07/09/02 11:28:19
少女の背後から何かが迫ってくる。
「ぬ……ジュエルアームか。だが、間に合う!」
背中の翼が一際強く輝き、さらに速度を増す。
風を切り裂き、空を翔る。周りの景色が溶けていく。
だが、そんなスピードをあざ笑うかのように、背後から無数の宝石弾丸が迫ってくる。
体を捻り、急上昇、急降下を繰り返して初弾をかわす。
途切れそうになる意識を必死に繋ぎとめ、さらにかわす。宝石弾丸が頬をかすめる。
前方に空間の歪みを見つける。
「見えた!」
あの歪みこそが、ここから抜け出せる唯一の出口。
体を翻す。後ろが一瞬見える。
少女の目が見開かれる。
無数の宝石弾丸の中に一際大きなものがあった。
今までのが銃の弾丸なら、あれはロケット弾だ。自動追尾らしく、螺旋を描きながらこっちに向かってくる。
考えるより先に体が動く。再び前を向いて歪みに手を伸ばす。
「逃がすかよぉぉぉぉぉぉぉ!」
背中に衝撃。意識が一瞬途切れる。宝石弾丸が胸を貫いたのだ。
「が……っぁ」
後を追うように無数の宝石弾丸が体を貫く。
空に血にまみれた羽根が舞う。
「あ……あと少し……」
それでもなお、少女は手を伸ばし、
空を舞う赤い羽根を無慈悲に切り裂いてロケット弾が迫ってくる。
爆音。