07/08/27 17:11:26
中学になって、強制された部活動のために夏休みでも朝はやくから学校に行かねばならなかった。
おれは部活動が大嫌いだった。
小学生の頃は毎日遅くとも5時には家に帰ってアニメを見られたのに強制された。
夏休みは午前中からアニメがやっているし、衛星放送でも少し昔の、だけどすごく面白いアニメ映画がやっているのが楽しみでならなかった。
なのに部活動のせいでみられない。そして色々とキツことを偉そうに命令されやらされているのに耐えられなかった。
しかし、夏の日の朝に感じたあの匂いは、今も忘れる事はない。
湿っているけど爽やかに感じられる、滝のふもとにいるのにも似たような風と、これから太陽が上がって燦然と輝こうとしているという予感が、
思春期のあの頃のおれを、強制された行動のために動いていたおれを、どこか別の世界へと誘わんとしているように、別世界への入り口のように、
それは限られた時空にしか拓かれない、おれをおれだけの場所、無縁の場所へと繋げてくれる何か、何かだったのだ。
その部活動に、おれと同じようにいつも一人でいて、みんなと騒いだりしないで淡々としている、だけど決してイジメられたりもせず、かといって不良でも優等生でもない目立たないやつがいた。
おれはそのまま中学2年生の夏休みも同じように部活をやって過ごした。