【文学少女】野村美月総合スレ18【卓球場】at MAGAZIN
【文学少女】野村美月総合スレ18【卓球場】 - 暇つぶし2ch39:イラストに騙された名無しさん
08/08/31 01:46:08 Q+ZQGyF6
>>34
「違うんだ」
「違わないよ。何よりの証拠に井上は小説を書いたじゃない」
「違う」
「違わないっ!」
否定していたぼくに、琴吹さんは叫ぶ。
「井上はあたしと同情で付き合ったんだよ! 夕歌の事で傷ついたあたしが可哀相なだけだった!
本当は井上は、ずっとずっと、遠子先輩のことが―」
「ななせっ」
耐え切れなくなって思わずぼくは叫び、ななせの口唇にぼくの口唇を重ね合わせた。
僕にとって生涯初めてのキスは、柔らかいいちごの味がした。
数秒ほどだっただろうか。
口唇を離すと、ななせの顔を見た。彼女の頬は林檎の様に朱色に染まっている。
「最初は……」
ぼくは少し言い澱む。でも、本当の気持ちを、ぼくのななせに対する本当の気持ちを、伝えなきゃ。
「最初は、ぼくはななせに、嫌われてると思ってた。いつもむすっとしててぼくを睨んでたし。
昔のぼくを知ってると聞いた時は、正直驚いたけどね。
それから、水戸さんの事や、美羽の事で、ぼくはななせに惹かれていった。
そしてこの間ぼくに『書かなくていい』って言ってくれた時、ぼくはすごく救われたんだ。
でも、いつまでもななせに頼っているわけにはいかない。自分に勝たなきゃ。
そう思って、この小説を書いたんだ。
だってななせは―ぼくが守らなきゃいけないんだから。
だから、今はっきりと言わせて下さい。
井上心葉は、琴吹ななせのことを、愛しています。ずっと……これからもずっと……死ぬまで……」
いつの間にか、ななせの涙が大粒のものに変わっていた。


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