10/03/03 21:58:58 FTOu1nVP
ありすとBOBO -猫とマグロと恋心- /川崎康宏
GA文庫より、新シリーズの開幕である。
寡聞にして存じ上げなかったが、氏はGA文庫にて「蒸気帝国騒動記」なるシリーズを2冊ほど
出した上での新シリーズ開幕であり、しかも帯に記された「普段パンティはかない」の一文の
なりふり構わぬ背水の気合を感じ、いやが上にも期待は高まるというものだ。
さて、本編は僅かに未来の日本が舞台。まず主人公の一人、探偵事務所の職員・ありすが、
暴漢に襲われる男を助け、礼にとミナミマグロを一本受け取る場面から始まる。
この世界ではおりしもの健康食ブームでマグロは全世界で需要が高まり、密輸業すら成立する
すっかり高級魚となっているのだ。
このマグロが元で新たな騒動の種を呼び寄せるシナリオが展開する……とは登場人物の一人も
推測したが、そういうこともなく、ミナミマグロは無事に解凍され調理されて、事務所の面々と友人たち
の舌を楽しませる。マグロ丼に兜焼き、ネギトロ丼、マグロステーキとさまざまなマグロ料理が読むもの
の食欲を誘う。
さて、このマグロがトラブルの種になることにはないとは言ったが、まったくの無関係とも言えない。
このマグロをもたらした人物が事務所を訪れ、ありすを護衛につけてほしいと依頼してくるのだ。
聞けばその男はマグロのブローカーであり、マグロを狙う漁師とチャイナマフィアとの間での立ち回り
に危険を感じてのことという。