09/04/03 11:53:32
「トンコ」
人間はもともと草食動物だったと聞いたことがある。
ということは、生き物の命を奪ってその肉を喰らう必要は人間にはなかったのだね、、、。
人間がつくった社会なんてものは、そもそも矛盾だらけだ。
出荷途中に脱走した食用豚の主人公トンコに、少なからず愛らしさや切なさを感じたが、私は菜食主義ではない。お肉も食べる。魚も食べる。勝手な都合だなと思いつつも、私はその中で生きているのだと痛感した。
「トンコ」のほかに収録されている物語のどれもが絶望的なのだが、どこか救いを感じる部分もあった。
はかなく、もろく、愛しいまでの愚かさに心をえぐられるホラー小説だ。