10/06/14 16:25:04
出雲神話の始祖神はスサノオ。
「記紀神話」では、スサノオは民衆の神としてではなく、アマテラスの弟として出現する。
しかも、高天原で乱暴をはたらき、追放されて出雲にきたことになっている。
この姉弟の関係は、本来のものだろうか？
普通、物語のうえの兄弟は、サホヒコ・サホヒメとか、トヨスキイリヒコ・トヨスキイリヒメとか、
似た名前のものが多いが、アマテラスとスサノオとでは、まったく似たところがない。
この二人の姉弟関係は、出雲神話をアマテラス中心の物語に吸収するために、宮廷の貴族によって
作りだされたものと思われる。
出雲神話の主神も、実はアマテラスの弟で、高天原から追放された乱暴者にすぎない、というわけだ。
そのうえ、「記紀神話」ではスサノオは八岐の大蛇を退治したのち、その尾からでた剣をアマテラスに献上している。
これも、アマテラスとスサノオとの上下関係を明らかにするための作為である。
このように、出雲神話はアマテラスの物語に吸収された結果、アマテラスの偉大さを説明するための政治的説話にかわってしまった。
記紀の神代の物語は、
１神話を材料としながらもそれをいちじるしく書き改めていること、
２その書きなおしは天皇の祖先のアマテラスの地位を高め、天皇の日本支配を正当化することを中心の目的としていること、
３したがってできあがった神代の物語は、民衆に広く信じられていた神話とは考えられないこと、
この3点を強調しておきたい。