07/09/04 22:46:18
○
死因は他者による絞殺。凶器は首を吊っていたロープ。
手書きの書類をコピーした検視結果にはそう書かれていた。
「読みが当たったってことか……」
小さく呟いて、澪は検視結果をスキャナーに挟んでノートパソコン操作した。
鈍い作動音がして、画面にゆっくりと書類の画像が出来上がってゆく。課の備品の
スキャナはもうだいぶ年代もので、最新の安価な機種よりもはるかに性能が悪い。何
度か購入申請してみたものの、すべて却下された。備品は買った当時の計画された耐
用年数が来るまでは決して買い換えない。堅いことだが、その結果が非能率として返っ
てくる。
数十秒かけてようやくファイルができあがる。解像度を高く設定したため、ファイ
ルのサイズがやたらと大きい。手書きの書類のそれもコピーが元では、こうでもしな
いと文字が判別できないのだ。ディスクの容量もかなり使うが、こちらの方は心配な
かった。パソコンだけは最新機種を支給されている。課員全員が連名で上申した結果
だった。支給されなければ、各自が自費で買うしかないと言って、ようやく購入が決
まった。むろん、上の方が捜査員個人の懐具合を心配しているわけではない。情報漏
洩が発生した場合、私用パソコンからの流出だと情報管理のミスを叩かれるのは上の
ほうだからだ。
出来上がったファイルにパスワードを設定していると、
「榊巡査、ご苦労様だな」
振り返ると山口警部補が立っていた。
相変わらず足音を立てずに後ろに立つ人だ。澪は思った。
「しかし、お嬢さんすごいね。一課の連中でも写真だけじゃ他殺って判らんかったぞ」
山口警部補が澪のパソコンをのぞき込みながら言った。澪は反射的にディスプレイを
閉じた。表面柔和なのだが、どうも得体が知れない。一課の古参刑事はみなそういう
ところがある。
736:お願いします3/3
07/09/04 22:47:32
「ありがとうございます」
『お嬢さん』と呼ばれてカチンと来るのをこらえつつ、澪は答えた。首吊り死体を
パソコンの画像の状態で他殺と報告したたため、それが一課で話題になっているらし
い。
だが、自分で他殺と判定したわけではない。最初の情報提供者の言葉をそのまま真に
受けただけだ。もっとも、何故信じたのかは自分でもよくわからない。
「まぁ、心強い味方が出来たと思っているよ」
澪の心情を察したのか、山口警部補がいたずらっぽく口の端で笑った。
「さすがに、インターネットってのか、こっちの世界に詳しいやつは一課にゃ少なく
てな。どうやって捜査していいか、正直困ってるわけだ。サイバー課の新鋭が加わっ
てくれりゃあ、御の字だよ。しかも、新鋭の美人巡査ならいうことない」
「山口警部補……」
さすがに澪は怒気を込めた。
「すまんすまん。そう怒るなって。当てにしているのは確かだ。実際、こっちとして
は微妙な案件だったんで、あまり準備してない。10人も死んでるんじゃ総出だろうか
ら、いずれ駆り出されるのは間違いなかったが、分野違いだし、手伝い仕事になると
踏んでたんだが―」
10人の死者。
澪はその言葉を噛みしめた。
警視庁生活安全部サイバー課。コンピューター犯罪を中心調査する部署としては、
今までで最悪とも言える事件だった。
ある自殺サイトで、呼びかけ人の煽動的とも言える勧誘の結果、一度に10人もの集
団自殺に発展したのである。しかも、その呼びかけ人―自殺サイトのハンドルネー
ムでは『ラプラス』―は、それ以前にも集団自殺を実現していたのだ。
しかも、警視庁ではこの自殺サイトの情報を掴んでいた。もっとも、捜査の必要性を
感じた時にはすでに遅く、この集団自殺は止められなかったかもしれない。しかし、
次の事件についてはそうではない。
737:名無し物書き@推敲中?
07/09/04 23:05:18
>>731-732
初心者レベルかな。
書き方すると冒頭なんだろうけど、描写の順番に問題あり。
部屋の様子、真希の状態を描写してから、暴行シーンに入ったほうが効果的。
セリフから始めているので、描写がちぐはぐでわかり難くなっている。
>口に下着を突っ込まれた小指の持ち主である真希は、顎を上に向けて呻いた。
これだと説明的で文章が不細工になるし、しかもセーラー服が抜けている。
先に真紀の描写をしておけば、すっと収まるはず。
それと冒頭から細切れでカットバックに入る展開はNG
時系列にそって書いたほうがうまくまとまるはず。