08/05/03 19:13:58
653です。スレ汚しすみませんでした。もう1つ、小説の冒頭を張ります。
どうか、こちらをよろしくお願いします。
あー暑いな。左手に開いている窓から、真っ青な空と、その下にずんぐりそびえる濃緑
の山々と、手前に干上がったドブ川が見える。ミンミンうるさい蝉たちの声は、そんな
風景と正にピッタリなBGMだ。一体どこにこんなたくさんの蝉がいるのよ。あんな小さ
な体でよくまぁ鳴くわね。こんなに暑いのに、全く尊敬するわ。わたしは偉大な蝉たち
について少し想像を広げた。
「はいっ、ここはしっかり押さえといてねー。この図もちゃんと描けるようにしとくこ
とー。はいっ、じゃあお終い」
妙に明るい女教師の声で、想像が中断される。
「起立、きをつけーれい」
日直の間延びした号令によって、世にも退屈な数学の時間が終わった。その反動による解
放感から、教室はにわかに騒がしくなる。
「はぁー」
黒板に描かれたヘンテコな図形を急いでノートに写すと、わたしの口からはため息がもれた。
「あー、あちー。ってか、やべーな超むずい」
「ああ今日のは凄まじかったなー」
列の前の方から無闇に大きな男子の声が聞こえ、わたしは内心でうんうんと頷く。ノート
を見つめるのを止め、くううとひとつ伸びをしてから、ノートと教科書を教室の後ろにあ
るロッカーへしまいにいく。そして席に戻り、机に掛かった茶色いリュックサックから弁
当箱を取り出す。