07/09/02 11:27:16
二つの輝きが乱舞する。
それぞれの異なる光がうねり、混ざり合い、狂い合う。
光が弾け、連続する爆音。
「くっ……」
一人の少女が荒廃した大地を駆ける。
他には何もない。
少女の命を奪おうとする存在とそこら中に転がる無数の死体を除けば。
「ははぁ! ジュエルもそろそろ底が尽きてきたか!?」
少女の背中から下品な笑い声が聞こえてくる。
(くそ……今は一刻も早くここから脱出しなければ)
足を踏みしめ、さらに速度を上げようとする。
ころんと頭を飛び越えて少女の目の前に何かが転がる。それは赤く輝く宝石。
「な―っ!」
駆け出そうとした足を踏ん張り、腰にぶら下げた革製のポーチから地面に転がったものとは違う宝石を取り出して、目の前にかざす。
地面に転がった宝石が眩しいほどの光を放ち、一瞬遅れて少女がかざした宝石も光を放つ。
爆音。次の瞬間に少女の体は空を飛んでいた。
「あくまでも逃げ続ける気か!」
忌々しそうな声が聞こえてくる。当たり前だ。今の私には逃げることしか出来ないのだから。
赤く染まった空を翔る少女。その背中には透明に透き通った翼が生えてはためいている。
(あと少しだ。あと少しで)
「逃がしてたまるかよ! お前は死ななければならないんだよ! 俺のためによぉ! ひゃははははっはぁ!」