08/03/19 18:02:01
仏教辞典誠信書房 中村元監修によると
「アートマン」とは、インド哲学一般、ことに、ウパニシャッドや、
ヴェーダーンダ哲学で、個人我を意味する術語。呼吸(van)という
動詞から作られた言葉で、呼吸という働きが生命の根源であると考え、
そこから進んで個人を統一する中心の名としたのである。この個人我は、
万人に共通のものであると考えて、これを普遍的な実在者と見なし、
従来からあった宇宙原理としてのブラフマン(梵)と同質のものである
と考えるようになり、(梵我一如)の思想となって現れて来た。
この考えはバラモン経以外の自由思想家にも大きな影響を与え、
サーンキヤ派ではこのアートマンを純粋精神原理として、
ブルシャと名づけて自然と区別し、二元論を立てた。
仏教は、アートマンにタイシテアナートマン(無我、非我)の立場に
立ったので有名である。この無我説は、体のどこにも我がない、
という立場から出発するもので、アートマンを完全に否定するものではなく、
永遠普遍な固定的実体から存在があるのではなく、一切の存在は縁起
(相依相関の関係)によって生じたものであるという立場を押し出すために、
無我と称したのである。従って、ブッダは、日常生活における行為の主体で
ある自己を指し時には、やはりattanという語を用いていられる。
と解説されている。