10/03/04 07:54:53 BE:495648735-2BP(1002)
>>499
ちらっと読んだけどあんま覚えてない。
最近古井さんリーダブルだからさあ。
こういうのが好きかな。
雲の中には目がある。目が、見おろしている。小児の頃に、雨雲の寄せる
暮れ方、膝に疼きを溜めて庭から仰いだ。夢の中のことだったからかもしれない。
何者か、雲のうねりに、うつ伏せに乗っている。身は雲につつまれて幾塊りにも
なり、雲と沸き返り地へ傾き傾きかかり、目は流れない。いや、むしろ眉だ。
目はひたすら内へ澄んで、眉にほのかな、表情がある。何事か、忌まわしい行為を
待っている。憎みながら促している。女人の眉だ。そのさらにおもむろな翳りの
すすみにつれて、太い雲が苦しんで、襞の奥から熱いものを滲ませる。そのうちに
天頂は紫に飽和して、風に吹かれる草の穂先も、見あげる者の手の甲も夕闇の中で
照り、顔は白く、また沈黙があり、地の遠く、薄明のまだ差すあたりから、長く
叫びがあがり、眉がそむけげみに、ひそめられ、目が雲中に失せて、雨が落ち
はじめる。
眉雨の冒頭からちょっと後にある文章ね。
通して読むとなんだかわからんけどグルーヴを感じるのよね。