07/08/16 20:46:38
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信号は赤。道に車は無し。念のため左右を確認する。異常なし。
エンジン音も特に聞こえない。周りに人もなし。
時間もないし渡ってしまうことにした。
あたり一面田んぼの田舎道、僕はゆっくり歩く。ただひたすら、祖母の家を目指して。
二十分ぐらい歩いた。街の方からサイレンが聞こえる。救急車だ。どこかで事故があったのだろうか。
一面田んぼの平坦な土地では何も遮るものがなく、遠くに救急車が走っているのが確認できる。
僕がたどった道の上でサイレンの音が止まった。現場にはRVとその運転手の青年が、落ち着かない様子で立っていた。
意味もなくあたりをいったりきたり、ふらふらしている。動揺している。
「お酒なんか飲むからだよ」と僕は独り言をいう。僕はあたりを見回す。誰もいない田舎道、誰も聞いちゃいない。
「違うよ赤信号でわたるからだよ」後ろで声がした。背筋が凍る。はっと振り向くが誰もいない。
ついさっきあの辺りで僕は信号無視したのだ。気分は悪くないから幻聴とは思えない……と思うと、本当に気分が悪くなってくる。
「僕死んでないよね」救急車の乗せられた人がどんな人なのかは知る由もない。
気味の悪さを振り払うためにあえて笑った。そして歩いた。
祖母のうちについた。