07/08/31 01:36:38
外は多分、暑い。 目の端を何かがよぎった。奴が素早く、手を動かす。歯を
「ほら」
わざとらしくぱっと開いた手の中のものは、多分、蝿?こんな大きな蝿、存在しているのか。
まるで蝿の形の、すずめ蛾だ。
「今は、暑くて、明るい」
俺はつぶやいた。すずめ蛾なんて、今は飛ばない。
「おまけ」
俺には構わずに、奴は素早く、左手のコップの中にそれを投げ入れた。
その衝撃で、白い表面が大きく波打つ。
「船」
俺が、そう言うと、奴は片目をつぶって、今投げ入れた黒い固まりを指差して、言った。
「これ?」
俺はうなづく。
「グッドセンス」
大きくて器用な右手の親指を俺の方に向けて、奴は歯を見せた。
今こそ、笑うタイミングだ。