07/06/01 06:03:00 uCbMPg3y
やはり、『虚無への供物』の前半と後半では別物だろう。
前半だけでも「アンチミステリー」の体はなしている。
身近で起きた殺人事件を素人探偵気取り達が面白半分に推理したけど
結局ただの事故でした、というもの。
これだけでも、既存の推理小説というものへの批判となっている。
ただ、この時点での筆致はまだ明るいし、語り口も軽妙。
後半部が書かれたのは、社会派推理小説が勃興してきたからだろう。
「アンチミステリー」をより完全なものにするためその要素を導入したのが、
鴻巣玄次のエピソード。
そしてラストでは批判は推理小説を越えて現実そのものにも向けられている。
後半分に重く暗い雰囲気が漂っているのもそういうこと。