07/08/25 19:18:26
「……ん……賢!」
誰かに肩を揺さ振られ、夢から現実へと引き戻されていく。
「やっと起きたか、お前また荒井に怒られっぞ」
まだ眠たい目を擦りながら顔を上げると、目の前には呆れ顔の博司がいた。
「……お前こそ、怒られるよ。前向いたら?」
いきなり起こされた俺は不機嫌になって、博司に冷たく当たった。
「何ソレっ、冷てぇ。せっかく起こしてやったのに~」博司はスネてプイっと前を向いた。
……まるでガキだな。
でもまぁ、なんだかんだで付き合いは結構長い。
いわゆる腐れ縁ってヤツ。
「いいか?ここは重要だから、ちゃんと覚えとけよ」
チョークを手に取ると、乱暴に黒板へと数式を書き写す、数学担当の荒井先生。
そうか、今の時間は数学だった。けど荒井の授業ってホント、つまんないんだよな……。
白髪混じりのボサボサな髪に、柄の悪いヤクザのような顔付き、そしてメタボリックと診断されても、おかしくないような、出っ張ったお腹。
荒井が歩く度にピッチリとした革のズボンがギシギシと悲鳴を上げている。
何故そこまでしてピッチリしたものを……
毎回数学の授業で会う度に荒井は色違いのピッチリズボンを穿いてくる。
正直、痛い。と、皆口々に言う。……確かに自分もそう思う。
とりあえず、荒井が言っていた重要なところだけをノートに書き写す。
大体重要ポイントを教え終わった後は、荒井の自慢話か、説教やらで授業が終わる。
―授業終了まで残り15分。
……さて、もう一眠りといきますか。
俺はまた机に顔を伏せ、深い眠りについた。