09/04/03 21:42:55
「夕焼け、花束、制服」二分の二
俺は視線を制服に向ける。仕立てのいい感じの良品だ。その辺で売っているような物ではない。
手には花束が握られている。何のつもりだろうか?
そこから視線を下に滑らせる。太く、毛深い足が見える。
再び制服の方を見る。がっちりした肩幅。短めのさわやかな髪。
さぞもてることだろう。男としてなら……。
「どうしてそんな格好してんだよ。兄さん」
「それは、今日お前の誕生日だったから。今まで黙っていたことも話そうと思って……」
自分の誕生日すら忘れるほど憤っていた様だ。
そして兄からもこの事実を肯定されたのが悲しかった。
「こんな兄さんを許しておくれ。今までどおり仲のいい兄弟でいようぜ」
そういって花束をこちらに向ける。俺はその花束を……兄の気持ちを……。
全力でぶん投げた。ごめん、やっぱムリだわ。
こうして俺ら兄弟には大きな溝ができた。
めでたくねぇな。
「陸上競技、チョコ、髪留め」