09/03/12 23:42:10 +6X2sFIk
「火の国、風の王国物語シリーズ」師走トオル ファンタジア文庫
主人公がチート気味な一騎当千の活躍を見せる作品はライトノベルではよくみかけるだろう。
この作品も少年時に悪魔のような妖精と契約し、単騎で敵部隊に突撃を仕掛けても傷一つ追わずに蹴散らしてしまう
言葉通りの一騎当千の力を得てしまった男が主人公だ。
無敵な主人公に対し、物語を面白くさせるために完全無敵ではなく、不意をついた攻撃や謀略によって窮地に陥ると
いった展開を見せるのはよくあることだ。しかし、この作品はその理屈は全く通用しない。なぜならば、主人公には
前もって危機を伝えてくれる妖精が控えているからだ。
伏兵や毒による暗殺も主人公を殺させないために助言をしてくれる存在がいるのだからもはや無敵である。これは何時
主人公が死んでしまうのかと、終わりを確かめないと心配で読めない私のような読者は安心して読める作品だ。
さらにこの作品の注目点は登場する女性が全員処女じゃないかと思えるほど潔癖であることだ。
仕えているお姫様を筆頭に血の繋がっていない妹やその他登場する女性達がみんな主人公の行いに惚れ気になって
仕方ないのである。確かにこんな男がいれば男の私でも惚れてしまうであろう。
特に色香を武器とし、暗躍していた女暗殺者が主人公が自分の色仕掛けに落ちず(妖精の助言があったためだが)自分
の肌に触れたことで、初めて男に肌を触れられたとか、自分の誘惑に惑わなかった男は初めてでこの胸の高鳴りはナニ?
とか言い出す始末。まるで童貞中学生が作ったんじゃないかというようなピュアな展開は思わず、恥ずかしくて本を放りだ
してしまうほどである。