09/05/18 09:49:58 qQ2QNa/r
竹田さんは『道化』に続いて狂言回しとなるが、動機に一つ矛盾がある。
流人には、今回の動機を「自分が傷つくことが可能かどうか知るための実験」だと語っている。
しかしそれだと、遠子先輩を妨害してでも心葉と美羽に心中してもらい、その現場で自分が泣けるかどうか実験しなければいけない。
二人の心中を阻止するために最初に現場に駆けつけたのは竹田さんだ。ここに矛盾がある。
「友達が死ぬのに悲しいと思えなかった自分が恥ずかしい」という竹田さんの根底の悩みは俺には言葉遊びに思える。
誰だって人の死を知ると悲しいとか残念だ等と思う気持ちと喜んだり安心したり等する気持ちは同時に起こる。人には善良さも欲望もあるからだ。
普通は後者を切り捨てることで自分を是認する。竹田さんは後者を感じたこと自体が許せない、誰よりも真面目な娘だ。普通の人より死んだ友人に優しいのだ。
竹田さんは優しい。だから美羽を引きずった心葉と曖昧に付き合い続けることで将来ななせが致命傷を負うのも、
それで心葉自身が再起不能になるのも嫌だった。だから美羽と対決させつつ同時に二人を助けていた。
竹田さんは優しい。だからそういう行動を自分の手柄にするのも許せなかった。自分は友人を見捨てた卑劣な奴だとおもっているから。
だから流人にはその理由を「実験」と語った。
たぶん美羽の母と心葉を会わせた時に遠子先輩を呼んだのも、本当は竹田さん自身だったのを流人が呼んだことにしたのではないか。
流人にはそこまで心葉を助ける義理は考えにくいからだ。