10/06/14 11:35:53
【日本人が混同する2つの「神道」】その1
ここであらためて指摘しておきたいことがある。それは、「アマテラスから天皇家へと繋がる神道」が、
太古からある日本固有の宗教観だと思うのは大きな間違い、ということである。
もちろん、縄文時代以来続いた日本列島固有の宗教観はあったに違いない。この宗教観に、大陸や半島から
新たな思想や風習が入り込み、日本人の信仰祖形=「民俗宗教としての神道」が形成されていったのである。
かたや、アマテラスから天皇家へとつながる神道は、あくまで八世紀の朝廷によって構築されたものである。
これは「天皇家の正統性を訴えるための神道」であり、民俗宗教としての神道とは区別して考えるべきものである。
日本人の信仰といえば真っ先に思い浮かぶのは「神道」であろう。だが、八世紀の段階で
「神道」という言葉自体が、それほど一般的だったわけではない。「日本書紀」の中で、「仏教」に対する
日本的な信仰として「神道」の二文字が現れるにすぎない。
これはむしろ当然のことで、アニミズム、多神教世界にどっぷり浸かっていた日本人の太古の信仰形態を
「こういうものだ」とひとくくりにすることは困難を極める。
多神教やアニミズムは、ありとあらゆるものに神は宿るという発想なのだから、人それぞれに、「神」の観念が異なる。
それぞれの地域ごとに、思い思いの信仰が存在していたのである。
「古代神道と天皇家の謎」 関祐二