有名すぎる密室トリックが出てくる作品。事前にトリックを知っている状態で臨んだので本当に
楽しめるかどうか不安だったが、単純に法廷物として面白く、トリックは関係なしで楽しめた。
それと、あのメイントリック以外の部分にも仕掛けが施されていて、こちらも見事だと感心。
さすがはカー問答で第一位になっているだけのことはあると思った。

185:書斎魔神 ◆qGkOQLdVas
06/11/18 14:31:18 est2CK54
>単純に法廷物として面白く、トリックは関係なしで楽しめた。
ネタなのであろうか?
失笑を禁じ得ないものがあった。
ジョン、スコット等のリーガル・サスペンス、
本邦のものであれば、和久俊三作品あたりを手に取って欲しいものである。

それはさておき、俺も初学者指導のためジョンの「白い僧院の殺人」を再読していた。
「―いいか、間抜けども、マーシャ・テートはこの部屋で殺されたんだぞ」
このヘンリーの言葉に本作の全てが集約されていると言うても過言ではない。
初読時には、ジョンには珍しい心理的トリックに感心したのだが、
読み直すたびに、偶然性に頼った創り過ぎたプロットが気にかかるようになり、
評価が厳しくなっていかざるを得ない作である。
ジョンらしいはじけたバカトリックやドタバタも無く、かなり地味な印象、
結局、5段階でC評価あたりが妥当なところかと思う。

186:名無しのオプ
06/11/18 17:42:41 Q+JtvvHg
主人公の性別を間違えたり、何度も読んでる本の書名を間違える人間が、
人のことを笑う資格があるとでも思ってるのかい?
「暗黒無知」ことお馬ちゃん。


187:読後感
06/11/19 11:38:56 xLQdW98h
「災厄という名の男」R・D・ブラウン(早川書房)

独立して警備会社を構えるためにテキサスへやって来たハザードは、
到着早々妻の殺人容疑をかけられてしまう。
偶然選んだ貸家の中に妻の死体が横たわっていたのだ!
彼女は土地のマフィアの手先となっていたらしい。
ハザードは女弁護士と共に濡れ衣を晴らすために事件を追う。

面白かった。翳のある女弁護士、マフィアのボス、
主人公を執拗に追う警察署長、妻の二人の子、
土地で隠然たる力を持つ謎のオールドミスなど
クセのあるキャラクター揃いで真相も意外に感じた。

188:読後感
06/11/19 12:09:35 xLQdW98h
「タラント氏の事件簿」C・デイリー・キング(新樹社)

“怪奇な事件に心惹かれる者”タラント氏の活躍を描く短編集。

オベリスト三部作を視野に入れたのと新樹社を潰すために。
扱う事件は全て怪奇的なものばかりで、自分は
令嬢を悩ます足音と鏡の亡霊に挑む「現れる幽霊」や、
乗った人が次々と溺死するモーターボートの謎を追う「第四の拷問」
そして「最後の取引」が印象に残ってます。

「第四の拷問」は衝撃度抜群。ボートに乗り込んだタラントまでもが
餌食になりかけます。その真相は―実に㌧でもないモノでした。
「最後の取引」はシリーズの追尾を飾るエピソード。
隅の老人やポジオリ教授や亜愛一郎の様にオチが付くのですが、
彼等の場合と違い(亜ら未読)、寂しさの中にも
どこか爽やかなイメージが残る話です。
「ありふれたヘアピン」に近いものがあるかも。

その後解説読んで一安心の一幕も。

189:名無しのオプ
06/11/19 16:08:33 NmdQuIkQ
「チムニーズ館の秘密」 アガサ・クリスティー
バトル警視のデビュー作品。
クリスティー初期の冒険小説というので期待せずに読んでみたが、異様に面白くて驚いた。
登場人物はキャラが立っているし、二重三重に錯綜する複雑なプロットも魅力的。
屋敷での殺人事件あり、外交問題あり、秘密結社あり、ロマンスあり…と色んなエンタテインメント要素を
これでもかとブチ込んで、なおかつ目立った破綻もなしに大団円へつなげる手腕は見事というほかない。

190:書斎魔神 ◆qGkOQLdVas
06/11/19 16:30:56 tI+AcYue
「夜歩く」(創元の井上一夫訳)
これも初学者指導用に再読。
うーん、初学者にも読んで欲しい1冊ではあり、個人的にはとても好きな作なのだが、
(アンリ・シリーズゆえ極端なドタバタは無く、落ち着いた暗くムーディな雰囲気は
中期以降のジョン作品には無い独自の魅力がある)
「まずこの1冊を」というには躊躇せざるを得ないものがある。
第1の殺人は処女長編ながら、ジョンらしい強引な展開でその特色を遺憾無く発揮して
いるものの、第2の殺人はあまりにトホホな展開に過ぎるか。

191:名無しのオプ
06/11/22 21:09:10 8TcOyvHv
「血の栄光」 ジョン・エヴァンズ
私立探偵ポール・パインのデビュー作。
1946年の刊行らしいが、えらく古風なハードボイルド。主人公、へらず口叩いて殴られまくるし。
なので平凡な作品と思っていたら、終盤になっていきなりの大どんでん返しに面食らう。
身元不明人の埋葬になぜか十二人もの牧師がやってきた、という冒頭の謎の解決もまずまずだし、
しっかりと伏線も張られていて、実はよくできたフーダニットだった。面白い。

192:名無しのオプ
06/11/23 02:03:34 nza6WhPx
「わが故郷に殺人鬼」  デヴィッド・ウィルツ

"Home again"をこう訳すとは。
視点が三人称になったり、主人公の息子の一人称になったりで若干読みにくい。
えーい、アメリカ人はみんな変態か!!
ラストが消化不良。まぁでも読ませる。

193:読 了太郎
06/11/23 03:00:47 IbSc/PDw
「不思議の森のアリス」リチャード・マシスン(論創社)

“伴大矩の再来”と言われる希代の悪訳者を気にしながら読んだ。
誤訳以前に誤字がかなり…もう編集だけにして下さい。

「服は人を作る」「生き残りの手本」の
2編のショートショートが切れ味抜群で良かった。
ラストの「不法侵入」は長く続けて来た雰囲気が
ラストで放置されておりマイナス。
表題作はまあ平均点。

194:読 了太郎
06/11/23 16:22:58 IbSc/PDw
「10ドルだって大金だ」ジャック・リッチー(河出書房新社)

日本独自編集の第2短編集。
後半のシリーズ物よりも前半の方が好き。
「妻を殺さば」がベスト。出だしからしてイケてる。
これと「50セントの殺人」や「とっておきの場所」
「円周率は殺しの番号」等を読んでいるとリッチーが勧善懲悪に
“そこそこ”留意しているのが分かって楽しい。
他の異色作家達よりも童話作家という肩書きがピッタリ来るという
感じがした。

ちなみに本書、うちの区の図書館では4冊購入で即日貸出の上
予約が3件だった。流石このミス効果。

195:書斎魔神 ◆qGkOQLdVas
06/11/23 17:35:53 dca9SL+B
これも初学者指導用としてジョンの「魔女の隠れ家」を再読。
ジョン作品ベスト5には挙げられにくく、(解説にはアントニー・バウチャーはカー
作品のベストの一つとして推奨しているとあるが)、ええカッコしいのヲタは
よりマイナーな作を推す方向に走ってしまう傾向にあるため、
名探偵ギディオンのデビュー作でありながら、話題になることが少ない作でもある。
しかしながら、初期作ということもあって、ジョン作品の特色である怪奇性・猟奇性が
遺憾無く発揮されており、横溝御大の作品群あたりが好きな向きには最適か。
英語国民以外にはわかり難い暗号ネタにミステリとしての大きな比重が置かれていること、
キーポイントとなる監獄の長官室を、ジョンらしい完全なる密室(に見える)という
設定にしなかった点が惜しまれる。
それにしても初学者というのは手がかかるものである(w

196:名無しのオプ
06/11/23 21:40:21 spdCm+xy
>>195
脳内初学者相手に優越感に浸っています
相変わらず安っぽいオツムですなあ
しかし多忙のはずな人が何で2ちゃんねらーの為に何冊も「再読」するんですかねぇ?

197:↓はもう通用しないな
06/11/23 21:46:07 cR/XNhnd
806 :名無しのオプ :2006/11/14(火) 22:56:15 ID:P/3bUBRO
ここに書くべき話題を最悪板に書く方が悪い。
ちゃんとスレタイに沿った議論になっているんだからな。

808 :名無しのオプ :2006/11/15(水) 07:22:16 ID:94zL7AxD
コテハン叩きじゃないレスまで向こうに書き込まれてるから問題なんだろうが。
事態をよく把握してからものを言えやクソが。

810 :名無しのオプ :2006/11/15(水) 11:03:21 ID:Ud2MR2S/
>>809
そんな事例はないはずだよ。
バトルトークとコテハンたたきくらいの区別はしているだろ。
今まで見る限りはさ


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