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>>266
つ「大日経巻第六 本尊三昧品」
日蓮宗に、人本尊として、十界観請大曼荼羅を立て、法本尊として
法華経の題目を力説するのも、また、真宗などにおいて、絵木像の
外に、南無阿弥陀仏とかの名号本尊を立てるのも、つまりは、真言
宗における文字本尊と、人体本尊とを転用したるにすぎず。ただ事象を
もってする契印本尊のみは、いずれの宗にも、これを活用して居らない
のである。
覚苑曰く「本尊とは、通じて曼荼羅の諸尊になずく」
密教の本尊は、その実体からいえば、一切を照らし一切を生かしている
大日如来である。それが人々の性欲にしたがい、教養のいかんに応じて
その表現が多種多様になっているに過ぎない。
人々によりて、各々念持仏を異にするが故に、寺院の本堂における
本尊仏の如きも、自然にその仏体を異にするに至っている。