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ブッダは輪廻(りんね)をどう捉(とら)えていたか。古層の経典では
、確かに輪廻は業報(ごうほう)と結びつけられ、積極的に説かれる。
だが著者は文献を精査し、最古層の経典には輪廻(サムサーラ)という
語は見出(みいだ)せず、「来世」や「再生」などの表現はみえるものの、
いずれも否定的な文脈に限られている事実を突き止める。ブッダ自身の輪廻観
は飽(あ)くまで否定的であったと推すことができるのだ。
「無我なのにどうして輪廻という生死を超えた我の存続を認めるのか」
との疑問が氷解するとともに、当時から流布していた輪廻という観念の
因襲を、無我の思想を立てて解体しようとしたブッダの姿を、本書は見せてくれる。