08/02/03 10:51:53 hPUaNTva
「繰り世界のエトランジェ 第二幕 偽りのガジェット」 赤月黎 (角川スニーカー文庫)
もうそんじょそこらの中二病作品なんかじゃ、満足できないよ!
そんなお声にお応えるため、超展開とともに閉幕した繰りンジェがふたたび幕を上げます。
どんな事をしても反省すれば問題ない―という、前向きで、一切を省みない思想。
かつて「影の聖痕」と呼び称された作品の主張が筆者の脳裏をよぎりました。
しかし、フレーズに漲る言霊力は繰りンジェの方が遙かにハイレベルでしょう。
滅鬼怒や刻死夢葬といった用語にこびりつく岡田芽武臭、小川雅史臭は、
西尾や奈須に取って代わられた古き良き20世紀マインドを甦らせるに充分なクオリティ。
群像劇の要素を強調するため、あえて魅力を削ぎ落とされた主人公が紡ぐ、
山風や菊地の頃からいまだにどういう原理で働くのか分からないストリング状の
必殺技を始めとして、「黒幕が“最悪”の中学生」、「読者の理解を凌駕する文字通りに謎の組織」、
「マスクドシャンハイ」、「作品集(アンソロジー)という名前の時点で悲哀漂う改造人間ズ」、
「面子揃えの苦労が忍ばれる十三葬家」、「オマージュ心が止まらない極限遣い」etc……
思春期特有の過ちを恐れず、蛮勇に満ちた冒険精神が叩き出す熱情の律動はヘェーラロロォールノォーノナーァオオォー
ジャキジャキジャキガーン!!! とばかりに展開されるフルバレルオープンの邪気眼砲に震撼せよ。
もはや嗜好や思想や信条などとは無関係に読み手の感情を吹き飛ばす、ライトノベル界の総合火力演習。
体力と財力の続くかぎり、いつまでも、どこまでも、追っていくべきシリーズです。
差し当たって3巻が発売されるかどうかも怪しい局面なので、購入は急務。躊躇う余地はありません。
(エトランジェは1巻すら読んでないが、>>533を褒めちぎり変換してみた)