08/07/11 23:10:15 g8a11E/J
定金はあるとき、自分のスレッドが落ちそうなのを見て、プログラムを作成した。
書き込みの件数が少ないときに、自動的に書き込みを行う人工知能。
ベースとして、友人である乙一の人格を持ったそれを、定金本人は完璧だと信じていた。
あるとき、乙一が交通事故にあった。
定金はスレッドのことなどわすれて、乙一の病室に付きっ切りになった。
生死の狭間をさまよう乙一が意識を取り戻して、ただ一言、問うた。
「おい、定金スレは、どうなっているんだ? 」
スレッドは、落ちていた。
乙一プログラムには重大な欠陥があった。
1度スレッドに書き込んだきり、そのプログラムは機能しなかった。
そのことに気づいていたのは、乙一だけだった。
乙一は、親友に気づかれないように、スレッドが落ちそうになるたびに書き込みをしていた。
dat落ちしたスレを見て、定金は乙一の手を握り、泣きながら何度も何度も礼を言った。
「ありがとう 」という声と、「どうかこの優しい友人が助かるように 」という祈りを聴きながら、乙一は逝った。
今でも、定金伸治総合スレが落ちそうになると、どこからともなく保守の書き込みがあるという。
定金はそのプログラムを治してもいなければ、動かしてもいない。
これは、不思議なスレッドをめぐる、二人の作家の友情の物語だ。