09/05/18 09:24:08 qQ2QNa/r
『文学少女と慟哭の巡礼者』を読了。
前巻で遠子先輩どころか美羽への気持ちも決着をつけないまま、ななせを抱擁した心葉。
正直、絶対責任を持ってつき合ったり出来ないだろうなと思ったが予想通り。
「美羽には逆らえない」「美羽と決着をつけてからななせと向き合う」この二つの決定的な矛盾を無視している。
さらに遠子先輩が離れることも恐れて、見事なまでのハーレム願望と誠死ね状態。
これだけ殴りたい主人公も珍しいが、代わりに芥川が殴ってくれた。芥川は他人との衝突を恐れるだけの野郎かと疑っていたが大いに見直した。
ミステリとしては「美羽はなぜ投身したのか」「美羽はなぜ戻ってきたのか」「Ｂとはだれか」といった謎があるといえるか。
メインである最初のがイマイチ。作家になったこと以上に美羽を傷つける行動を心葉がしていない真相では、インパクトが弱い。
作家になったのが悪いのだが、前巻で既に推理出来てしまうので、今巻を支える謎とは言えない。
終盤、先輩の謎解きは「雨ニモマケズ」論「木になりたい」の本当の意味は良かった。
しかし他は感動が薄かった。主役の心葉と美羽が身勝手すぎて先輩にも弁護しようがなかった感じだ。
全体としてはシリーズ最高傑作とはとても言えない。最高傑作の『愚者』、『道化』につぐ三番手ぐらい。
各キャラについて補足。
ななせは意思も能力も危なっかしいな。心葉とくっついたら遠子先輩の支援がないと生活出来ないと思う。
なぜこれほどに身勝手な心葉を捨てないのか理解に苦しむ。
ななせの長所としては、無邪気な癒しと恋人を信じる力は凄い。それを必要とする主役が欲しい。臣さえ帰ってくれば幸せになれると思う。
遠子先輩は、窮地でどう心葉を救うか、いつもスリルがある。「なぜミウの小説ラストをしっていたか」というラストの謎は面白そうだ。
竹田さんについてはレスを改めてコメント。