09/02/04 07:54:14
＞黄昏時はいつも赤くて
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感想。
文体や全体的なトーンはこれまでの受賞作を意識していると思われる。
最初に構築した世界観を最後に覆すというやり方は平凡だが、サプライズとして機能はしていると思う。
ただ、冒頭で和樹を「この子」「坊や」と呼ぶことは、最初に子供であると思わせたいという理由からは致し方ないかもしれないが、
結末から翻ってみればいささか不自然のような気がする。
やはり目立つのは和樹の過剰な気障さ。
気障な男が幼児退行する、という落差の大きさを描きたかったのだろうが、いささか過剰。
その気障さだけが浮いてしまって世界観との調和が図れていないのでは。
その他、文章自体の古臭さを妙に意識したような、ちぐはぐな部分が散見されるのが、読んでいてちょっと苦しい。
ただ、全体の構成としては、幸せからの転落という構図をうまく描けていると思うし、
文章力自体も一定のレベルをキープしていると思った。
冬のソナタ的王道展開は安心して読めるが、その分既視感を抱きやすい。
発想自体をもっと斬新なものにすれば、読ませる作品を書ける人だと思う。
駄文御免。