08/07/15 01:22:21 Gct9RIXF0
彼女は、微妙な沈黙というか、いわゆる良い雰囲気が苦手だった。
俺はただおしゃべりしたりしてるだけでも楽しくて嬉しかったし、
そもそも鈍感だから意図的に良い雰囲気なんて作れなくて、
まあ、そういう状況になること自体少なかったんだけど。
その日、映画を観に行った帰り道の彼女は、少しいつもと違ってた。
あきらかに普段より口数が少なくて、ぽつぽつとしゃべっては、
いつも持ってたHINT MINTを時々、齧ったり。
その雰囲気の意味に、彼女を家まで送ったその玄関先で気付いて、
で、何言ったのか覚えてないけど、俺はとにかく彼女が寄りかかった
玄関のドアに手をついてキスした
俺なんか緊張して手は震えるわ心拍は上がるわで、何もできずに
ただじっとしてただけだったけれど、唇離したら、彼女下向いて
ものすごく恥ずかしそうに、小さな声で
「わぁ……してもうたぁ……」
うまい言葉が見つからなくて、でも何かしてあげたくて、
俺は相変わらず心臓ばくばくさせながら、そのまま、ただ黙って
彼女をぎゅっと抱きしめた。
二人とも生まれて初めて誰かと付き合った、当時高一同士。
後で聞いたら、彼女、その日は俺たちの関係を少し先に進めるんだと、
朝からこっそり決意秘めてたんだとか。
……って、恥ずかしいな、これは。
やっぱりこのスレは書くものじゃなくて、読むものだな