08/06/20 01:44:43 F+GeqCDC
ひとりぐらいリリアン大の受験失敗してもいいと思うんだ
祥子さまは祐巳の耳もとで囁いた。
「祐巳、卒業よね? 進路はきまって?」
「は?」
「どうなの?」
祥子さまは小声で急かした。
「きまっていません……けど?」
内緒話のような雰囲気があったので、祐巳も声を殺して答えた。すると。
「結構」
祥子さまは密着していた身体を離すと、祐巳の手をとってお父さまたちの前に進み出た。
「お父さまお母さまにご報告いたしますわ。私、この祐巳にします」
凛としたいつもの祥子さまの声だった。
勝ち誇ったような笑みを浮かべ、祥子さまはそのまま流暢に、その場にいた全員の度肝を抜くような言葉を発した。
私は。今ここに福沢祐巳をメイドとすることを宣言いたします、と。