09/02/14 18:09:37
おk。書き直しの解説をするよ。
結局、小説は人物を描くことが大事なんだ。だからどういう人物を設定するかちゃんと考えておかないとけない。
書き直しの祐子は、そうだね、映画ポニョの主人公宗介のお母さんのイメージだよ。強い。前向き。そんなイメージさ。
肩を凝る人って頑張り屋さんが多いんだ。一つのことに打ち込んで、気がついたら体をこわしている。そんな感じ。もちろんこれは勝手なイメージさ。でも、嘘っぽくはないだろ?
息子を事故で亡くした祐子は、その悲しみから立ち直って生活をしているんだ。強い、からね。
だけど、テレビドラマのシーンから息子のことを思い出す。その瞬間、空耳が聞こえる。息子の口癖だね。
そしてその息子の口癖を声にして真似てみようとしたとき、笑みがこぼれたんだ。それは声にしてみようとしたときの、恥ずかしさというか、照れ、みたいなもんさ。
息子の口癖を真似て、今度は自分がなんて答えていたかを思い出し、それを口にする。
つまりだね、在りし日の、息子と自分のやり取りを、そのとき、演じたんだよ。
「お母さん、もういい?」「まだ、これからよ。これからじゃない?」
ってね。
演じながらちょっと悲しくなったけど、よし、がんばるぞ!というふうになったんだ。
そう、悲しみにひたるお話じゃなくて、前向きに生きていく祐子の姿を描いた小説になったんだね。
それもこれも祐子という人物造形が決めてから書いたからさ。
むろんこんな短いシーンだけで、祐子の人物像を伝えることはできないよ。
読者によってはまったく違ったイメージをもつかもしれないけど、ま、それはしょうがないのさ。