きらら携帯メール小説30at BUN
きらら携帯メール小説30 - 暇つぶし2ch435:名無し物書き@推敲中?
08/11/11 00:31:11
落ちた作品ですが、もしよかったら批評などよろしくお願いします。

「月の砂」

 ここはどこだろう。
真っ暗な世界の中、空には無数の星とぽっかりとした丸い月が浮かんでいる。
夜なのだろうか。僕は辺りを見渡した。
足元がやけにふわふわすると思っていたら砂浜の上にいた。
目前には海が広がっている。
潮風が優しく肌を撫で、耳を澄ますと静かな波の音が聞こえた。
「久しぶりね」
 声がして振り向くと、そこには見覚えのある女の子が立っていた。
目を凝らしてよく見てみると、高校時代の恋人だった。
「……砂月?」
 名を呼ぶと、砂月はにっこり笑った。
潮風で揺れている長い黒髪が夜の闇に溶けいりそうだった。
泣いているのだろうか、ぱっちりとした大きな瞳は潤っている。
「見て、月の砂よ」
 砂月はそう言ってしゃがみこみ、砂浜から虹色に光る貝殻をすくって僕に見せた。
「あなたが教えてくれたのよね、月の砂」
 確かに僕は砂月にいつだったか教えた気がする。
死んだ人は月にいって、そこから貝殻を降らせるのだと。
それは月の砂と言うのだ、と。
単に彼女の名前が砂に月と書いてさつきと読むからなんとなく言ったのだと思うが、もしかしたらあのときの僕には砂浜の中で小さく光る貝殻が、本当に月の砂に見えたのかもしれない。


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