08/03/17 00:54:36 uzz5KePu
私はなぜその本を手にとったのだろう。それはある作家の新シリーズものだった。
アニメ化決定しているシリーズを持ちながら、完結を待たずして新たなシリーズを書く―その姿勢の良し悪しは別として、その本はそんな風にして出版されたものだ。
私は「お手並み拝見」と心の中で呟いてそれを購入した。既巻七巻あるアニメ化決定シリーズを買い揃えるより、より効率的に作者のレベルを知ることができればと考えながら。
この本の主人公は非常に喧嘩が強い。数人の不良などものともしない実戦スキルを持っている。
オマケに彼は変身ヒーローなのだ。ぶっつけの初陣も難なく勝利、読者の心配もなんのその、戦いにツッコミに奔走する。
黒幕も始めから登場していて、目的もハッキリ。主人公は、突然人外になった己の体に対しても特に苦悩することは無い。幼なじみが守れればあとはどーでもイイのだ。
王道を地で行くプロットと、相槌率七割増(当社比)の会話によって白く彩られたページによって読者は癒されること間違いなし。
読者は思考停止してAll OK。文章の波間に揺られ、流れに任せれば一時間程度で読み終えることだろう。
非常にライトな読み口だ。これはライトノベルを超えたエクストラライトノベルあるいはウルトラライトノベルと呼ぶのが相応しい。
透明水彩を生かしたイラストと相まって、読み終えて本棚に収めた瞬間から、非常に透明な独特の存在感を放つこと間違いなしだ。
私はまだ「我が家のお稲荷さま。」を購入していない。貧乏だからだ。あるいは私にその金銭的余裕が来る日は無いのかもしれない。
ぜふぁがるど(柴村仁/ふゆの春秋/電撃)でした。