08/06/09 00:42:36 XCzlgQvF
きっと、自分自身の胸さえもジェラ対象の傍若無人な女王様です。こんな感じで。
(こ…これはご主人様からの躾けの一環なのよ! 契約の時だってしてるんだから、べ、別に初めてじゃないし…)
「サイト…えっと…その…」
月明かりにうっすらと浮かぶ儚げな表情に見惚れサイトは思わず息を飲んだ。これが、あの昼間の残酷な専制君主と同じ存在なのか。
「きょ…今日は良くやったわ…」
ルイズはサイトのいるベッドに上がり込んで両手をつくと、おずおずと顔を突き出した。そして、そっと目を閉じる。
(こ…これは…その…キスしていいってことだよな…?)
サイトはごくりと唾を飲むと、自分も顔を突き出していった。しかし…その途中で、視界の隅に何かが目に入った。
(な!?)
四つんばいになっているので当然、ルイズのネグリジェは下に垂れ下がっている。
(む…胸が見え…いや、もう少し上からなら、さ、先っぽまでも…)
「…サイト?」
サ、までが不安そうな小声、イ、でトーンが下がり始め、ト、で絶対零度の冷たい響き。そんな器用な発声をルイズはやり遂げてみせた。
「なぁにを見ているのかしら?」
「い、いやその…胸…じゃなくてっ!」
「むねぇっ!?」
「ち、違います、そんな、まさか、うわっ!」
先ほどとは真逆の目的で勢いよく顔を突き出したルイズの闘気に押され、後ずさったサイトはそのままベッドから転がり落ちた。
「そう…胸さえあれば誰でもいいのね?」
「な、なんでそんな話になるんだよっ?」
かっとなって思わず口にしたセリフが正解だった。
「俺にはルイズしかいないっ!」
「えっ…」
ルイズはきょとんとして言葉を失った。続いてほんのりと頬が朱に染まる。
(勝った。)
サイトは勝利を確信した。ほっと一息つく。しばらくもじもじしていたルイズは、はにかんだ小さな声でそっと尋ねた。
「…じゃ、じゃあ、今の私と、胸のない私だったら?」
「え?」
戦場では一瞬の迷いが死に繋がる。そして…ここはもちろん戦場だった。ある意味で。
「やっぱりそうなのねっ!」
夜空を切り裂くルイズの怒声。その後に続いたサイトの悲鳴は、夜空の果てまでもよく響いたと言う。